アメリカ法律ノート」カテゴリーアーカイブ

アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

法律ノート 第1212回 弁護士 鈴木淳司
May 11, 2020

 長年知っている親しい40代男性が末期がんであるというニュースが入ってきました。コロナで医療機関にもかなり負担が生じているようですが、このような時期に入院をしたり、治療をするのは誰にとっても容易でないことが想像できます。もうお見舞いにも行けない程度弱っているということも聞き、ショックを受けました。ご家族の気持ちを考えると、このようなパンデミックの異常事態だけでも辛いのに、そのなかでの更に辛い出来事です。心が痛いです。

アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

 「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書に沿って

 簡単な前回の復習をすると、契約書に規定があればその契約書に沿って適用される法律と、裁判をする場所が決まります。そして、契約書に規定がないようなケースでは、お互いの関係に密接に関連する場所が裁判をする場所になり、その場所を管轄する法律が適用されることになりそうですが、ケースバイケースです。

相手のビジネスを観察

 今回のケースのような事例において考えにくいですが、かりに契約書がなかったり、裁判管轄・準拠法の規定がなかった場合には、基本的に取引関係においては、相手方の所在地を基本に考えるのが適しています。

 しかし、そうすると、今回の相談では、わざわざ日本からアメリカに行って提訴しなくてはならなくなります。そこで、なんとか日本で提訴できないか、ということになります。

 まず可能性を探るために、相手のビジネスを知ることが重要です。
 かりに、日本と頻繁にビジネスをしているとか、日本に営業所や営業の人を置いているなど、日本との繋がりがどれだけあるのかが、一つ重要なファクターになります。

中間業者の存在は?

 そして、今回質問にある「中間業者」の行動も確認する必要があります。

 かりに、この中間業者が頻繁に日本に滞在しているなどという情報があると、中間業者に対しての訴訟も日本で考えられるかもしれません。

「送達」が可能か

 裁判をするには、単に訴状を裁判所に提出するだけでは足りません。訴状を訴える相手方に対して「送達」しなければなりません。送達というのは、相手方にどのような訴訟を提起して、何を求めているのか書いてある書類です。この送達というのはかなり訴訟において重要で、日本でもアメリカでも厳格なルールが定められています。訴訟をするのであれば必ず必要な行為です。

 この送達がなされてはじめて訴訟としては実質的なゴングが鳴るという感じです。

 ところが送達については相手方に直接手渡しするのが原則ですから、外国にいる人や会社に対して訴訟をする場合には、かなり翻訳などの手間がかかりますし、政府間で送達の取り決めをしている場合も多くありますので、色々な機関を通さなければならず時間もかかります。

 ですので、相手方の行動をよく確認して、日本に頻繁に滞在している場合には送達が日本国内で可能になることもあります。

管轄違いの申立て

 間違ってはいけないのが、送達があれば裁判は出来ますが、相手方は裁判管轄が不適当であるということで争うことは当然できます。
 この争いでそれなりに時間がかかることもありますので覚悟はしておかなければなりません。うまくいけば裁判管轄が認められることになりますが、負ければアメリカで裁判をしなくてはならなくなりそうです。

手を組む会社はないか

 とにかく、相手方がどの程度日本とビジネスなどのつながりがあるのかを先行して確認しておくことが重要です。また、他に似たような不良品を多く見つけて不満を持っている業者などと情報を共有することも重要です。かりに、一社だけではなく数社一緒になるとそれなりに力にもなると思います。

 今回いただいている質問への一般的な考えは上記の通りですが、何か他にも類似の質問があれば、ぜひ法律ノートに質問をされてください。

 まだまだシャットダウンは続いていますが、心身ともに健康に留意してまた一週間がんばっていきましょうね。


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Washington DC Capitol

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

法律ノート 第1210回 弁護士 鈴木淳司
April 28, 2020

 アメリカではウイルスによる死者が、わかっているだけでもすでに5万人を超えるという、かなり深刻な事態になっていますが、実際は検査も受けずに亡くなっている方もかなりいると思われます。ところが、すでに自宅待機の解除を求める人もデモを行ったり、一部の公共施設を開放したりする州もでてきたりしています。二次的な感染の波が怖いです。解除のデモで感染したらどうするのでしょうか。まだまだトンネルの出口が見えないようにも思えるのですが、人々が「終わり」を希求する気持ちも理解できる状況ですよね。皆さんは、どのようにお過ごしでしょうか。

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

 さて、今回は皆さんからいただいている新たな質問について考えていきたいと思います。

 いただいている質問をまとめると「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものです。

 今回の質問は法律用語でいうと、「裁判管轄」とか、「準拠法」の問題と言いますが、難しいですよね。法律の勉強をしていないとピンとこないと思います。法律ノートではできるだけ日常使う用語に引きつけて考えていきたいとおもいます。難しかったら指摘してください。角度を変えて考えていければ良いですよね。

まずは契約書を確認

 さて、今回質問されている方ですが、日本でネット販売をするために、アメリカから物を買っているということですので、この日本の会社とアメリカの業者の間には、規模の大小の違いはあれ、売買契約が成り立っていそうです。
そして、その売買契約の内容として、受け取る物に不満があるということなのでしょう。

 この契約がどのように結ばれているのかわかりませんが、通常は契約書を締結します。
 最近では少なくともアメリカでは、ウェブ上で紙を使わずに契約を成立させることができますから、内容をあまり読まずに実際は契約書によって契約が成立している可能性は充分にあります。

 ですので、今回質問されている方も、まず確認しなければならないのは、契約書があるか、ということです。弁護士に相談しても、まず聞かれるのが「契約書はあるか」ということなので、この点は最重要事項として考えてください。以下ですが、契約書がある場合、それから契約書がない場合に分けて考えておきましょう。

紛争解決の方法の条項は?

