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jinkencom について Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。

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刑事事件を忘れないわけ-ジョージ=フロイド氏の事件から

法律ノート 第1215回 弁護士 鈴木淳司

刑事事件を忘れないわけ_1215
June 1, 2020

 今回は、皆さんからの質問にお答えするのを一回休ませていただき、アメリカで起こっているジョージフロイド殺人事件(あえて、殺人と言います。すでに逮捕されていますし。)について、私の考えを述べさせてください。
スマートフォンが普及して良かったな、と思うことはこのような事件が動画で残り、うやむやにされない世の中になったことです。
交通事故でも、様々なDV事件などでも最近では相談に乗ると、一瞬のことが記録されていたりして、事件解決について客観的評価が正確にできるようになってきたのではないでしょうか。

 みなさんも今回このような自宅待機命令(日本では解除されたようですが)のなかで、色々フラストレーションも溜まっているとは思います。
 しかし、そのフラストレーションを他人にぶつけるのはまったく筋違いであって、それは自分の弱さですよね。私が、ジョージフロイド事件を通じて感じたのは人の弱さです。暴動を起こす人たちは「人種差別だ」、ということを声高に主張します。
そのような一面も否定できないと思います。
たしかに、偽20ドルを使った容疑だけで、黒人が白人の警察官に不合理な抑えつけ方をされて死亡しているわけですから。
 一方で、今回の警察官の行動、それに追随する暴動などをみると、色々な自分のフラストレーションを周りに撒き散らしているだけのように見えてしまいます。

 今回の事件現場において黒人男性の首を白人警官が膝で押さえつけている図がありますが、私が違和感を覚えるのは白人警察官が自分の手をポケットに突っ込んでいるところです。
 もちろん、逮捕される人が暴れたり、危害を加えたりするという危険性があり、警察官はいつでも危険と隣り合わせだということはわかります。そして、警察官も自分の命を守りながら働くことは当たり前であります。

 しかし、今回の事件では、殺人容疑(それも、計画性のある第一級殺人ではなく、第三級というレベルとしてはかなり低い容疑)で逮捕された警察官は、逮捕行為を行っているときに、真剣に逮捕と向き合っているというよりは、笑いながらポケットに手を突っ込んでいました。
このような警察官の態度は真摯に職務として逮捕しているとは到底見えません。殺人の嫌疑で逮捕されても仕方がない行動だと思いました。
 もちろん、裁判で有罪が認定されるまでは推定無罪ではあります。

 このような警察官の行動というのは、なかなか日の目を見ない実際があります。私も、今までの経験であまりにもひどい捜査がなされたケースを実際に体験しています。
警察官が事件捜査の嫌がらせで容疑者の子供の学校にまで聞き込みをするなど、ひどい事例もあった記憶が蘇りました。
 権力というのは濫用されるととても深刻な人権侵害を生み出します。私は弁護士になった当初から、いつも権力の行使に対しては懐疑的であるべきだと思っています。そして、決して「長いものには巻かれろ」だけの弁護活動はしたくはないな、と思っていました。

 そして、このような事件が起きると、やはり権力に対峙するためには、間接的にはジャーナリスト、そして直接的には弁護士が担っているのだ、ということを実感します。

 みなさんは、違法収集証拠排除法則というのをご存知でしょうか?
 警察官などの権力を行使する側が違法な方法によって証拠を収集した場合、その証拠は裁判では使えないという法則です。
そもそも、違法に収集したとしても証拠は証拠だろう、と思えますが、アメリカにおいてデュープロセス(適正的続)の精神はかなり強く、違法なことをした権力側にブレーキをかけることが趣旨なのです。裏を返せば、それだけ違法な捜査というのも多いからこのような法則が必要になってくるわけです。

 私は若いときから、刑事事件をできるだけ担当して、生の訴訟、捜査機関、検察などと渡り合ってきました。多くの捜査機関の人たちや検察官はフェアな人も多く、人間的にも尊敬できます。
 ただ、そのなかには、どうしようもない人間が紛れているのは、社会の定めなのでしょうか。もちろん弁護士だってどうしようもない人間がいますけどね。

 今回のような事件を見ると、やはり弁護士としてやはり刑事事件には携わって、感性を研ぎ澄ませておかなければならないな、と自分を戒めました。
 事件は現場で起きているので、ものぐさにならずに謙虚に刑事司法にも関わっていくのが弁護士としてのやりがいにつながるのではないかと感じています。私は暴動では何か解決することはないですが、アメリカの権力構造において、米粒でも良いから、問題を提起できる弁護士でいたいと思いました。


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輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(2)_1211

法律ノート 第1211回 弁護士 鈴木淳司
May 4, 2020
 

 コロナ問題はあるのですが、事件は待ってくれません。この数日を利用して拘置所に顔を出してきました。街はどこにいってもガラガラ。もちろん飲食店も開いていません。久しぶりにクライアントと面談がかなったのですが、弁護士であってもコロナのせいで、ビデオストリーミングで面談ということになってしまいました。せっかく拘置所に行っているのに、ビデオはないかな、と思ったのですが、拘置所側も色々な考えがあるのでしょうね。しかし、近くに受付の人も座っているし、ビデオも録画されているんじゃないか、と結局事件のことはあまり深く話せませんでした。現状で5月末まで自宅待機命令が延長されましたが、はやく現状が沈静化することを祈っております。みなさんは5月になっていかがお過ごしですか。

