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New York statue of Liberty

アメリカ移民行政の停止状況

移民行政の停止状況について 弁護士 鈴木淳司
April 9, 2020

 アメリカでは世界最多のCOVID-19罹患者がいる状況になってしまいました。特にニューヨークはひどいです。
 最近の調査では、どうも東海岸のウイルスはヨーロッパから入ってきた事例が多いということで、実際は2月前にすでに感染がはじまっていたことは間違いないんでしょうね。現政権は中国からの入国を制限しましたが、まったく筋が違ったウイルスの流入だったということになります。目に見えない敵というのは怖いものです。

 さて、この世界的大流行を受けて、アメリカの経済活動は停止していますが、政府機能もかなり停止しています。
 私が担当している刑事事件でも、裁判所は、出廷せずに命令を出したりしてくれています。連邦の裁判所でもそのような状況なので、連邦政府の機関もかなり停止している部分があるのが実情です。

米国移民局(USCIS)

 現状、米国移民局(USCIS)は、オフィスを2020年5月3日まで暫定的に閉めています。また、長期化してスケジュールが変わるかもしれませんが、現状では5月3日までは、行政が動かないということです。

 移民行政は、3月18日から、各フィールドオフィスに直接行くことが禁止されました。
 同時に、難民申請、申請サポートセンターも活動を停止しています。

 緊急がある場合には、コンタクトセンターに連絡しろ、ということになっていますが、どこまで実効性があるのか疑問ではあります。

リスケジュールの手続きも不透明

 この停止に伴って、申請者本人が出頭しなければならない手続きはすべて停止されていますので、移民局側から仕切り直した日程を記載した通知が各申請関係者に送付されることになっています。

 ただ、送付時期についてですが、移民行政が再開されたとき、ということになっており、確定された送付時期は現在わかりません。とにかく現状は、アポイントメント関係は「塩漬け」ということになっています。

 現在、申請中の方々は、移民局のコロナ関連サイトを中止する必要はあろうと思います(uscis.gov/coronavirus)。

回答期限も一部は猶予

 また、非移民ビザ関連については、申請の過程で、さらに証拠を出せというRequest for Evidence (RFE)や、申請不許可等、回答期限がついている手続きについても、回答期限について方針を示しています。

 まず回答について延期が許される場合は、回答期限が2020年3月1日から5月1日までの分に限定されます。
 そして、この期間内に回答しなければならない場合、その回答期限から60営業日以内に提出すれば、適宜提出とみなされることになりました。移民局の判断等、判断等に対して再審査等の請求をする場合は、移民行政機関の判断から60営業日以内に対応がなされていれば、適宜提出と認められることになりました。

実質的には完全停止の状態

 以上のように、移民行政業務は現状では5月3日まではほぼ完全に停止している様子であります。

 各国のアメリカ大使館・領事館の業務も停止している部門は多く、国全体でアメリカは停滞しています。移民業務についてもかなりの支障が出ていますが、現状では日本とアメリカの行き来もままならない状況ですので、これは世界的にしょうがないのかもしれませんね。

 現在は一人ひとりが、ウイルスの怖さを重々自覚して、はやくこの流行を抑え込めるようにがんばっていくしかないですね。皆さんも大変だとは思いますし、ストレスも溜まりやすくなると思いますが、トンネルには出口があるはずですので、今は耐えながらがんばっていきましょう。


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Golden Gate sanfran

米国で非営利団体を設立したい(4)_1136

法律ノート 第1136回 弁護士 鈴木淳司
Nov. 20, 2018

 北カリフォルニアの山火事による煙がベイエリアを覆っています。一時、「重度の健康への悪影響」という状況に至りました。私の所属する事務所も健康被害を考えて一日閉鎖をしました。街を歩く人達もマスクをしているような状況です。

 ただ、煙で被害がでていることは確かなのですが、私達が本当に考えなければいけないのは、人命や財産が瞬く間に失われた方々が実際にいるわけで、その方たちには計り知れない損害が生じているという事実です。本当に心が痛みます。カリフォルニアの試練の年です。しかし、雨がなかなか降りません。

米国で非営利団体を設立したい(4)_1136

 さて、前回まで考えてきた、「現在アメリカの大学でソーシャルスタディーズを勉強しています。卒業したら、賛同してくれる友人とともに、海外に住む日本人や、日本に行きたいという外国人を支援する非営利の団体をつくりたいと思っています。まだ、アイディアは漠然としているのですが、寄付を募ってこのような団体を設立し、将来米国を中心にして活動をしたいと思っているのですが、可能なのでしょうか。」という質問を続けて考えていきましょう。

 今回は移民法の観点から考えます。

重要なのは資本金

 今回の質問にあるような新規の事業をたちあげ、その団体を就労ビザのスポンサーとする場合、そのスポンサー企業の「器」にスポットライトが当たります。

 移民局は、スポンサー団体がどの程度の規模なのか、外国人を雇用して給与が支払えるほど安定しているのかを見ます。この傾向は最近かなり厳しくなっているところです。まず、資本金はどのビザにも大事なポイントであります。資本金がある程度の規模準備されているところでは、当初の給与も十分に支払いが可能であると判断されます。

