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アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

法律ノート 第1212回 弁護士 鈴木淳司
May 11, 2020

 長年知っている親しい40代男性が末期がんであるというニュースが入ってきました。コロナで医療機関にもかなり負担が生じているようですが、このような時期に入院をしたり、治療をするのは誰にとっても容易でないことが想像できます。もうお見舞いにも行けない程度弱っているということも聞き、ショックを受けました。ご家族の気持ちを考えると、このようなパンデミックの異常事態だけでも辛いのに、そのなかでの更に辛い出来事です。心が痛いです。

アメリカの会社との取引。契約違反の裁判は日本で?

 「日本在住の者です。アメリカにいる中間業者に頼み、アメリカから物を輸入しているのですが、最近になり不良品が多いため、契約を打ち切ろうと思っていました。ところが、アメリカの業者から、裁判はカリフォルニアに来ないとできないし、法律もカリフォルニアの法律が適用されるといったニュアンスのメールが来ました。私の経営する会社は、中小企業でアメリカに支店などもありません。また、アメリカには遊びには行くのですが、仕事でアメリカに行くことはありません。こういった場合には、日本で裁判は起こせないものなのでしょうか」というものでした。

まずは契約書に沿って

 簡単な前回の復習をすると、契約書に規定があればその契約書に沿って適用される法律と、裁判をする場所が決まります。そして、契約書に規定がないようなケースでは、お互いの関係に密接に関連する場所が裁判をする場所になり、その場所を管轄する法律が適用されることになりそうですが、ケースバイケースです。

相手のビジネスを観察

 今回のケースのような事例において考えにくいですが、かりに契約書がなかったり、裁判管轄・準拠法の規定がなかった場合には、基本的に取引関係においては、相手方の所在地を基本に考えるのが適しています。

 しかし、そうすると、今回の相談では、わざわざ日本からアメリカに行って提訴しなくてはならなくなります。そこで、なんとか日本で提訴できないか、ということになります。

 まず可能性を探るために、相手のビジネスを知ることが重要です。
 かりに、日本と頻繁にビジネスをしているとか、日本に営業所や営業の人を置いているなど、日本との繋がりがどれだけあるのかが、一つ重要なファクターになります。

中間業者の存在は?

 そして、今回質問にある「中間業者」の行動も確認する必要があります。

 かりに、この中間業者が頻繁に日本に滞在しているなどという情報があると、中間業者に対しての訴訟も日本で考えられるかもしれません。

「送達」が可能か

 裁判をするには、単に訴状を裁判所に提出するだけでは足りません。訴状を訴える相手方に対して「送達」しなければなりません。送達というのは、相手方にどのような訴訟を提起して、何を求めているのか書いてある書類です。この送達というのはかなり訴訟において重要で、日本でもアメリカでも厳格なルールが定められています。訴訟をするのであれば必ず必要な行為です。

 この送達がなされてはじめて訴訟としては実質的なゴングが鳴るという感じです。

 ところが送達については相手方に直接手渡しするのが原則ですから、外国にいる人や会社に対して訴訟をする場合には、かなり翻訳などの手間がかかりますし、政府間で送達の取り決めをしている場合も多くありますので、色々な機関を通さなければならず時間もかかります。

 ですので、相手方の行動をよく確認して、日本に頻繁に滞在している場合には送達が日本国内で可能になることもあります。

管轄違いの申立て

 間違ってはいけないのが、送達があれば裁判は出来ますが、相手方は裁判管轄が不適当であるということで争うことは当然できます。
 この争いでそれなりに時間がかかることもありますので覚悟はしておかなければなりません。うまくいけば裁判管轄が認められることになりますが、負ければアメリカで裁判をしなくてはならなくなりそうです。

手を組む会社はないか

 とにかく、相手方がどの程度日本とビジネスなどのつながりがあるのかを先行して確認しておくことが重要です。また、他に似たような不良品を多く見つけて不満を持っている業者などと情報を共有することも重要です。かりに、一社だけではなく数社一緒になるとそれなりに力にもなると思います。

 今回いただいている質問への一般的な考えは上記の通りですが、何か他にも類似の質問があれば、ぜひ法律ノートに質問をされてください。

 まだまだシャットダウンは続いていますが、心身ともに健康に留意してまた一週間がんばっていきましょうね。


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Quid Pro Quoとは _アメリカの法律用語 1185

法律ノート 第1185回 弁護士 鈴木淳司
Nov 6, 2019

 今回考える質問は私の友人から時事問題に絡む内容のものをもらったので、他に質問を頂いている読者の皆さんにはおまたせして申し訳ないのですが、今回簡単に取り上げてニュースなどを読む際に役立てていただければと思います。

 質問は、タイトルにもあるように、Quid Pro Quoというのはどういう意味なのだ、というものです。この友人は、最近話題になっている米国現大統領の弾劾手続のニュースを見ていると、Quid Pro Quoという言葉がよくでてくるが、法律用語のようだから説明してくれ、と連絡をしてきたわけです。そんなもの、辞書を見てみればよいではないか、と思い、私も辞書を見てみましたが、「代償(物)、報償、見返り」などと書かれています。一般的には、この翻訳された日本語でも違和感がないと思います。

 しかし、実際にQuid Pro Quoというのは、アメリカで法律用語としてしっかり使われている単語ですので以下考えてみましょう。

Quid Pro Quoとは アメリカの法律用語 1185

 Quid Pro Quoというのは英語ではなくもともとラテン語です。ラテン語の専門家ではありませんので突っ込まれるかもしれませんが、Quidは「誰」とか「何」を指します。そして、Quoというのは、「More」すなわち「盛った」という意味があり、Proでつなぐと、盛った何か、といった感じになるでしょうか。