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(2)_1211

 さて、前回から考え始めた質問を今回も考えていきましょう。「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書を確認

 前回、まずはこういったケースの場合、契約書の記載を確認しなければならないことを考えました。

 契約書は、最近は紙だけではなく、オンラインで「同意」している場合もあります。
 ですので、紙がなくても、契約は成立している(少なくともカリフォルニア州法では)可能性も高いので注意が必要です。

 契約書で「どこの法律で」「どの機関の裁定」を受けるのかアメリカでは契約書に記載しておくのが普通です。日本の契約書でも、最近では、似たりよったりの条項が一般条項に記載されていますね。

一般条項(General Provisions)を探す

 今回の質問にお答えするについても、まずは契約書の条項を確認しなければなりません。

 アメリカの企業と取引をされているということで、一般条項(General Provisions)をチェックする必要があるのですね。

 今回の質問には、契約書についての言及がなかったのですが、一般的な例を使って考えます。
 通常、たとえば私が扱う契約書では、「この契約は米国カリフォルニア州法に基づいて解釈される」、「紛争が発生したときには、○○郡を管轄するカリフォルニア州裁判所を第一審裁判所とする」などと記載されています。

 裁判を避けることを契約書に盛り込むことは可能で、「仲裁判断は、カリフォルニア州の○○郡で行われる」といった記載がされることも少なくありません。

 このような契約条項を見つけた場合には、アメリカの特定の州、そして、特定の郡で紛争を解決することになりますし、その紛争解決には、規定されている法律が適用されることになります。

 ですので、基本的に相手方の雛形を使われている場合には、適用される法律は、アメリカの州法、そして裁判所もアメリカになりそうです。

 しかし、海千山千の弁護士であれば、契約書に記載があっても何らかの手立てを思いつく可能性があります。一応の基準として考えておけば良いと思いますが、私は絶対とは思っていません。

契約書に紛争解決場所の指定がない場合

 契約書に規定がない場合には、かなりややこしいことになります。
 ただ、詳しい法律的なことには突っ込まないで考えると、問題が発生している場所、悪いことをしている人がいる場所、特に契約の内容で重要と思われる場所などが紛争の解決にふさわしい地ということになります。法律用語では、密接関連などという言い方をしますが、ピンときませんね。

 また、法律はどこの法律が適用されるか、ということになると難しい問題を生じます。
 ただ、今回の質問のように、国際取引の話であれば、基本的にはどこの土地で裁かれてもあまり結果は変わらないかもしれません。

 ただ、判決が出た後にお金を取る段階で色々苦労があるかもしれません。そして、契約ではなく、いわゆる不法行為(Torts)という事故など、誰かの過失があるケースでは、事故の発生地で裁判ができるというのが一般的です。

 ここまでが、法律的に考えて教科書的な「建前」の考え方であります。あまり実務のノウハウを晒したくないですが、次回実務家がどのように対応するのか、もう少し考えていきたいと思います。

 また、一週間感染に気をつけながら、身体と心を保ちがんばっていきましょうね。


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19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?_1214

法律ノート 第1214回 弁護士 鈴木淳司
May 26, 2020

 メモリアル・デーの三連休ですが、なんだかいつもと違って、「三連休」の意味があるのだかないのだか判らないような週末でした。シェルターインということで、未だに自宅待機の日々が続いていますが、このまま永続的に自宅で仕事をすることを許すIT企業もかなりでてきているようですね。法廷などに付き合わなければいけない弁護士としては少々難しいところですが、今回のウイルス騒動で、はて、オフィスは必要なのかと思わされる一面もありますね。皆さんのお仕事はどのような状況なのでしょうか。

19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?_1214

 さて、前回考えてきた「昨年カリフォルニア州の高校を卒業した娘(19歳)のことについてご意見を伺えると幸いです。高校のときから付き合っている同級生の男性と高校を卒業するあたりから同棲をはじめ、大学進学もせずに1年以上フラフラしています。親への連絡も怠りがちな状態です。この同級生の男性は21歳以下にもかかわらず酒浸りで、さらに最近になり、麻薬で逮捕されたということで、どうしても娘を私どもの家にいったん連れ戻したいのですが、何か法的な方法はないものでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。

18歳で名実ともに成人

 基本的に18歳に達してしまうと、いくつか例外はありますが親のコントロールから確実に離れてしまうという状況となります。18歳になれば投票もできるわけですし、もう大人として考えられているのですね。飲酒や合法な薬物についても21歳の壁をつくっていますが、18歳で成人とみなされるアメリカでは、いかにセルフコントロールができるのか、という試金石になっているのであって、やはり大人として扱われるのは基本的に18歳ということになります。

 今回の質問についても、前回考えたようにやはり基本的には18歳で成人ですので娘さんが自分の意思に基づいて、自分の今の生活や将来をどうしたいのか考えるのは、本人の自由ということになりそうです。
 18歳までに色々教えてあげるのが親の役目であって、それまでに培ってきたものしか親がしてあげられた、と言えることはないわけです。

 そうすると、今回の質問にあるような事例では、本人が良かれと思ってやっていることについて、法的に親が何か言うことはできないわけですね。

法律論から外れて

 ただ、18歳といっても親のお金を使っているのであれば、それについてのコントロールは親ができるわけですから、法律論ではなく、一家の経済論として、何かタガになる可能性はあり得ます。ただし、それは法律の話ではないわけです。
 法律によって、今回の質問にあるような場合には、娘さんの現在居住する郡を統括する薬物関係の公的なカウンセリング、警察などに相談することが考えられます。また、ソーシャルワーカーなどの対応を要請することも考えられます。