 ですので、どのようなビザでも新規事業については、資本金が重要になってきます。

給与支払い能力を事業のキャッシュフローなどで示す

 今回質問にある非営利団体は当初団体が使えるお金が、ほぼない場合もあると思います。この場合、運営事業のキャッシュフローなどで給与などを支払える能力を示すしかありません。

 運営事業がどの程度の規模なのかは、寄付金がどのようにはいってくるのか、そして、どのような運営体制なのか、細かく問われることになります。

 そうすると、新規設立だと、当初からキャッシュフローを簡単に示すことはできないということになります。この点どのように解決していくのかという問題が生じますね。こういう場合、まず団体を立ち上げ、その団体をすでに合法的に運営できるご友人の力を借りるのはどうでしょうか。団体として、キャッシュフローができて、団体に給与支払能力がでてくれば、ビザの取得可能性は高まります。

 かりに、寄付をしてくれる個人や団体が、外国人のビザサポートをする程度まで、この団体が獲得できない場合、スポンサー団体としては不十分だということになります。近時、移民局は、団体や企業のビザスポンサーとしての適格をかなり細かく問うようになってきています。

実態がアメリカにない企業を移民局は厳しく判断

 次に新規のスポンサー団体となる場合、どのような設備投資をしているのか、最近は詳細に移民局が検討していることがうかがえます。団体であれば、オフィスもあって、それなりのインフラがなければたち行きません。

 ところが、最近はウェブベースのビジネスが台頭していて、実際のインフラはすべて日本にあり、アメリカでは何も実質的なビジネスはない、という企業も増えています。現状移民局はこういった物理的な実態がアメリカにない企業に対するビザ申請をかなり厳しく判断しています。

 どれだけ大きなIT企業でも設備投資をアメリカに行わない企業、すなわちアメリカに利益をもたらさない企業には、ビザの発給を渋る傾向にあります。

 したがって、スポンサー企業としてはどれだけ、アメリカに根ざしているのか、具体的な内容を示して主張していかなければなりません。

協力してくれる団体との関係を強化する

 それから、重要になるのは親団体および関連団体です。かりにかなりしっかりした運営基盤としてスポンサー団体が移民局に理解されればビザは通りやすくなります。バックボーンとしての親団体や関連団体はかなり重要になってきます。今回質問にあるような非営利団体だと、営利団体のように、資本関係を企業間で明確に示すことは難しいかもしれません。一方で、協力してくれる団体は、類似した方向性を持ったところはあるかもしれません。そういった団体と関係を強化して、色々な契約を結ぶといったこともビザの許可に繋がるかもしれません。

 ビジネスのアイディアは重要ですが、以上の点についてどれだけ、提出資料を整えなれるかは、ビザ発行の帰趨に影響すると思います。これらの点に気を払いながら団体を立ち上げていく必要があると思います。

 もうサンクスギビングの週になりました。カリフォルニアは大変なことになっていますが、全ての方々がどこかで幸せを感じられる週になりますよう心から願っています。

 次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。また一週間がんばっていきましょうね。


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大統領令による出生地主義の制限について_1134

法律ノート 第1134回 弁護士 鈴木淳司
Nov.6、2018

 今回は、皆さんからの質問にお答えするのを一度休ませていただき、法律に関する最近のトピックを考えてみたいと思います。

大統領令による出生地主義の制限について_1134

 明日(2018年11月6日)はアメリカ議会選挙が行われます。同時に多数の住民投票も各州、各郡で行われる大事な日であります。今年は、現大統領就任後、初のリトマス試験紙になるため、大統領は勝機を固めるべく様々なパフォーマンスを提供してくれています。

アンカーベビーとチェーンイミグレーション

 アメリカの南では難民申請を願ってアメリカに向けて進んでいるキャラバンのことを取り上げ、5000人以上の軍隊を国境に送っています。複数の退役幹部軍人がこれは明らかな政治的な軍事利用だと厳しく批判していますが、大統領は意に介さず税金を投入しています。

 現大統領は当選前、移民問題を大きく前面に押し出していました。その結果、正当な難民申請を目指している外国人に対しても、強く出ていることは明らかですが、もう一つ出生地主義の制限について中間選挙前に大々的にマスコミのインタビューで再度謳いました。「アンカーベビー」や「チェーンイミグレーション」を許すな、というものです。前者は、子供にアメリカ市民権を取らせ、それをきっかけにアメリカに移民をしてくること、後者は、一人がアメリカ市民権を取るとその家族もアメリカに移住してくること、を指します。この国は、現状の連邦制になってから歴史は浅く、現大統領の妻を含めほぼ後者のような形でアメリカに入ってきています。これを廃止させようとしているのです。