 その言葉が段々時代とともに変化していき、現代では「見返り」といった意味で使われます。ストレートな英語で表現すれば良いのにと思うのでしょうが、法律用語というのは、温故知新の温故に重きが置かれるところがあります。

 これは判例といって積み重ねを重視する分野なのでしょうがないところはあり、各国でも五十歩百歩であります。

 たとえば、日本でも最近では改正された刑法ですが一昔前は「贓物牙保(ぞうぶつがほ)」という罪がありました。骨董品の巻物にかかれているような言葉で、法律を学んだ人でも最初はわからない単語がしっかり罪として規定されていました。

 現代では、盗品を有償で処分あっせんする罪とされています。このように、法律はある意味歴史も勉強するような一面もあるのです。

法律的に使われるのは、セクハラ事件

 法律的にQuid Pro Quoというのは、今回の大統領弾劾手続のニュースで頻出していますが、単に見返りを期待するわけではなく、もう少し密接した関係を表しています。
 「見返りを求めない愛」などといった漠然とした見返りではなく、何かをするので、それに対して、見返りを求めるという牽連性が存在する場合であります。

 現代アメリカでQuid Pro Quoという単語が法律的に使われるのはセクハラ事件です。

 性的行為の見返りに雇用を担保するような事例です。このような事例では、性的行為があったけど、雇用とは関係ない、という反論が多く出てきます。見返りといっても、緊密な条件関係にある場合には法律的にセクハラと認められる可能性が大きくなるわけです。

 例を使って説明しましょう。

 たとえば皆さんが異性に興味があって、お茶や食事に誘ったとしましょう。そして、皆さんは、仲良くなってデートしたいと思っておごります。おごった見返りとして相手が「金を払ってもらって悪いからデートしよう」という場合と、「あの人優しくて話も面白いからデートしよう」という場合はニュアンスが違いますよね。

 前者が法律的なQuid Pro Quoに近いかたちです。どちらのケースも見返りを得ることに成功していると言えそうですが、相手がどのように考えるのかということも影響しそうですよね。

単なる「見返り」よりも深い意味

 今回の大統領弾劾でも、この部分がかなり問題になる部分なのです。もちろん、大統領としては、「全然、見返りなんか求めていない」と言っているわけです。そうすると、見返りがあるとこを念頭において話をしているじゃないか、という固め方がそもそも必要ですが、それに加えて、ウクライナ側にしても、自発的に色々な調査などをしているわけではなく、アメリカの大統領が要求しているので、しょうがないのでやらざるをえない、という牽連性がなくてはならないことになります。

 たとえ、大統領が見返りを求めてウクライナにアプローチをしていたとしても、ウクライナ側がどういう考えを持っていたのかそこを明らかにしないといけない状況にあります。この点が実は今回の一番の焦点になるのではないかと思っています。

 このように、単なる見返りよりも法律的には少々深い意味があるのですね。
 このような意味合いがQuid Pro Quoという単語にあることを念頭に、現在進行の弾劾手続を見ていただければと思います。

 次回は、また皆さんからいただいている質問を考えていきましょう。朝晩が冷え込んでくる季節です。体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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証人となる勇気_カリフォルニア州弁護士コラム_1184

法律ノート 第1184回 弁護士 鈴木淳司
Oct. 29, 2019

 今回は皆さんからいただいている質問にお答えするのをお休みして、最近感じたことを考えさせてください。弁護士の仕事もAIに取って代わると軽々しく言う人もいますが、裁判という制度がある限りそれは難しいということは法曹であればわかります。もちろん簡単な事件をAIで判断させることはできるのでしょうが、裁判制度自体は、事実を明らかにしていくプロセスです。

 「法廷で裁判」というと、皆さんは一体何をするのか想像ができますか。

 民事事件であれば、原告と被告、そして刑事事件であれば、検察対被告人が戦うわけですが、その戦い方の中心は法律家ではありません。証人なのです。相対する当事者が、証人を呼んで、色々事件に関係することを聞いていくのです。

 そして、時には反対尋問といって、敵対する証人に対しても証言を促すように話をしていきます。法廷もののドラマや映画で観ることも読者の方たちにはあると思いますが、証人の証言から、何が真実なのかあぶり出していくのが裁判制度の心臓部分です。

証人となる勇気 _カリフォルニア州弁護士コラム_1184

 最近、ある刑事事件を担当しました。

 発端は若いカップルの言い争いですが、ひいては深刻な事件に発展し、複数の重罪(法定刑が一年以上と定められている罪)を咎められている男性の起訴に至りました。

 保釈金は考えられないほど高く、拘置所に留置されることになりました。身柄が拘束されてしまうと、弁護士の仕事も大変です。

 毎回接見をしに拘置所に赴くので時間も消費されます。被告人にしても、拘置所内では身動きが取れず、ストレスも溜まるわけです。とにかく、事件の解決を早急に目指して私も取り組んでいました。

証人を探すのが至難の業

 被告人は、一部は罪を認めているものの、大部分は無罪を主張している事件でした。ですので、私も、被告人が無罪を主張している部分については、陪審裁判までいくことを覚悟しながら取り組んでいました。事実を争うことになると、時間がかかります。そして時間がかかると、被告人はなかなか外に出てくることができません。

