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jinkencom について Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。

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政権の交代-連邦議会の占拠と自浄作用

じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 01-13-2021

政権の交代-連邦議会の占拠と自浄作用
January 13, 2021

アメリカ連邦議会の占拠

 法律家であっても、「法の支配」を実際に感じる瞬間というのは少ないと思います。
 先週2021年1月6日にアメリカ連邦議会で起こった事態は、法の支配を直接暴力によって貶す行為でした。死者も出ました。法律が気に食わなければ、その考えを反映させる議員を選出し、法律を変えるという手続が必要です。アメリカという国が存在する根底に傷がつきました。

 一方で、アメリカという国がすごいのは、このような事態になったときに自浄をしようと全力を尽くすことです。これから憲法を守ろうとするアメリカの力が楽しみではあります。

政権移行前の規則や大統領令

 さて、現政権は2021年1月20日に退きます。今回に限らず、毎回政権交代が近くなると、ギリギリになって多くの行政規則、大統領令などが雨後の筍のようにでてきます。移民に関しても例外ではありません。

ホワイトハウス

大統領令-作るのも簡単、壊すのも簡単

 まず、大統領令(Presidential Proclamations and Executive Orders)というものがあります。これは、大統領が自分の抱えるスタッフとともに作成して行政命令として効力を生じるものです。

もちろん、命令としての広範な効力はあります。
手続として大統領の意思のみで制定することができるので、簡易な方法での政策実現です。

 一方で、大統領令が争われることも多く、法廷闘争などになることもよくみかけます。

 現段階で、現大統領は、主に移民行政に関わる大統領令として、外国人のコロナの影響による入国制限(新規ビザの発給停止)を2021年3月31日まで継続すること、またアメリカ国内で出生すると自動的に市民権を与えることを制限すること、などを実行しようとしています。

 しかし、あと数日で政権は交代するわけで、新たに就任する大統領は、新たに大統領令を出し、今まで4年間出された大統領令を変更することができます。

 つくるのも簡単ですし、壊すのも簡単なのです。
バイデン新大統領は、前政権の大統領令を積極的にひっくり返す方向を打ち出していますので、早い時点で、新規ビザの発給停止の解除は期待できるかもしれません。

行政規則-厳格な手続き

 よく、日本のメディアで大統領令と行政規則を混同して紹介されていることがあるのですが、行政規則(Regulationsとか、Rulesなどと呼ばれます。)は、大統領令に比べて、制定手続が重厚です。

たとえば、公に案を出して意見公募をする必要があったり、内容について行政機関(たとえばThe Office of Information and Regulatory Affairs)のレビューが必要だったりするのです。

 ですので、いったん制定されてしまうと大統領令に比べて変更するのは大変になります。

 たとえば、H-1Bビザの取得要件の厳格化などが現在審議されて行政規則化されそうですが、いったん制定されると、今度はその規則を緩和するための行政規則が必要になり、全体で半年以上はかかることになります。

 したがって、規則に基づく移民行政は政権が移行したとしても、すぐに変わることはないわけです。

細かな行政ルール変更

 大統領令および行政規則の他に、すでに決められている行政規則等の細則を変更することもよく行われます。
 すでに決まっている規則の枠組みを変えないが、細かい運用を変更するという方法です。

アメリカの行政では政策メモ(Policy Memo)、政策マニュアル(Policy Manual)と呼ばれます。日本でいう上級行政機関から出される通達に似ているでしょうか。

 現大統領も移民行政厳格化のためにいろいろな政策メモを出してきました。
 たとえば、市民権のテストを難しくする、とか、永住権を取得する際に提出する書類の種類を増加させるなどの政策メモがありました。

これらの政策メモについては、新たな政権がすぐに変更できるので、今後は現政権が厳格化を進めていた移民細則が元の状態に戻っていくのではないでしょうか。

バイデン政権への移行で変わる?変わらない?

 これらの移民行政のなかでも、最優先にバイデン政権が考えると打ち出しているのが、DACA法、国境での移民の扱い、難民認定の数、そして、メキシコ国境との壁などがあります。

 主に、日本人に影響するであろう、ビザ申請、永住権申請などについては、すぐに変更できる大統領令、政策メモなどの範囲では、新大統領就任直後から徐々に元通りになっていくと思われます。

 しかし、行政規則についての変更は、私の想定ではこれから一年以上変更に時間がかかるのではないかと思っています。開かれた移民行政を行うことをバイデン政権は明示していますので、今後行政の変更が行われれば、随時当ブログ(じんけんニュース)で取り上げようと思います。

 最後になりましたが、読者の皆様今年もよろしくお願いいたします。
読者の皆様の2021年のご健勝をお祈りしております。


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Washington DC Capitol of the United States

2021年 止まない雨はない-新年のご挨拶

法律ノート 第1245回 弁護士 鈴木淳司

新年のご挨拶
Jan 5, 2021

 法律ノート読者の皆様、あけましておめでとうございます。
 2021年がはじまりました。

やはり新型コロナウィルス

 昨年は、生活のあらゆるところが、目に見えないウイルスの影響によってドラスティックに変わってしまいました。今年も昨年の「変化」が続くと思いますが、この変化をなんとか一人ひとりポジティブなものに変えていくことが重要なのではないでしょうか。