アメリカ国内で出生すればアメリカ国籍

 大きく分けて、世界の国々には、生まれた人に国籍が認められるには2つの方法があります。一つは出生主義、もう一つは出生地主義です。出生地主義を認める国家は、形は様々ですがアメリカを含め30以上あります。(現大統領がインタビューで、「このような出生地主義を取っているのはアメリカだけだ」と言っていたのは間違っています。)日本は出生主義を歴史的にとっていて、日本人の子でなければ日本人には出生時になれないのが原則です。

 したがって、現在アメリカ大統領が言っていることは、日本人には実は親和的に聞こえると思います。アメリカでは、アメリカ国内で出生すれば、アメリカ国籍が与えられます。移民国家であるアメリカではほぼ当たり前に受け止められていました。

これまでまもられてきた出生地主義に制限が?

 今回、現大統領は、大統領令によって、この出生地主義を制限する、とインタビューで明言しました。中間選挙前というタイミングは偶然なのでしょうか。以前、現政権は、アメリカに渡航禁止をする国を包括的に指定する大統領令を発令し、最高裁判所まで争われ、内容は一部改定したものの、大統領令が支持された過去があります。今回も本当に大統領令を発令することで出生地主義を制限できるのでしょうか。

 アメリカは立憲国家ですので、憲法が最高法規であります。その憲法の修正14条は1868年に現在の最終型として議会で制定されました。この修正が行われるまでは黒人であるがゆえにアメリカ市民として認められなかった過去があります。修正14条の原文は、該当する箇所について、この原稿の最後に記載しておきます。

「アメリカ合衆国で生まれた、または帰化したすべての人は、合衆国の管轄に服する場合、米国籍保持者である(筆者訳)…」とされています。米国で司法試験を受けるには、修正5条などとともに、暗記が要求されるほど、重要な条文です。

 1898年には、この修正14条が試された事件があります。中国籍の両親を持つ人が中国に滞在後、米国に再入国拒否され、最高裁判所まで争って、修正14条に基づいて、国籍を認められました(United States v. Wong Kim Ark (1898))。その後、この根本的に米国で出生した者に米国籍を与えるという考えは変更されていません。米国最高裁判所は、修正14条で認められた権利を文言通りに解釈しながら、広く権利を認めてきたのです。

 この流れで、1982年に判決に至ったPlyer v. Doe 457 U.S. 202 (1982)という事件では、不法移民の子で、米国籍を持たない子にも、修正14条の保護が及び、不法だからといって、教育費の削減をすることはできない、と判示されました。不法移民の子でも修正14条にいう「人」である、と判決文にあります。

このように、修正14条で出生地主義はかなり広汎に守られてきましたし、不法移民に対する修正14条の適用も最高裁判所判例で明確になっています。

「合衆国の管轄に服する場合」の解釈をめぐる議論

 しかし、上記修正14条の訳した一部である「合衆国の管轄に服する場合」の解釈について、ごく少数の政治家や法律家が噛みつきます。上記1982年の判決において「合衆国の管轄に服する場合の解釈は、判決本文ではなく、脚注で取り上げられているだけなので、少数派は、まだこの部分について、最高裁判所は判断していない、と主張しています。

 すなわち、不法移民であれば、合衆国の管轄に服していないと言えるというのです。1982年判決の根本的な趣旨に反している主張なので、簡単に通る考え方ではありませんが、このような議論の余地があり、これを現政権が使ってくる可能性は残ります。

 上記を見ると明らかですが、議会が制定した修正14条、司法の最高機関である最高裁判所が決めた判決が存在するなか、三権の一つである行政の長が大統領令を出すだけで、人権を制限できるのか、というとなかなか難しいことがわかります。

 今まで、まったく眠っていた問題ですが、司法界でもこれから議論されていくことになるトピックかもしれません。最高裁判所にも、現政権が指名した判事が二人入っています。今後上記を踏まえて注視したい問題ですね。 

(米国憲法修正14条原文抜粋)
All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the state wherein they reside. No state shall make or enforce any law which shall abridge the privileges or immunities of citizens of the United States; nor shall any state deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.


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H-1Bビザ-移民局の監視強化



移民局によるH-1Bビザの潜脱防止施策
Mar 08, 2018
 
H-1Bビザというのは、原則大学卒業程度の専門職に就く前提の外国人に給付さるビザです。
このビザは最大発給数が決まっていて、近年毎年その上限を超える申請があるため、抽選が用いられています。
H-1Bビザを取得するにも超えるハードルがかなりあるのですが、一旦H-1Bビザが発給されても最近では、移民局は、適法にH-1Bビザが使われているのか継続的に監視しています。
今回は、この移民局による監視について考えてみたいと思います。
 
H-1Bビザ取得者の実際の雇用先は?
まず、H-1Bビザが発給されるにあたって、雇用主および雇用の内容について決められています。
ところが、現状では、雇用主ではなく第三者の会社で外国人の雇用をさせるケースが多くあります。ある意味、H-1Bビザの趣旨の潜脱ですが、外国人を安く雇用するとか、H-1Bビザの趣旨と反するような雇用が行われています。意図的なのですが、会社で雇ったとしても、他の下請けに出すということがかなり行われています。
やっている会社も問題があるのですが、特にIT系の人材が枯渇している現状で、H-1Bビザが濫用されている面があるのです。
 