 事件解決と被告人の心のケアに配慮しながら事件解決の緒を見つけようと色々動きますが、かなり難しい事件でした。

 何が難しいかというと、私が弁護をしている被告人に有利なことを言ってくれる証人を探すのが至難の業だったのです。この被告人をサポートしてくれる人がいないというのではなく、事件について語れる人がいないという状況なのです。

 一方で、検察側は花形証人を持っています。アメリカでは、スター・ウィットネスというやつです。この花形証人に陪審裁判ですらすら証言されてしまってはいくら一部無罪を争っても裏目に出てしまいます。

 そこで、私はこの検察側花形証人に突撃インタビューを申し込んだのですが、意外にも快諾してくれました。何も隠す必要がないということなのでしょう。しかし、私のクライアントは一部無罪を主張しています。ということは、真実としてはどちらかが嘘をついているわけですね。予習のために、この証人に関して知っている人、すなわち花形証人に関しての証人を探しました。私の立場としては、この花形証人を反対尋問で潰せれば、勝ち目はあるわけです。

検察側花形証人の「嘘」を見抜く

 私がたどり着いたのは、花形証人の友人でした。この御友人は事件に何も利害関係はなく、花形証人が本当にどういう人なのか話しても良いと言ってくれました。ただ、話をしても何も利益はないのです。かなり時間をとっていただき話をすると、花形証人が日常生活で「嘘つき」であるということがわかりました。被告人には有利な内容です。

 その後、何食わぬ顔で、私は花形証人と面談をして長々話をしました。被告人がどんなに悪いのか、流暢に話をしてもらったのですが、その話の中に嘘がいくつかあることを見抜けました。そのおかげで、検事との交渉がうまくいきました。私が無罪を主張している部分については、すべて起訴が取り下げとなり、被告人本人が認めている部分については、認めるものは認め事件は、妥当な形で終了しました。

勇気ある証言に心打たれる

 この花形証人の御友人は、この事件において何も得るものはありませんでした。逆に、陪審裁判になれば出廷して、証言をし、検察側の反対尋問に晒される可能性もあったわけです。それでも、素直に話をしてくれました。この御友人の助けがなければ、事件は解決しなかったと思います。

 そして、この御友人は、花形証人との縁が切れるだけではなく、共通の友人から証言をすることを非難され、いわば踏んだり蹴ったりの状況になったわけです。利益は一切ないのです。それでも、その御友人は、花形証人の嘘でだれかが罪に問われるのがおかしいと思ったのでしょう。嘘は悪いとちゃんと心で判断し、本当の友人だったら、隠さずに諌めて修正してあげたいと思う心を持つ。そういう姿を見て私は胸を打たれました。相当勇気がいることだと思います。

 こういった一歩踏み出して真実を明らかにするという気持ちが事件を動かすのですね。弁護士としても難しい事件でしたが、このような気持ちの良い人に会えると、弁護士をしていてよかったなぁ、と思う瞬間であります。さて、AIはこの御友人のような勇気を持てて、私のような爽快感を味わえるのでしょうか。そうなったら興味深いですが。それは私が死んでからにしてもらいたいものです。


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カリフォルニア州弁護士コラム_「短パン」_1160

法律ノート 第1160回 弁護士 鈴木淳司
May 16, 2019

 今回は、前回から続けて考えている「パワハラ」に関する質問にお答えするのを一回休ませていただき、最近わたしの「やっちゃった」体験を自分の教訓にもなるように文字にさせてください。

カリフォルニア州弁護士コラム―「短パン」_1160

 一般的に、弁護士の服装というとダークスーツに大きな革の鞄。日本でもアメリカでもドラマではお決まりの姿で、それなりに格好良いわけです。ときどき蝶ネクタイをはめている弁護士もいますが、私はフライドチキンを連想してしまいます。実際に事件は事実で動いているので、弁護士のカッコがどうであれ、結果に影響するものではありません。裁判官の立場で事件をみていても弁護士の姿で事件に影響はしません。

 ただ、やはり法廷などの場では、私もスーツを着ます。印象というのもある程度考慮しなければならないのでエチケットですね。以前法律ノートにも書きましたが、あるベイエリアの裁判官に「ネクタイを忘れた弁護士と話をしない」と言われたことがあります。その人はネクタイ以外のことでも変人扱いされていましたし、法律にネクタイ着用義務というのは書かれていません。友人の弁護士にネクタイを借り、乗り切った覚えがあります。このような経験もあり、くだらないことで、争ってもしょうがないので、やはり法廷ではスーツにネクタイをするようにしています。

スーツ姿だと浮いてしまう拘置所や刑務所

 法廷の外では、スーツなど「着てられない」という場合もあります。刑事事件にかかわると拘置所や刑務所に行くときがその例です。刑事事件では、判決が出る前の未決の人達、判決が出たあとの既決の人達に会うことがあります。接見、とか面会などと言います。

 日本では信じられないかもしれませんが、アメリカでは拘置所や刑務所がとんでもないところにある場合があります。私もアリゾナで接見をしたときに、火星に来たのではないか、といった赤い岩山に囲まれた都市から3時間弱離れたところに行った経験もあります。そういったところスーツで出向くと一人だけ浮いているような場合もあります。もちろん、初対面の人に会う場合、会う方も、スーツ姿の弁護士を期待するでしょうが、気の知れた人との面会は私服で行くことも少なくありません。

