アメリカで自転車事故(1)_1394

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1394回 弁護士 鈴木淳司
Nov 26, 2023

アメリカではサンクスギビングに突入、そしてホリデームードですが、世界情勢を見ると、ウクライナ・ロシアだけではなくイスラエル・ハマスの戦争があり、平穏に休んでいるような場合ではありません。
政治や宗教そして歴史の解釈によって、幼い子どもたちの命を奪うようなことが地球儀で言えば数センチ先で起こっています。
人間というものは許容よりも戦うことを選ぶ生き物なのでしょうか。
これだけ文明が発達しても、歴史は繰り返される。
なんとも、切なくも悲しい世の中であります。
皆さんは、どのようにサンクスギビングウィークをお過ごしでしょうか。

アメリカで自転車事故(1)_1394

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると 「はじめまして。サンフランシスコ観光の合間、ダウンタウンで時間貸しをしている自転車に乗っていたところ、後ろから来たスクーターに接触され、怪我を負いました。このような場合でもなんらかの保険で治療を受けられるのでしょうか。」というものです。

この質問をいただいたのは一年以上前になります。
私が皆さんからの質問に回答するのが、遅くなってしまっていることもあり、申し訳なく思います。
一方で、自転車に関する質問というのは、多いわけではなく、私自身も優先してお答えしていませんでした。

自転車事故、アメリカと日本での違い

ところが最近、私の所属する事務所に自転車で事故に遭ったという相談があり、その相談を見ると、自転車であれば、自動車との接触事故において、エンジンを積んでいる自動車が自動的に悪くなるような言いっぷりでありました。
そのようなことはなく、やはり自転車であろうと、ルールを守って交通と向き合っていかなければいけないところがあります。

一方で、日本に比べて、通勤通学などにおいて、自転車を使うことは、たとえば大学のキャンパスなどの特殊な状況を除いてはアメリカと日本は違います。
日本は駅前駐輪場というのが当たり前ですが、アメリカでは駅前駐車場はあるものの、駐輪場というのは、そこまでポピュラーではありません。
アメリカでは自転車を放置しておくと盗まれる可能性がかなり高いわけです。
土壌的な違いがあるもので、よく考えると日本とアメリカでは、かなり自転車の扱いに違いがあるのではないかと思っています。

カリフォルニア州の自転車に関する法律

今回は、いただいている質問を使って、皆さんと一緒に自転車にまつわる法律を考えていきたいと思います。

主にカリフォルニア州の法律に基づいて考えていきたいと思います。

まず、基本的な考え方ですが、自転車は、車に適用される法律を基本的に遵守しなければならないということを理解してください。

自転車が違反したら、自転車側の責任

自転車はエンジンがついていませんが、少なくともカリフォルニア州の法律は、車や、オートバイに適用される法律は自転車にも適用されます。
自転車が一時停止の無視をしていて、交差点で事故になれば、自転車側の責任にもなります。
同じように、自転車に課せられている義務に違反した場合には、自転車側の責任にもなりかねません。
ですので、基本的な道路交通法は理解しておく必要はあります。

よく、赤信号でも自転車であれば横断しても良い、という考え方を聞くのですが、それは間違いです。
法律的には自転車も交通法を遵守しなければなりません。

自転車はすぐ取り締まられる訳でもない

一方で、自転車が法律を無視して、赤信号を突っ切ったりする場合、アメリカで交通違反チケットを取るか、というと、そこまでのことをする自治体はかなり少ないです。
また捕まえても、そもそも自転車はエンジンがついていないので、免許証というものはなく、交通違反があっても、行政側が取り締まっても何も得るものがない場合が多いわけです。
そうすると、違反があってもすぐに取り締まらない、ということになってくるのです。

「赤信号無視は合法」は間違い

自転車を運転する人は、自転車による赤信号無視を警察は取り締まらない、ということを見て、「赤信号無視は合法」と考えるのは間違っています。
かりに、自転車が事故を起こした場合、すなわち事故の相手方に自動車や歩行者がいた場合には、道路交通法が問題になってきます。
どちらが交通ルールに違反していたのかは法律によって処断されます。

誰が法律に違反していたのか、が問題

そうすると、今回質問されている方についても、自転車に乗っていて接触事故を起こした場合には、スクーターと自転車のどちらが法律に違反していたのかが問題になってくるのです。

自動的に自転車と自動車の事故でエンジンのついていない自転車が悪い、ということにはなりません。

ここから次回考えていきたいと思います。

やっと雪が降ってどうのこうの、という冬の話題になってきましたが、今年は暖冬だという話もあります。

四季もぐちゃぐちゃですが、また一週間冬支度をしながらがんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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