この原稿を書いている今、サンフランシスコ周辺は雨が強く、快晴の正月とは言えない状況です。この雨がウイルスを洗い流してくれないものかと考えたりしています。
サンフランシスコの市内は人影がなく、昼ごはんを探そうと思っても開いている店を探すのが困難な状況であります。

 「やはり」という印象ですが、年末年始にかけてコロナ感染者が激増しました。アメリカに限らず、日本でも激増している様子です。東京の街でもかなりの人出がある様子ですし、アメリカでは空港がかなり混んでいたと聞きます。一方でワクチンの接種もはじまり、結局コロナに振り回された年末年始でした。

 ただ、私の近しい人の中でも医療従事者はワクチンの接種を開始したと言っていましたので、あと少し我慢すれば徐々に罹患する状況は改善していくのではないでしょうか。

法曹界の状況

 では、法曹界の状況はどうでしょうか。

 2020年は、訴訟の進行も停滞していました。
 ほぼすべての案件が2021年に先延ばしされ、今年、裁判が再開されるとかなりの混雑が考えられます。裁判所の職員も自宅待機になっており、必要な書類の処理がなされないなどという状況もありました。リモートのなかで、実際に裁判がどのように進行するのか、先が思いやられるところではあります。2020年にビデオでの尋問も体験しましたが、あまり効果的ではないように感じました。

 商用の案件などはほぼすべての場合ビデオ会議が取り入れられ、慣れていな会社でも試行錯誤しながら会議をされていたように思います。ただ、ビデオ会議というのは手軽である一方で、やはり生の会議に比べるとインパクトに欠けるように感じます。また、意見交換の場としては、なかなか「議論」がしにくいな、とも感じました。皆、ビデオ会議に慣れていない状況で、工夫をしているという状況が続くと思います。

弁護士事務所でさえも「事務所」の意味を問われる

 サンフランシスコ市内は、ほぼロックダウンや制限によって2020年は、人がいなくなっていました。
 実際の法律実務については、事務所に行けないわけですから、結局行きもしない事務所に家賃を払うという感じになって、本当にオフィスが必要なのか、高い家賃を払ってオフィスを維持する必要があるのか、など考えさせられました。

 弁護士のなかには、この機を利用して、事務所を自宅とし、仕事で使う連絡先だけを確保することで経費を浮かせるということを始める人も多くいました。そのほうが、コストが減るので回り回って、顧客にとってもプラスになることは間違いありません。

 昔の法律業務はとにかく、紙の本が多く必要で大変でしたが、近時では簡単にアップデートされた法令や判例などにアクセスできますので、実際に事務所の家賃を払うよりも、そのようなデータベースにアクセスすることにお金を使ったほうが、クライアントの利益になるのではないかと私も思うようになりました。

 私は弁護士になった当初から、弁護士というのはきらびやかなオフィスって必要なのかな、といつも疑問でした。ロマンチックなレストランとか、眺望を楽しみに来る人にプラスになる場所であれば良いのでしょうが、弁護士がきらびやかなオフィスを持っていても、実質面では何も役に立たないわけです。

事務所を運営していくという観点からは2020年はかなり考えされる年になったのではないでしょうか。2021年にかなりの弁護士が業態を変えてくるのではないかと思います。

サンフランのレストラン・飲食業

 法律業界は、コロナの影響をさほど受けなかったとは思いますが、接客を伴う業態に従事されている方々のことを思うと本当に心が痛いです。

 多くのレストランが経営難に陥り、サンフランシスコや周辺では開いているはずのレストランがひっそり明かりを消しているところが多く、悲しい限りです。ダウンタウンはもうゴーストタウンのようになっています。

止まない雨はない

 しばらくこのような状況が続くのでしょうが、気持ちだけは強く持って2021年を過ごしていかなければならないように思います。

止まない雨はない、とは言いますが、勝てないウイルスはいない、と信じて、みなさんも今年一年心を強く持っていてください。

私も法律ノートを書き続けてがんばっていこうと思いました。また、今年一年どうか宜しくお願いいたします。

みなさんにとって、安全で平穏な一年であることを心から祈っております。また、社会に笑顔が戻ってくるのを楽しみにしましょう。


Remove- presidential proclamation on DV2020 and DV2021

■DV2020/2021の手続き停止大統領令を撤廃する署名活動

ホワイトハウスに直接署名を送る方法があります。
Remove the damaging immigration bans that destroy the dreams of DV Lottery winners

JINKEN.COM事務局の全文訳および証明方法はこちら


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2020年-年末のご挨拶にかえて

法律ノート 第1244回 弁護士 鈴木淳司
December 28, 2020

年末のご挨拶にかえて_1244

 市中には、ウイルスが蔓延して人間を圧倒していますが、時間は関係なく流れます。2020年はみなさんが今まで生きてきたなかでも、一生忘れない年だったのではないでしょうか。私も、私が所属する事務所の人たちとほぼ会うことができなかったのですが、一方で事務所の全員がウイルスとは無縁で一年を過ごすことができたのでホッとしています。

アメリカでは、このホリデーシーズンを境にまたCOVIDが激増すると言われていますが、一方で、ワクチンも段階的に実用化されているのは希望の光です。今後、COVIDのワクチン注射が一般的になってくると、毎年インフルとともにCOVIDのワクチンも一緒に接種することになっていくのでしょうか。