暑い日に砂漠のなかの拘置所を訪問

 最近砂漠のなかの、都市部から1時間半ほど離れた周りになにもない拘置所に訪問することになったときのお話です。もう、春とはいえない暑さで、街では、サンダル履きの人達が多く、タンクトップも違和感がない気候です。ご家族の方に運転をしてもらい、本当に何もない砂漠を車で走ります。もう、数度目の接見であります。拘置所の人達とも会話が弾むようになりました。私の服装に潜在的な問題があったのですが、すっかり忘れていました。車は拘置所に着きます。

 日本は、○○禁止が大好物の国で、高速道路でも「○○するな」、街なかでも「○○するのはやめましょう」とどこにいっても行為の禁止を促されますし、それが日本の常識であります。

 アメリカでも、拘置所や刑務所に行く場合、ローカルルールもあるのですが、服装について「禁止」条項があります。一般の訪問者についても、服装は注意され、肩出しがダメ、とか足の指が見えるサンダルはダメ、などと書かれています。アメリカでは実質的な理由があるのでしょうが、これが一般的です。20年前よりも厳しくなってきているので、この20年で色々なトラブルがあったのかもしれません。

 私は以前、ある弁護士に頼まれて暑い夏の日にカリフォルニアの田舎にある刑務所の受刑者に会いに行ったのですが、服装を考えずに、ビーチサンダルでの面会を断られました。そのときは、自分の車だったので、即座に車に戻って、ゴルフシューズを見つけて、事なきを得ました。

短パン禁止と知らずに拘置所の中へ

 今回、私が失敗したのは、短パンです。その拘置所は砂漠のど真ん中にあり、太陽がカンカン照りなのですが、短パンは禁止というのを、何度か鉄錠門をくぐったあとに知らされました。これは困りました。携帯電話も禁止なので、運転をしていただいている方に、拘置所の電話を借りて連絡し、戻ってきてもらいました。拘置所の人に聞いた、数マイル離れたスーパーに行き、作業ズボンを買いなんとか接見ができました。本当に周りに店がなかったらアウトでした。

 どんな暑い日でも、短パン、サンダル肩出しはダメなので、これから車に積んでおかなければならないなぁ、などと思いつつ反省しきりでした。

 次回は「パワハラ」の質問をもう一度考えていきたいと思います。

ベイエリアは暴風のようですが、私は砂漠で水分不足と戦っています。健康に留意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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ゴルフ場での事故。アメリカの法的処理は?(2) _1115

法律ノート 第1115回 弁護士 鈴木淳司
June 25, 2018

 トランプ政権の移民政策はかなり批判を浴び、不法な移民は絶対に許さないといっていた大統領が48時間後には、移民とその子どもたちを引き離す行政を変更すると言い始めました。今度法律ノートでも時事の問題として詳しく考えるチャンスがあればぜひ書きたいのですが、一応理由をもってアメリカに入国しようとしている外国人家族の親と子供を長期にわたって引き離すことを許す移民行政はやりすぎです。大統領の奥さんだって、自分の家族を連れて移民してきているし、自分の先祖もそもそも移民なはずです。歴史的に、なんだか似たような過ちがあったと思うのですが、腰を据えて眼の前のパフォーマンスではなく、アメリカの利益を考えてもらえないものでしょうか。

ゴルフ場での事故。アメリカの法的処理は?(2) _1115

 さて、前回から考えてきた「先日、同僚に誘われてゴルフのコースにはじめていきました。日本ではゴルフをしなかったのですが、アメリカでは職場の近くにゴルフ場もあり、練習を重ねてきました。プレー中に隣のホールからボールが飛んできて、その球にあたりました。なんバウンドかしていたようで、幸い足のアザになる程度で済みましたが、謝られるだけで終わってしまいました。私の英語が達者でないこともあるのですが、もっと深刻な怪我となっていたら、どうなっていたのでしょうか。こういった場合には怪我にいついて、ボールを打った人になにか法的に言えないのでしょうか。」という質問を続けて考えていきたいと思います。

日本では過失責任

 前回は、日本における「過失」を考えました。注意を怠って人に損害を発生させれば、その損害を賠償しなければならないことを過失責任といいます。この「注意の怠り」というのは、日本の裁判所ではかなり広汎に捉えられていますので、パターンとしては、何らかの損害が発生した場合、その責任を誰かに取らせるために、過失を探す、といった実際の構造が現実存在します。

 日本では、ゴルフ場での怪我について、この過失責任(民法709条など)がそのまま適用されることになります。したがって、誰かに怪我が発生した場合には、怪我を発生させたゴルファーの過失があったのか、探していくことになります。

 日本では、たとえば、まだ経験が浅い人に過失が認められた例もありますが、注意喚起の「フォア」を叫んでいても、隣のコースの人にあたったらベテランの人でも「過失」となる場合もありえます。注意して球を打っていない、ということですが、ほぼすべての場合、皆さん注意して打っていると思うのですが。

 とにかく、日本ではゴルフ場での怪我はなんらかの過失の材料とできる可能性が高いわけです。

「過失相殺」というコンセプト

 今回質問されている方も、怪我という損害が発生していれば、何らかのゴルファーの過失責任を問うことは日本では可能かもしれません。ただ、日本では「過失相殺」というコンセプトがよく裁判で出てきます。一方的に注意義務に違反した人だけが悪いのではなくて、被害に遭った方にも落ち度がある場合には、過失の割合を調整するのです。6:4でAさんが悪い、といった感じでしょうか。

