オーストラリアと日本
日本の学生たちの留学先としても、時差が少ないオーストラリアは、現在もアメリカに次いで最も選ばれる国の一つです。
また、オーストラリアでは日本語を学ぶ人も多く、日本への親和性が高い国の一つであり、オーストラリア留学がきっかけで、そのままオーストラリアに長期滞在される方々も少なくありません。
オーストラリア在住の日本人YouTuberの方々も、多数いらっしゃいますね。広々とした道路や街並み、どこまでも続くビーチ、桁違いの大自然など、動画を見ているだけでも「一度は行ってみたい!」と思われるのではないでしょうか。
そして観光に加えて、貿易上も、輸入・輸出ともに重要な相手国であり、ビジネスの観点からも緊密な関係があります。
このように、日本とオーストラリアの関係は、中学生高校生などの修学旅行や短期留学・訪問からはじまる人的な交流に加え、強固な経済的、文化的、外交的協力など、長期かつ多くの分野にわたっています。
両国関係を静かに支える法律家たち
留学、観光、長期滞在、輸出入と、交流が深まる背景には、国レベルの条約関係や、 企業同士の取引や提携、物資の輸送、情報の行き来等、実にたくさんの仕掛けがあります。
その仕組みを影で支えている人たちの中に、法律家がいます。国をまたぐと、法律も違い、考え方も違い、利害も関係してきます。そこに積極的に関与し、課題を整理し、紛争に備え、社会的・法的な安定性を構築するのが弁護士をはじめとした法律家たちです。
専門分野が異なる様々なエキスパートとして、要所要所で日本人やオーストラリア人の法律家たちが活躍しています。たとえば、航空会社にも法務部や弁護士は必須ですし、貿易や取引・契約等で取り決めをする際にも、弁護士同士が企業とともに、あらゆる角度からルール作りをします。インターネット上のホームページの合法性や提示すべき事項などの情報分野を専門にする弁護士もいます。
だからこそ、日本から外国であるオーストラリアに渡航ができるし、オーストラリアの情報もスマートフォンで手軽に見られますし、輸出入によってオージービーフを食べたり、ロブスターやワインを日本のスーパーで買ったりできるわけですね。
外国ではその国の身近な法律家がいると安心
法律や法制度は、国ごとに違っています。弁護士資格も、もちろん国ごと、アメリカであれば州ごとに違っています。求められることが違うからです。
島国で、日本語(正確には琉球言語やアイヌ言語も)でも守られている日本は、世界でも最も治安が良い国の一つと言われています。確かに、クレジットカードや現金が入った財布やバッグが、そのまま戻ってくるケースも少なくないと思います。
しかし、一旦日本から出ると、日本語が通じない環境で、法的にも自己防衛できない状態になるのは、リスクでしかありません。もしも間違って逮捕をされても、なすすべがない状態になりかねません。
英語が堪能な方たちでも、たとえば日常触れることのない専門分野になると、途端に理解度が下がってしまう場合があります。英語の単語というよりも、背景になる制度や仕組み、手続きなどの知識がないことが原因です。
JINKEN.COMにも寄せられる詐欺被害の相談からも明らかですが、英語が話せる日本の方が、日本語では引っかかるはずがないレベルの詐欺被害に遭ってしまうのは、電話などでリアルタイムに英語でどんどんと話が進んでしまう場合がほとんどです。悪い条件としっかりと理解せず、「YES」と言って、クレジットカード番号等を教えてしまう… 。お話を伺えば伺うほど、相手方が、プロフェッショナルであることが伝わってきます。
交通事故は日常茶飯
ご存知の通り、オーストラリアは日本の25倍の面積。広大な国です。日本であれば、高度に発達した鉄道網で、車入らずの生活が可能ですが、オーストラリアの滞在では自動車移動が非常に重要になってきます。
当然ながら、オーストラリア観光にやってくる外国人も状況は同じですから、都市部であっても、多くの土地や交通システムに不慣れな人たちがレンタカーを利用して移動しています。追突事故、交差点事故、正面衝突にカンガルーとの衝突など、日常的に発生しています。日本の死亡事故数の3分の1程度とは言え、死亡事故も年間1000件以上発生しているのが現状です。
紛争解決と損害賠償請求を専門とする弁護士
したがって、人身障害や損害賠償請求を専門とするオーストラリアの弁護士とのつながりを持つことは、オーストラリアに住む日本人学生やビジネスパーソンにとって重要な選択肢です。
日本とは異なる、オーストラリアの複雑な法制度全体を理解し、支援を必要とする方や法人の権利や責任を認識し、法手続きにおいて公正な扱いを受けること全面的にサポートしてくれる人がいれば心強いことは間違いありません。
オーストラリアで学んでいる日本人学生さんにとって、人身障害や損害賠償請求を専門とするオーストラリアの弁護士は、留学中に発生する事故やその他の事件に関して、貴重なサポートを提供することができます。これには、保険適用範囲のアドバイス、受けた損害や相手方に対する賠償の追求、必要に応じ学生さんの利益を代理することが含まれます。
留学を見守る親御さんにとっても、留学をサポートするエージェントの皆さんにとっても、非常に心強いことは間違いありません。
同様に、オーストラリアでビジネスを展開している日本のビジネスパーソンは、ビジネス活動に関連する様々な法律問題に直面する場合もありますが、一個人としても、日常生活を営みます。その過程で、交通事故に巻き込まれる可能性は十分にあります。これには、雇用契約上の問題、加害者や被害者に関する問題、または賠償請求や求償請求などが含まれます。
人身障害や損害賠償請求を専門とするオーストラリアの弁護士とのつながりを確立することは、ビジネスパーソンが適切な法的アドバイスと代理を受けて、彼らの利益を保護し、潜在的なリスクを軽減するためにも役立ちます。
総括すると、オーストラリアで生活、学習、ビジネスを行う日本の方々(日本のみならず、外国人の方々にとっても)にとって、オーストラリアの法的状況に精通した専門家とのつながりを確立することは、より安定した生活を実現する上で貢献します。これは、彼らが外国の環境で法的な課題に効果的に対処し、彼らの権利と利益を保護するために必要なサポートとリソースを提供するからです。