 毎年お世話になった方々にカレンダーを作成してお送りするのですが、今年は自粛させていただくことになりました。残念です。また、年末に必ず事務所で開催するホリディ−パーティーも今年は自粛しました。自粛というよりは、そもそも会場にできるレストランがありませんでした。

サンフランシスコは、レストランの自粛がかなり長期に渡って、年末の予約を取るレストランは皆無でした。飲食業界がとにかく一番市内で打撃を受けているのがよくわかります。

とにかく、2020年は、年末に至っても今までとはまったく違った状況になってしまったとつくづく感じました。年末になると、いろいろな気が回り、挨拶などをしなければならないな、と思うのですが、こちらが気を遣うと、相手もいろいろ大変なことがありそうで逆に気を遣わせてしまうのが心苦しく、今年はできるだけ動かないことが良いかなと思っています。

 法律の仕事は、机に向かって「読む」、「書く」といった仕事が多く、コアの部分にCOVIDの影響が少なく、それなりに各自仕事をすることができました。ただ、ミーティングや裁判所関係は、ほとんどビデオ会議となってしまい、直接一緒に食事をしたり、議論をしたりする機会は皆無になりました。

びっくりしたのは刑事事件においても、今まで必ず直接出向かないと接見できないようなケースでも、ビデオ会議で可能になりました。それだったら、もっとはやくビデオ会議にしてほしいと思いましたが。

日本の弁護士と話をしていても、COVIDの影響で、かなりIT化が進んだようです。さすがに議論が面倒な弁護士でさえ、COVIDはある意味方針をまとめてしまったと言えそうです。法曹の世界もかなり変わってきたのですから、いろいろな業界でもかなりの変化が生じたのだと思います。

 皆さんの周りには、COVIDで影響のあった例はあるのでしょうか。私の周りには、重症化する例がなかったのが良いニュースだったのかもしれません。一方で、私の周りでは子供も授かっている家族も複数あり、人間としての希望を見いだせたように思えます。おめでたい話は特に今年は嬉しく感じました。総じて、今年はなにか「良いことがあった」というよりは、「悪いことが起きなかった」ということにフォーカスして、振り返らないといけないのかもしれませんが、読者の皆さんや、周りの方々が健康であるということが一番のニュースなのかもしれません。

 来年は、やはりまだCOVIDの話題が続くのだと思いますが、ワクチンの話も段々現実化しているのですから、経済や人の行き来が活発化することになるのでしょうか。皆さんいろいろな我慢をしながら生活しているわけですから、なにか来年には楽しいことを想像しながら、年始を過ごしていきましょう。私は気兼ねなく飲みにいけるのを楽しみにしています。

 読者の皆さんによっては、生活様式が変わってしまっただけではなく、生活にも深刻な影響があった方々もあると思います。じっと我慢する年であった方も多いのではないでしょうか。来年はどのような年になるのでしょうか。まだ、不安なことも多いとは思いますが、希望を見出しながらまた来年もどうかよろしくお願いいたします。読者の方一人ひとりの2021年の幸と健康を心から祈って今年最後の法律ノートとしたいと思います。


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日本とアメリカ 国をまたぐ相続(2)_1243

法律ノート 第1243回 弁護士 鈴木淳司
December 20, 2020

 日本もアメリカも再度COVIDが急増していますが、なぜここまでアメリカの増加は激しいのでしょうか。マスクをしないとか、危機感が低い人がいるとか、理由はあるのかもしれませんが、少々アメリカにおける急増は異常に感じます。将来その理由が明らかになるのでしょか。そして、再度、私の所属する事務所があるサンフランシスコや周辺ベイエリアでは、ロックダウン状態になっていて異常なホリデーシーズンです。来年はライトアップやイルミネーションが観られるのでしょうか。みなさんは来年に希望を持たれていますか。

日本とアメリカ 国をまたぐ相続(2)_1243

 さて、前回から考えてきた「私(日本人女性)はアメリカに住んでいますが、夫に先立たれ、子供もいません。私は日本から来ているために、アメリカに親族はいません。夫が元気なときに夫婦そろって信託(トラスト)はつくってあります。私が他界したときには、財産は日本にいる親族に相続がされることになっています。今の不安は、私がアメリカに身寄りがないので、実際に相続がうまくいくかということです。どのように手続が行われるのか教えてください。」という質問を、今回も続けて考えていきたいと思います。

相談できる人を確保

 前回は、法律的なことというよりも、できれば周りに信用して相談できる友人や、距離が離れていても話ができる親族がいることが望ましいということを考えました。

 頼れる人がいるということは、自分が他界した場合、周りの人に迷惑をかける可能性が低くなります。ですので、飛ぶ鳥跡を濁さず、で自分の死後のことも考えて、生きている間に色々相談できる人を確保しておいてください。

 どうしても友人や親族がいない、という場合には、ソーシャルワーカーや弁護士など相続に関してサービスを提供するプロに相談してみると良いかもしれません。

誰が相続後の手続きをするか

 さて、今回質問をされている方の不安は、手続的な面ですが、質問されている方が他界した場合には、誰がこの法的な「手続」をすることになるのでしょうか。

 答えとしては、すでに信託(トラスト)や遺言に書かれているということになります。

 トラストには、財産管理人(Trustee)が指定されています。遺言には遺言執行者(Executor)が指定されています。これらの指定された人たちが音頭をとって、信託や遺言に書かれた内容を実行していくことになります。