 まず、契約書がある場合です。
 今回質問されているようなケースでは継続的に売買が繰り返されているので、たぶん契約書は存在すると思われます。

 そして、契約書には通常、紛争になった場合にはどのように解決するのか書かれているものが多いです。

 紛争の解決はいわゆる一般条項(General Provisions)の一部として存在するのが普通です。契約書の最後の方に規定されている一般的な取り決めの部分です。

 ここで、今回の質問に関連して注意してみなければいけない条項がいくつかあります。

 1つ目は、どこの裁判所で紛争を解決するのかという、場所の問題
 2つ目は、どのルールに従って紛争を解決するのか、という紛争解決のために使用する法律
 3つ目は、どのような方法で紛争を解決するのか、という手段の問題があります。

 この3つについて契約書を確認すると、今回の質問に対する答えが明らかになってきます。

どこで裁判をするかー管轄

 詳しく考えていきましょう。
 まず、どこで紛争を解決するか、というのは裁判管轄について合意するなどと言われますが、通常紛争があった場合には、どこどこの裁判所を第一審の管轄とする、とか、サンフランシスコ郡内の範囲において紛争を解決する、などと規定されています。

 すなわち、喧嘩をするなら場所を指定しておこうということです。

 契約書に定められていれば、通常その場所で紛争を解決するということになります。

 しかし、日本でもアメリカでも、たとえ場所が決まっていても、あまりにも不合理な場合には、裁判で否定される場合もあります。私も経験上、契約で決められた紛争の解決場所が「公序良俗に反して」無効、といった判決をみたことがあります。

 このような例外的な場合がありますが、基本的には契約書に規定されている場所において喧嘩をする、ということになります。

次回続けていきましょう。

 なかなか、外で運動をするのも難しいですが、身体を動かすことを怠らずまた一週間がんばっていきましょうね。


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個人給付 米ビザ保持者が受け取っても大丈夫?

法律ノート 第1209回 弁護士 鈴木淳司

 アメリカでは、マスク着用について医師のなかでも反対する人がいました。どうも、マスクの付け心地が悪く結局、汚い手で顔を触ってしまうということでした。結局、サンフランシスコ市は、マスク着用の命令を出し、アメリカ各地でマスクをする人が激増しました。方向転換ですね。ただ、方針の転換に否定的な論調のものは見かけませんので、こういうところが日本と違うな、と思わされるところです。

 日本では一時給付についての方針転換について、「誰々の失態」とか、「誰が恥をかいた」とか言った論調の記事や発言が多くてうんざりします。一丸となって、今を乗り切ることが大切ですよね。

 さて、現状、COVID-19の大流行により、日本もアメリカも、国民にいわゆるバラマキ政策を行い、生活や経済の維持を図ろうとしています。

 このところ、実は多くの質問がアメリカ政府による緊急給付について法律ノートにも寄せられています。PPPといわれる、雇用の維持を狙った給付(Paycheck Protection Program)についての質問も多いのですが、これは雇用主が申請するものであって、どちらかというと個人給付の色合いはありません。

 アメリカのCARES Actには、各納税者に対し1200ドルを支払うというものがあります。これについて、日本人や外国人の方から、受け取ってもよいのかという質問が多数寄せられています。移民法との絡みですね。

 今回、この対個人給付(1200ドル、子は各500ドル)の基本的な部分は取り上げません。色々なところで確認できますし、受領可能な人は直接に送られてくるので、納税者側からは何もすることはありません。

 今回取り上げたいのは、ビザ保持者や永住権を申請中の外国人の方々が、この個人給付を受け取っても、2020年2月24日に施行された移民法上の公的扶助制限に引っかからないかという点です。

 この移民法の新規則は、アメリカ政府から公的扶助を受ける一定の場合、永住権申請や、非移民ビザ申請が不許可となるとしたものです。詳細は今回考えませんが(じんけんニュース、www.jinken.comで随時取り上げています。)、公的扶助に関する今回の新法では、そもそも災害時(Disaster)の給付は明確に制限から除外しています。

 したがって、移民法上は、今回の対個人給付を受け取ったとしても、公的扶助を得たこととみなされません。ですので、結論からいうと、移民行政上のステータスに関わらず、受給することができます。

 一方で、混乱が生じているのは、CARES Actにおける対個人給付について、「Non-resident Alien」という単語を使っているところです。

 これは、移民法でも使う単語ですが、今回の新法においては、税法上の概念として使われています。「非居住外国人」といっても、市民権を持たないとか、ビザしか保持していない、という意味ではなく、税法上の「非居住外国人」ということになります。

 税法上は、基本的に2つのテストで「非居住外国人」を設定しています。

 一つは、永住権を持っていれば、市民と同様に考えますので「非居住外国人」には該当しません。

 もう一つのテストは、183日以上(つまり半年ですね)、アメリカ国内に滞在した場合には、「非居住外国人」には該当しない、ということです。該当しなければ、納税義務が発生するということです。そして、CARES Actsに基づいて支払いを受けられるのは原則として、継続して納税をしている人ですから、結局納税義務が生じている人たちは、今回の対個人給付を受けられ、なんら移民法には影響しないということになるのですね。

