FY2027 H-1B申請開始と最新移民動向

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じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 04-07-2026

1.FY2027 H-1Bビザ抽選完了・申請受付開始について

いよいよ今年もH-1Bビザの申請シーズンが始まりました。
毎年この時期になると弁護士としていろいろと大変なのですが、今年は特に変更点が多く、クライアントの皆様にもご説明に苦労しております。
まず、今年の大きなニュースとして、USCISは2026年3月4日から3月19日までH-1Bキャップ登録を受け付けておりました。
ただし、登録開始当初はmyUSCISのシステム障害が相次いで発生し、ペイメント画面が先に進まないといった不具合や、登録ページ自体が表示されないといった問題が報告されました。
AILAはUSCISと連携してこれらの問題に対応し、最終的に登録期間が3月19日午後5時(東部標準時)まで延長されました。

そして、3月31日にUSCISが抽選(ロッタリー)の完了を発表し、4月1日から90日間の申請期間がスタートしました。
申請受付期間は少なくとも90日間ですので、今年の場合、3月に抽選された案件は2026年6月30日まで申請することができます。
「Selected(選ばれた)」のステータスが表示されている登録がある場合にのみ、H-1Bキャップ申請書を提出できますので、まずはmyUSCISのアカウントでステータスをご確認ください。

今年度(FY2027)のH-1Bには、いくつかの重要な変更点があります。

第一に、新しい賃金ベースの加重抽選システムが導入されました。
これは従来のランダム抽選ではなく、申請時に申告した賃金水準(OEWS賃金レベル1〜4)が高いほど、当選確率が高くなる仕組みです。
つまり、より高い賃金を提示した申請が優遇されるということです。
日本企業や外資系企業の皆様にとっては、ポジションの賃金設定がこれまで以上に重要になってきました。

第二に、2026年2月27日付の新しいForm I-129(非移民就労ビザ申請書)が4月1日から必須となりました。
古いバージョンのI-129を使用した場合は申請が却下されますので、必ず最新版(02/27/26付)をお使いください。
また、新しいH-1BおよびH-1B1データ収集・申請費用免除補足書(Data Supplement)には、職位の教育要件、必要な経験年数、特別スキル、部下の人数などを記入する新設質問項目が含まれています。
これらの記載内容が抽選登録時の情報および労働条件証明書(LCA)の内容と一致していることが非常に重要です。

第三の重要な点として、2025年9月21日以降に申請されるH-1Bビザには、場合によっては大統領布告に基づく追加費用として10万ドルの支払いが求められることがあります。
これは、「特定の非移民労働者の入国制限に関する大統領布告」に基づくものです。
具体的には、有効な非移民ビザのステータスを維持していない申請者が「ステータス変更」を申請する場合などが対象となります。
この点については個別事情によって判断が異なりますので、ご不明な点はお気軽にご相談ください。

申請書類の準備にあたっては、
①登録選択通知書(Registration Selection Notice)に記載の受益者確認番号(Beneficiary Confirmation Number)の確認
②SOCコードの整合性(登録フォームとI-129で同一の6桁コードを使用)
③正しい申請費用の計算(申告済みの社員数によって変わります)
④申請先ロックボックスの確認
⑤開始日が2026年10月1日以降であること等
にご注意ください。

申請期間終了間際の提出は、配達トラブルや書類不備の発見時に修正の時間的余裕がなくなりますので、早めの申請をお勧めします。

2.ビザ統計(Visa Statistics)考察:日本ポスト、主要カテゴリの動向

米国国務省(DOS)は毎年、非移民ビザ発給統計(Nonimmigrant Visa Statistics)を公表しています。
この統計は、国別・在外公館(ポスト)別・ビザカテゴリ別のデータを含んでおり、移民法の実務を行う上で非常に参考になるものです。
今回は特に日本の在外公館(東京・大阪・札幌・名古屋・福岡・那覇の各ポスト)での統計と、Bビザ、Eビザ、H-1Bビザ、Oビザ、Rビザというカテゴリに注目して考察してみたいと思います。