 場合によっては、指定された財産管理人や遺言執行人が存在しない場合、二の矢として代替管理人・執行人が指定されていない場合には、裁判所に指定を請求しなければならないのですが、通常は、自分の子など家族内で指定しておきます。

財産管理人と指定方法を確認

 今回の質問においてトラストを具体的に拝見しているわけではありませんが、そのトラストをまず見て、誰が財産管理人として指定されているのか、またどのように指定する方法が規定されているのか、確認する必要が出てきます。

 この財産管理人・遺言執行者に指定されている人に対しては、たぶんトラストを作成した時点で、指定したことを伝えて頼んでいるのではないかと思います。そのことを思い出してみてください。

 財産管理人・遺言執行者というのは、受益者・相続人といった、最終的に相続財産を受け取る人たちと同一でないかもしれません。まずは、手持ちのトラスト(または相続)に関する書類を再確認して、誰が財産管理人・遺言執行者であるのか、確認するのが良いと思います。

日本からの手続きは困難

 前回、誰か生活に近いところで信用できる人を用意しておきたいことを考えましたが、それは、財産管理人・遺言執行人となってもらえる人が近くにいると良いという意味があります。

 もちろん、たとえば今回質問されている方のように、親族がすべて日本にいるのであれば、日本に在住されている方を指定することも問題はありません。

しかし、たとえば質問者の方が他界したときの財産の処分について日本から遠隔操作をするのはなかなか大変です。もちろん、そのために弁護士がアシストすることも多くの事件であるのですが、財産管理人・遺言執行人が近くにいたほうが便利ではあるのです。

 次回、財産管理人・遺言執行人がどのような役割を負って今回の質問に関わるのかを考えていきたいと思います。信じられないですがもう2020年も終わりですね。健康に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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アメリカ市民権を取得 N-400申請

じんけんニュース 12-13-2020 弁護士 鈴木淳司
December 13, 2020

 あと2週間で2020年も終わりですね。今までの弁護士人生で一番自宅にこもっていた年という意味では思い出深いものがあります。みなさんの一年はいかがだったでしょうか。じんけんニュース(国際弁護士なブログ)も速報がなければ、これで今年最後です。じんけんのサービスをご利用いただいた方々、ニュースを読んでいただいている方々、本当にありがとうございます。2021年もじんけんのスタッフ一同変わらず業務を邁進していきますので、どうかまたよろしくお願いいたします。
 

アメリカ市民権を取得 N-400申請

 さて、2020年12月1日付で、現政権はアメリカ市民権申請(N-400申請)における要件である、公民分野のテストの内容を変更しました。現政権の賞味期限は2021年1月20日までなのですが、最後の最後に行政権を行使して、市民申請に関して変更を加えました。

 その変更も、投票権のある市民になりにくくする改悪と捉えられる変更です。

アメリカ市民権取得には英語でテスト

 市民権を許可されるためには、元来「テスト」を受けなければなりません。
 従来120問のなかから10問を選んで出題され、6割取れれば合格となりました。

 この12月1日から、20問出されて、6割を取らなくてはなりません。もちろん、再テストは許され、間違った問題だけ勉強すれば良いので、合格率は9割を超えています。高齢者の申請者に対しては特別なルールも定められています。

 試験問題と、試験の問題数が変わっただけではありますが、英語が得意ではない移民にとってはかなり大変な作業になり、ひいては市民権申請を抑制してしまうのではないかという意見が出てきています。すでに2020年12月1日に受理された市民権申請については、あらたな試験が課されることになっていますので、今後統計が出てくると思われます。

 試験についての移民局の発表はhttps://www.uscis.gov/citizenship/2020test 
このサイトを参照されてください。

試験問題の「正解」が変わった

 試験問題については、公民の分野から出題されますが、たとえばアメリカの大統領は誰だ、とか、あなたの州から選出されている議員の名前は何か、など、まあ一単語で答えられる問題が多いのですが、私が疑問に思う変更はたとえば、「州から連邦議員として選出された議員は誰を代表するのか」という質問があります。質問は変わっていないのですが、あらたに現政権は「正解」を変更しました。

 今までは答えとして州の「人(People)」を代表するということでしたが、その回答を州の「市民(citizen)」が正解であるとしたのです。

 私が法律家としてみると、州から選出された議員は、たしかに市民(選挙権があるアメリカ市民)から選出されるのでしょうが、代表する範囲については、憲法論でも争いがあるところであって、市民だけではなく広く州の利益を代表するという考え方も間違ってはいないわけです。

 現政権は、市民であるということを過度に強調したいのでしょうが、そもそもこのような細かいニュアンスに関してそれも争いのありそうな変更をしてどのような利益に資するのかわかりません。
このような試験は撤廃して、クラスに参加して公民の基礎を勉強することを要件にしたら良いと私は前から思っているのですが。

厳しい移民行政の影響は長引く可能性も

 とにかく、市民権申請における試験の要件が厳しくなり、すでに12月1日から規則が施行されています。

 新たな大統領になるのが、あと30日程度ですが、すぐに新大統領がこの規則をひっくり返すということは考えにくく、移民に関連する規則については、何ヶ月も経たないと変化が見られないかもしれません。

 まだ、現大統領は行政の力があるので、今後も去る前に、いろいろな仕掛けをしていくと思われます。また、厳しい移民政策を打ち出してきたので、今後も移民行政は注意しなければならないと思います。