 したがって、アメリカで現在ビザを保持して生活されている外国人の方々でも、受給することはできます。

 将来永住権もとりたい、と考えている場合、その将来の申請に今回の対個人給付を受けたとしてもなんらマイナスな影響は生じませんので、安心して受け取ってください。

 日本でも、外国人労働者に対しての保障はされるのか、という議論はありますが、日本で働き、納税をしている人たちには、国籍を問わずに支払いをするのが理想だと思います。

 それから、似たような質問で上述のPPPに関して、例えば外国人が有する会社(Eビザの場合などが考えられます。)が申請できるのか、ということですが、当初、PPPは会社の所有者を米国市民権および永住権保持者に限っていましたが、その制限を外しました。

 ですので、主に、Eビザで会社を所有する外国人は申請することは可能になりました。また、将来の永住権や、ビザ更新には移民法上影響はありません

 また、次回新しい質問を考えていきましょう。

 まだまだ、ウイルスは下降基調とはなっていないですが、とにかく今は耐えるしかないですね。皆さん一人ひとりがウイルスをやっつけるためにできること、といえば今は自宅待機です。使命感を持って対応していきたいですね。

 また、一週間がんばっていきましょう。

Update:給付金の返還が必要な場合

読者からのご質問にお答えし、アップデートしました。(June 2, 2020)

Q. 2019年分のタックスリターンを行っていたため、給付金が自動的に振り込まれています。4月の時点では受け取り可能という案内がなされていましたが、先日確認したところ、qualified aliens  for 2020 ではない人、nonresident aliens は対象外であり、返還が必要と更新されていました。返還しなければならないでしょうか?判断がつきません。

A.IRS(米国国税局)のインフォメーションセンターに詳細情報があります。
https://wあww.irs.gov/coronavirus/economic-impact-payment-information-center

これによると、2020年に税法上の「居住者」、すなわち基本的に外国人を指しますが、2020年に183日以上アメリカに滞在しているか、永住者の必要があります。
したがって、2020年にアメリカに183日以上居住しなければ返還しなければならず、返還方法についても、上記サイトに書かれています。

Q11. Does someone who is a resident alien qualify for the Payment? (added May 6, 2020)

Q11. A person who is a nonresident alien in 2020 is not eligible for the Payment. A person who is a qualifying resident alien with a valid SSN is eligible for the Payment only if he or she is a qualifying resident alien in 2020 and could not be claimed as a dependent of another taxpayer for 2020. Aliens who received a Payment but are not qualifying resident aliens for 2020 should return the Payment to the IRS by following the instructions about repayments.

なお、情報は6月1日時点ものであり、今後更新もあり得ます。
ファイルする時点で、再度ご確認ください。

Washington DC Capitol

コロナウィルス蔓延とアメリカ刑事司法の柔軟性_1208

法律ノート 第1208回 弁護士 鈴木淳司
April 13, 2020

 どこもかしこもコロナ一色で、外出もままならない今日このごろですが、皆さんの士気はいかがでしょうか。新潟の友人弁護士がとても綺麗な桜の写真を送ってくれました。人間はあたふたしていますが、季節は、そして自然は人間の問題とは関係なく流れていくのですね。人間の生死が毎日のニューズラインになってしまっていますが、やはり人間はいつでも大自然と一緒に行きているわけです。こういうときこそ、自然を楽しみたいものです。花粉が大変ですが、花が綺麗な季節ですね。植物の勢いに元気をもらいましょう。

 今回は、いち早くサンフランシスコもロックダウンされているのですが、こういうときに弁護士がどのような仕事をしているのか、いくつか拾って、皆さんに自宅待機の弁護士は「こんなことしているんだ」ということを知ってもらえたらいいのかな、と思って徒然書かせてください。

皆さんからいただいている質問を一回休ませていただき、この数週間私が体験した刑事事件の処理を取り上げてみましょう。
 もちろん、ビジネス系の話も大変な時期なので、色々あるのですが、通常、動きの必要な刑事事件はどのような対応が行われているのか私も興味があったところです。

 私が現在、無罪を争っている大型の刑事事件があるのですが、拘置所に入れられている被告人は元々結核を子供のときに患っていて、現在も様々な既往症が認められます。

 いったん、拘置所にコロナウイルスが蔓延してしまうと、治療も不安ですし、そもそも無罪を争っていて、私も無罪を確信している事件ですから、ウイルスの影響が本人にあると、トライアルまで耐えられるのか疑問になってしまいます。そして、公に危険が生じるような性格を持っている被告人ではありません。交通切符も一回ももらったことのない真面目な人です。

 そこで、コロナウイルスの問題で、一時的な釈放を申請してみようということになりました。
連邦の事件なので、争ってきているのは連邦司法省です。そして、かなり厳しい判断を下す裁判官が担当です。

 アメリカ全体でも、実際拘置所の公衆衛生が問題になってきており、少しは裁判官も聞いてくれるのかな、とあまり期待せずに戦っていました。自宅待機中で弁護士も裁判所にいけません。申請書には「電話、またはビデオ出廷をリクエスト」と書いておきました。

 司法省側の反論についての再反論を整えていたところ、電話などの出廷も飛び越えて私の主張が認められ、いったん被告人が拘置所から出してもらえる決定を勝ち取ることができました。とても嬉しいことなのですが、一方で、自宅待機をしていることから、法廷で色々弁論もできなかったことは、なんだか法廷弁護士としては気持ちが悪いというか。