まず大前提として、日本は米国のビザ免除プログラム(Visa Waiver Program: VWP)加盟国です。
VWP対象国の国民は、観光・ビジネス目的で90日以内の短期滞在であれば、Bビザなしで渡航できます(ESTAの事前取得が必要です)。
したがって、日本の在外公館が発給するBビザの数は、VWP非加盟国と比べると少なくなっています。
Bビザが日本人に発給されるのは、たとえば過去に在米オーバーステイをしてVWPの資格を失った方や、長期のビジネス滞在を予定しておりESTAでは対応できない方などです。
また、最近のトランプ政権の厳格化方針の影響で、VWPのESTAそのものの審査も厳しくなってきており、従来はESTAで問題なく渡航できていた方が、念のためBビザを取得しておくことを検討するケースも出てきています。

Eビザについては、日本はアメリカとの通商航海条約を締結しており、E-1(条約商人)ビザおよびE-2(条約投資家)ビザの申請が可能です。

特にE-2ビザは、アメリカのビジネスに相当規模の投資を行った日本国民が、その事業を経営・監督するために渡米するビザであり、日本企業の駐在員や個人投資家の方にも広く活用されています。
東京・大阪ポストでのEビザ発給件数は、日系企業の米国拠点への派遣や、日本人による米国小規模ビジネス投資の動向を反映したデータとして注目に値します。
2025年以降、全体的な非移民ビザ発給件数は前年比で減少傾向にあり(2025年5月は前年同月比約16%減)、Eビザも例外ではありません。
これには審査の長期化や追加資料の要求が増えていることが背景にあります。

H-1Bビザについては、これは米国内でのスポンサー企業が先に申請するビザですので、日本の在外公館での発給件数は、抽選や認可後に本国帰国して申請した方(新規取得・更新)の数を反映しています。
インドや中国出身者がH-1B保有者の多くを占める中で、日本人のH-1B保有者も一定数おられます。
特に日本人研究者、エンジニア、ITスペシャリストの方がアメリカ企業に転職・就職する際に活用されています。
FY2024のデータでは世界全体のH-1Bビザ承認率は約97.21%と高水準を維持していますが、個別案件での追加資料請求(RFE)は増加傾向にあります。

Oビザ(卓越した能力を持つ個人のためのビザ)は、日本人にとっても重要なカテゴリです。
特にO-1Aビザ(科学・教育・ビジネス・運動分野での卓越した能力)やO-1Bビザ(芸術・映画・テレビ分野)は、日本人の芸術家、音楽家、映像クリエイター、スポーツ選手・コーチ等がアメリカで活動する際に活用されています。
日本のポップカルチャー、アニメ、ゲーム業界のクリエイターがアメリカ企業と仕事をする際のO-1Bビザは、近年需要が高まっているカテゴリです。
ただし、「卓越した能力」の証明には受賞歴、メディア掲載、契約実績など豊富な証拠書類が必要であり、審査の厳格化が進む中で申請準備には十分な時間をかけることをお勧めします。

Rビザ(宗教職従事者ビザ)については、日本の在外公館での発給件数は比較的少ないものの、日本の宗教法人のスタッフを米国の関連宗教施設に派遣するケース等で利用されています。
Rビザ申請では、宗教法人の財務状況の証明や申請者の宗教的役割の説明が求められ、ビザ取得に向けた書類準備が比較的複雑になる場合があります。

全体として、2025年から2026年にかけての米国非移民ビザ動向は、トランプ政権の厳格化方針の影響を受けています。
特に申請書類の完全性や整合性に対する審査が厳しくなっており、以前なら問題なく承認されたケースでも追加資料の請求(RFE)が出る事例が増えています。
日本のVWP加盟国の国民であっても、就労ビザや特殊能力ビザの申請においては、事前の準備を十分に行うことが今まで以上に重要になっています。