 静かな12月ですが、みなさんが安全で平穏な年末年始を送られることを心から願っております。
また、2021年もじんけんニュースをよろしくお願いします。


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親族ベースの永住権とスポンサー(June 26, 2019)

アメリカ市民権を取得 N-400申請(December 13, 2020)


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日本とアメリカ 国をまたぐ相続1_1242

法律ノート 第1242回 弁護士 鈴木淳司
December 13, 2020

 コロナに対応するワクチンが現実的になって、すでに接種を受けているニュースが流れました。現大統領は自分の手柄のように言っていますが、少なくともアメリカにはかなりの数のワクチンが供給されることになっています。しかし、日本では数百人で大きなニュースになっていますが、アメリカでは数十万人単位ですから、全然状況が違いますよね。アメリカに比べて、日本は密になりそうな場所も多いように思うのですが、何がこのような違いに結びついているのか興味深いところではあります。皆さんは安全に過ごされていますか。

日本とアメリカ 国をまたぐ相続(1)_1242

 さて、今回からまた皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると「私(日本人女性)はアメリカに住んでいますが、夫に先立たれ、子供もいません。私は日本から来ているために、アメリカに親族はいません。夫が元気なときに夫婦そろって信託(トラスト)はつくってあります。私が他界したときには、財産は日本にいる親族に相続がされることになっています。今の不安は、私がアメリカに身寄りがないので、実際に相続がうまくいくかということです。どのように手続が行われるのか教えてください。」というものです。

一人暮らしの方には特に深刻

 今は、コロナ禍にあって、特に一人暮らしの方は不安を覚えることも多いようで、相続に関する相談が増えているように思います。やはり身近に親族がいないことは不安になっても仕方がないことだと思います。

 今回質問されている方は日本へ帰ることも考えていらっしゃいますが、同年代の兄弟はすでに他界されている様子で、なかなか簡単にはいかないようです。

 このような質問を受けると、まずは法律的なことというよりも、親族の方で誰と仲良くして付き合いを続けているのか、また、友人を含め近しい人はいるのか、身の回りの世話について相談できる人はいるのか、ソーシャルワーカーなどがいるのか、などの情報を集めることが第一歩になると思います。

人間関係を丁寧に確認する

 どの程度の付き合い関係があるのか、子供がいない場合には特に周りの関係を確認しておかなければなりません。

 遺言やトラストを作成したとしましょう。

 作成者が他界した場合には、必ず誰か相続財産を管理して相続人に分配するという作業が必要になります。また、相続財産を管理する人がいるとしても、他界された方の生活や持ち物をちゃんと把握しているわけではありません。ですので、身の回りで相談ができ、状況を知っている人がいると助かることになります。

 今回質問されている方のメールではこれらの状況が書かれていませんでしたが、まずは、遺言やトラストに関して、「私が他界したら助けてください」といえる近しい友人や親族がいることが望ましいと思います。

事前に相続の可能性を伝える

 今回相談されている方の親族は、全員日本にいらっしゃるということです。そして、毎年遊びに来ている親族の方がいるということです。今年はコロナで渡米を断念されたようです。

 仲良くしている親族の方が少なくとも日本にいれば、「私が他界したときにはお願いをする」ということを事前に伝えておけば良いと思います。アメリカ国内に友人や親族がいないとしても、少なくとも相続人になると言う方には、事前に趣旨は伝えておいたほうが良いと思います。

 法律的な話ではありませんが、ここが法律的な手続を考える第一歩だと思います。

作成済みのトラストを再確認

 今回質問されている方は、配偶者の方とすでにトラストを作成されているということで、相続の煩雑な手続きは経験しないで済んだようです。

 トラストの内容を確認しているわけではありませんが、通常トラストを作成すると、ご自身の潜在的な持分は、その方の意思に従って相続されていくように設定されています。ということは、まず現状でトラストに誰に何が分配されるように設定されているのか、確認しなければなりません。

 これは、作成したときに質問者の方が自分の財産についてはどのように分配されるのか、弁護士に伝えているはずです。それが記載されていると考えられます。

 したがって、トラストの書類を確認しなければなりません。いったんトラストを作成してしまうと、場合によってはあとで配偶者が死亡した際、変更が限られる場合もありますので注意が必要です。このトラストに書かれている受益者(相続人)にも連絡がスムーズにできるような体制をつくっておくことも重要です。

 今回は、本題というよりも、質問を踏まえまず、ご自身の身の回りの親族友人関係を確認するということを考えました。ここから次回考えていきましょう。

 もう二週間で今年も終わりですね。なかなか、ホリデーシーズンといってもパーティーもなく、静かな年末年始になりますが、一人ひとりできることをやっていくしかないですね。安全で平穏な一週間を過ごしていきましょう。

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トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[1](June 25, 2017)

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Golden Gate sanfran

IT企業のアメリカ進出5_1241

法律ノート 第1241回 弁護士 鈴木淳司
Dec 6, 2020

IT企業のアメリカ進出(5)_1241

 また、カリフォルニアでは外出禁止令が出ました。医療機関も実質的にパンクしているところが多いようです。やはりサンクスギビング前後でアメリカでは激増しました。
このような状況で、来年、日本でオリンピックは開催できるのでしょうか。もちろん開催側は「やらなければならない」ということですが、ワクチンの普及との兼ね合いでしょうか。しかし、社会も変わってきましたが、一人ひとりにとっても大変な変化があった一年ですね。みなさんは、耐えていらっしゃいますか。