 別の事件では、日本の公的機関から紹介されたという日本人から、逮捕勾留されているので緊急で助けてほしいと事務所に連絡がありました。

 事務所の人達も出勤するわけにいかず、遠隔操作での伝言での連絡です。私も遠隔操作で、サンフランシスコの拘置所と検察に連絡を取ると、まだ保釈金も設定されておらず、勾留されていました。電話では直接被疑者と話ができません。しかし、この緊急時、弁護士もノコノコ拘置所にいくのも躊躇します。

 拘置所の人たちと話をすると、なんと、インターネットのビデオ通話で、接見ができるというではないですか。そこで早速申し込みをしてみると、翌日早速設定がされ、ビデオで話すことができました。ただ、スーツは自宅で着ませんから、普段着は映ってしまいましたね。直接ビデオで話ができるということは勾留されている人にとっても、弁護士にとってもとても便利でしたし、単なる電話よりも充実した相談タイムでありました。身振り手振り、そして、図などもやり取りできます。かなり非常時対策がちゃんとしていて、検察・警察も事件を進めるために、協力をしてくれていると感じました。
こういったフェアな精神がアメリカの素晴らしいところだと思いました。

 いっその事、これからビデオ接見も普通に許してくれると、被疑者も弁護士もかなり助かるな、と感じました。本件の事情を聞くと、DV事件でした。どうも、彼氏も彼女もコロナで生活が異常になり、口論が絶えなくなったこともあったようです。
一般的にもDV事件が増えているようですが、精神的な影響もあるのかもしれません。

 本件では事情を聞いてみると、暴力事件とは言えないような案件でした。
 関係各所に連絡をしたところ、その日の夜には釈放され、事件化には至りませんでした。このような釈放の説得なども結局電話だけで対応できたのは、いつも動いている私には少々気持ちが複雑でしたが、まずは良かったですが。

 このように、書面だけをいじって、そして考える作業だけではなく、刑事事件でもそれなりに遠隔操作ができるということを実感できる数週間になりました。新しいことを習うのは楽しいですね。ただ、やはりどんなにテクノロジーが進化しても、実際の法廷や、実際の相談、そして実際の交渉などは、電話やビデオでは本当は代替えできないのではないかな、とも思わされました。

 大変な時期が続きますが、また一週間各自自宅待機をして、コロナの死滅を願いましょう。



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訪米中の交通違反(3) _1207 

法律ノート 第1207回 弁護士 鈴木淳司
Apr.6, 2020

 中国やイタリアでは、コロナ問題が峠を越したということで、本当かどうかはわかりませんが、かなり外出をはじめている様子がニュースで報道されています。実際にウイルス問題が峠を超えているのであれば、長いトンネルの終わりを見ているようで、励まされます。ただ、アメリカでは感染拡大が止まっていません。一人ひとりが協力している外出自粛が、功を奏すると良いのですが。

訪米中の交通違反(3) _1207 

 さて、前二回考えてきた「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問の今回は最終回です。

反則金を払わないと裁判になり、出頭が必要

 交通切符を支払わずに時間が経ってしまったときの対応を今回は考えておきたいと思います。通常は、反則金を納付すれば、裁判にはならない(争いたい場合には裁判ができる)という手続となっており、これはアメリカも日本も変わりません。日本でいう青切符の場合ですね。

 問題は反則金を払い忘れた、払わなかった、という場合です。この場合アメリカでは裁判となります。必ず切符に出頭日が書いてありますので、本来であればその日に裁判所に行き、申し開きをしなければなりません。その日に支払いを終えても良いのですが、どちらにしても出頭が必要になります。

 そして、その日に出頭しないと、勾引状(Warrant)が裁判所から出されることになります。この状態になってしまうと、簡単にクレジットカードで支払いを済ませることができません。あくまでも、本人が出頭しなければなりません。交通事件なので、弁護士に委任して代理として出廷してもらうか、ご自身で行くかのチョイスになります。各州の手続きに違いがあるかもしれませんが、少なくともカリフォルニア州では本人出廷が必要になってきます。一旦出廷してしまえば、そのときに罰金を払うなりすれば手続きを終了させることができます。ですので、放置されている場合でも、ちゃんと対応すれば問題は深刻になりません。

 一回の出廷で終わるわけですから、わざわざアメリカに飛行機で日本から来るのも大変ですので、そのときは、逮捕された場所の近くの弁護士に一回の出廷に限るということで、委任するのが手っ取り早いかもしれません。交通事件では本人が出廷しなくても、多くの場合弁護士の出廷で対応が可能です。

再訪米前に記録をクリアーにしておく

 また、次回アメリカに入国する際には、一応交通事件であれ記録をクリアーにしておくのが良いと思います。現状ではかなりの刑事関係事件が、移民行政の記録と紐付けされていますので、不測の二次的拘束を入国管理の段階で避けるために、事前に弁護士に委任しておくのが良いと思います。

起訴されたら、一年後でも裁判所の記録に残る

 それから、時々違反から時間が経てば時効などで、許されると思われているような話も聞きます。しかし、いったん起訴されている段階だと、その起訴は原則としてそのまま残ります。起訴されていない場合、検察が起訴するかどうかを決めるのは、カリフォルニア州では原則事件送致から一年なのですが、いったん起訴をされると一年経っても、それは裁判所の記録に残ります。ですので、面倒臭がらずに対応をしておくのが良いかと思います。

