法律ノート 第1449回 弁護士 鈴木淳司
Dec 22, 2024
子どもの頃から慣れしたんでいるテレビに出ていた中山美穂さんや、野球のリッキー・ヘンダーソンが年末になってバタバタ他界されているのを見て、なんとなく「死」ということについて考えさせられています。
誰でもいつかは死ぬわけで、自分を振り返ったり先をみたりしています。
やはり健康は大事ですが、酒も好き、という自分の葛藤もあります。
とにかく、後悔だけはしないように仕事ややりたいことをがんばっていきたいな、と最近は思っています。
寒くなってきましたが、皆さんはお元気にされているでしょうか。
アメリカでの婚約トラブル_1449
さて、今回から、また新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問は日本人女性からのものですが、内容をまとめると
「SNSでアメリカ人(男性)と知り合って、渡米してきています。まだ、渡米してきてから1ヶ月程度です。日本での仕事をやめて結婚をする前提でした。すでに渡米前には一年以上やり取りをしていますし、彼が日本に来て一度会ったこともあります。ところが、渡米してから彼は結婚をやめたいと言い出し、私とも一緒に住みたくないということで、今は急遽一人で借りたところに住んでいます。私はビザ無し渡航でアメリカに入国していますので、あと40日ほどで結婚が成り立たなければ日本に戻らなくてはいけない状況です。このような状況のなか、日本に戻るとすると、仕事もなく住むところも引き払ってきたので、かなりのダメージを受ける条状況なのですが、なにか訴訟を考えられないでしょうか。」
というものです。
かなり長い質問でしたが、まとめてみました。
できるだけ、もともといただいている質問の趣旨を私なりに残したつもりです。
今回のアメリカ渡航は、いわゆる婚約ビザ(Kビザ)ではなく、日本人がアメリカに一時的に旅行するためのビザ無し渡航ということで、アメリカ市民権を持つ人と婚姻をする以外には90日を超えてアメリカに滞在し続けるのは難しい状況です。
今回質問されている方も、特段の理由がない場合には、渡米してから90日以内にアメリカをでなければならない状況だと思います。
この点については、結婚、婚約云々の話があったとしても移民法の観点から常に頭においておかなければいけないポイントです。
相手のアメリカ人の方に対しては、訴訟を検討されたいということです。
民事訴訟であれば、かりに今回質問された方が日本にいたとしても提起は可能だとは思います。
ただ、何度か渡米をして、証人尋問をしたり、証拠開示請求に応じなければならなくなります。
これらの費用については、最後まで裁判で争って裁判所からコストに関して支払い命令がでなければ、自腹で払うことになります。
ですので、訴訟をするということについても、金銭的なリスクはついてまわります。
これが一般論です。
今回質問されている内容をみると、すぐにどのようなことに対して訴訟を提起するのが良いのか、私には良いアイディアはありません。
正式に婚約をしていていれば、婚約を破棄されたということで訴訟は可能です。
しかし、今回質問者の方は、フィアンセビザで渡航しているわけではなく、一時的な観光目的の入国ということでアメリカに入国されています。
ですので、ビザ云々ではなく、なにか一般的にみて明らかに婚約したという内容を示す事実関係が必要になります。
裁判所において提示して、一般的に明らかに「婚約をしている」という証拠を出さなくてはならないわけです。
今回質問されている方のメールからは不明なのですが、単に自分が結婚するので仕事をやめた、住んでいるところを引き払った、という事実だけでは婚約を示す証拠にはなりません。
やはり、相手からどのような連絡が来て、その連絡に乗って自分も行動をしたのか、などの一連の事実を示す必要があるのです。このような。
相手方との意思の合致がなければ、婚約した、とは言えません。
まず、訴訟をすることを考えるとしても「約束」があったということを示す証拠をまず検討する必要があると思います。
残念ながら、今回の質問については、恋愛関係でかなり傷ついたりされているようでしたが、法律論として、すぐにこのままアメリカの滞在を続けられるとは言えませんし、婚約関係をしっかり主張できないと訴訟も維持はできないと思います。
「結婚をしたい」というだけでは、フィアンセとは即評価されないので、かりに訴訟をしたいと考えるのであれば、これまでに積み上げてきた事実関係を法律家にちゃんと評価してもらうのが良いと思います。
今回いただいた質問に関してはここまでにしたいと思います。
次回はもう今年最後の法律ノートになります。
一年早かったですね。
ぜひ、ホリデーシーズン、体調に注意して、一年を振り返りながら、リラックスした時間を過ごしてください。
また、次回まで仕事をされている方も多いとは思いますが、ラストスパートがんばっていきましょうね。
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