最善の事故対応@カリフォルニア(1)_1453

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1453回 弁護士 鈴木淳司
Jan 20, 2025

 2025年になってテレビ東京で弁護士と女性将棋棋士である主人公を題材にしたドラマが始まりました。
法律ノートの読者の方で知っている方も多いかもしれませんが、私はプロ将棋棋士と飲むことをこよなく愛し、自分の法廷活動にも、攻守とも将棋の考えをずいぶん取り入れてきました。
将棋が好きでは無い方には何を言っているのかわからないでしょうが、大局的に最善手を求めて戦いを繰り広げ、詰将棋のように最終形を探るのは、将棋も訴訟も似ているところがあるとずっと思っていました。
ドラマの第一回目を見ました。
そこまで内容は心まで響きませんでしたが、やっと将棋と訴訟の共通点を見出す視点がでてきて感動しました。
昨年末も実際に大型事件を解決しましたが、実は奇襲をしながら王様を追い詰めていく、というのは将棋の発想でした。

最善の事故対応@カリフォルニア(1)_1453

 さて、今回から皆さんと一緒に新しくいただいている質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「先日、サンフランシスコに出張で滞在している間、私が歩いているところで電動スクーターに乗っている人と接触して転倒し、骨にヒビが入る事態になりました。その事故の相手方は逃げ去り、誰かがわかりません。サングラスをかけていたので顔はよく見えませんでした。病院に行き治療を受けましたが、色々不利益を被ったことに納得がいかないのですが、なにか法的にできることはないでしょうか」という質問です。

電動スクーターも車の時と同様の対応を

 サンフランシスコの警察は機能しているのかまったくわかりませんが、手が足りない様子もあり、市民は納得していないことも多いのが現状です。
新しくなった市長のお手並み拝見というところでしょうか。
サンフランシスコの治安維持については私も個人的に色々言いたいことがありますが、ここでは黙っておきます。

カリフォルニア州では、自転車でも電動スクーターでも自動車と同様に、被害者は生じた損害賠償を回復するためにはいくつかの積極的な対応をする必要があります

警察に被害届を24時間以内に出す

まず、被害者本人またはその代理人は、損害発生から24時間以内に、少なくとも警察に事故を報告しなければなりません。
この報告は、事故が発生した市の警察署または、郡管轄のシェリフ(保安官)または、カリフォルニアハイウェイパトロールに対して行う必要があります。

今回質問されている方についても、まずは損害については、なんらかの形で被害届を出して置かなければなりません
場合によっては保険会社に伝えると、色々な指示をもらえるかもしれませんが、公の機関にどのような損害を被ったのかということを伝える必要があるということです。

考えうる保険会社の全てに通知

次に、事故の被害者となった場合には、今回質問されている方はすでに病院に行かれているようですが、考えられるすべての保険会社に通知をする必要があります。
どこの保険会社が助けてくれるかはわかりません。
旅行保険を含めすべて自分が関係ある保険会社に連絡することが重要になります。

そして、損害を被ってから30日以内には必ず連絡をして、保険会社が要求する宣誓供述書を提出する必要があります

各保険会社は、用紙を用意していますが、皆さんは被害に遭った状況を説明するだけではなく、少なくとも被害を惹起した身元不明の人物に対して損害賠償請求の理由があることを主張し、裏付けとなる事実を記載する必要があります

自動車管理局に事故報告が必要な場合も

場合によりますが、事故により1,000ドルを超える物的損害、身体傷害、または死亡が発生した場合、被害者は10日以内に自動車管理局 (DMV)に事故を報告する必要があることは法律に規定されています。

 少なくとも、上記の報告義務がありますので、どのような事故であれ、まずはカリフォルニア州の法律上はこのように、できるだけ広く報告をしておいたほうが良いわけです。
かりに加害者に対して訴訟をするなどの場合や、路上のカメラなどで犯人が捕まった場合などには、初期対応が必要ですので、感情を堪えて少なくとも報告をすることが重要だと思います。

 今回は報告することの重要さを考えましたが、次回続けていきたいと思います。
雨が降らないカリフォルニア州ですが、もう少し本格的な雨を期待しながらまた一週間がんばっていきましょうね。



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作成者: jinkencom

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