 あとは留学生などが、友人に頼んで処理をしてもらうとすることはたとえば罰金の支払いについては良いと思いますが、身代わりの出廷などは決してしてはいけません。かりにバレたときには、罪に問われます。気軽に考えないほうが良いかもしれませんね。

 以上で今回の質問に対するお答えとしたいと思います。もし他にも似たような事例や、今回の法律ノートで気づいたことやさらに質問があればいつでも法律ノート宛(question@marshallsuzuki.com)にメールをください。

 今は、自宅待機の方も多いと思います。もちろん仕事や勉学などが気になるところですが、自宅でじっくりできる読書などポジティブに考えて生活していきたいですね。

 また次回は新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。できるだけ自分の身の回りの衛生と自己の体調管理をしながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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訪米中の交通違反(2) _1206 

法律ノート 第1206回 弁護士 鈴木淳司
Mar 31, 2020

 COVID-19ウイルスの猛威はアメリカを含め世界で広がりが止まりません。先日の志村けんさんの他界にはショックを受けました。ウイルスで死者が出ているといっても抽象的な話で済ましてしまう部分がありましたが、テレビで馴染んだ有名人がこの世からウイルスのためにいなくなる、というのはある意味日本の人たちも現実的に状況を捉えるきっかけになっているのではないでしょうか。またCOVID-19とは別のウイルスでも死人が出ているとか。一体いつ終わりが見えるのでしょうか。ため息が出てしまいますね。

訪米中の交通違反(2) 1206

 さて、前回から「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符を切られてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問を考えはじめました。

切符から管轄の警察や裁判所を調べる

 前回、2つの可能性が考えられるということは理解されたと思います。

一つは、警察が事件化しない場合、もう一つは裁判所の通知が郵便事情で届かない場合、ということでした。今回続けて考えていきましょう。

まず、スピード違反などで切符を切られると(アメリカでは、受け取るものは黄色の長細い切符が一般的)、その切符に「何時、どこの裁判所」に出頭するように、という記載があります。

この記載はマニュアル的に記載されますが、事件になると「どこの裁判所」で審理がなされるのか記載があります。また、その切符にはどこの警察が切符を切ったのかも記載があります。これらの情報がヒントになります。

まずは、この警察や裁判所の情報をインターネットで確認して、できれば電話連絡をして事件化されているのか、裁判となっているのかを確かめる必要があります。警察で事件化されていないことが確かめられれば、そこであとは何もすることはありません

一方で、裁判となっている場合には対応が必要になります。

切符を紛失してしまったら

 なお、切符を紛失してしまった、ということもあると思います。その場合には、どこの警察が切符をきったかというのは、なかなかわかりにくいものです。

高速道路であれば、カリフォルニアハイウェイパトロール(CHP)の可能性が高いですが、カリフォルニア州には、シェリフ(保安官)が取締をする場合もありますし、郡や市にも警察が設置されている場合もあります。

したがって、どこの行政かを探すよりは、捕まった場所を管轄する裁判所の交通部門に連絡するのが一番手っ取り早いということになります。

 また、最近では交通事件でもオンラインで事件を探すこともできるシステムを導入している裁判所もあります。

まずは、切符に書いてある情報、捕まった場所をもとに、インターネットで裁判所を検索するのが良いと思います。

 裁判所に電話をするとなかなか取り合ってもらえなかったりすることもあります。また、すべて英語で対応しなければならないので、大変かもしれません。しかし、交通事件になっていれば、情報はありますので、根気よく対応をするしかないと思います。

その裁判所近くの弁護士に委任することも考えられますが、まずは情報を探すだけの作業ですので、自分でできる限りのことはするべきだと思います。

Warrant(勾引状)が出ていたら

 かりに情報がもらえて、罰金を払えば良いという状況であれば、すぐに罰金を納付すれば事件は終了します。最近ではクレジットカードでも支払いができる場合もあるので、すぐに対応してしまえばよかろうと思います。

裁判所からの情報で、Warrantが出ています、と言われた場合、少々ややこしくなります。Warrantというのは、裁判所に出廷しなかったために勾引するための令状です。勾引状というものです

地方の交通事件に関するWarrantは、今までは移民行政と絡むことはありませんでしたが、同時多発テロ事件以降、様々な勾引状の情報も移民行政と共有されているという現実もあります。

小さな事件でも対応していないとアメリカに入国するときになんらかのトラブルになるのは本意ではないでしょうから、できればこの勾引状問題は解決しておきたいところです。

 次回もう一度今回の質問を考えていきたいと思います。主に勾引状について考えていきましょう。

なんだか、生活が変わってきてしまいましたが、健康を第一にまた一週間がんばっていきましょうね。


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訪米中の交通違反(1) _1205 

法律ノート 第1205回 弁護士 鈴木淳司
Mar. 22, 2020

 カリフォルニア州は、アメリカで最初に州全体に外出禁止令を出しました。クライアントの方々も困惑されている方が多く、多くの質問を受けています。弁護士は、対応する必要がある事例がある場合には、例外として事務所などに行くことは許されるそうです。裁判所も、行政関係も閉鎖されるところが多く、様々な影響が出ています。ワクチンができれば一段落するのでしょうが、それまではとにかく感染者を抑えることしかできませんね。皆さんは自宅で何をされているのでしょうか。

