法律ノート 第1477回、弁護士 鈴木淳司
Jun 15, 2025
アメリカの現政権はカリフォルニア州ロサンゼルスの各地で不法移民の摘発を行っています。
中には、親は不法移民ですが、子どもはアメリカ市民権を持っている家族もいます。
この摘発は各地で行われており、それに反応してデモが各地で行われています。
この状況を受けて、私の所属する事務所にも現状を踏まえた不安などから、問い合わせが増えています。
例えば、正当に永住権を持っているが、更新手続きをするときに何か齟齬が出ないか?など、今までなら考えられないような相談が増えてきています。
相談事項だけであれば、クリアにお答えしておけば問題は解決するのですが、とうとう私の所属する事務所が扱う市民権申請の面接に影響が出ました。
すなわち、ロスのサンタアナにある移民局において、アメリカ市民申請をしていた方がいるのですが、今回のデモを踏まえて、移民局側から数日後に予定されていた面接がキャンセルされるという通知を受けました。
今後も移民、行政に関して、かなりの遅滞や混乱が起きる可能性が出てきている状況です。
米_永住権の調査連絡への対応(1)_1477
さて、今回からまた新しく皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると「現在日本に滞在しているものです。米国の永住権を持ち、2023年まではカリフォルニア州に滞在していました。2023年に仕事の関係で日本に戻ったのですが、永住権はそのままです。2024年にアメリカの国税庁と捜査局が事情聞きたいということで、手紙が前の職場に届いていたみたいですが、既に私はアメリカに滞在していないのでそのまま放置しておきました。しかしその後、前の職場に対して、また電話での連絡(2024年)があったりして、このまま無視していてもいいのかと思い不安になりました。日本で弁護士に相談すると無視は良くないと言う人もいれば、このまま日本にいるのだから無視しといても構わないと言うアドバイスも受けています。実際のところ、私もどのような罪に問われているのかよくわかっていないのですが、どのように対応していくべきなのかわかりません。」というものです。
いろいろ質問のメールはいただいているのですが、なかなかすべての一般的な質問に対してタイムリーにお答えできなくて申し訳ありません。
今回の質問も昨年いただいていたもので塩漬けになっていました。
今回お答えする質問ですが、質問者の方も実は細かい情報を提供できない状況なので、質問に対して、的確なアドバイスをする事は難しいかもしれません。
国税局や捜査局が永住権者に事情を問う意味
状況としては、アメリカの連邦政府の一部である国税局や捜査局から事情聞きたいと言われているということです。
そして、その事情を聞きたいと言うことに関して、フォローアップの電話までかかってきているということでしょうか。
少なくとも言えそうな事は、アメリカの連邦政府が税金やそれに関わる捜査に関して事情を聞きたいと考えているということだと思います。
現時点で考えられる可能性
問題としては、連邦の事件となると大規模で行われている捜査の可能性があること、法律で定められた罪が重い可能性があること、そして場合によっては日本にいる人もターゲットになりかねないという可能性があることなどが考えられます。
今回の質問に対して、具体的にはお答えすることはできませんが、私の経験を踏まえて、今回のような事例の場合、連邦政府はどのように対応していくか考えていきたいと思います。
ターゲットレターが送られてきた場合
まず今回質問されている方の元の職場が受け取った手紙は、連邦政府から提供されるいわゆるターゲットレター(というもの)の可能性があります。
これはあくまでも推測ですが、少し前に連邦事件で起訴された野球の大谷選手の元通訳の事件についても、起訴される前に、このターゲットレターというものを受け取っていたのではないかと私は考えています。
このターゲットレターというのは連邦政府が情報を提供することを求める手紙です。
連邦政府の捜査局、例えばFBIなどにおいても捜査をする人員は限られているわけです。
そうすると例えばかなり事件を解明するための証拠が整っていたり、重要な捜査の情報が既に手元にあったりする場合には、全体を解明するために、さらに証拠を得たいと思うわけです。
ここでその情報を持っている人、犯罪に関わっているような人に対してターゲットレターというものを送るわけです。
捜査への協力を求められている
この手紙にはいろいろなバージョンがありますが、基本的には「あなたはこのような犯罪捜査の対象になっています」ということが書かれていて、素直に捜査に協力をしていただきたいという方向の話が書かれています。
また、場合によっては「◯◯に関する証拠や書類の一切を提供」するようにと書かれる場合もあります。
このターゲットレターというのは、実際に具体的に誰を本当にターゲットにしているのかは書かれていませんし、犯罪の内容というのも書かれていません。
逆にレターには、あまり具体的なところは書かれておらず、「あなたに思い当たる節があるでしょう」といったニュアンスでの書きぶりになっていることがほとんどです。
すなわち何か思い当たることがあれば、「自発的に捜査に協力」しろと言っているわけです。
実際問題として、思い当たる節があれば協力をすることが1つの方策だと思われます。
ただもちろん具体的な事件によっては無視を貫く場合もあるでしょう。
ここはやはり、経験のある弁護士とよく相談して、どのように対応するのかを決めるべきではあります。
今回の質問をされている方のように何もせずに、ただ単に黙って無視をしているのは危険だと思います。
ここから次回続けて考えていきたいと思います。
なんとなくですが、今年の夏は虫が多いような気がします。
いろいろ気候変動が虫にも影響しているのかもしれません。
既に私も蚊に何回か刺されてしまいました。
まぁ夏はしょうがないですね。
カリフォルニアは相変わらず天気が良いのですが、皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか?
いろいろ政治については落ち着かないこともありますが、体調に気をつけながらまた一週間頑張っていきましょう。
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