 アイスホッケーのギアをつけてゴルフをすれば確かに怪我は最小限に抑えられるでしょうが、それではゴルフなんて炎天下でできるわけがありません。普通にプレーをしているだけで、裁判になったら、過失相殺される理由というのもかなり疑問に感じます。いろいろこじつけはできるのだと思いますが。現状、日本では、過失相殺が適用される場合もあるのですが、基本的にゴルファーの過失責任を認めています。今回の例でも、過失責任が認められるのではないでしょうか。

アメリカに根付くAssumption of Risk

 一方でアメリカは、考え方にかなり違いがあります。ここではカリフォルニア州法に限らず一般的な法律の考え方をもとに進めていきたいと思います。まず、アメリカでも日本と同様に「過失」を考えます。すなわち、注意を怠って損害を生じさせた場合には、その損害を賠償しなければなりません。この部分は、日本とあまり変わりはありません。

 しかし、伝統的にスポーツなど、もともと危険が伴うアクティビテーから発生した損害について、アメリカではAssumption of Riskという基本的概念が根付いています。このAssumption of Riskとは、日本語で訳すと危険をわかって引き受ける、という意味となります。ですので、危険の引受けとでも言っておきましょうか。この考え方から次回続けていきたいと思います。

 なんだか、暑いのは良いのですが、虫によく刺されます。暖かくなって虫も元気に活動をしているのでしょうね。もうすぐ独立記念日ですが、毎年この時期になると、「ああ、今年も半分終わってしまった」と感じます。折返し地点を過ぎるわけですが、後半戦も弛まずいきたいですね。また、一週間体に気をつけて、がんばりましょう。


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アメリカで万引き、移民法上の影響は?[2]_1111





May 31, 2018
今週、アメリカの大ヒットドラマの主演女優が、ソーシャルメディアへの人種差別的な書き込みで大問題になっていますね。その女優は自己の行動を薬のせいにしていましたが、製薬会社も対抗して、「人種差別的な行動はその薬の副作用とするデータはない」と反論していて苦笑いしてしまいました。良い年をして、見苦しい言い訳をしたり、他人のせいにすることを平気だと思う人が理解できないのですが。口は災いの元といいますが、現代ではSNSは災の元でしょうか。
アメリカで万引き、移民法上の影響は?[2]_1111
さて、前回考え始めた質問です。
「私の配偶者(妻)についての質問です。私(夫)は日本からアメリカに赴任しています。妻も私と一緒に一昨年から渡米してきました。子供はいません。私は忙しく家を空けることも多いことも影響していたのかもしれないので、反省していますが、妻が万引きで裁判になるようです。妻はストレスから商品をポケットに入れてしまったということです。商品は高額なものではありませんでした。このような事態になった場合、法律上どのように扱われるのでしょうか。また移民法の観点も心配しています」という質問を続けて考えていきましょう。
実は今回の質問を見て、私の友人弁護士も現在同じような事件を扱っていると、教えてくれました。 このような冷静にみると他人に迷惑をかける窃盗事件ですが、周りが見えなくなってストレス発散のために万引きに走ってしまうような事例は実際多いのかもしれません。
 
法上の3類型ー重罪・軽罪・微罪ーカリフォルニア州の場合
さて、窃盗犯はアメリカの一般的な犯罪の分類に従って、重罪(Felony)、軽罪(Misdemeanor)、そして微罪(Infraction)と3つのカテゴリーにまたがって成立し得るというところまで前回考えました。
この分類についてカリフォルニア州の刑法を考えてみましょう。
まず、損害の総額が950ドル以上か以下かが分岐点になります。
950ドルを超えない窃盗は、軽微窃盗(Petty Theft)と呼ばれ、950ドルを超える窃盗は加重窃盗(Grand Theft)と呼ばれます。
軽微窃盗については、初犯であれば、微罪になる可能性はありますが、犯罪被害が少額な場合に限られます(カリフォルニア州刑法第491条参照)。軽微窃盗といっても、再犯(2度以上、窃盗で起訴されるようなケース)であったり、行為の重大さによっては、軽罪にもなり得ます(カリフォルニア州刑法第487,488条参照)。
犯罪被害額が950ドルを超えると加重窃盗という罪(同487条参照)で起訴される可能性があります。加重窃盗は、初犯の場合最高で3年の禁固刑となり、重罪または軽罪として処断されます。微罪はありません。
今回質問されているケースでは、たぶん軽微窃盗犯として処断され、再犯でなければ、罰金と場合によっては保護観察処分で終了するようにも思えます。
ただ、移民関係への影響は次回以降考えます。
 
微罪と軽罪の違い、そして移民法上の取り扱い
ここで、微罪と軽罪の違いを考えておきましょう。
微罪というのは、基本的に罰金のみで終了する罪をいいます。
保護観察処分が付される場合もありますが、罰金のみです。そして、決定的に軽罪や重罪と違うのは、微罪であれば犯罪記録として残らないということです。
ただ、気をつけておきたいのは、州の犯罪歴に残らないということと、移民法などの行政関係で報告義務があるかどうか、というのは別問題であって、この点は次回詳しく考えたいと思います。
どの罪で起訴するかは検察官の裁量
上記で、犯罪被害額によって起訴される罪が変わってくるということを考えましたが、どの罪で起訴をするかどうかを決める権限は、検察官が持っています。
したがって、事例によって加重窃盗に該当しても、検察官の裁量で軽微窃盗として起訴されたりもします。かなり軽微な事例や被害に関する対応によっては、起訴が猶予されることも考えられます。
ですので、逮捕されたときから、早めに行動のはやい弁護士に相談されたほうがベターかもしれませんね。
本ケースの場合
今回質問されている方(その奥様)は、たぶん微罪になるようなケースだと思います。
ですので、罰金だけ支払えば、州政府の記録として罪としては残りません。
ただ、再犯の場合には、「前科」として考慮されることになります。
司法上と行政法上の取り扱いの違いにも注意
それから、行政の観点から見ると、たとえ、司法において微罪とされても、影響がでる場合があります。
典型的な例がスピード違反でしょうか。悪質なスピード違反でなければ、通常は微罪として処断され、罰金のみで事件は終了します。
一方で、行政の観点からは違っています。違反行為は記録としてしばらく残り、点数が増えると免許停止処分などが行われるので、行政の記録は残るのです。
移民法に関しても独自の考え方がありますので、次回考えていきましょう。
陽気が良くなってきましたが、まだ朝晩は冷え込みます。風邪に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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アメリカで万引き、移民法上の影響は?[1]_1110





