法律ノート 第1520回 弁護士 鈴木淳司
April 18, 2026
具体的には書きませんが、この二週間、弁護士の資格は持っているが、法律実務や一般の常識がない人間に複数名接して苦笑いするしかない経験をしました。弁護士の資格は勉強すれば取れるものですから、読者の皆さんも弁護士だからといって自動的に信用しないほうが良いです。常識というのは難しい勉強しても身につかないものなのだと、つくづく思いました。ある程度歳を重ねても、社会人としての常識がないというのは見ていて憐れです。人生は長いようで短いですから、関わらなくて済む人との接触はできるだけ避けようと思いました。
さて前回から「私はアメリカ在住ですが、日本から家族が入国する際に毎回心配になります。昨今入国審査が厳しくなっていますが、虚偽の申告が最大のタブーであることは承知しています。過去に2〜3ヶ月アメリカに滞在した女性が審査で理由を聞かれた場合、なんと答えるのがよいでしょうか?「英語を学びたかった」「退職後のんびりしたかった」など、何を言っても怪しく聞こえてしまいそうで…。」という質問を取り上げました。
入国審査において「観光でした」というシンプルな回答が最善であろうということを考えました。前回の法律ノートを読まれた読者の方から、さらに「ずいぶん前ですが、親戚の女性が半年くらいの間に2,3か月滞在を2回しています。今年入国する際に、そこを突かれないかと懸念しています。」という質問がありましたが、以前の出入国にも問題がなければ「観光でした」とシンプルに答えるのが最善なわけです。今回は、いくつか、具体的な受け答えのシナリオを考えてみましょう。
過去の長期滞在を聞かれた場合の答え方
第一点目ですが「過去の長期滞在」を聞かれた場合、例えば、審査官に “You were here for almost three months last time. What were you doing?” と聞かれた場合、次のように答えましょう。
“I was here as a tourist. I traveled around the US — I visited Los Angeles, and San Francisco. I stayed with my friend in California for a while.”(観光で来ていました。ロサンゼルスとサンフランシスコを旅行しました。カリフォルニアの友人のところにしばらく滞在しました。)
あるいはシンプルに”I was on vacation. I enjoyed sightseeing and visited family here.”(休暇中でした。観光を楽しみ、こちらの家族を訪ねていました。)ポイントである「観光」ということを短く言えばよいのです。
可能であれば、訪れた都市名や滞在先(友人宅、家族宅)を一言添えるだけで、観光らしさが増し、信憑性が上がります。これだけです。質問者の方が考えているように「英語を学びたかった」といえば、観光ビザで学生ビザを取らずに学校行っていたんじゃないか、と疑う端緒になりますし、「退職後のんびりしたかった」といえば、日本において仕事のつながりがなく、このまま永住する意思を持っているんじゃないか、と勘ぐられます。なので、とにかくシンプルに「観光」というのがベストであります。
今回の渡航目的を聞かれた場合
第二点目ですが「今回の目的」を聞かれることもあります。
アメリカ在住の家族を訪ねる場合は、これが最もシンプルな答えになります。”I’m visiting my daughter. She lives in [city]. I’ll be staying for about [X] weeks.”(娘を訪ねてきました。[都市名]に住んでいます。約[X]週間の滞在です。)”My son lives here, so I come to visit him every year.”(息子がこちらに住んでいるので、毎年会いに来ています。)
「アメリカ在住の家族に会いに来た」という目的は、審査官にとって最もわかりやすく、かつ説得力のある理由のひとつです。次に、友人を挙げる場合には、その友人が誰なのか、住所などの連絡先を聞かれることが多いので、ある程度頭に入れてから発言してください。
不法就労や不法滞在の意図があると判断されると、性別や旅程にかかわらず厳しく審査されます。特に滞在目的が不明確な場合は審査官の追加質問が増える傾向がありますので、家族でなく友人を挙げるのであれば、関係性や連絡先をしっかり説明するようにしておいてください。
仕事や学生かどうかを聞かれた場合
第三点目ですが、聞かれる内容のパターンとして「仕事は?学生ですか?」と聞かれた場合です。学生であれば学生証を出せばよいでしょうし、仕事をしていれば、社員証などを持っていれば問題はありません。
今回の質問にある退職後の女性の場合には永住するのではと疑われてしまう可能性がありますので、回答はシンプルにしましょう。”I’m retired. I have some time to travel now.”(退職しました。今は少し旅行を楽しむ時間があります。)という程度で充分です。色々理由をつけるよりは、退職者が旅行するのはごく自然なことですし、堂々と「退職しました。旅行を楽しんでいます」と言えばよく、それ以上の説明は不要です。
入国前に準備しておくべき三つのこと
最後になりますが、アメリカへの入国をスムーズにするために、以下の3つのことは用意しておきましょう。
(1)まず、帰国便のチケットを用意し、「いつ帰るか」を示すことが重要です。”When are you leaving?” と聞かれたら、日付とフライト番号を答えられるようにしておきましょう。
(2)滞在先の住所を把握していることが重要です。審査官は “Where are you staying?” と必ず聞きます。家族・友人の住所をメモして携帯しておきましょう。スマホに記録しても良いのかもしれませんが、スマホを見せると、また何か端緒を見つけられるかもしれませんので、パスポートに情報を紙にして、挟んでおいて、その場ですぐに見せられるようにしておけば良いと思います。
(3)そして、英語が苦手な方は、答えを事前に声に出して練習しておくと良いと思います。少なくとも、訪問目的、滞在先、そして帰国日については、短い英文にまとめ、アメリカ到着前に繰り返し声に出して練習しておくだけで、審査の場で落ち着いて答えらると思いますよ。
どの国に入国するにしても、入国審査で最も大切なのは、正直に答えること、シンプルに答えること、そして自信を持って答えることです。「観光で来た」、「家族に会いに来た」、そして「退職して時間ができた」といった理由は、どれも妥当な理由であり、それをそのまま言えばいいですし、堂々としていることが最高の対策だと思います。
また次回、皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。このご時世ですから、移民法関連のトピックは優先的に取り上げていく意向ですが、いただいた質問は忘れていませんので、順次とりあげさせていただき、皆さんと一緒に考えていければ良いと思っています。
夏のように暑くなったり、冬のように上着がいる日もあったり、天気が落ち着かないですが、体調に留意してまた一週間がんばっていきましょうね。
関連する米国公式リソース
- U.S. Customs and Border Protection(CBP)― 訪問者向け入国情報
- 米国国務省 ― B-1/B-2観光・商用ビザ
- CBP ― Know Before You Go(入国前の注意事項)
- ESTA(電子渡航認証システム)公式申請サイト
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年4月)の情報に基づいており、入国審査の運用や関連規則は変更される可能性があります。
実際の入国審査における対応については、個別の状況が大きく影響します。本記事の内容に基づいて行動される場合は、必ず専門の弁護士にご相談のうえ、個別の状況に応じた適切な法的助言を受けてください。本記事をお読みいただいたことにより、当所または執筆者との間に弁護士・依頼人関係が成立するものではありません。
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