訪米中の交通違反(1) _1205 

 さて、今回から新しくいただいている質問を考えて行きたいと思います。

 いただいている質問をまとめると、「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」というものです。

連絡が来ない二つの理由

 外国に旅行することは楽しいですし、私も大好きですが、知らないところに行けばもちろんリスクも存在するわけです。今回の質問のように、警察が絡むと旅の楽しさが半減してしまうこともあるでしょう。盗難にあったりすることもあります。まあ、身体に危害が加わるような事態でなく「無事」であれば、何よりです。今回の方も無事にご自宅に戻った様子で良かったです。

 さて、今回の質問に関しての事後処理を考えていきましょう。まず、まったく連絡が来ない現状をどう見るかですが、考え方は2つあります。

一つは警察が事件化しない場合です。もう一つは、出頭命令書が出されてはいるが、うまく質問者の方に届いていない場合が考えられます。

警察が事件化しない場合

 まず、前者ですが、警察も事件化するかどうかを決めることができます。事件にならないと思えば、警察内で処分をしないという判断ができます。

 この処分をしないという判断には色々な理由が考えられます。上司が処分しないという判断をする場合もありますし、実際にスピード違反の検挙に使われたスピードガンが正確に作動していなかったという場合もありますし、書類が紛失した、などという場合もあるでしょう。

 理由はともあれ、警察内で処分をしないという判断になっているとすれば、出頭命令書はそもそも裁判所から来ないわけです。

  

出頭命令書が届いていない場合

 もう一つの場合ですが、通常交通違反はInfraction(微罪)といって、刑事裁判所の中でも交通部門(Traffic Division)が対応します。警察から事件が検察に送られて、起訴されますが、Infractionの司法手続は、法律で簡易な手続が決められていて、反則金さえ納めれば解決することができます。日本でいう青切符ですね。

 今回の質問にある事例も反則金さえ払えば終了できる事例だと思います。

 たぶん、質問に記載はありませんでしたが、今回の質問者は、国際免許証で運転していたと思われます。カリフォルニア州発行の運転免許証であれば、減点の対象になりますが、国際免許証であれば、カリフォルニア州の行政機関は減点することができません。ですので、基本的に反則金を支払い、事件を終了することができます。

 また、Infractionは、ほとんどの法律では前科にはなりません

 前科となるのは、重罪(Felony)と軽罪(Misdemeanor)であって、たとえば移民行政に関する申請においては、Infractionは原則申告をしなくても良いと考えられています。反則金の納付通知がくれば、その通知に基づいて支払いをすれば裁判所に出頭する必要はありません。

 この納付通知が来ないというのは、往々にしてありえることです。郵便事情です。

 特に外国に通知を出すということになると、紛失する恐れがあり、私も何度もこのような問題について耳にしたことがあります。問題は知らされないとどのように対応してよいのかわからないことが一つ。そして、裁判所も通知を出したものの反則金が支払われない、そして出頭もない、ということになると、裁判所の命令に反したということで、勾引状がだされることになります。

 この裁判所からの勾引状は、いわゆる逮捕状と同じような役割を負っていて、場合によってはアメリカに入国する際に留置される可能性もあります。

 このように、納付通知が来ない場合には大きく分けて2つの可能性がありますが、今回の質問にあるようにどのように対応していくのが良いのか、次回考えていきましょう。

 現在、ウイルスで異常事態が続いていますが、皆さんくれぐれも安全に気を払ってまた一週間がんばっていきましょうね。


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父が認知症に。アメリカの後見制度(4)_1204

法律ノート 第1204回 弁護士 鈴木淳司
Mar 15, 2020

 裁判所や刑務所から通知が来て、来所制限がされて、弁護活動や司法全体にもかなりウイルス問題が影響しています。たしかに、たとえば刑務所でウイルスが流行ってしまうと、内部にいる受刑者等はサニタイザーなど持っていないし、瞬く間に蔓延し、治療も十分に受けられない可能性がありますよね。

 一般的に医療保険に十分に入っていない人たちが多くいるアメリカは、罹患すると全体的な致死率が高くなるのではないかと懸念しています。皆さんの生活にも影響がでてくるのでしょうか。心身ともに注意して乗り切っていきたいところです。

父が認知症に。アメリカの後見制度(4)_1204

 さて、今回最終回にしたいと思いますが、前回まで考えてきた質問を今回も続けて考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「父母と私(質問者は一人っ子の娘さん)はアメリカに長年在住している家族です。私はこちらで結婚し、家を出て子供を育てています。一昨年母が他界してから、父が物忘れもひどくなり、いわゆる認知症の状況になってきました。そこで、私の家族は父と一緒に住むことにしようと話し合っています。父の面倒をこれから見るのに、後見制度を利用したいと思っているのですが、どのように進めたら良いのか、全体像を教えてください。」という質問を考えていきましょう。

専門家に任せて後見人の責務を軽減

 前回、後見人になるとかなり継続的な負担が出てくるということをお話しました。後見人というのは、いろいろな理由で一人で生活し、判断をすることが困難な人を支える仕事をするわけです。そうすると、かなりの負担になるということはお話しました。ただ、すべてやることを背負い込む必要はなく、いろいろな専門家に任せることもできます。最終的に監督をするのが後見人ではありますが、工夫をすることによって、毎日の責務を軽減することが可能になってきます。