3.グリーンカード(移民ビザ)の最近のニュース

グリーンカード(永住権)の取得に関するニュースも、ここ最近は大きな変動が続いています。
まず、国務省が毎月発行する「ビザ・ブレティン(Visa Bulletin)」の2026年4月号では、就労ビザ(Employment-Based)カテゴリで過去数年間にはなかった劇的な前進が見られました。

具体的には、EB-2(高度な学位または卓越した能力を持つ移民)カテゴリのうち、中国・インドを除くWorldwide(日本もここに含まれます)、メキシコ、フィリピンが「Final Action Dates(最終承認日付)」チャートでCurrentとなりました。
また、EB-3(専門職・熟練労働者)カテゴリのWorldwideおよびメキシコは、Final Action Datesで約8ヶ月前進し、2024年6月1日付となっています。
さらに、Dates for FilingチャートではEB-3のWorldwideおよびメキシコもCurrentとなり、調整申請(I-485)の先行提出が可能な状況になっています。

なぜこのような急激な前進が起きているのか、疑問に思われる方も多いでしょう。
今回のビザ・ブレティンには、国務省が珍しくその理由を明記しています。
それは、トランプ政権が発令した大統領布告(第10949号、第10998号等)による「国家安全保障および公共の安全」を理由とした特定国籍者への移民ビザ発給停止や制限措置が影響しているとのことです。
これにより、本来これらの国籍者が使うはずだったビザ枠が他の国籍の申請者に回ってきた結果、日本を含むWorldwideカテゴリで大幅な前進が生じています。

ただし、国務省は注意書きとして、今後移民ビザの需要が回復した場合や、上記の行政措置が変更された場合には、年度内(2026年9月30日まで)に日付の後退(Retrogression)が起こる可能性があるとも明記しています。
日付が後退すると、それまで申請できた方が再び申請できなくなる事態も考えられます。
したがって、今の「Current」や大幅前進の状況に安心し切らず、申請可能な方は速やかに行動されることをお勧めします。

次に、移民ビザ処理のプロセスにも新しい動きがあります。

2025年11月以降、USCISが電子移民システム(ELIS)で審査したI-140(就労移民ビザ申請書)の承認案件が、電子的に国務省(DOS)のNational Visa Center(NVC)へ自動転送されるようになりました。
現在ELISで処理されているのは主にEB-1カテゴリのI-140申請ですが、今後拡大が期待されます。この変更により、NVCへのケース転送が従来よりも大幅に速くなり、同日中にケースが作成されたという報告も出てきています。
米国外でのビザ面接(領事面接)を予定されている方は、この新しい流れに対応したCEAC(Consular Electronic Application Center)の手続きについても把握しておく必要があります。
なお、2025年11月以前にUSCISで承認されたI-140案件や、ELISで処理されていないI-140については、引き続き書類の郵送提出が必要です。

グリーンカード申請に関しては、もう一つ重要な問題があります。

それは「公的扶助依存(Public Charge)」規定の見直し提案です。
DHS(国土安全保障省)は、バイデン政権時代に策定された公的扶助依存の基準に関する規則を廃止し、1999年以前の曖昧な基準に戻すことを提案しています。
これが最終規則として施行された場合、グリーンカード申請において審査官の裁量が大幅に拡大し、「公的扶助を利用する可能性がある」と判断される幅が広がることになります。
低所得の申請者や、家族のいずれかが公的扶助を受けたことのある方は特に影響を受ける可能性がありますが、日本人の駐在員・投資家・専門職の方々にとっても、今後の展開を注視する必要があります。
また、国務省も通常はDHSの公的扶助基準に倣いますので、移民ビザ面接においても適用される可能性があります。
現時点ではまだ最終規則は出ておらず、引き続き情報をフォローしていきます。

以上、今回は
①FY2027 H-1Bビザの申請受付開始
②ビザ統計の考察(日本ポスト、主要カテゴリ)
③グリーンカード関連の最近のニュース
についてまとめました。

各トピックについてご質問や個別相談がございましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。
引き続き、皆様に有益な情報をお届けしてまいります。


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