法律ノート 第1482回 弁護士 鈴木淳司
July 21, 2025
週末にある田舎のカフェに立ち寄っていました。
どのくらい田舎かというとそのカフェの裏で牛を二頭飼っていました。
そのオーナー女性の友人が不当解雇をされたということで昼食を食べながら相談に乗っていました。
とても気の良い人達で、温かみもあり二時間も時間を過ごしてしまいました。
根っからのトランプ信者で、政治的な話はしませんでしたが、民主党のやり方というのも何か夢を語るだけではなくて、本当に都市部だけではなく、全体の人々の意見をちゃんと吸い上げられる政党であってほしいな、と思いました。
離婚申立てとアメリカの滞在資格(2)_1482
さて、前回から考えてきた「私(日本国籍女性)は夫の職場からビジネススクールの派遣留学に合わせて渡米しました。子どもはいません。留学中に夫との関係が悪化し、離婚を考えています。現在夫の学生ビザの付帯としてアメリカに滞在しているのですが、夫は日本の雇用主から、数カ月後に帰国をするように言われています。私はどちらというと離婚してアメリカに滞在したいのですが、なにかこのままアメリカに滞在する方法はないでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。
前回の復習をすると、主たる申請者が取得したビザ、そしてそのビザに基づく滞在期限が切れてしまうと、従たるビザ(配偶者・子のビザ)、およびそのビザに基づく合法的な滞在は、同時に失効します。
当たり前ではあります。
今回の質問の場合、夫が帰国してしまうと、夫のビザは就学中のみに有効であるということから、従たるビザ・滞在ステータスも終わる、ということになります。
ここまで前回考えました。
この考え方は、基本的に他の非移民ビザにも同様に適用されます。
また、学生ビザだけではなく、あらゆる非移民ビザに適用される内容になっています。
たぶん、今回質問されている方も自分のビザ・滞在ステータスに関しては、「まだ有効期限があるから問題はなさそう」と考えられているのかもしれませんが、配偶者ビザでアメリカに滞在している場合には、どのような状況にあっても主たるビザ・滞在ステータスに直接影響を受けることをまず理解してください。
このようなバックグラウンドをよく理解していない状況で、単に離婚を申し立ててしまうと、今回の質問者のように従たる配偶者の場合には、アメリカ国内で滞在できるステータスが自動的に失効してしまう可能性がありますので、注意が必要です。
今回の質問者の夫が、離婚の提起を知り、帰国したり、他のビザに変更したりすると、自動的に従たるビザ・ステータスは失効します。
そうすると、アメリカに滞在しながら他のビザステータスに変更することは、特に現政権下では著しく難しくなります。
ここまで移民法の現状を踏まえましたが、夫婦仲が悪く離婚を考えていて、今回の質問者のようにアメリカに滞在し続けたい場合には、離婚を提起する前にかならず自分のビザステータスを確保することが第一歩になります。
すなわち、夫の従たるビザから独立して、自分で主たるビザを取得する必要がでてきます。
たとえば、ご自身で学生ビザを取得することも一つ考えられますし、就労ビザを目指すことも考えられます。
現在合法的に配偶者ビザで滞在されているのであれば、アメリカ国内に滞在しつつ、ビザのステータスは変えられますので、他の滞在資格を取得することが考えられます。
ただ、アメリカ国内に滞在しつつ他のビザステータスに変更した場合、実際にパスポートに押されるビザは受け取れません。
ビザは、アメリカ国外のアメリカ合衆国の在外公館でしか発給されないからです。
アメリカ国内でビザステータスを変更した場合には、アメリカ国内外を行き来するためには、ビザが必要になりますので、一旦アメリカ国外に出て、ビザの申請をしなければなりません。
もちろんビザというのは絶対に発給されるものではないので、アメリカ国内でビザステータスの変更が可能であったとしても、アメリカ国外、たとえば在日本米国大使館・領事館でビザの発給が拒否される可能性はあります。
今回の質問者のように、アメリカに継続して滞在し続けたい、という希望ですが、たとえば数年アメリカから出なくても良いのであれば、アメリカ国内でビザステータスを変更して、滞在し続けるというのも一つの方法論になります。
一方で、アメリカ国内外を行き来する必要があるのであれば、一度日本に戻って新たに自分を主としてビザの申請をする必要がでてくるのです。
この辺の事情は、必ず移民法に詳しい弁護士に相談をしてからアドホック的な解決策を採ることが重要です。
とにかく、いきなり離婚訴訟を提起したり、離婚を切り出したりする前に準備を踏まないと、現政権が強制送還を強く打ち出している滞在資格切れ状態になってしまいますので、よく下準備をしてから、行動に移してください。
また、次回新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
夏真っ盛りで私もアウトドアで日焼けをしていますが、太陽を楽しむことは精神的にもとても重要だと思っています。
ぜひ皆さんも、太陽のもと少しでも夏を楽しまれてください。
また来週まで体調に気をつけて、水分を十分に吸収しながらがんばっていきましょうね。
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