 法律論がかかわってくるのは、警察が出てくるときです。
 時によっては逮捕されたりすることもるでしょう。

 しかし、警察に通常逮捕されるというのはある意味大人として認められていることになります。私は今回の質問のような事例があった場合、警察の世話に一度なってみるのも「あり」なのではないかと思っています。薬物を頒布販売しておらず、所持だけであればかなり罪は軽く、刑というよりはどちらかというと教育を主眼にしていることが大多数だと思います。ある意味社会の厳しさに触れるのも一つの教育かもしれません。

社会人としての意識

 ただ、男性との同棲関係をすぐに解消することは、本人の意思次第ということになり、親は何も言えません。犯罪者を愛することもあるでしょう。

 親の期待にそぐわないのかもしれませんが、18歳になってしまうと、子供がいくら自分の手の中にあると思っていても、コントロールが効かなくなってしまうのですね。子供の教育というのは、18歳までであると割り切らないといけないのかもしれませんし、子供の教育に失敗したと思っても、親離れ子離れが現実に18歳で起きるわけですから、もう子供ではなく一人の社会人として判断していかなくてはならないと思います。

 次回あたらしくいただいている質問を考えていきましょう。春が終わって初夏の気候のカリフォルニアですが、なんだかまだ切ない状況にあります。人と会えないのは寂しいですが、その人を感染させては失礼だという気持ちをもちながらまた一週間がんばっていきましょう。



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19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?(1)_1213

法律ノート 第1213回 弁護士 鈴木淳司
May 19, 2020

 週末に時間を見つけて木でできたデッキの床板を交換したり修復していたのですが、釘を打ち付けているところから木の痛みがでていることに気づきました。業界の人であれば「当たり前」なのかもしれませんが、なかなかじっくり見てみないと知り得ないことではあります。思ったのですが、湿気の問題もあるのでしょうが、伝統的に日本では釘を使わない工法が盛んに使われていました。宮大工さんの工法をみると芸術的だなと平面的に見ていましたが、実は釘を使わないことで建築物を長期保たせるための知恵という部分があるのかな、と思いました。日本の文化は奥深いですね。

19歳の娘は交際相手に問題あり。連れ戻せるか?(1)_1213

 さて今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。いただいている質問をまとめると「昨年カリフォルニア州の高校を卒業した娘(19歳)のことについてご意見を伺えると幸いです。高校のときから付き合っている同級生の男性と高校を卒業するあたりから同棲をはじめ、大学進学もせずに1年以上フラフラしています。親への連絡も怠りがちな状態です。この同級生の男性は21歳以下にもかかわらず酒浸りで、さらに最近になり、麻薬で逮捕されたということで、どうしても娘を私どもの家にいったん連れ戻したいのですが、何か法的な方法はないものでしょうか」というものです。

 たしか、以前法律ノート宛に類似の質問をいただきお答えしたと思いますが、もう一度ここで考えていきましょう。

親の監護権

 親の監護権が19歳の子に及ぶかということですね。

 アメリカ合衆国では未成年と成年の切り分けを18歳で行っています。どの州でも均一に18歳というのが成人という形で規定されています。これが原則となります。

 ところが、特別法があって、たとえば飲酒については21歳と引き上げて策定されています。    
 今回質問されている方も、飲酒については21歳なので、どうも飲酒をしているから親が何か言えないか、ということも書かれていますね。

 しかし、この飲酒についての21歳というのは政策的に引き上げられているので、自分のことについて自己決定権を行使できるのは、基本的に18歳(カリフォルニア州家族法6500条)からということになっています。例外的に日本の民法でいう成年擬制(Emancipation)は14歳から認められます(同州法7120条)。

自己決定権と成年擬制

 たとえば、親と離れて住む場合などが想定されています。
 また、婚姻した場合、軍隊に入隊した場合なども成年擬制が適用されます(同州法7002条)

 これらの例外はありますが、18歳になると、大人と同様に自分で法律上の権利を持ち義務を負うのです。

 ですので、たとえば契約も単独で締結できますし、投票の権利もあります。また、同様に政府などに対する義務も個人で発生します。

 18歳未満であれば、親などの監護者(Guardian)の許可を必要とする行為についても、18歳を境に個人で自由に行うことができます。裏から言うと責任も発生するのです。

21歳と飲酒

 飲酒については、アメリカは政策的に21歳までは禁止とされています。

 もともと禁酒法のあった国ですから、伝統的に酒に対しては厳しいところがあることや、車社会であることも今日の法規制に影響していますが、これは合法な酒類および薬物などについてのみ適用されるのであって、今回の質問のようなケースには、たとえ同居男性の酒問題があったとしても、娘さんにすぐに当てはまるということは考えにくいです。

親の立場でできることはないか?