「出向」かあるいはH-1Bビザの潜脱か
ここで、H-1Bビザを取得して、雇用主のところで働く外国人が、第三就労場所で働くことに関して、最近移民局から通達が出されました。
もちろん、「出向」という形は考えられるわけですので、どこまで正当な「出向」なのか、または下請け会社を利用する潜脱なのか、という点について移民局が切り分けています。
 
ビザの申請内容に合致しているか
まず、H-1Bビザで雇われている者が、ビザで許可された内容で働いているかどうか、がポイントとなります。
申請ではエンジニアとして許可を得ている場合、その他の業種では働けません。
しかし「専門職」として雇用されたはずが、違った一般的な作業をさせられるなどというケースも多くあります。
 
雇用主と外国人被用者の関係は継続的か
もう一つのポイントは、H-1B申請時の雇用主と外国人被用者の関係が継続しているということが必要です。特に、雇用主ではなく第三者の管轄する場所で働く場合には、この契約関係が本当に継続しているのかを移民局はかなり詳細に確認してきています。
特に「専門職」ではなく、単にアメリカ人ができるような業種であれば、トランプ政権のいう、「アメリカ・ファースト」でアメリカ人の利益を守るべきであり、外国人の「専門職」とみなすわけにはいかない、という考えが強くでてきています。
一方で、インターネットがつながっていれば、どこでも仕事ができる時代なので、H-1B申請の潜脱があるのではないか、という懸念もあるわけです。
 
より具体的な監視ポイント
本当に「専門職」であり、雇用主が変わっていないか、というポイントに関して、
(1)雇用の場所
(2)実際に被用者によってサービスが提供される場所
(3)提供される労務の詳細な内容、成果物
(4)雇用主以外のところで働く場合、その期間、雇用主と、労務提供場所との契約関係
(5)第三者のところで働く必要性
などを移民局は確認します。
したがって、H-1B申請に基づいて許可された内容から乖離する労務の提供が行われている場合、それを正当化する書類等は、専門家のアドバイスを受け、常備しておく必要があります。
 
移民局による監視を前提に
もちろん、今回のH-1Bビザに関する継続した監視は、被用者が申請内容と異なる場所で働いたり、異なる作業をしていたりすることに向けられているので、通常のH-1B申請全般に適用されるということはありません。
ただし、注意しなければならないのは、H-1Bビザで外国人を雇用する場合には、常に移民局の監査が行われる可能性があるということです。H-1B申請書類に従った雇用がなされていたとしても、監査はあり得るわけです。
H-1Bビザの濫用を疑われた場合の対応として、常時、雇用に関する書類等、上記(1)-(5)であてはまるような内容が記載されているものは提示できるように用意しておくべきだと思います。
ビザが一旦許可されたからといって気を抜かず、ちゃんと継続して書類を常備することは忘れないでください。
また次回新しいトピックを考えていきましょう。
 
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H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響





H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響
Nov 28, 2017
2017年4月18日発効の大統領令
2017年4月18日、トランプ大統領は大統領令に署名し発効しました。
Buy American and Hire American」と呼ばれる題目がついていますが、選挙中声高に連呼していた「America First」を実行したものであると位置づけられています。
このなかに、米国人の雇用を何よりも優先するように各行政機関に義務付けている一般的な項目もあるのですが、第5条に、米国市民の雇用を促進するために、移民のシステムを見直すと書かれています。
そのなかで、特にH-1Bビザについては明記されていて、H-1Bビザは、(英語の解釈が曖昧なのですが)最上級のスキルを持つか、一番高額な給与を受ける外国人に優先的に与えるように指示されています。そして、この優先目的を達するために、過去の行政規則等を変更するように指示しています。
 
H-1Bビザーアメリカでの就労のかなめ
この大統領令の影響がH-1Bビザ申請に出始めています。移民実務にかなり深刻な影響がでています。まず、この大統領令によって、どのような影響がでているのか、そのバックグラウンドを考えてみます。
H-1Bビザというのはいわゆる専門的な職種に与えられるビザであり、大学または大学院などで勉強した内容を踏まえる職種を念頭に置いています。
したがって、外国人留学生が卒業して、就職するというときに使われるパターンも多くあります。近時、ソフトウェアエンジニアの確保のため、外国人をH-1Bビザで呼び寄せるというパターンも多く、アメリカ国内の雇用に影響するとして、毎年発給数の制限がなされています。
上述した大統領令のなかに、「最上級のスキルまたは高額な給与」ということが書かれていますが、これは、ある程度簡単にスキルがつけられる分野であればアメリカ人を優先し、安い賃金で外国人を連れてくるならアメリカ人を優先しろ、という思いを裏から言ったものです。
 