 さて、前回まで「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問を考えてきました。

 前回は、アメリカ50州の会社の設立について少々考えたところまで進みました。
ここから今回考えていきましょう。

どの州で会社設立するか

 まず、アメリカで会社を設立するのは、どの州が良いのか、という質問を受けます。

 通常、この手の質問を受けるときに、実質的にビジネスをする場所はどこなのか、ということを聞きます。たとえば、デラウェア州法人であっても、大部分の活動をカリフォルニア州で行っていれば(そのような法人は多いのですが)、カリフォルニア州の会社法が適用される場面が多いわけです。もちろん、具体的にどのような業務を行い、どこに主な所在地が置かれるのかなどを検討しなければアドバイスはしにくいところです。

 しかし、どの州の法人を設立するのか、というポイントについては、法律家だけではなく、税金の問題が大きいと思うので、税金の専門家にも必ず相談をして、複数の想定をされるのが良いと思います。決して、どこどこの州の法人がベストだ、などという基礎のない口上に乗らないでください。

 税務の観点が最重要になるのですが、法律の観点から言うと、どの州が良いかということは、
(1)会社の経営内容の秘匿必要性
(2)会社の役員等の免責
(3)会社法に関する判例の多さ
などが考慮されるということになるでしょうか。
基本は、現地法人の所在地がベストということになることは忘れないでください。

日本の会社を登録して商活動ーForeign Corporation Registration

 次に、会社を設立することで、たとえば銀行口座などの開設が可能になるでしょうが、会社開設の前に、今回質問をされている方のように、日本ですでに会社を経営されている場合には、その会社をアメリカの各州において「州外の株式会社登録(Foreign Corporation Registrationなどと呼ばれる) 」をすることにより、日本の会社がアメリカで商活動を継続的に行うことができます。

 業種によっては、起業時に一つの方法論として考えてもよいかと思います。
 日本の企業を直接アメリカの州で登録する最大の問題は、日本の本社が直接アメリカで訴訟の対象にされてしまうということにあります。しかし、初期段階でマーケット・リサーチ等の限られた活動をするのであれば、物品の販売などが関わらない限り、州外企業として登録を一時的にするのは一つの選択として悪くないと思います。

米国の銀行からの借入

 それから、もう一つポイントを考えておくと、アメリカ所在の金融機関から与信を受けようと思った場合、アメリカの会社を設立し、そのうえで銀行口座を開くことがまず第一歩になることと思います。もちろん、日本にある本社がすでにアメリカの金融機関と深い関係があれば別でしょうが、アメリカの企業として独り立ちするためには、現地法人が限られた担保で与信を受けられるのがベストということになります。

 この場合、会社を設立して、できれば限られた金額でも良いので、借り入れて返す、ということを繰り返してください。最初は銀行預金を担保に取られたりしますが、ちゃんと返済することにより、会社のクレジットスコアが上昇し、借り入れがしやすくなります。

将来的な現地法人の成長のためには、一つ考えておくべきポイントだと思います。

専門家に相談を

 今回いただいた質問は多岐にわたることを考えなければならないですから、具体的に相談をするのがベストだと思います。しかし、相談するにしても、何を相談するのか、というところで今回の質問を考えた一連の法律ノートを基礎にされると良いと思います。

 もう、師走だというのが信じられない1年ですし、事務所でホリデーパーティーも開けないのは寂しい一年ですが、来年が素晴らしい一年になることを願いながら、今年を走り抜けていきたいですね。また体調には十分に注意して一週間がんばっていきましょうね。


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IT企業のアメリカ進出4_1240

法律ノート 第1240回 弁護士 鈴木淳司
Nov 29, 2020

IT企業のアメリカ進出(4)_1240

 今年のサンクスギビングは暖かかったですが、やはりコロナの影響がどこにもでているような状況で、何をやるにでも抑制的な休みでした。しかし、コロナが増えていますね。コロナは待ってくれませんから、医療従事者の方々は、それは大変な時期だと思います。本当に敬意を払いたいと思います。私の身内にも医療従事者がいるのですが、ぜひ安全に体力を維持してほしいと願っています。

 さて、前回まで「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問を考えてきました。

 前回は、ビザに関して主に、Eビザを考えました。
 現在、トランプ政権末期においても、ビザに関する規制は緩和されておらず、新規のビザ発給がかなり制限されています。
 今回の質問に資するのはEビザのみですが、今後新政権が、プライオリティと考えているコロナ対策等が落ち着けば、ビザの規制緩和が見込まれます。ただ、現状では、ビザ氷河期と言って良いと思います。

アメリカでの会社設立のメリットー資金移動とビザ取得

 今回は、ビザの話題に関連しますが、アメリカにおける会社の設立について考えておきたいと思います。

 アメリカに進出するときに、まず会社を設立するという方が多いのですが、その主な趣旨は、アメリカ国内において、銀行口座を通して出入金をする必要性があること、それから移民関係の申請に米国内に会社があることがベターなケースが多いこと、といったところでしょうか。

 最近ではいろいろな決済方法存在し、どこに銀行口座があるのかそもそも必要性がどの程度あるのか疑問ではあります。また、マネーロンダリング対策から、銀行口座を開設することがなかなか簡単ではありません。