 このように考えると、今回親の立場から、娘さんに対して監護権を行使して、「すぐに実家に帰ってこい」と命令することはできないわけです。もちろん、親として子が心配なのはもっともなことで、踏み込んで実家に帰るように説得することはなんら問題ありませんが、強制力のない「お願いベース」になってしまいます。

 そうすると、娘さんが自分の意思で戻らない限り18歳以上であれば、それ以上親が何かできることはない、ということになってしまいます。

 ただ、このまま放っておくわけにも行かないので、何か手を打たなくてはとやきもきされている気持ちもわかります。ただ、こういうときに弁護士に相談されたとしても、なかなか弁護士としてできる仕事は限られた状況になると思います。ですが、何かないかな、と考えるといくつかの方法論はありそうですので、次回続けて考えていきましょう。

 もう、コロナ自宅待機も解除されつつある方向ですが、油断すると怖いですね。本当に落ち着くまで体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。



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アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

法律ノート 第1212回 弁護士 鈴木淳司
May 11, 2020

 長年知っている親しい40代男性が末期がんであるというニュースが入ってきました。コロナで医療機関にもかなり負担が生じているようですが、このような時期に入院をしたり、治療をするのは誰にとっても容易でないことが想像できます。もうお見舞いにも行けない程度弱っているということも聞き、ショックを受けました。ご家族の気持ちを考えると、このようなパンデミックの異常事態だけでも辛いのに、そのなかでの更に辛い出来事です。心が痛いです。

アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

 「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書に沿って

 簡単な前回の復習をすると、契約書に規定があればその契約書に沿って適用される法律と、裁判をする場所が決まります。そして、契約書に規定がないようなケースでは、お互いの関係に密接に関連する場所が裁判をする場所になり、その場所を管轄する法律が適用されることになりそうですが、ケースバイケースです。

相手のビジネスを観察

 今回のケースのような事例において考えにくいですが、かりに契約書がなかったり、裁判管轄・準拠法の規定がなかった場合には、基本的に取引関係においては、相手方の所在地を基本に考えるのが適しています。

 しかし、そうすると、今回の相談では、わざわざ日本からアメリカに行って提訴しなくてはならなくなります。そこで、なんとか日本で提訴できないか、ということになります。

 まず可能性を探るために、相手のビジネスを知ることが重要です。
 かりに、日本と頻繁にビジネスをしているとか、日本に営業所や営業の人を置いているなど、日本との繋がりがどれだけあるのかが、一つ重要なファクターになります。

中間業者の存在は?

 そして、今回質問にある「中間業者」の行動も確認する必要があります。

 かりに、この中間業者が頻繁に日本に滞在しているなどという情報があると、中間業者に対しての訴訟も日本で考えられるかもしれません。

「送達」が可能か

 裁判をするには、単に訴状を裁判所に提出するだけでは足りません。訴状を訴える相手方に対して「送達」しなければなりません。送達というのは、相手方にどのような訴訟を提起して、何を求めているのか書いてある書類です。この送達というのはかなり訴訟において重要で、日本でもアメリカでも厳格なルールが定められています。訴訟をするのであれば必ず必要な行為です。

 この送達がなされてはじめて訴訟としては実質的なゴングが鳴るという感じです。

 ところが送達については相手方に直接手渡しするのが原則ですから、外国にいる人や会社に対して訴訟をする場合には、かなり翻訳などの手間がかかりますし、政府間で送達の取り決めをしている場合も多くありますので、色々な機関を通さなければならず時間もかかります。

 ですので、相手方の行動をよく確認して、日本に頻繁に滞在している場合には送達が日本国内で可能になることもあります。

管轄違いの申立て

 間違ってはいけないのが、送達があれば裁判は出来ますが、相手方は裁判管轄が不適当であるということで争うことは当然できます。
 この争いでそれなりに時間がかかることもありますので覚悟はしておかなければなりません。うまくいけば裁判管轄が認められることになりますが、負ければアメリカで裁判をしなくてはならなくなりそうです。

手を組む会社はないか

 とにかく、相手方がどの程度日本とビジネスなどのつながりがあるのかを先行して確認しておくことが重要です。また、他に似たような不良品を多く見つけて不満を持っている業者などと情報を共有することも重要です。かりに、一社だけではなく数社一緒になるとそれなりに力にもなると思います。

 今回いただいている質問への一般的な考えは上記の通りですが、何か他にも類似の質問があれば、ぜひ法律ノートに質問をされてください。

 まだまだシャットダウンは続いていますが、心身ともに健康に留意してまた一週間がんばっていきましょうね。


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輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

法律ノート 第1210回 弁護士 鈴木淳司
April 28, 2020

 アメリカではウイルスによる死者が、わかっているだけでもすでに5万人を超えるという、かなり深刻な事態になっていますが、実際は検査も受けずに亡くなっている方もかなりいると思われます。ところが、すでに自宅待機の解除を求める人もデモを行ったり、一部の公共施設を開放したりする州もでてきたりしています。二次的な感染の波が怖いです。解除のデモで感染したらどうするのでしょうか。まだまだトンネルの出口が見えないようにも思えるのですが、人々が「終わり」を希求する気持ちも理解できる状況ですよね。皆さんは、どのようにお過ごしでしょうか。

輸入時の不良品続き。日本で裁判できないか(1)_1210

 さて、今回は皆さんからいただいている新たな質問について考えていきたいと思います。

 いただいている質問をまとめると「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものです。

 今回の質問は法律用語でいうと、「裁判管轄」とか、「準拠法」の問題と言いますが、難しいですよね。法律の勉強をしていないとピンとこないと思います。法律ノートではできるだけ日常使う用語に引きつけて考えていきたいとおもいます。難しかったら指摘してください。角度を変えて考えていければ良いですよね。