労働局の許可と賃金レベル
たしかに、外国人を専門的な職につけることを広く許してしまうと、アメリカ人の雇用を奪う可能性はあります。
そこで、移民法はすでにH-1Bビザの申請をする前置として、一般のアメリカ人の平均給与以上がその外国人に支払われるという労働局からの許可を求めていたのです。不当に安い賃金で外国人を雇用しないことで、外国人の利益も守り、アメリカ人の平均賃金も守るという意味合いがあります。
ここでは詳しく述べませんが、この労働局の許可を得るために、申請者の賃金レベルというのが5段階に設定されています。
レベルは経験によって違いがあり、レベル1はエントリーレベル、でレベル5は熟練した経験を持つレベルなどに区分けされています。
 
Request For Evidence – RFE
今回、大統領令で煽りを受けたのが、この労働許可でレベル1の許可を受けた申請者の方たちです。
H-1Bビザは抽選にさらされていたのですが、今年度の申請分についてやっとH-1Bビザを申請できても、今度は移民局が、さらにビザ許可に適格かどうかの証拠提出要請(Request for Evidence、略称RFE)を出すようになりました。RFEというのは、申請書類ではわからない部分があるので、もっと証拠を出せ、という要請です。
この手続がやっかいで、時間も労力もかかります。
もちろん、正当な内容のRFEもあるのですが、この大統領令以来、今までになかったタイプのRFEが続出しています。そして、H-1Bビザにおけるレベル1の労働許可については、かなりの数のRFEが出されていると移民法協会も記事にしています。
移民法協会の統計(弁護士が協会と情報をシェアする範囲だと思われます)によると、(1)申請書に記載されているレベル1とされている職種はレベル1よりも高度なものであり、給与が低すぎる点、説明せよ、というものと、(2)申請書に記載されているレベル1の職種は専門職とはみなされず大学の学位が不要である点説明せよ、という2つの要請が多く出ているということです。
 
H-1Bにいう「専門職」にも変化の兆し
今まで、移民法業務では、ある程度「専門職」とはなにかを示す指針があったにもかかわらず、それらの指針とは乖離して、許可を渋る傾向にあります。
たとえば、2000年に出された指針では、IT関係は専門職とされていましたが、これも今年から崩れつつあります。
現在では、移民法協会も実務を行っている弁護士も対策を練っている段階ですし、固まった指針も示されていません。しかし、移民局は大統領令を受けて、今までなかった保護的な指針でビザ申請を審査していることは間違いありません。
 
移民で構成されてきたこのアメリカも、現在では移民の締め出しをする方向で移民法実務も動いているように感じます。今後さらに締め付けが厳しくなる分野であろうと思われます。



アメリカのビザは取りにくくなっている?最近の米移民行政の傾向_1085





 
法律ノート 第1085回 弁護士 鈴木淳司
Nov 27, 2017
 
アメリカのビザは取りにくくなっている?最近の米移民行政の傾向
 
サンクスギビングが終わりましたね。皆さんはどのように過ごされたのでしょうか。私は長年の友人宅に招かれてターキーをいただきました。一昔前はサンクスギビング(木曜日)の翌日は、ブラック・フライデーと呼ばれて、各小売店では1年で一番安売りをするということが定番で、開店前から人だかりとなるなど、騒ぎになっていたものです。ところが、私も何か安くなっていないかと先週の金曜日にある小売店舗に行ってみたのですが、閑散として客もおらず、店員さんも暇そうでした。何が安くなっているの?と聞くと、全店15パーセントオフだよ、という返答でしたので、よく値段をみると、インターネット小売にはかなわない値段でした。そうです、ホリデーショッピングもほぼインターネット小売に移行してしまったのですね。モールにもなかなか客が集まらないようで、ホリデーシーズンに人が賑わう場所もどんどんなくなってきている現実に少々寂しい思いがしました。
 
移民局の審査は厳格化傾向に
さて、今回は一般的な内容になってしまいますが、現在のアメリカの移民行政の現実について考えたいと思います。最近、特に外国人のビザ申請について、移民局の審査が厳格化してきているように思います。
以前は問題なく通った申請内容でも、今年に入ってから、通らなくなる例が多くなりました。移民法協会などでも、活発に不可解な拒否事例が紹介されています。最近ではニューヨークで車を暴走させる事件があり、その犯人が永住権抽選制度を使って入ってきたため、トランプ大統領は、永住権の抽選を廃止せよ、と議会に迫っています。
 
確かに広汎な政府裁量が働く分野だけれども
移民やビザの申請を許可するかどうかは、米国政府の広汎な裁量に任されています。
これは、どの国でも似たようなもので、日本も外国人の日本入国、滞在を裁量で決めることができます。判例でも日本の政府は「広汎な裁量」を持っている、と明示されています。
ですので、入国の可否はかなり幅が広く、時代によっても傾向が変わってきます。オバマ政権のときと、現在のトランプ政権では移民局の上層部もかなり入れ替わり、保護主義的な色彩およびテロ対策の色彩がかなり濃くなってきています。
 
