最近のビザ申請などのアップデートについて

Washington DC

じんけんニュース 03-06-2026 弁護士 鈴木淳司

2026年も3月に入り、米国移民法の現場は活発に動いています。
今回は、いくつもある移民法のトピックのなかから、現在進行中のH-1B登録、R-1ビザのルール変更、そして出生地主義(Birthright Citizenship)を巡る論点について、最新の資料や実務上の考察を交え考えていきたいと思います。

3月4日から、2027年度(FY2027)のH-1B初期登録期間が開始されました。
登録2日目の本日時点では、幸いなことに目立ったシステムトラブルは報告されておらず、滑り出しは順調と言えます。
しかし、今年のH-1Bは、前年度(FY2026)のキャップ案件が2026年2月上旬になってもなお数百件単位で未処理のまま残っているという異常事態の中にあります。

USCISは、オンライン・書面双方の申請において、特急審査の15営業日という期限すら守れないケースがあり、その理由を追加のセキュリティチェックが必要であると回答するにとどめています。
さらに今年からは、従来の無作為な抽選が廃止され、提示給与が高い申請者を優先する「賃金ベースの優先枠(Weighted Selection)」が導入されました。

この新制度では、提示給与がWage Level3以上に満たない従業員は選考される可能性が低くなるため、雇用主は早急なコンティンジェンシープランを策定する必要があります。
また、大統領布告に基づく「10万ドルの追加申請費用」という極めて高額な要件が一部に課されており、これら新ルールの合法性を巡っては、現在も各地で訴訟が進行しています。
H-1B就労ビザの基礎がかなり不安定なものになっている状況にあります。

宗教活動従事者のためのR-1ビザについては、2026年1月16日に発効した暫定最終規則(IFR)により、大きな緩和が行われました。
これまで最長5年の滞在後に再申請を希望する場合、義務付けられていた「1年間の国外待機期間」が撤廃され、一時的な出国だけで新しい5年間のステータスを取得可能になったことは、活動の継続性を守るための福音と言えるでしょう。
しかし、出国後のビザ面接において、清貧や服従の誓いにより母国に財産を持たない宗教者が、移民国籍法214条(b)項に基づき「移民の意図」を疑われ却下されるリスクや、同行家族(R-2)が米国内でステータスを維持できるかどうかが明記されていない点など、実務上の課題も浮き彫りになっています。
さらに、永住権(EB-4)を目指す場合、現状では20年以上の待機が予想される一方で、昇進等でポジションが変わると優先日を引き継げないという不利益も残っています。
不透明な実務の問題が山積しています。

最後に、2025年1月20日の大統領令により波紋が広がっている出生地主義(Birthright Citizenship)についても触れなければなりません。
この命令は、親が不法滞在者や一時的ステータスである場合に、その子供への自動的な市民権付与を制限しようとするものですが、現在は複数の訴訟により効力が停止されており、憲法修正第14条が保障する100年以上の歴史を持つ権利は守られています。
もし将来的に施行されれば、子供の母親が「不法滞在」あるいは学生、訪問者、一時就労者などの「一時的な合法ステータス」である場合、市民権が与えられないことになります。
これにより、病院や行政機関で親のビザ確認が必要になるなど、米国の社会システムの根幹に前代未聞の事務的混乱が予想されます。

現在の米国移民政策は、かつてないほど保護と制限が複雑に入り混じっています。
このような時期だからこそ、単なる情報の受け売りではない個別の戦略的対応が不可欠です。
特に市民権・永住権ではなく、ビザで滞在されている外国人の方は、長期的なプランを立てながらアメリカで生活する必要がありそうです。


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作成者: jinkencom

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