May 20, 2018
私も数ヶ月なぜだか咳が止まらない状況が続き、医師と相談しながらやっと回復しましたが、日本でもアメリカでも、なんだかわからないけど、「咳が止まらない」という話を良く聞きます。陽気がよくなってきましたが、まだ、身体の不調の話は色々聞きます。世の中に住んでいる菌やウイルスがどんどん強くなっているようにも思います。読者の皆さんも気をつけてくださいね。
アメリカで万引き、移民法上の影響は?[1]_1110
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいた質問をまとめると次のような内容になります。
「私の配偶者(妻)についての質問です。私(夫)は日本からアメリカに赴任しています。妻も私と一緒に一昨年から渡米してきました。子供はいません。私は忙しく家を空けることも多いことも影響していたのかもしれないので、反省していますが、妻が万引きで裁判になるようです。妻はストレスから商品をポケットに入れてしまったということです。商品は高額なものではありませんでした。このような事態になった場合、法律上どのように扱われるのでしょうか。また移民法の観点も心配しています」というものです。
 
アメリカで万引き、移民法の影響も考える必要
万引き、いわゆる窃盗については以前も法律ノートで考えました。1000回以上皆さんからいただいている質問について考えていれば、いわば身近な犯罪についてはかなり考えてきていると思います。
ただ、現在は、移民法の影響も考えなければいけない状況にありますので、今一度考えても良い質問だと思っています。
 
万引き〜薬物使用と並んで多い犯罪の一つ
最近では、物品購入に関しても、インターネットによって行われることが多くなってきましたが、まだまだ量販店でのショッピングは根強いですね。特に日々使う食料や高価な物については、手にとって見なくては人間の心理として不安なこともあると思います。この心理についても、これからどんどん変わっていくのでしょうが。
よく、薬物はかなり一般の人たちも手を出しやすい犯罪であると言われています。
たしかに、薬物使用は自己に損害を与えるだけ、といった考えがあり、手軽に手を出してしまう人も多いと考えられています。
しかし、今回質問があるような万引きもかなり多い犯罪類型であることは間違いありません。
 
移民法上も深刻な影響がありうる
どのような小さな物でも、窃盗することは可能ですし、子どもから老人まで犯罪加害者になり得ます。
かなり身近といえば身近な万引き事例ですが、以下考えるように、ちょっとした犯罪だと思われがちである割に、移民法上の影響も含めて、深刻な結果を惹起する可能性があります
 
万引きの刑事法上の位置付け
まず、万引きについて刑事的な観点から考えていきたいと思います。
万引きというのは、一般的な言い方であって、窃盗(Theft)というのが法律的な言い方であります。日本では窃盗というのは包括的に刑法235条で規定されています。懲役から罰金まで量刑は用意されています。幅があるのです。
アメリカでは、各州によって窃盗が定められています
色々な定められ方があるのですが、被害の額、行為の方法(住居侵入かどうかなど)、など色々な要素を元に類型化されています。
実は日本でも、古い刑法では色々な窃盗の類型はあったのですが、現在は包括的な規定になっています。
 
刑法の3類型ー重罪・軽罪・微罪
さて、アメリカで類型化されているといいますが、まず、アメリカの刑法の基本である、重罪(Felony)、軽罪(Misdemeanor)および微罪(Infraction)という3類型に窃盗も分類されます。
重罪というのは、一般的に1年以上の禁錮が量刑で用意されている罪をいいます。
軽罪は1年以下の禁錮または罰金、微罪は罰金刑のみが用意されている罪をいいます。
一般的には、人の身体生命に関わるような罪については、重罪とされています。皆さんの身近にある軽罪としては、飲酒運転や薬物使用などがあります。
微罪の典型例はスピード違反などが考えられるでしょうか。この3段階の罪の設定が窃盗罪にも当てはまります。
 
次回続けて考えていきたいと思います。
夏に向かってスポーツも本格的に盛り上がってきましたね。身体を動かしながらまた一週間がんばっていきましょうね。
 


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会社で使い込みを発見。解雇するには?[3]_1070

法律ノート 第1070回 弁護士 鈴木淳司
August 14, 2017




 
お盆休みを利用して日本からいらっしゃった御一行を観光にお連れしているのですが、サンフランシスコ市内の観光名所はどこにいっても、人が多くてびっくりしています。サンフランシスコは、最高気温が20度前後ですから、暑いところから来られている方たちには良い避暑地なのかもしれませんね。みなさんもたまには、サンフランシスコのクラムチャウダーはいかがでしょうか。
 
会社で使い込みを発見。解雇するには?[3]_1070
 
さて、全二回考えてきた質問を続けて考えていきましょう。
「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」という質問です。
 
