米_連邦政府の調査連絡への対応は?(3)_1478

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1480回 弁護士 鈴木淳司
July 5, 2025

私がアメリカで高校生をやっている時代、夏にアメリカ人の友人が一緒に日本に遊びに来た思い出があります。
そのときに自宅で簡単な花火をやっていたことに狂気して興奮していたことを思い出しました。
独立記念日といえば、花火がつきものですが、カリフォルニア州の多くの郡では個人で花火をやることは原則禁止されています。
火事の火元になるからです。
人間というものは禁止をされると、そのことをやりたい欲が生まれるというのは、どの時代でも、どこの世界でも変わらないな、などと懐かしく思い出していました。
皆さんはオフィシャルな三連休どのようにお過ごしでしょうか。

米_連邦政府の調査連絡への対応は?(3)_1478

さて、過去に二度続けて考えてきた、「現在日本に滞在しているものです。米国の永住権を持ち2023年まではカリフォルニア州に滞在していました。2023年に仕事の関係で日本に戻ったのですが、永住権はそのままです。2024年にアメリカの国税庁と捜査局が事情聞きたいと言うことで、手紙が前の職場に届いていたみたいですが、既に私はアメリカに滞在していないのでそのまま放置しておきました。しかし、その後、前の職場に対してまた電話での連絡(2024年)があったりして、このまま無視していてもいいのかと思い不安になりました。日本で弁護士に相談すると無視は良くないと言う人もいれば、このまま日本にいるのだから無視しといても構わないと言うアドバイスも受けています。実際のところ、私もどのような罪に問われているのかよくわかっていないのですが、どのように対応していくべきなのかわかりません。」という質問について今回も続けて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

ターゲットレターという政府からの打診について前回まで考えました。
含むとしては、「あなたが何をやっているかわかっているので、今のうちに打ち明けなさい」という内容です。
自首を促しているわけですね。

事例や内容によっても、まったく対応策が違うと思いますので、ターゲットレターらしきものを受け取ったらまずは弁護士に相談することをおすすめしますが、今回は一般的な状況について考えておきます。

かりに、まったく身に覚えがない場合、そして自分の認識に関わらず(違法かどうか知っていたかに関わらず)、打診のあった内容には一切かかわっていなければ、返答として、そのようにはっきり答えるのが妥当だと思います。

放置しても良いという弁護士もいるかもしれませんが、私の経験上、放置をすればそのまま捜査は進み、連邦政府は強大な捜査権限をもっているので、本人の協力がなくても巻き込んでくる可能性は十分にあります。
ですので、「何も知らない、何も関わっていない」ということをはっきり言えるのであれば、端的にそのことを知らせて、あとは協力を断るという方策もあると思います。

次に、覚えがある場合です。

この場合はかなり慎重に対応しなければなりません。
弁護士のなかには一切答えるな、という人もいるかもしれませんが、経験上対応することで難を逃れている事例も、私が扱った事件のなかにあります。

「覚えがある」といってもいろいろなケースが考えられます。
具体的な例を出すのは難しいのですが、詐欺に積極的に加担している場合、単に、連邦政府から問い合わせられている内容にかかわることに実際に関わっていた場合、単に問い合わせ内容に関することを知っていた場合などが考えられます。

どのように、連邦政府に対応するかは、とてもセンシティブな問題です。
実際に、当初から協力している場合としていない場合では、のちに起訴に至った場合には、かなりの差が出てきます。

推測ではありますが、水原一平受刑者の事件でも、当初から積極的な協力をしたのだと思います。
それで、法定刑に比べて実際に言い渡れた罪が約半分になっているわけです。

ここで協力するのかどうかのメルクマールですが、温度感として積極的に参加している場合には、協力をしていくほうが、最終的に罪は軽くなっていくと思います。

単に知っているというだけでは、起訴さえされない可能性もあり、逆に検察側の証人として保護が与える場合もあると思います。

もちろん具体的な事件によっても違うのですが、やはり実際に有罪になりそうだ、と考えられる場合には、取引内容についてできるだけ有利なものを引き出しながら、協力をしていくということが必要になります。

一方で、有罪にはされにくい、といった事情がある場合には、ある程度対話を続けていき、罪にできるだけ問われないように引っ張っていくということも可能かもしれません。

ターゲットレターには誰に対する、どの罪に関する、ということは書かれていないので、あまり重く思わないかもしれませんが、大規模な詐欺、売春組織、麻薬組織、賭博などの壊滅のために多くを語らずに使われるのです。

脱税に関しても同様です。

したがって、無視を本当にしても良いのかは、慎重に判断するべきですし、数年経ってしまったからといっても、まだ遅くないかもしれませんので真摯に対応したほうが良いと思います。

また、今回質問をされている方は現在日本にいらっしゃるようですが、アメリカの連邦検察は、犯罪人引き渡しを申請することに慣れています。
州の検察に比べて、機動力もあるので、私も何度か経験していますが、アメリカから犯罪人引渡しの請求をして、東京高等裁判所でその可否が判断されます。

ですので、日本にいるからといって、安全であるとはいえないので、どうか真摯に対応されてください。

今回の質問に関しては、私の経験から色々言えることもあるのですが、具体的に語ることは少々むずかしいので一般化しましたが、歯切れが悪かったでしょうか。
とにかくターゲットレターというものを連邦検察から受け取ったら無視はせずに、ダメージが一番少なくなるような対応方法を真摯に模索してください。

次回から、また新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。いろいろな質問に対してお待たせして心苦しいです。
また緊急を要する場合には、ぜひご自身が信頼できる弁護士にご相談ください。
夏の三連休です。
もう半年終わってしまいました。
後半も体調に注意しながらがんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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