具体的なビザ申請の拒否事例
最近のビザ申請の拒否の傾向を、ここでまとめたいと思います。今まで申請が問題なく許されていたケースが拒否される事例を見ていると一定の傾向が考えられます。
 
アメリカの雇用創出に寄与するかどうか
一つ目ですが、たとえば外国企業がアメリカに進出してくる場合、かなり移民局が重視しているのは、アメリカ市民、永住権保持者を雇用しているかどうかです。
すなわち、多くのアメリカ人の雇用を創出していれば、それだけ企業が派遣する外国人のビザも取りやすい傾向が顕著になってきました。これは、トランプ政権が打ち出しているアメリカ・ファースト政策がかなり反映されているポイントです。
平たく言うと、外国人ばかりがアメリカに入ってきて商活動をするのはアメリカ人にとって不利益なので、アメリカ人の雇用を増やす外国企業をより優先するということです。
外国企業がアメリカに進出してきて、すぐにアメリカ人を雇用できるか、といえばそうではないかもしれませんが、現状では、とにかくアメリカ人の雇用を増やすことに貢献すればするほど、ビザの許可がおりやすくなるという傾向が鮮明になってきました。以前は将来、この程度アメリカ人を雇用する準備があるというビジネスプランを出せば外国企業の申請は許可されていましたが、現状、ケースによっては、実際にアメリカ人を雇用して、その給与明細を提出するように指示される例もあります。
 
投資額、そして投資形態が重視
2つ目ですが、外国企業がアメリカに進出する場合、たとえば、Eビザ(投資ビザ)では、どの程度の投資ができるのかが、許可の目安となっていました。この投資についても、額が大きければ大きいほど、許可されやすいという傾向が今までもありました。
最近では、この外国企業による投資についても、アメリカ人またはアメリカ企業がどの程度利益を得られるのかが重視されるようになってきました。
すなわち、投資金を銀行口座に貯めておくだけでは足りず、実際に投資を使った内容を移民局は注目しています。たとえば、不動産も持っているだけではビザ申請用の「投資」とはあまり考えられず、一方で、建築するのに投資を使うなど、実際にアメリカの会社や人にお金が落ちることが移民法上の「投資」として重視されるようになってきました。アメリカ国内にお金をたくさん落としてくれれば、ビザが出る、といったところでしょうか。
このように、トランプ政権下の移民行政は、前政権下と比べるとドラスティックな変化があり、外国の企業も多額の投資ができない場合にはかなり苦戦している現状があります。
 
 
今回は、ここまでとしたいですが、また実際に変化がある場合には、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。
これからクリスマスのイルミネーションが綺麗になる時期ですね。夜の輝きを楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 



永住許可申請プロセスの面接義務化





Sep-16-2017
永住許可申請プロセスの面接義務化
 
もう夏も終わり、という割にはまだまだ暑い日もありますね。一方で、ベイエリアでは雨も降り少々不安定な日が出てきているので、もうすぐ季節替わりの時期なのかもしれません。みなさんは体調に気をつけて生活されていらっしゃるでしょうか。秋になると、1年経つのは早いなぁ、という気分になってきますね。
 
さて、今回はトランプ政権になってから、永住許可申請についても、変化がでてきましたので、取り上げてみたいと思います。
 
移民「法」と行政命令
まず、今回の移民法ブログ(じんけんニュース)を理解するために、少々一般論を考えたいと思います。
まず、移民「法」というのは、法律であり、議会が立法するものです。したがって、大統領が一人で命令を出したものがそのまま法律になるわけではありません。議会を経なければ「法律」とはいえないからです。これは、アメリカでも日本でも同様で、三権分立の中核的な要素でもあります。
一方で、行政規則などと日本では呼ばれますが、議会ではなく、機動性を重視して、行政府がルールをつくることが広汎に行われています。
 
大統領が発する行政命令-Executive Order
このような活発な行政による規則づくりは、日本もアメリカも同様に行われているのですが、アメリカでは、直接選挙で選ばれる大統領の署名一つで、行政命令を出すことが許容されています。
メディアなどでは大統領令などと呼ばれていますが、これはたぶん、行政の組織(たとえば移民局など)がつくる行政規則と区別する趣旨なのだと思いますが、基本的に行政命令であるという点では一緒です。アメリカではExecutive Orderと言います。
悪名高いExecutive Orderといえば、第2次世界大戦のときに、日本人や日系人を強制収容したものが挙げられますが、これも大統領のサイン一つで発効したのです。
オバマ政権下でもかなりのExecutive Orderが出されましたが、現在トランプ政権によって、次々に覆されています。最近話題になっている、不法移民の子供を保護する行政命令がその一例です。
このように行政命令は、時々の大統領の意向でかなり方向性が変わってきます。不法移民やテロに厳しく対応すると明言しているトランプ大統領によって、永住許可申請にも今回影響がある行政命令が出されました。
 