自主退職が受け入れられない場合
今回は、自主退職を促しても、従業員側が聞き入れない場合、どのように対応していく必要があるか考えましょう。
前回までは、法律や就業規則に触れる場合があるか慎重に検討する必要があるということを考えました。そこから今回考えます。
 
雇用契約の終了
まず、就業規則の他に、その従業員と会社の間で契約があるか確認する必要があります。契約が存在する場合には、期間が設定されていますので、たとえば、一年間の契約であれば、その一年間が終了するときには、理由なく契約を解除できます。その場合、非行があるかどうかにかかわらず、終了できますので、契約に従って通知をしたうえで、契約を一年間満了の時期に解除することは可能です。
このような解除であれば、理由がない契約解除なので、後に非行行為の有無に関して、法廷で争われることはありません。
 
即時解雇
次に、非行があったことを理由として即時解雇をする場合を考えます。
アメリカの企業では、内部で証拠を確認し、解雇の判断をすることが多くあります。外部の弁護士の意見を聞くことも多くあります。私もかなり多くの経験を積んでいるところではあります。
非行行為に対して、緩い対応をしていると、会社に在籍をしている人たちにも良い影響がありませんし、毅然とした態度を見せる必要もあります。そうすると、のちにいくらかの訴訟のリスクを考えても、即時解雇をすることも少なくありません。
もちろん、第一に雇用契約を確認し、契約に書かれた内容に沿って、解雇する必要があります。
 
即時解雇の注意点
即時解雇をする場合には、労働事件の訴訟の経験が豊富な法律の専門家に相談することがベストです。労働コンサルタント等では、最近の判例や訴訟の動向を押さえているか不安です。
解雇がなされた場合には、解雇された従業員も、色々な理由をつけて、不当解雇を訴えてくる可能性があります。場合によっては、訴訟を提起しないことを前提とする契約書を用意して、いくばくかお金を渡したうえで、訴訟を回避するためのアレンジメントをすることも可能な場合があります。
このような訴訟の可能性を緩和する契約書が締結できない場合には、専門家を含めて、訴訟のリスクを検討します。訴訟のリスクを考えるときに、具体的に、本論である、「使い込み」を証明できる程度の書類や証人の確保ができるかどうかは重要ですが、傍論で、ハラスメントや差別などの主張がなされる可能性があるか、考えた方が良いことになります。このように即時解雇の際にも、契約書を作成するなど、ある程度リスクの緩和をすることが可能かもしれません。
 
外部の意見を聞くことの重要性
しかし、無防備な状態で即時解雇をすることになると、職場の環境や、就労状況など、かなり多方面で準備をしなければなりませんので、専門家にしっかり相談されると良いと思います。ただ、今回のように、従業員に非行があったと思われ、かりに従業員がなんらかの理由で企業を訴えてきたとしても、企業側としても反訴を提起して、非行行為を公開の場で咎めることもできます。そうすると、企業側としても、堂々と対応する態度を持って対応しても良いと思いますが、とにかく、客観的に状況を専門家に判断してもらうことが良いと思います。
社内のみで話をしていると、場合によっては感情的なヒートアップもあるので、冷静な意見を具体的事例についてもらうことが大事だと思います。
 
 
また、次回新しくいただいている質問について考えていきたいと思います。夏休みも後半になってきましたが、仕事や勉強ばかりではなく悔いがないように夏を満喫されてくださいね。
また一週間暑さに負けずがんばっていきましょう。




 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[2]_1069

法律ノート 第1069回 弁護士 鈴木淳司
August 8. 2017




 
サンフランシスコ国際空港で、関西から来ている少年野球の御一行を見かけました。ベイエリアの姉妹都市交流の一つのようです。まだ、小学生のような感じでしたが、はじめてアメリカに来た子供達もいるでしょう。子供の頃から、このような国際交流をして、自国を離れスポーツで触れ合うというのは素晴らしいことですね。きっと一生の思い出になるのでしょう。
 
会社で使い込みを発見。解雇するには?[2]
さて、前回から考えてきた「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」という質問を続けて考えていきたいと思います。
 
就業規則や法律違反がないか
前回をまとめると、まず事実関係を整理し、就業規則および法律に抵触する行為がないのかを確認するということが必要ということを考えました。
今回続けて、実際に質問されている具体的事例にどのように対応した方が良いのか、考えていきましょう。
 
具体的な対応_事情を聞き、記録を取る
まず、問題となっている本人からも事実の聴取をされているようですので、本人の言い分も必ず聞き、聞き取った内容は残しておくことが良いと思います。一刀両断に切り捨てるのは、よくありません。
本人が「使い込み」を否定しているのであれば、事実関係との齟齬についてちゃんと説明を受けるべきです。そのときに、聞き取りをするのは複数人いるほうが良いと思います。後日、聞き取り中に何か問題視される可能性がある場合、その主張を封じることができます。
このような社内での聞き取り段階で、従業員側が弁護士に相談し、弁護士をつけることもありえます。弁護士がついたということがわかった場合には、強引に聞き取りを続けるのではなく、会社側も速やかに弁護士に相談して、弁護士同士での話合いにする必要がでてきます。
 