 まず、医療の面、デイケアなどは、医療や介護の専門家に任せることになると思います。医療などの高度な専門的な分野に関してすべてを後見人が対応することは無理ですよね。また、法律関係についても、弁護士に委任することも一般的です。法律的に難しい内容の書類をすべて理解して、咀嚼しながら進めることはなかなか大変なことであります。法律の分野も専門家に頼むことが一般的です。

 また、在宅で生活をされている被後見者であれば、その日々の面倒をみるケアテイカーも必要になってくると思いますし、このようなケアテイカーをつけることも一般的です。また、このようなケアを行うことを業とする業者も存在します。

財産面は、後見人が監督しなければならない

 問題は、財産面の管理です。この管理は必ず後見人が最終的に監督しなければなりません。ですので、どのような銀行口座や投資を持っているのか、そして、不動産や道産にはどのようなものがあるのか、リストをつくって、裁判所の監督のもと、管理をしていかなければならないのです。後見人になると、継続的に経費を支払ったり、入金を管理したり、税金を払ったりしなければなりません。かなり負担になる可能性があるので、専門の会計士などに委任をして、代行してもらうことも一般に行われています。

 このように、誰かの財産を管理し、その人の健康や生活を管理するといっても、すべて自分でやるということではなく、色々な人の助けを得ながら進めるというのが現実的です。しかし、このように専門家ばかりに頼るとコストもかなりかかってきます。被後見人の財産の全体から、被後見人の生活が守られ、そして残ったお金がちゃんと被後見人の一生のために使われるようにプランニングしていく必要があるのです。

裁判所が代替えの後見人を指定することも

 また、後見人は絶対にやめられないものではなく、後見人自身の健康が良くなかったりする場合などは、裁判所が代替えの後見人を指定することもあります。ですので、一生背負い込むといっても、被後見人の利益に沿った形で、後見人指定が変更されることも十分にありえるのですね。ただ、家族で後見人になる人がいない場合もあります。その場合には、裁判所は銀行や弁護士などを指定する場合もありますが、これはやはりバックアップの状況であります。できれば、家族に支えてもらうことが良いのですから、裁判所もその方向でまずは代替えの後見人を探すことになると思います。

 以上で、概ね後見人制度を考えてきましたが、追加の質問があればいつでも法律ノートに質問をしていただければと思います。天気も春になってきて、雨と晴れが入り交じる季節です。とにかく、健康には注意して、また一週間がんばっていきましょうね。


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父が認知症に。アメリカの後見制度(2)_1202

法律ノート 第1202回 弁護士 鈴木淳司
Mar 2, 2020

 日本の政府による学校一斉休校という呼びかけがなされましたが、メディアは叩いています。不都合が色々出るでしょうが、ウイルスの拡散を防ぐための策ですからポジティブに考えたほうが良いように思います。不都合が生じるなら、なんとかみんなでポジティブに乗り切ってウイルスと戦ったら良いと思います。そして、かりにこのような休校の決断がされずに、ウイルスが拡散されてもまたメディアに叩かれることになります。なんで日本における論調はこうやってネガティブな面ばかりにフォーカスするのか意味がよくわかりません。皆さんも気をつけて生活をされてください。

父が認知症に。アメリカの後見制度(2)_1202

 前回に続いて皆さんからの質問について考えていきましょう。
いただいている質問は、「父母と私(質問者は一人っ子の娘さん)はアメリカに長年在住している家族です。私はこちらで結婚し、家を出て子供を育てています。一昨年母が他界してから、父が物忘れもひどくなり、いわゆる認知症の状況になってきました。そこで、私の家族は父と一緒に住むことにしようと話し合っています。父の面倒をこれから見るのに、後見制度を利用したいと思っているのですが、どのように進めたら良いのか、全体像を教えてください。」というものです。

カリフォルニア州の例

 後見人制度を利用するには、アメリカでは各州の裁判所の管轄になるということは前回考えました。カリフォルニア州の例ですが、他の州もほぼ似たり寄ったりだと思いますので、カリフォルニア州において、どのように後見人(Conservator)制度が機能しているのか考えていきましょう。

 繰り返しになるかもしれませんが、判断能力に問題がある人がいるとして、その家族が自動的に後見人になるわけではありませんし、家族も自分を勝手に後見人だと言うことはできません。

 後見人というのは、自分で判断能力に問題がある人の世話をする人という役割を負います。そして、判断能力があるかないか、誰が後見人になるのか、ということは裁判所が判断することとなります。

医師の診断後、裁判所に申し立て

 まず、判断能力に心配な人がいるとして、いきなり裁判所に後見指定を申請するケースはまずありません。法律家ではなく医師がまず、その人の能力について診断を行うことになります。医療従事者から、後見指定をすることが良いのではないかといったサジェスチョンがでてくると思います。医療機関によっては、後見指定に関する手助けをしてくれるところもあるようです。

 そして、後見が必要な申請書を調えて、裁判所に申し立てを行います。申立を受けて裁判所は後見指定の審判をする日程を設定します。この後見指定の審判は裁判所の混み具合にもよりますが、数週間から数ヶ月かかると思います。

 この申請書には、誰が後見人になるのか、つまり金銭面健康面等を誰が面倒みるのか、人の選択を記載します。通常は、配偶者、親、子、など同居の親族がふさわしいとされています。それ以外にも場合によっては弁護士などの第三者が記載されることもあります。