永住権申請と面接の義務
従来、永住権申請の際、直接移民局の面接が義務付けられている申請は、婚姻に基づく申請と、難民申請の一部に限られていました。たとえば、外国人がアメリカ人と婚姻して、永住権を申請しようとする場合、必ず面接が義務付けられているということです。主に偽装結婚ではないことを確認するという意味合いがあるのです。
 
Executive Order 13780
 
今回、Executive Order 13780というトランプ大統領が署名した行政命令にしたがって、この面接義務の範囲が拡大することになりました。この行政命令は、テロリストから国土を保護する施策に関する命令です。来月1日から試験的に導入されることになり、移民局から発表もありました。
永住権申請には、I-485申請という外国人本人が自己の移民法上のステータスを永住権に変更するための申請が必要なのですが、このI-485申請について、今まで婚姻ベースの申請のみに面接が課されてきましたが、2017年10月以降は、雇用ベースの申請にも面接を課すことになりました。他にも、難民申請においても、面接要件が拡大されることになります。
 
雇用ベースの永住権申請も適用範囲に
雇用ベースの永住権申請の際に面接が課されるということは、直接申請している外国人が移民局に出向いて面接を受けることになるので、移民局がより正確に申請内容を吟味していくという趣旨が含まれます。わざわざ移民局が税金を使って直接面接をするということは、単なる顔合わせや挨拶ではないことは明らかです。
何か問題がないか、怪しいところはないかを確認するためのプロセスですから、今後、雇用ベースの永住権申請についても、面接によって不許可となる事例が増えると想像できます。
 
まだ、移民局も試運転をはじめようとしている段階なので、詳しくどのような書類を持参するべきか、などの指針はつかめていませんが、今後の雇用ベース永住権申請にとって、また一つハードルが追加されたということになります。
このご時世ですので、淡々と対応するしかないでしょうが、今後もこの手の行政命令が増えていきそうです。
 
それでは、また次回新しいトピックを考えていきましょう。




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米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[2]

法律ノート 第1067回 弁護士 鈴木淳司
July 24, 2017

 
友人や縁ある方から勧められた「決意なき開戦」(堀田江理著)、大沼保昭や和田春樹著の慰安婦問題に関する本を読み、国際社会における日本のこの80年間程度の歩みを学んでいます。こういった近代史を読み解いていくと、色々な想いが湧いてきます。日本という国は、多様な政治思想がぶつかりあい、普通の人々がそれに巻き込まれてきたという切なさを感じています。一方で、いつの時代でも慈愛の心を持ち平和を願うバランスのとれた優れた思想を持った日本人が存在していることに感心しています。本は頭の肥やしですね。
 
米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[2]
さて、前回から考えてきた「私(男性)は米国永住権を持っている日本人ですが、日本から留学してきている彼女ができました。そこで、結婚をすることによって、彼女にも永住権を取ってあげられたらよいな、と思っています。永住権の申請はどの程度時間がかかり、どのような手続きをすれば良いのか教えてください」という質問について、続けて考えたいと思います。
 
配偶者永住権と「待ち時間」
前回は、配偶者の永住権申請をする際に、待ち時間が現在数年発生しているというところまで考えました。この「待ち時間」について今回考えます。
配偶者が今回質問されている方のように、外国籍(日本国籍)を持ち、ビザでアメリカに入国している場合、基本的に婚姻をしたからといってすぐに合法的にアメリカに滞在できるわけではありません。
 
別に米国の滞在資格が必要
永住権の許可がおりるまで、何らかの合法的な滞在資格(一般的には非移民型のビザ)を維持する必要があります。もちろん、日本に一旦戻り、永住権の申請を待つことはできます。米国に滞在し、永住権の申請を待つ場合には、米国に滞在する合法的な資格が必要となるのです。
今回の事例ですと、この「待ち時間」の間に、これから永住権を申請する配偶者が学生ビザを継続して維持していれば問題がありません。他にも就労ビザなどの維持をしていれば問題がないことになります。
 
具体的な事例
ここで、最近目にした事例をご紹介しておきたいと思います。
Aさんは、配偶者である永住権保持者のBさんのスポンサーで永住権を申請することになりました。永住権申請書を無事に提出し、「待ち時間」となりました。Aさんは、この「待ち時間」の間に、米国内で就労し、金銭を得ていました。ほそぼそとした自営業者です。税務申告を近年までしていませんでしたが、永住権申請が近づいてきたこともあり、税務申告を遡って行いました。
ところが、永住権の申請が終わって、やっと面接にこぎつけたときに、面接官から、税務申告について指摘を受けました。すなわち、永住権の申請の審査に、移民局は税務申告についても調査をしていることになります。
申請は却下とはなりませんでしたが、許可を得るためには、遡って申告をしたことにより発生した過去の税金を支払わなければ、永住権は認められない、という条件を付けられました。もちろん一括で税金を払え、ということではなく、国税局と分割の合意ができているということでも構わないという話にはなっていました。
 
