じんけんニュース 05-25-2025 弁護士 鈴木淳司
今回も、じんけんニュースにおいては、直近の移民行政関連のトピックをいくつか取り上げていきたいと思います。
移民行政は大統領令だけでなく、実務でも目まぐるしく現政権の意向が反映されつつあります。
1. 2026年度のH-1Bビザ申請の注意点
2026年度分の申請は既に終了しているが…
2026年度のH-1Bビザ申請は、2025年3月7日~24日に電子登録が行われ、3月27日から選定結果が発表されました。
3月31日には、USCISがこの登録受付を停止し、選定プロセスが完了したことが発表されました。
申請書(Petition)提出は、選定された登録者向けに2025年4月1日~6月30日に受け付けられます。
選定された登録者のみが申請書を提出できます。
この選定結果を受け取っていない場合には、申請をすることがそもそもできません。
「Not Selected」の通知は、すべての人達にまだ送られていないようです。
追加選定の可能性はまだ残っている
移民局は必要に応じて追加選定を行う可能性があるので、当選されなかったとしても、最新情報を確認し続けることが重要です。
次に、現在かなり些細なことでも申請書が弾かれるという例が激増しています。
アメリカ移民法協会にもかなりの情報が出回っていますが、ここで、Hビザ申請時の重要ポイントを考えておきます。
Hビザ申請時の重要ポイント
(1) まず提出は早めに行ってください。
配送遅延や不備による却下を避けるため、提出期間の早い段階で申請してください。
(2) 情報の一致が重要視されます。
登録情報と請願書の内容(受益者や雇用主のパスポート、住所など)はすべて一致させる必要があります。
変更があった場合は、その理由を説明する書類を必ず、添付してください。
(3) 後述しますが、最近の事例で、申請書に記載されている署名が問題視されることが頻発しています。
必ず電子的な署名や、貼り付けの署名ではなく、実際にペンで署名をする(ウェットサイン)ようにしてください。
ウェットサインのコピーは引き続き受け入れられますが、原本は保管してください。
(4) 適切な申請費用の支払いも重要です。
2024年4月1日以降、FormI-129の基本費用は$780(雇用主によっては$460)です。
その他、不正防止費用、亡命プログラム補助費用、研修補助費用などがかかります。
各費用は別々の小切手またはクレジットカードで支払う必要がありますので、提出前には変更がないのか、必ず確認してください。
(5) 正しい提出先の確認も重要です。
移民局のウェブサイトで、提出前にかならずプレミアムプロセシングの有無に応じた正確なロックボックス住所を確認してください。
(6) 雇用開始日については、必ず2025年10月1日以降で指定しなければならず、申請書受領日から6ヶ月以内である必要があります。
(7) 認証済みLCAの情報(職務タイトル、勤務地、賃金)はH-1B請願書と一致している必要があります。
(8) 学位についてですが、申請書提出時点で学位を取得しているか、すべての学位要件を完了している必要があります。
また、複数申請がなされた場合ですが、受益者である外国人からのアプローチにより、複数の雇用主が申請することは可能です。
しかし、場合によっては、不当に複数を申請をしていると裁量によりみなされてしまうと、すべての申請が却下または取り消されるリスクがありますので注意が必要です。
2. 非常に細かい書面審査の注意点
申請書がたびたび更新、有効期限に注意
最近Eビザの申請書である、FormDS-156Eを含み、申請書が毎月のように更新されています。
移民に関連する全てのFormにはページ右上に「Expiration Date」、左下に「Edition Date」が記載されます。
通常「Edition Date」を基に最新版であることを確認するのが良いのですが、最近になって、フォームのExpiration Dateを移民局が目をつけています。
毎月のようにフォームが最新のものになり(違いがない場合もある)、その新しいフォームを使わないと申請を受け付けないといったことをはじめています。
申請するときの申請フォームそのものに注意する必要がかなりでてきました。
移民法を扱う法律事務所でもかなりの問題がでているということがアメリカ移民法協会から指摘されています。
どういう意図が裏にあるのかはわかりませんが、様々な影響がでています。
署名はウェットサインで
次に上記1でも述べましたが、アメリカ移民法協会が申請書に記載されている署名について、注意喚起をしています。
今までは、コロナ禍もあり、申請書に電子的な署名をすることでも許されていましたが、最近になって、この法律を一方的に変更するような運用がなされるようになってきました。
今後は署名については、ウェットサインをすることを忘れないようにしないと、些細な署名の不一致などで申請を却下される事例もでてきています。
今後は、手数がかかったとしても、必ず申請書にペンでサインをすることを基礎にしておかないと、この運用に煽られてしまいます。
これらは、細かい運用変更ですが、申請そのものに影響するので、注意が必要です。
3. 最近の移民局による逮捕の例
現政権は、ハーバード大学の留学生に関して強い制限を打ち出しています。
これはニュースでもご覧になっていると思います。
裁判所は、この行政行為を差止めていますが、どこまでエスカレートするのかは、先行きは不明です。
また、最近ではアメリカ移民法協会に集まった実務ニュースを見ていると、移民局が裁判所にあらわれて、そこに出廷してきた外国人を続々と逮捕しているというニュースが出ています。
この逮捕についてはアメリカ全土でおこなわれています。
さらに、移民局に、移民手続きで現れた人たちを逮捕するという例も多くみられています。
移民局が自ら捜査をしなくても、移民局に現れた外国人、とくに不法入国した人や道徳違背の犯罪歴がある人たちに対して、事前の告知なく逮捕し、強制送還をしています。
このような捜査手法が行われると、外国人の移民裁判所への出廷や、移民局の出頭などが抑制されてしまうと、ネガティブに捉えられていますが、実際問題として、すぐに強制送還手続きをされてしまうと、いくら司法がいったんアメリカに戻して審理をするといっても、行政府は従わないので、送還された状況が事実上継続している事態になっています。
私の所属する事務所でも、犯罪歴(道徳違背に該当する可能性がある)がある場合、今、市民権申請をするのは大丈夫か、という永住権保持者の方々の相談があります。
毎日移民法協会のニュースを見ていると、申請の面接の場で逮捕される可能性があり、絶対に「大丈夫」とは言えない、というアドバイスをしています。
どうしても申請が必要というのでなければ、まだしばらく様子をみるのがよいかもしれません。
今、無理に申請をすることでやぶ蛇になるのは不利益が生じる可能性があるからです。
今回は、この程度にしておきますが、またじんけんニュースでは取り上げていかなければならないトピックではあります。
それではまた次回お会いしましょう。
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