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サンフラン SF滞在

法律ノート 第1476回 弁護士 鈴木淳司
Jun 9, 2025

米国大統領が、カリフォルニア州ロサンゼルス市で40人以上の不法移民の摘発を行ったことに端を発した暴動が今週末激化しています。
州知事は異議を唱えていますが、大統領は連邦法典第10章という、司法試験でもまず出てこない条文を利用して、カリフォルニア州の軍隊を出動させました。
歴史的にある州内でおこなっている暴動に対して、連邦の軍隊は出動しません。
そこで、この条文を利用したわけです。
ただ、暴動は収まらず現状では、連邦の軍隊まで出動させるということに言及しています。
今回の政権になってから、私も今まで弁護士をやっていて30年になりますが、聞いたことがない古い法律や、知らない法典の条文などが出てきて、ある意味勉強になります。
皆さんは、夏を楽しまれていますか。
日本は梅雨入りでしょうか。

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さて、前二回「日本から(カリフォルニア州)留学している学生(男性)です。語学学校から含めるともうすでに6年ほどアメリカに学生ビザで滞在しています。学校に通っている間に私は同性愛者なのでパートナーができました。彼はアメリカ市民です。現在2人で住んでいます。学校卒業するとビザが切れるのでカリフォルニアでパートナーとして入籍し移民申請をしようと思っています。あまり法律的なことを知らないのですが、まず入籍した場合のメリットやデメリットについて知りたいですし、仮に入籍した場合には、連邦政府を通して永住権の取得が可能なのでしょうか教えてください。」という質問を考えてきました。

州政府で認められる「パートナーシップ」は連邦政府では認められない、というところまで前回考えました。

ですので、連邦政府が管轄している移民法については、連邦法条認められている「婚姻」が前提になります。

結論から言うと、米国の永住者や市民であるパートナーが、登録ドメスティックパートナーシップに基づいて、外国籍のパートナーの永住権(グリーンカード)を申請することは現在の連邦移民法ではできません。

永住権の取得には、連邦法によって認められた「結婚」が必要となります。

2013年の米国最高裁判所の判決「United States v. Windsor」と、2015年6月26日の判決「Obergefellv.Hodges」より、同性婚は全米で合法とされ、連邦政府もこれを認めることになりました。

これにより、米国市民または永住者の同性配偶者は、異性間の配偶者と同様に、家族ベースの永住権(グリーンカード)申請の資格を得ることができます。

2022年12月には、同性婚と異人種間婚姻の権利を連邦法で明文化する「尊重結婚法(Respect for Marriage Act)」も成立し、さらにその法的保護が強化されました。

カリフォルニア州で同性パートナーと「婚姻」する方法は、異性間の婚姻と全く同じ法的プロセスを踏みます。

主な手順は以下の通りです。

(1)まず、カリフォルニア州内のいずれかの郡庁舎(CountyClerk’soffice)に両パートナーが直接出向き婚姻許可を受けます。
有効な身分証明書を持参し、結婚の要件(未婚であること、年齢要件など)を満たしていることが確認されます。

(2)取得した婚姻許可証は90日間有効で、その期間内にカリフォルニア州内のどこかで結婚式を執り行う必要があります。
結婚式は、牧師などの聖職者、現役または退職した裁判官や裁判所書記官、民事婚姻のコミッショナー、または一時的に婚姻執行官に任命された友人や親族(”Deputy Marriage Commissioner for aDay”)によって執り行われる必要があります。

(3)結婚式後、婚姻執行官が婚姻許可証に必要事項を記入し署名します。
その書類が郡庁舎で受理・記録されると、正式な婚姻証明書となります。
氏名変更や移民申請など、公式な手続きにはこの婚姻証明書の認証済みコピーが必要となります。

このように、婚姻をすることにより、連邦政府にも、その婚姻が認められるので、同性カップルが米国での永住権取得を目指す場合は、カリフォルニア州を含む米国で合法的に「結婚」することが第一のステップとなるわけです。

重要なのは、今回質問されている方は、パートナーシップというコンセプトと婚姻というコンセプトを少し混同されている可能性がありますので、永住権取得を目指すのであれば、「婚姻」するという道をパートナーと話し合ってください。

次回からまた皆さんからいただいている質問を、新たに考えていきたいと思います。

移民政策や中東政策、関税政策など、毎日変化があり、落ち着かない日々が続きますが、また一週間体調に気をつけてがんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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