税務申告と移民法上の審査
家族ベースの永住権申請については、税金の支払いうんぬんを聞くことは、完全な裁量になっていましたが、この事例では税務申告を許可の条件にされてしまったということになります。近時、移民関係の審査が厳しくなってきたので、このような事例がでてきているのでしょうが、これから永住権の申請をされる外国人の方は気をつけなければならないポイントです。
永住権申請の「待ち時間」において、学生ビザを維持しているだけであれば、税務申告のうんぬん、という問題は発生しないと思われます。しかし、一方で、何らかの収入を米国内で得ている申請者は、税務申告をする場合、ちゃんと税金も納めていることが許可の前提になります。
 
データベースが関連付けは密に
かなり政府内のデータベースが連動している時代になっていますから、移民関係の申請について、移民関係の書類の整備だけではなく、税金など他の政府関係の申請者の義務についても、しっかり書類を整備することが求められているということに注意してください。
 
 
次回からまた新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。暑い日が続きますが、健康に留意して水分を多く取りながらまた一週間がんばっていきましょうね。
 

米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[1]

法律ノート 第1066回 弁護士 鈴木淳司
July 20, 2017

今週末、飛行機のなかで、たぶん「エアーマーシャル(航空保安官)」と呼ばれる人を現認しました。同時多発テロ事件以降、アメリカに所属する飛行機には、マーシャルが隠密に乗っていると聞いていました。飛行機が着陸し、降機する前に荷物を取り出しますよね。通路を挟んで反対側に座っていた人が荷物を取り出すために背伸びしたとき、腰のシグ・ザウエルの自動拳銃が見えました。ごく普通の服装をしていた彼は、考えると機内で酒を飲んでいませんでしたね。こういう人がいるので、飛行機テロの牽制になるのでしょうね。でも、隣に座っているのは何かあったときにちょっとコワイなと思ってしまいました。
 
米国永住権者と結婚。永住権は取得できるか
 
さて今回から皆さんから新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問は「私(男性)は米国永住権を持っている日本人ですが、日本から留学してきている彼女ができました。そこで、結婚をすることによって、彼女にも永住権を取ってあげられたらよいな、と思っています。永住権の申請はどの程度時間がかかり、どのような手続きをすれば良いのか教えてください」というものです。
 
配偶者永住権の申請
移民関連の法律や行政規則については、随時、別途「現役移民弁護士ブログ(じんけんニュース)」というところで取り上げていますので、そちらに質問をしていただくほうが良いのですが、今回の質問に関して、最近移民局が目を付けて聞いてきているポイントがあるので、そのポイントを中心にしながら皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
今回、永住権保持者の配偶者永住権申請というパターンについて生じる問題について考えていきたいと思います。
 
永住権は永住の「許可」。権利ではない
今回質問されている方は永住権をお持ちです。一般的に永住権というのは、米国に永住をすることができる許可をもらっている外国人に給付されるもので、正確には権利ではなく、永住の「許可」であります。
ですので、運転免許証(ライセンス)と同じように、国や(州から)永住する、とか、運転するとか、一定の行為を「許可」されているだけなのです。
だれが永住「権」という言葉を使いだしたかわかりませんが、ニュアンス的には「権利」ではなく、永住する「許可」が与えられているだけ、ということになるのです。なぜこのようなお話をするかというと、人によっては「永住する権利を持っているのだから」なぜ、配偶者もすぐに永住できないのだ、と安易に考える方もいるからです。
 
市民権との違い
アメリカ市民権は、国民としての「権利」ということになり、永住許可とはかなり色合いが違います。市民権は、国民の「権利」ということで間違いありません。
誰にも奪われない権利ですし、政府でも「許可」ではないので、取消しや制限をすることが基本的にはできません。
市民権と永住許可というのは、たしかに、「米国に住むことができる」という面ではかなり性質は似ていますが、実際の法律的な権利についてはかなり違う面があります。永住権保持者というのは、結局、外国のパスポートを持っているのです。
 
申請処理は市民権保持者を優先
市民権と永住許可というのは、法律的には違う性質があり、市民権保持者をまず優先するというのは、国として当たり前なわけです。そうすると、移民法でも米国市民権を持っている人の申請を優先することになります。
米国の移民局は「優先順位」を行政規則で決めていて、第一順位は、米国市民の配偶者、第二順位は、米国市民の近親者、そのあとに、はじめて永住権の配偶者申請ができることになっています。
優先順位というのは、順位が高ければ優先的に処理されるということです。現在で第三順位は、申請の処理がはじまるまで、約2年待つことになっています。
この「待つ期間」について少し考えておきたいことがあります。
 
 
ここから次回続けて考えていきたいと思います。
 
夏休みを取られている方もいらっしゃると思いますが、今年はかなり熱中症にやられているという人の話を聞きます。陽に当たるのは気持ち良いですが、疲れますし、さらに病気になっては困りますので、水分を取り注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。