まずは契約書を確認

 さて、今回質問されている方ですが、日本でネット販売をするために、アメリカから物を買っているということですので、この日本の会社とアメリカの業者の間には、規模の大小の違いはあれ、売買契約が成り立っていそうです。
そして、その売買契約の内容として、受け取る物に不満があるということなのでしょう。

 この契約がどのように結ばれているのかわかりませんが、通常は契約書を締結します。
 最近では少なくともアメリカでは、ウェブ上で紙を使わずに契約を成立させることができますから、内容をあまり読まずに実際は契約書によって契約が成立している可能性は充分にあります。

 ですので、今回質問されている方も、まず確認しなければならないのは、契約書があるか、ということです。弁護士に相談しても、まず聞かれるのが「契約書はあるか」ということなので、この点は最重要事項として考えてください。以下ですが、契約書がある場合、それから契約書がない場合に分けて考えておきましょう。

紛争解決の方法の条項は?

 まず、契約書がある場合です。
 今回質問されているようなケースでは継続的に売買が繰り返されているので、たぶん契約書は存在すると思われます。

 そして、契約書には通常、紛争になった場合にはどのように解決するのか書かれているものが多いです。

 紛争の解決はいわゆる一般条項(General Provisions)の一部として存在するのが普通です。契約書の最後の方に規定されている一般的な取り決めの部分です。

 ここで、今回の質問に関連して注意してみなければいけない条項がいくつかあります。

 1つ目は、どこの裁判所で紛争を解決するのかという、場所の問題
 2つ目は、どのルールに従って紛争を解決するのか、という紛争解決のために使用する法律
 3つ目は、どのような方法で紛争を解決するのか、という手段の問題があります。

 この3つについて契約書を確認すると、今回の質問に対する答えが明らかになってきます。

どこで裁判をするかー管轄

 詳しく考えていきましょう。
 まず、どこで紛争を解決するか、というのは裁判管轄について合意するなどと言われますが、通常紛争があった場合には、どこどこの裁判所を第一審の管轄とする、とか、サンフランシスコ郡内の範囲において紛争を解決する、などと規定されています。

 すなわち、喧嘩をするなら場所を指定しておこうということです。

 契約書に定められていれば、通常その場所で紛争を解決するということになります。

 しかし、日本でもアメリカでも、たとえ場所が決まっていても、あまりにも不合理な場合には、裁判で否定される場合もあります。私も経験上、契約で決められた紛争の解決場所が「公序良俗に反して」無効、といった判決をみたことがあります。

 このような例外的な場合がありますが、基本的には契約書に規定されている場所において喧嘩をする、ということになります。

次回続けていきましょう。

 なかなか、外で運動をするのも難しいですが、身体を動かすことを怠らずまた一週間がんばっていきましょうね。


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個人給付 米ビザ保持者が受け取っても大丈夫?

法律ノート 第1209回 弁護士 鈴木淳司

 アメリカでは、マスク着用について医師のなかでも反対する人がいました。どうも、マスクの付け心地が悪く結局、汚い手で顔を触ってしまうということでした。結局、サンフランシスコ市は、マスク着用の命令を出し、アメリカ各地でマスクをする人が激増しました。方向転換ですね。ただ、方針の転換に否定的な論調のものは見かけませんので、こういうところが日本と違うな、と思わされるところです。

 日本では一時給付についての方針転換について、「誰々の失態」とか、「誰が恥をかいた」とか言った論調の記事や発言が多くてうんざりします。一丸となって、今を乗り切ることが大切ですよね。

 さて、現状、COVID-19の大流行により、日本もアメリカも、国民にいわゆるバラマキ政策を行い、生活や経済の維持を図ろうとしています。

 このところ、実は多くの質問がアメリカ政府による緊急給付について法律ノートにも寄せられています。PPPといわれる、雇用の維持を狙った給付(Paycheck Protection Program)についての質問も多いのですが、これは雇用主が申請するものであって、どちらかというと個人給付の色合いはありません。

 アメリカのCARES Actには、各納税者に対し1200ドルを支払うというものがあります。これについて、日本人や外国人の方から、受け取ってもよいのかという質問が多数寄せられています。移民法との絡みですね。

 今回、この対個人給付(1200ドル、子は各500ドル)の基本的な部分は取り上げません。色々なところで確認できますし、受領可能な人は直接に送られてくるので、納税者側からは何もすることはありません。

 今回取り上げたいのは、ビザ保持者や永住権を申請中の外国人の方々が、この個人給付を受け取っても、2020年2月24日に施行された移民法上の公的扶助制限に引っかからないかという点です。

 この移民法の新規則は、アメリカ政府から公的扶助を受ける一定の場合、永住権申請や、非移民ビザ申請が不許可となるとしたものです。詳細は今回考えませんが(じんけんニュース、www.jinken.comで随時取り上げています。)、公的扶助に関する今回の新法では、そもそも災害時(Disaster)の給付は明確に制限から除外しています。

 したがって、移民法上は、今回の対個人給付を受け取ったとしても、公的扶助を得たこととみなされません。ですので、結論からいうと、移民行政上のステータスに関わらず、受給することができます。

 一方で、混乱が生じているのは、CARES Actにおける対個人給付について、「Non-resident Alien」という単語を使っているところです。

 これは、移民法でも使う単語ですが、今回の新法においては、税法上の概念として使われています。「非居住外国人」といっても、市民権を持たないとか、ビザしか保持していない、という意味ではなく、税法上の「非居住外国人」ということになります。