 ただ、ちゃんと会社を設立しておくと、口座もより作りやすいことはあります。
 また、会社の設立をして、ちゃんとした実体を持っておくと連邦の納税システムに登録され(雇用者納税番号(Employment Identification Number))国としても、どのような活動をしているのか把握しやすくはなるわけです。

 もちろんビザのことを考えると、アメリカに会社を設立しなくても、親会社の支店登記を米国においておこなえば十分にビザの申請は可能です。
 しかし一方で、将来の成長を見込んだり、将来的なビザの更新を考えたり、さらには、日本とアメリカで法人の責任を分離できるメリットなどを考えると、どこかの時点で会社の設立を考える方が、アメリカに根付くにはベターといえると思います。

どのタイミングで設立するか

 問題は、会社を設立するとしてどのタイミングで設立するか、ということになります。
 会社をアメリカ国内で設立するのは、さほど手続的に難しいものではありません。

 一方で、設立にはある程度実費や手数料がかかりますし、毎年の更新費用や、会計費用が発生することになります。

 一度設立してしまうと、清算するまでいろいろな責任が会社に発生するので、メンテナンスに費用がかかることになります。そうすると、いきなり会社を設立するのではなく、前回までに考えてきたように、順次ビジネスの可能性を見ながら、ビジネスプランが固まってきた段階で会社を設立しても良いのかな、と思います。

 それまでは、日本の本社等の口座を利用して、支払いをするとか、クレジットカードを使うなどの方法論でも今の世の中間に合うのではないでしょうか。

会社のタイプは州によっても様々

 では、会社といっても、どのような会社を設立するのが良いのでしょうか。

 アメリカには50州あり、各州が会社法を整備していますので、50州別々の会社の設立方法が用意されています。デラウェア州の法人が良いとか、ネバダ州の法人が良いとか、たとえカリフォルニアでビジネスをしてもいろいろな州の法人の良い悪いが議論されています。

 法律事務所によっては、いくつかの州のメリット・デメリットなど、お金をとってセミナーしていますが、本当にそれほど違うのでしょうか。

 50州別々であっても、一つの国のなかの話であって、基礎的な会社の構造や運営に違いはありません。この辺のところから次回続けて考えていきましょう。

 それなりに暖かい日が続きますが、朝晩はかなり冷えるようになりましたね。寝るときは暖かくしてこの時期ですから風邪などには注意してまた一週間がんばっていきましょうね。


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IT企業のアメリカ進出3_1239

法律ノート 第1239回 弁護士 鈴木淳司
November 24, 2020

 もう今週はサンクスギビングですね。みんなでワイワイという感じには今年はならないでしょうが、かなり旅行も増えることは避けられない状況ですね。私の周りでも、他州に旅行をするなどの話を耳にします。一方で、コロナがアメリカでは激増しています。信じられないほどの入院患者数に達していて、今後どうなるのか不安です。はやく全国的な対策を打ち出してもらえることを願うばかりです。

IT企業のアメリカ進出3_1239

 さて、前回まで考えてきた質問をさらに今回も続けて考えていきましょう。
「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問です。

 前回は、Bビザを取得して比較的長期にアメリカに滞在する方法、それから進出を考えるのであればビジネスプランをつくって、まずアメリカでサービスの人気がでるかどうかを確認してから本格的に始動するという方法論を考えました。もちろん場合に応じて、使いわけることは重要です。

アメリカで就業ビザを取れるか

 今回は、質問にあるさらに長期を見通してアメリカでの就業ビザの許可取得過程を考えていきましょう。

 まず、現在(まだ、トランプ政権下)の年末までは、外国人の新規HおよびLビザの発給は停止されています。

 今後、バイデン政権に移行すると順次正常化されていくでしょうが、現状では、日本から新規にビザを取得して渡米するとしても、方法論はかなり限られています。
 Eビザについては、トランプ政権の方針に影響を受けていないので、現在Eビザであれば、発給の可能性があります。

現在のところはEビザ

 Eビザというのは、大きく分けて二種類あります。主にスポンサーとなるビジネスが、日米間の通商において一定額の取引を行っている場合と、米国内に投資を一定額行っている場合です。

 この「一定額」というのは、いくらなんだ、という質問が多いですが、職種によっても、実績によっても、どれだかアメリカに貢献するのか、など多岐にわたって精査しないと、勘定ができません。また、時期によっても違いがあります。

 基本的には米国政府の裁量ですので、いろいろなファクターで違いがでてくるとしか言いようがありません。

ステータス変更という方法

 前回お話したように、仮にBビザでアメリカに入国した場合、アメリカに滞在しながら、Eのステータスに変更する申請をすることが可能です。

 査証免除でアメリカに入国している場合には、米国内にとどまって、他のステータスに変更することはできませんから、Bビザで入国するとこのステータス変更の手続を取れるということがメリットになります。

 ここで、「ステータスの変更」というのは、ビザの許可証を取得することとは違うことを理解しなければなりません。

 ビザというのは、米国外にある米国大使館・領事館が発給するもので、パスポートに写真入りの形で貼付されます。このビザがあればアメリカの入国がそのビザに基づいて可能という入国管理が関所だとすれば、いわゆる「通行手形」の意味合いを持ちます。