弊社代表の弁護士鈴木淳司と、MBA法律事務所のミッチェル=クラーク弁護士は、20年来のお付き合いです。
MBA法律事務所
ジャパンリーガルサービス
ミッチェル・クラーク弁護士(同事務所パートナー弁護士)
ミッチェル=クラーク弁護士は人身傷害・賠償請求法のスペシャリストです。
思いやりのあるサービス
1970年の設立以来、MBA法律事務所は長年に渡って信頼の厚いサービスを提供しています。
思いがけない状況に置かれているクライアントご本人様にはもちろん、そのご家族や関係者の皆さんのお気持ちを理解し、真剣に対応いたします。
高度な専門知識
MBA法律事務所共同経営者であるミッチェル・クラーク弁護士は、オーストラリア クイーンズランド州法律協会より1998年以来、継続して、人身傷害法の分野で最も高いレベルのスペシャリストとして認定されています。
コミュニケーションは口頭、書面ともに日本語で
オーストラリアの法律についてご説明する際は、MBA法律事務所内の日本語スタッフや(あるいは必要に応じて)提携先の公認通訳士・翻訳家による日本語サポートがあります。
ニーズに応じた柔軟なコンタクト方法
必要に応じて、日本にお住まいのクライアント様とのオンラインや電話会議を、夜間や週末にも設定しています。あくまでも、クライアント様のご都合に応じたサービスを提供します。
締切および時間厳守
適切な予定日時を明示し、常に時間を意識し、迅速に対応いたします。
成功報酬制
私どもには、すべての案件において、必ず最善の結果をもたらそうという決意のもとに受任しています。これは、案件が成功に終わった場合に限り、法的費用をお支払いいただくというお約束に表れています。
また、より経済的に優位な方法があれば、クライアント様にはご提案します。例えば、ある英文書面を全文日本語にしてお渡しするよりも、電話を通じて口頭でご説明する方法もあることをお知らせします。このように、コスト面(法的費用)にも十分に気を配った現実的アプローチにより、最善の結果をもたらします。
ミッチェル・クラーク弁護士(パートナー弁護士)
<弁護士歴>
2002 MBA法律事務所の共同経営者となる
2000 MBA法律事務所に日本語部門を創設
1999 MBA法律事務所入所
1998賠償請求関連法のスペシャリストとして認定
1994 McLaughlins法律事務所の共同経営者となる
1991 クイーンズランド州弁護士を登録
Wilson & Copley 法律事務所入所
<学歴>
1989 クイーンズランド工科大学(ブリスベン)法学部卒業
これまでの主な裁判実績
ミッチェル弁護士は、オーストラリアの法廷で多くの裁判を経験しています。現在では、多くの事件が法廷外で解決されていますが、一個人である被害者と巨大企業である保険会社では公平性を欠いてしまう場合も少なくありません。
これまでのミッチェル弁護士の法廷での裁判経験は、マニュアルやAIなどに比較できるものではなく、救済を必要とする方々の大きな手助けになることでしょう。
ミッチェル弁護士の主要な勝訴実績
- McMillen v Brambles [2001] QSC 271 –
https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2001/271 - Rigney v Browne [2004] QSC 265 –
https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2004/265 - French v QBE Insurance [2011] QSC 105 –
https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2011/105 - Yamaguchi v Phipps [2016] QSC 151 –
https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2016/151
Huge victory associated with the Yamaguchi case in that we achieved an Order for Costs against the Defendant insurer QBE on an indemnity basis
オーストラリアの法律実務では、通常、費用の裁定には2つの基準があります:
a) 標準基準(party-party basis):これは一般的で、勝訴した側が合理的な費用のみを回収できます。
b) 補償的基準(indemnity basis):これはより寛大な費用の裁定で、不合理な金額でない限り、または不合理に発生した費用でない限り、すべての費用が回収可能です。
補償的基準での費用命令は例外的で、通常、裁判所が敗訴した側の行為を非難したい場合にのみ認められます。これにより、実際に発生した法的費用のより高い割合を回収できることが多いです。
この勝利が重要である理由:
- 大手保険会社に対して勝訴したこと。
- 単なる費用命令ではなく、補償的基準での命令を獲得したこと。これは非常に例外的で、勝訴した側にとって経済的に極めて有利になります。
- 裁判所がQBEとの訴訟での行為を、特に不合理だと判断したか、批判に値すると考えた可能性があること。
この結果は、勝訴した側の立場を正当化するだけでなく、法的費用のより大きな部分をカバーすることで、完全な経済的救済をすることになり、「大きな勝利」と捉えることができます。同時に、将来の同様のケースで、保険会社の態度を抑制する効果も期待できます。
- Yamaguchi v Phipps (No 2) [2016] QSC 170 –https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2016/170/pdf
- Gardiner v Doerr [2022] QSC 188 –https://www.queenslandjudgments.com.au/caselaw/qsc/2022/188