 税法上は、基本的に2つのテストで「非居住外国人」を設定しています。

 一つは、永住権を持っていれば、市民と同様に考えますので「非居住外国人」には該当しません。

 もう一つのテストは、183日以上(つまり半年ですね)、アメリカ国内に滞在した場合には、「非居住外国人」には該当しない、ということです。該当しなければ、納税義務が発生するということです。そして、CARES Actsに基づいて支払いを受けられるのは原則として、継続して納税をしている人ですから、結局納税義務が生じている人たちは、今回の対個人給付を受けられ、なんら移民法には影響しないということになるのですね。

 したがって、アメリカで現在ビザを保持して生活されている外国人の方々でも、受給することはできます。

 将来永住権もとりたい、と考えている場合、その将来の申請に今回の対個人給付を受けたとしてもなんらマイナスな影響は生じませんので、安心して受け取ってください。

 日本でも、外国人労働者に対しての保障はされるのか、という議論はありますが、日本で働き、納税をしている人たちには、国籍を問わずに支払いをするのが理想だと思います。

 それから、似たような質問で上述のPPPに関して、例えば外国人が有する会社(Eビザの場合などが考えられます。)が申請できるのか、ということですが、当初、PPPは会社の所有者を米国市民権および永住権保持者に限っていましたが、その制限を外しました。

 ですので、主に、Eビザで会社を所有する外国人は申請することは可能になりました。また、将来の永住権や、ビザ更新には移民法上影響はありません

 また、次回新しい質問を考えていきましょう。

 まだまだ、ウイルスは下降基調とはなっていないですが、とにかく今は耐えるしかないですね。皆さん一人ひとりがウイルスをやっつけるためにできること、といえば今は自宅待機です。使命感を持って対応していきたいですね。

 また、一週間がんばっていきましょう。

Update:給付金の返還が必要な場合

読者からのご質問にお答えし、アップデートしました。(June 2, 2020)

Q. 2019年分のタックスリターンを行っていたため、給付金が自動的に振り込まれています。4月の時点では受け取り可能という案内がなされていましたが、先日確認したところ、qualified aliens  for 2020 ではない人、nonresident aliens は対象外であり、返還が必要と更新されていました。返還しなければならないでしょうか?判断がつきません。

A.IRS(米国国税局)のインフォメーションセンターに詳細情報があります。
https://wあww.irs.gov/coronavirus/economic-impact-payment-information-center

これによると、2020年に税法上の「居住者」、すなわち基本的に外国人を指しますが、2020年に183日以上アメリカに滞在しているか、永住者の必要があります。
したがって、2020年にアメリカに183日以上居住しなければ返還しなければならず、返還方法についても、上記サイトに書かれています。

Q11. Does someone who is a resident alien qualify for the Payment? (added May 6, 2020)

Q11. A person who is a nonresident alien in 2020 is not eligible for the Payment. A person who is a qualifying resident alien with a valid SSN is eligible for the Payment only if he or she is a qualifying resident alien in 2020 and could not be claimed as a dependent of another taxpayer for 2020. Aliens who received a Payment but are not qualifying resident aliens for 2020 should return the Payment to the IRS by following the instructions about repayments.

なお、情報は6月1日時点ものであり、今後更新もあり得ます。
ファイルする時点で、再度ご確認ください。

Washington DC Capitol

コロナウィルス蔓延とアメリカ刑事司法の柔軟性_1208

法律ノート 第1208回 弁護士 鈴木淳司
April 13, 2020

 どこもかしこもコロナ一色で、外出もままならない今日このごろですが、皆さんの士気はいかがでしょうか。新潟の友人弁護士がとても綺麗な桜の写真を送ってくれました。人間はあたふたしていますが、季節は、そして自然は人間の問題とは関係なく流れていくのですね。人間の生死が毎日のニューズラインになってしまっていますが、やはり人間はいつでも大自然と一緒に行きているわけです。こういうときこそ、自然を楽しみたいものです。花粉が大変ですが、花が綺麗な季節ですね。植物の勢いに元気をもらいましょう。

 今回は、いち早くサンフランシスコもロックダウンされているのですが、こういうときに弁護士がどのような仕事をしているのか、いくつか拾って、皆さんに自宅待機の弁護士は「こんなことしているんだ」ということを知ってもらえたらいいのかな、と思って徒然書かせてください。

皆さんからいただいている質問を一回休ませていただき、この数週間私が体験した刑事事件の処理を取り上げてみましょう。
 もちろん、ビジネス系の話も大変な時期なので、色々あるのですが、通常、動きの必要な刑事事件はどのような対応が行われているのか私も興味があったところです。

 私が現在、無罪を争っている大型の刑事事件があるのですが、拘置所に入れられている被告人は元々結核を子供のときに患っていて、現在も様々な既往症が認められます。

 いったん、拘置所にコロナウイルスが蔓延してしまうと、治療も不安ですし、そもそも無罪を争っていて、私も無罪を確信している事件ですから、ウイルスの影響が本人にあると、トライアルまで耐えられるのか疑問になってしまいます。そして、公に危険が生じるような性格を持っている被告人ではありません。交通切符も一回ももらったことのない真面目な人です。