審判前に、後見人の仕事や責任について確認を

 後見人になろうとしている人は、法律で指定されていたり、裁判所で指定されているビデオや本などを審判の前に確認し、その確認をしたということを審判において言わなければなりません。どのような内容の確認かというと、後見人とはどのような仕事をするのか、どのように行うのか、どのような責任があるのか、などを習うのです。

 もちろん時々によって法律も改正されるので、内容にも変化は出てきますが、実際問題として、20年前とさほどかわらない内容なので、もし、後見制度に興味があれば、動画配信サイトなどで検索して見てみるとよいかもしれません。

 そして、簡単な後見人指定の申請が受理されると、実際に裁判所にいって審判を受けることになります。その場合には、後見に付される人、後見人に指定される人、家族などの出席が必要になります。後見人の指定は裁判所で行われますが、場合によっては後見に付される人が出廷できない場合もあります。このような場合、ビデオなどでの出廷も考えられます。とにかく、裁判所の手続きを経なければ後見人とはなれないということは理解しておいてください。

 次回、実際に審判がどのようになされるのか、考えていきたいと思います。桜が咲き出す季節ですね。ウイルスなどで緊張している時期ではありますが、花を楽しみにしながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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父が認知症に。アメリカの後見制度(1)_1201

法律ノート 第1201回 弁護士 鈴木淳司
Feb 24, 2020

 先日空港にいたのですが、かなりの人がマスクをしていました。マスクで商売している人もいるというニュースを見ましたが、人種、国籍問わずマスク姿をしていてかなり衝撃的でした。SARSよりも感染が広がっているように思います。季節が暖かくなると落ち着くという学者もいますが、楽観視できない状況ですね。アメリカも日本への渡航自粛レベルを上げていますが、このままだと、日本人のアメリカ入国にも確実に影響するように思えます。皆さんも健康にはくれぐれも配慮してください。

父が認知症に。アメリカの後見制度(1)_1201

 さて、今回から皆さんからいただいている新たな質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
 いただいている質問は、「父母と私(質問者は一人っ子の娘さん)はアメリカに長年在住している家族です。私はこちらで結婚し、家を出て子供を育てています。一昨年母が他界してから、父が物忘れもひどくなり、いわゆる認知症の状況になってきました。そこで、私の家族は父と一緒に住むことにしようと話し合っています。父の面倒をこれから見るのに、後見制度を利用したいと思っているのですが、どのように進めたら良いのか、全体像を教えてください。」というものです。

コンサーバターシップ-アメリカの後見人制度

 日本でも後見人制度と言われる制度があるように、アメリカでも、コンサーバターシップ(Conservatorship)という制度があります。

 今回の質問において、少なくとも質問者のお父様と他界されたお母様は日本国籍の永住者ということがわかっています。日本人であろうとも、アメリカに居住し生活を送っているのであれば、アメリカにおいてコンサーバターシップ(以下、日本語で後見制度と言うことにしましょう)の対象になります。
以下、全体像を考えていきましょう。

申立ては管轄する裁判所に

 まず、後見制度は州の裁判所が管轄している制度です。
 ですので、州にまたがった事例の場合、後見が必要な人(被後見人)が居住している場所を管轄する州の裁判所に申し立てをする必要があります。

 今回質問されている方のお父様はカリフォルニア州にお住まいということですから、カリフォルニア州の裁判所に申し立てをすることになりますね。

 さて、後見制度というのは、法律で全体が規定されています。勝手に、たとえば子供が親の面倒を見るから後見人になるということはできません。必ず裁判所を通して裁判所のお墨付きをもらっておかなければならないようになっています。これは当たり前で、子供であろうが、親の財産を自由にできてしまうと親の意思に反した財産の処分が行われてしまう可能性があるからです。

 後見制度は生活に密着した制度であり、できるだけ一般の方にもアクセスしやすいように、裁判所は情報を提供しています。
 たとえば、サンフランシスコの裁判所でもウェブサイトをで様々な質問に答えていたり、様々なフォームを用意しています(https://www.sfsuperiorcourt.org/divisions/probate/conservatorships-of-adults
)。

後見人の義務は多岐にわたる

 ただ、手続きは裁判所を通して行われるわけで、なかなか経験のない家族がすべてをこなすのは難しいかもしれません。そのときは、後見制度の専門家に相談したほうが、ひいては家族のためかもしれません。

 また、裁判所から後見人に指定されてしまうと、いろいろな義務が発生します。その義務の対価として、ある程度金銭的に保障されるのですが、疑問が生じたときに、誰か相談できる人を置いておくのは賢明かもしれません。今回相談されている方も、実際に自分が後見人になった場合には、どのようなことをしなければいけないのか、など不安もたくさんある様子でした。もっともだと思います。

 後見人になると、金銭的な管理もしなければいけませんし、生活をどうしていくかなど自分だけではなく他人のことも考えていかなければならないのです。ある程度の覚悟と時間が必要になります。

 そして、後見人になると、一時的な役割ではなく、継続的な責任が発生していくということになります。

 いわゆる日本では善管注意義務と言われていますが、善良な管理者として注意を常にしていかなければなりません。また、ちゃんと注意をしていることを定期的に裁判所に報告する義務も発生してきます。

 このようにみると気軽に後見人になるものではなく、やはり親しい家族が一般的には適当であると考えられているのですね。

 次回、実際にどのように後見人制度が動いていくのかを考えていきたいと思います。プラムの花が綺麗に咲く時期になってきました。太陽を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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