 一方で、すでにBビザでアメリカに入国している場合には、日本にある米国大使館にビザの許可申請をするわけではなく、アメリカの移民局に対して申請を行います。

 そして、アメリカ国内ではビザの発給はされず、BのステータスからEのステータスに変更されるという効果に留まります。

米国出国でステータス変更の効果は途切れる

 Eビザでアメリカに入国しても、最大で2年間の滞在がゆるされ、米国内のステータス変更と効果としては同一なのですが、違いは、いったん米国を出ると、ステータス変更の効力がその時点で切れますので、自国に戻って米国大使館・領事館でビザの申請をする必要がでてきます。

 アメリカで一度審査を受け、再度日本で審査を受けるという形になるのです。
 そして、一般論ですが、日本の大使館審査よりも、米国内審査の方が、審査のハードルが低いことが多いです。

 このような特性を理解したうえで、どのような作戦を立てるのかは専門家とすり合わせる必要があります。

ここから次回続けていきたいと思います。寒くなってきてインフルエンザも流行する可能性があるわけです。自分だけではなく周りの健康にも気を使いながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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IT企業のアメリカ進出2_1238

法律ノート 第1238回 弁護士 鈴木淳司
November 17 2020

 ずいぶん季節が変わり寒くなりました。ヒーターをつける日も増えましたね。憂慮するのが、アメリカでのCOVID感染者の激増です。大統領は選挙結果に納得行かないことばかりを主張して、COVID対策はまったくなされていません。それどころか、自分の正当性を訴えて集会を開いたりしていますが、集まった人たちはマスクをしていません。州によっては、死体安置所が飽和して、屋外にコンテナを積んで対応しているようです。もうため息ばかりの状況です。みなさんは安全に過ごされていらっしゃいますか。

IT企業のアメリカ進出2_1238

 さて、前回から考えてきた「インターネットを利用するサービス業を日本で展開しています。これから事業を国際化したいと思い、アメリカにオフィスを置こうと思っています。最初はシェアオフィスではじめ出張ベースで日本とアメリカを行き来しようと思っています。ひいては、家族を連れて就業ビザを得て日本から渡米しようと計画しています。多くのIT企業が日本からアメリカに進出して結局撤退することが多く慎重になっていますので、ビジネス面ではなく法律家の意見を聞きたいと思っています。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

税法上「居住者」とみなされる可能性

 税法上「居住者」とみなされるのは、アメリカに183日以上滞在している者を言い、移民法によるステータスに優先して適用されることになる、というところまで前回考えました。

 この税法上の定義もあり、ビザ免除入国90日間をギリギリに使ってアメリカに滞在することを繰り返すと、「居住」しているという疑問が生じ、入国を拒否される可能性が格段に高くなります。

 もちろん、新しい土地で、新しいビジネスを始めるにおいて、90日間というのは、かなり限られている時間で、実際なんらかのビジネスの成果が得られるか疑問ではあります。ここで、IT系の会社に関しては2つの方向性で考えるのが良いと思います。

Bビザの取得

 一つは、Bビザを取得することです。Bビザというのは、短期滞在ビザと表現されますが、通常はビザ免除制度がない外国人がアメリカに入国する場合に許可申請するビザです。

 日本人はアメリカにビザ免除制度を利用して入国できますが、Bビザの許可申請を行うことも可能です。Bビザでアメリカに入国すると、6ヶ月の滞在が許され、そのまま滞在を継続して、さらに6ヶ月の延長申請が可能になります。

 また、他のビザへの変更(滞在資格の変更)も可能になります。Bビザではアメリカ国内で就労することは許されていませんが、期間的にも、他のビザに変更する可能性においても、ビザ免除制度よりは優れている面があります。

 1年あれば、ビジネスの可能性についても、ある程度は探ることは可能なのではないでしょうか。

アメリカ進出前に反応をさぐる

 2つ目の方向性としては、IT企業の特性を生かして、日本からアメリカに進出する前に、サービスをスタートさせて現地の反応をみるということだと思います。

 物販の場合には、やはり基地がローカルにあることは重要なのかもしれませんが、サービスに関しては、企業の場所をそれほど選ばないはずです。

 まずは、言語をローカライズして、どのようなマーケットがあるのか、どのようなサービスに人気が出るのか、などを探って構築してしまうのが近道かもしれません。

 そのように初期投資は「アメリカに来る」ということを先におかず、アメリカの消費者はどのように受け止めるのか、企業のサービスを試してみて、そこでできたつながりを利用して、現地に進出するという方法が可能ですし、ベターかもしれません。

 実際にそのように、現地のマーケットを探ってサービスをはじめて広げていく企業は、かなり根強く残っているようです。また、投資額も限られた状況ではじめられるので、リトマス試験紙としては良いのではないでしょうか。

 この段階を経てから、シェアオフィスをアメリカで借りるなど実体的な部分を揃えていく作業をすれば良いと思います。また、会社によっては、まず雇用関係を構築することを優先して、人材を探し高額を払うというケースもありますが、初期段階で人をフルタイムで雇うというのは、リスクが大きいと思います。

 請負会社を探して、一部を部分的に担ってもらうという形にするのが徐々に事業を広げる近道だと思います。雇用関係が生じると、労働関係法が絡んでくるので、人との関係が複雑になります。ですので、請負的な関係で始めるのが妥当ではないかと思います。

 また、次回続けていきましょう。

 秋の味覚を楽しむ時期ですね。私もナスを揚げたりして楽しんでいます。日が短くなってきたので、家にいて運動不足になることも多いですが、心身の健康を保ちながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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