 そこで、コロナウイルスの問題で、一時的な釈放を申請してみようということになりました。
連邦の事件なので、争ってきているのは連邦司法省です。そして、かなり厳しい判断を下す裁判官が担当です。

 アメリカ全体でも、実際拘置所の公衆衛生が問題になってきており、少しは裁判官も聞いてくれるのかな、とあまり期待せずに戦っていました。自宅待機中で弁護士も裁判所にいけません。申請書には「電話、またはビデオ出廷をリクエスト」と書いておきました。

 司法省側の反論についての再反論を整えていたところ、電話などの出廷も飛び越えて私の主張が認められ、いったん被告人が拘置所から出してもらえる決定を勝ち取ることができました。とても嬉しいことなのですが、一方で、自宅待機をしていることから、法廷で色々弁論もできなかったことは、なんだか法廷弁護士としては気持ちが悪いというか。

 別の事件では、日本の公的機関から紹介されたという日本人から、逮捕勾留されているので緊急で助けてほしいと事務所に連絡がありました。

 事務所の人達も出勤するわけにいかず、遠隔操作での伝言での連絡です。私も遠隔操作で、サンフランシスコの拘置所と検察に連絡を取ると、まだ保釈金も設定されておらず、勾留されていました。電話では直接被疑者と話ができません。しかし、この緊急時、弁護士もノコノコ拘置所にいくのも躊躇します。

 拘置所の人たちと話をすると、なんと、インターネットのビデオ通話で、接見ができるというではないですか。そこで早速申し込みをしてみると、翌日早速設定がされ、ビデオで話すことができました。ただ、スーツは自宅で着ませんから、普段着は映ってしまいましたね。直接ビデオで話ができるということは勾留されている人にとっても、弁護士にとってもとても便利でしたし、単なる電話よりも充実した相談タイムでありました。身振り手振り、そして、図などもやり取りできます。かなり非常時対策がちゃんとしていて、検察・警察も事件を進めるために、協力をしてくれていると感じました。
こういったフェアな精神がアメリカの素晴らしいところだと思いました。

 いっその事、これからビデオ接見も普通に許してくれると、被疑者も弁護士もかなり助かるな、と感じました。本件の事情を聞くと、DV事件でした。どうも、彼氏も彼女もコロナで生活が異常になり、口論が絶えなくなったこともあったようです。
一般的にもDV事件が増えているようですが、精神的な影響もあるのかもしれません。

 本件では事情を聞いてみると、暴力事件とは言えないような案件でした。
 関係各所に連絡をしたところ、その日の夜には釈放され、事件化には至りませんでした。このような釈放の説得なども結局電話だけで対応できたのは、いつも動いている私には少々気持ちが複雑でしたが、まずは良かったですが。

 このように、書面だけをいじって、そして考える作業だけではなく、刑事事件でもそれなりに遠隔操作ができるということを実感できる数週間になりました。新しいことを習うのは楽しいですね。ただ、やはりどんなにテクノロジーが進化しても、実際の法廷や、実際の相談、そして実際の交渉などは、電話やビデオでは本当は代替えできないのではないかな、とも思わされました。

 大変な時期が続きますが、また一週間各自自宅待機をして、コロナの死滅を願いましょう。



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New York statue of Liberty

アメリカ移民行政の停止状況

移民行政の停止状況について 弁護士 鈴木淳司
April 9, 2020

 アメリカでは世界最多のCOVID-19罹患者がいる状況になってしまいました。特にニューヨークはひどいです。
 最近の調査では、どうも東海岸のウイルスはヨーロッパから入ってきた事例が多いということで、実際は2月前にすでに感染がはじまっていたことは間違いないんでしょうね。現政権は中国からの入国を制限しましたが、まったく筋が違ったウイルスの流入だったということになります。目に見えない敵というのは怖いものです。

 さて、この世界的大流行を受けて、アメリカの経済活動は停止していますが、政府機能もかなり停止しています。
 私が担当している刑事事件でも、裁判所は、出廷せずに命令を出したりしてくれています。連邦の裁判所でもそのような状況なので、連邦政府の機関もかなり停止している部分があるのが実情です。

米国移民局(USCIS)

 現状、米国移民局(USCIS)は、オフィスを2020年5月3日まで暫定的に閉めています。また、長期化してスケジュールが変わるかもしれませんが、現状では5月3日までは、行政が動かないということです。

 移民行政は、3月18日から、各フィールドオフィスに直接行くことが禁止されました。
 同時に、難民申請、申請サポートセンターも活動を停止しています。

 緊急がある場合には、コンタクトセンターに連絡しろ、ということになっていますが、どこまで実効性があるのか疑問ではあります。

リスケジュールの手続きも不透明

 この停止に伴って、申請者本人が出頭しなければならない手続きはすべて停止されていますので、移民局側から仕切り直した日程を記載した通知が各申請関係者に送付されることになっています。

 ただ、送付時期についてですが、移民行政が再開されたとき、ということになっており、確定された送付時期は現在わかりません。とにかく現状は、アポイントメント関係は「塩漬け」ということになっています。

 現在、申請中の方々は、移民局のコロナ関連サイトを中止する必要はあろうと思います(uscis.gov/coronavirus)。

回答期限も一部は猶予

 また、非移民ビザ関連については、申請の過程で、さらに証拠を出せというRequest for Evidence (RFE)や、申請不許可等、回答期限がついている手続きについても、回答期限について方針を示しています。