具体的な対応_退職を促す
かりに、従業員が「使い込み」を否定していても、事実関係を精査して、使途不明金があるとすれば、実際に自己都合退職を促すこともできます。まずは、口頭で本人の意向を聞いてみることが良いかもしれません。
自己都合退職とするかわりに、法的責任は問わない、という交換条件も提示しても良いかもしれません。退職届(Resignation Letter)のみを受理して終わる場合もありますし、和解契約書的な書面を作成する場合もあります。
事例によって異なると思いますが、できればまず話合いを持つということが段取りとしては適切です。いきなり、解雇とすると、あとで訴訟になった場合、なぜ解雇をする前に、自己都合の退職を吟味しなかったのか問題にされる場合があります。会社側としても、具体的事例に即して吟味に吟味を重ねた、ということを明示できたほうが良いのです。
 
退社か解雇か
退職を促し、従業員本人も自分の意思で退職すると、会社側にとって訴訟のリスクを減らすことができます。すなわち、不当「解雇」ではなく、自己都合の退職なのですから、「解雇」にまつわる訴訟を回避することができるのです。もちろん、100%リスクを回避することは不可能かもしれません。たとえば、「無理やり退職に追い込まれた」などという主張は法律上可能だからです。
しかし、一般的に言って、自己都合で退職する場合には、「解雇」には該当しないので、訴訟リスクがグッと減るのです。
退職した場合に、会社側が気をつけなければならないのは、退職日までに未払賃金が残っている場合には、その賃金を退職日までに支払う義務など、残給与の精算です。これを怠ると、あとで課徴金を乗せられて請求される可能性はあります。
上記のように話合いが可能であれば、まず退職の可能性を探るのが両者によって良い選択肢であります。ただ、従業員側が頑なに、退職を固辞した場合には、会社としては解雇を考えなければなりません。
次回ここから考えていきたいと思います。
 
 
日本の政治もまた色々再編が進みそうな状況にあるようですが、周りの意見を聞くと、あまり期待は感じられませんでした。どの世界でも人材不足なのかもしれませんね。
まだまだ暑い夏ですが、体調管理に注意してまた一週間がんばっていきましょうね。




 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[1]_1068

法律ノート 第1068回 弁護士 鈴木淳司
August 3, 2017




 
 
北朝鮮がミサイルを発射していますが、今まで日本海側だけではなく太平洋側にも落ちていますね。そうすると、現状確実に日本のどこにでも撃ち込めるミサイルを持っていることになります。今は、一発だけ撃っているような状況ですが、たとえば10発を一斉発射した場合、本当にすべて防衛はできるのでしょうか。本当に心配になります。皆さんは夏をどのようにお過ごしになっていますか。
 
会社で使い込みを発見。解雇するには?
 
さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」というものです。いただいている質問はかなり長かったのですが、一般的なお答えにするために内容をまとめました。
個別具体的な質問については、ちゃんと弁護士に相談されたほうが良いと思います。
 
事実の特定は慎重に、正確に
まず、事実はどのようなものかを把握することが必要です。
会計監査が行われたということですが、具体的にどのような資料がでてきたのか、専門家にも聞きながら整える必要があると思います。
できればクレジットカードの明細や、お金に関する資料の齟齬などは、書類で確認できるはずですので、事実関係の把握には必ず必要なものですので、用意しておきましょう。
それから事実関係で必要なものが、関係者の聞き取りです。対象となっている人だけではなく、その事実に関係している人たちから情報を聞き取っておくことが重要です。聴取されている人の了承を取ったうえで、ビデオや録音で内容を保存しておくことも良いと思います。
 
将来的な訴訟にそなえる
これらの事実の把握や情報の保管が重要なのは、将来的にかりに何らかの裁判になった場合、証拠になる可能性があるからです。また、調査の対象者などと、メールでやり取りをしている場合には、電子情報も必ず残しておく必要があります。
ただ、証拠とできる内容は法律で限られていますので、事実を把握する段階で、専門家に相談をすることは重要だと思います。
 
就業規則の内容を確認
次に重要なのは、会社の就業規則(Employee Manual)の内容をチェックすることです。
就業規則に書かれている手続に沿って処分を決めていかなければなりません。就業規則には通常、疑義ある行為の種類などが規定されています。
就業規則というのは、各会社のルールですから、法律と違った設定をしている場合もあります。また、就業規則は、就業開始時または規則導入時に各被用者に配布され、受領のサインをもらうという手続きを取るのが一般的です。ですので、内容は会社全体に周知されているということになっているのです。
 
今回、会社の調査の対象になっている人も、就業規則に関して受領のサインをしているのか、会社側で確認する必要があります。かりに、就業規則が整備されていない小規模の会社であれば、一般的に法律上犯罪行為を構成する内容かどうか、検討する必要があると思います。
 
就業規則違反と法律違反
就業規則に反する行為が、同時に法律に反する場合もあります。民事法に触れる場合もあれば、刑事法に触れる場合もあります。
民事法に触れる場合には、民事訴訟、たとえばお金を不正に使われているような場合には、不当利得返還請求訴訟を提起することができます。横領として刑事法に触れる場合には、警察に届けて刑事的な処罰を求めることも可能かもしれません。
ただ、現実的な問題として、民事訴訟をするには、弁護士や裁判の費用がかかりますし、使った費用を一個人から回復できるのか疑問の場合もあります。また、刑事的な届け出をしたからといって自動的に捜査をしてくれるかどうかわかりませんし、刑事事件沙汰にすることは躊躇する会社も多くあります。
実際に事実関係を考えたうえで判断していくしかなかろうと思います。
 
 
ここから次回考えていきたいと思います。私は体調がバテ気味なのですが、皆さんは気をつけてくださいね。充分に水分を補給しながらまた一週間がんばっていきましょうね。