最善の事故対応@カリフォルニア(2)_1454

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1454回 弁護士 鈴木淳司
Jan 25, 2025

南カリフォルニアの火事もおさまってきたようですが、カリフォルニア州では冬なのにすでに水不足の注意喚起が行われはじめました。
南カリフォルニアだけではなく、北カリフォルニアでも水不足が話題になってきました。
去年から今年にかけては、記録的に雨が少なく、気候変動なのか、何が原因か私はわかりませんが、今年の夏はかなり水不足が深刻になると思います。
また火事も深刻な問題になりかねません。
地中海性気候ですから、雨が多く降る冬も嫌いではなかったのですが、天気も春のような日もあり、肩透かしをくらっています。
ゴルフを楽しめるのは嬉しいですが、一方でこれからの季節はどうなるのか不安になります。
みなさんのお住まいの地域はいかがでしょうか。

最善の事故対応@カリフォルニア(2)_1454

さて、前回から考えてきた、「先日、サンフランシスコに出張で滞在している間、私が歩いているところで、電動スクーターに乗っている人と接触して転倒し、骨にヒビが入る事態になりました。その事故の相手方は逃げ去り、誰かがわかりません。サングラスをかけていたので顔はよく見えませんでした。病院に行き治療を受けましたが、色々不利益を被ったことに納得がいかないのですが、なにか法的にできることはないでしょうか」という質問をさらに今回考えていきたいと思います。

まずは各所への報告が重要

前回は、警察活動の助けにもなり、保険請求にも影響する事故の報告について考えました。
後々、報告をしないということで不利益を被らないように、まずは報告をするということの重要性を理解していただけたと思います。

もしも当て逃げ犯が見つかったら

今回は、かりに当て逃げ犯が見つかった場合のことを考えておきましょう。

私も車の窓を割られたりしましたが、結局犯人は見つかっていません。
迷惑千万です。

同時に犯罪者が野放しになっているのは腹立たしいですが、こんなことで腹を立ててもエネルギーの無駄ではあります。
かりに何らかの端緒があって犯人が逮捕された場合には、刑事裁判になりそうです

被害届で傷害罪を問える可能性

道路交通法(カリフォルニアではVehicle Codeと呼ばれます。)だけではなく、被害届を出しておけば傷害罪にも問われるかもしれません
みなさんが、警察に報告するかしないかで、起訴される内容は変わってくる可能性もあるわけです。

犯人が見つかった場合には、別途民事訴訟を提起して、犯人に対して損害賠償請求を求めることも理論上は可能です。
しかし、弁護士を立て、さらに身銭を切ってまで訴訟をするというのは、なかなかエネルギーも必要になります。

有罪なら損害は回復できる可能性

もちろん、損害は賠償してほしいところですが、カリフォルニア州では犯罪の被害者に関して、刑事司法制度上、賠償を求める権利を認めています
原則として犯人が有罪判決を受けた場合です。
したがって、別途民事訴訟を提起しなくても、損害は回復できる可能性があります。

刑事事件で相応の賠償目的は達せられる

民事事件のみで責任を追及するよりも、刑事事件上、判決において損害の回復を認めてもらっていれば、一応民事事件で判決される内容を含んでいますので、相当の目的は達せられると思います。

そして刑事司法制度を通じて被害者が賠償を求める場合、その賠償の内容には医療費、賃金損失、物的損害などの経済的損失も含まれることが判例上も確立しています (People v. Taylor、197 Cal. App. 4th 757、People v. Nuno、26 Cal. App.5th43)。
したがって別途民事訴訟を提起しなくてもある程度の範囲は刑事司法制度上でカバーされるということになりますね。

今回の質問に関してのお答えは上記の程度に今回留めておきますが、他にも事故などに遭った場合の損害賠償などで思い当たる質問があれば、いつでも法律ノート(question@marshallsuzuki.com)まで質問を送っていただければと思います。

また、天気が良い週末になりそうです。
雨が降らないのは不安がありますが、人間が天気を変えることはできないので、素直に晴れ空を楽しみましょう。
また一週間、健康や体調に注意しながらがんばっていきましょうね。



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作成者: jinkencom

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