 まず回答について延期が許される場合は、回答期限が2020年3月1日から5月1日までの分に限定されます。
 そして、この期間内に回答しなければならない場合、その回答期限から60営業日以内に提出すれば、適宜提出とみなされることになりました。移民局の判断等、判断等に対して再審査等の請求をする場合は、移民行政機関の判断から60営業日以内に対応がなされていれば、適宜提出と認められることになりました。

実質的には完全停止の状態

 以上のように、移民行政業務は現状では5月3日まではほぼ完全に停止している様子であります。

 各国のアメリカ大使館・領事館の業務も停止している部門は多く、国全体でアメリカは停滞しています。移民業務についてもかなりの支障が出ていますが、現状では日本とアメリカの行き来もままならない状況ですので、これは世界的にしょうがないのかもしれませんね。

 現在は一人ひとりが、ウイルスの怖さを重々自覚して、はやくこの流行を抑え込めるようにがんばっていくしかないですね。皆さんも大変だとは思いますし、ストレスも溜まりやすくなると思いますが、トンネルには出口があるはずですので、今は耐えながらがんばっていきましょう。


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訪米中の交通違反(3) _1207 

法律ノート 第1207回 弁護士 鈴木淳司
Apr.6, 2020

 中国やイタリアでは、コロナ問題が峠を越したということで、本当かどうかはわかりませんが、かなり外出をはじめている様子がニュースで報道されています。実際にウイルス問題が峠を超えているのであれば、長いトンネルの終わりを見ているようで、励まされます。ただ、アメリカでは感染拡大が止まっていません。一人ひとりが協力している外出自粛が、功を奏すると良いのですが。

訪米中の交通違反(3) _1207 

 さて、前二回考えてきた「カリフォルニア州に日本から旅行に来ていた者です。車を借りてスピード違反の切符をきられてしまいました。切符を切られたときに、英語があまり話せなかったのですが、後日連絡があると言われました。日本に戻り、待っているのですが6ヶ月経っても何も連絡がありません。また、アメリカに旅行に行く予定にしているのですが、この切符の件が不安です。何か私から対応する方法はないのでしょうか」という質問の今回は最終回です。

反則金を払わないと裁判になり、出頭が必要

 交通切符を支払わずに時間が経ってしまったときの対応を今回は考えておきたいと思います。通常は、反則金を納付すれば、裁判にはならない(争いたい場合には裁判ができる)という手続となっており、これはアメリカも日本も変わりません。日本でいう青切符の場合ですね。

 問題は反則金を払い忘れた、払わなかった、という場合です。この場合アメリカでは裁判となります。必ず切符に出頭日が書いてありますので、本来であればその日に裁判所に行き、申し開きをしなければなりません。その日に支払いを終えても良いのですが、どちらにしても出頭が必要になります。

 そして、その日に出頭しないと、勾引状(Warrant)が裁判所から出されることになります。この状態になってしまうと、簡単にクレジットカードで支払いを済ませることができません。あくまでも、本人が出頭しなければなりません。交通事件なので、弁護士に委任して代理として出廷してもらうか、ご自身で行くかのチョイスになります。各州の手続きに違いがあるかもしれませんが、少なくともカリフォルニア州では本人出廷が必要になってきます。一旦出廷してしまえば、そのときに罰金を払うなりすれば手続きを終了させることができます。ですので、放置されている場合でも、ちゃんと対応すれば問題は深刻になりません。

 一回の出廷で終わるわけですから、わざわざアメリカに飛行機で日本から来るのも大変ですので、そのときは、逮捕された場所の近くの弁護士に一回の出廷に限るということで、委任するのが手っ取り早いかもしれません。交通事件では本人が出廷しなくても、多くの場合弁護士の出廷で対応が可能です。

再訪米前に記録をクリアーにしておく

 また、次回アメリカに入国する際には、一応交通事件であれ記録をクリアーにしておくのが良いと思います。現状ではかなりの刑事関係事件が、移民行政の記録と紐付けされていますので、不測の二次的拘束を入国管理の段階で避けるために、事前に弁護士に委任しておくのが良いと思います。

起訴されたら、一年後でも裁判所の記録に残る

 それから、時々違反から時間が経てば時効などで、許されると思われているような話も聞きます。しかし、いったん起訴されている段階だと、その起訴は原則としてそのまま残ります。起訴されていない場合、検察が起訴するかどうかを決めるのは、カリフォルニア州では原則事件送致から一年なのですが、いったん起訴をされると一年経っても、それは裁判所の記録に残ります。ですので、面倒臭がらずに対応をしておくのが良いかと思います。

 あとは留学生などが、友人に頼んで処理をしてもらうとすることはたとえば罰金の支払いについては良いと思いますが、身代わりの出廷などは決してしてはいけません。かりにバレたときには、罪に問われます。気軽に考えないほうが良いかもしれませんね。

 以上で今回の質問に対するお答えとしたいと思います。もし他にも似たような事例や、今回の法律ノートで気づいたことやさらに質問があればいつでも法律ノート宛(question@marshallsuzuki.com)にメールをください。

 今は、自宅待機の方も多いと思います。もちろん仕事や勉学などが気になるところですが、自宅でじっくりできる読書などポジティブに考えて生活していきたいですね。

 また次回は新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。できるだけ自分の身の回りの衛生と自己の体調管理をしながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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