アメリカで弁護士なしの本人訴訟(1)_1190

法律ノート 第1190回 弁護士 鈴木淳司 Dec 9, 2019 もう師走ですね。日本ではあいさつ回りが激しくなる時期でみなさんお忙しくされているのではないでしょうか。街では、電飾が明るく輝き綺麗な時期になってきました。一年がもう終わってしまうと思うと、この一年何をやってきたのか。時の流れははやいものですね。今年、私はまだまだ忙しくしているのですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。クリスマスを挟んで、少しはゆっくりする時間をつくれるといいですね。まだ、2019年も時間が残っていますから、張り切っていきましょう。

アメリカで弁護士なしの本人訴訟(1)_1190

さて、今回からまた新たに皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。 いただいている質問をまとめると「やっていたコンピュータ関係のビジネスを清算するために、中古ですが電子機器をまとめて他業者に売ったのですが(数万ドルのようです)、正常に稼働しないということで、紛争になっています。相手方他業者は、かなりの損害になったと主張に訴訟をしてくると言っています。払った額は戻すので現物を返してくれといっても、損害が発生しているので、それだけでは許さないといって感情的になっているようにも思います。やっていたビジネスは小規模でとても弁護士を頼むこともできないのですが、訴訟になった場合には、ネットなどでは本人だけでも訴訟もできる、ということですが、実際に訴訟を素人ができるものなのでしょうか。」というものです。

本人訴訟

いわゆる本人訴訟とか、当事者訴訟などと言われることに関する質問です。 以前、日本の弁護士会でも、当事者訴訟に関する調査というのに付き合ったことがあるのですが、日本でもアメリカでも、一定割合で弁護士の助太刀なしに、当事者が自分で訴訟をするということは珍しくありません。 特に、離婚や子供の養育などの問題については、かなり当事者だけで立ち振る舞うこともあると思います。余談ですが、先日機会があって家事裁判所に出入りすることがあったのですが、法廷は満員御礼でした。そこでは、夫婦(元か?)が出てきて、学校が終わったあとに、子供の課外授業をどうするのだと喧々諤々やっていました。弁護士はついていない分、裁判官も大変そうだな、と思った記憶があります。

少額訴訟と弁護士の介入禁止

アメリカでは少額訴訟(Small Claims)制度が各州で制定されていますが、この類の上限額が決まった裁判は、弁護士の介入が原則禁止されています。当事者だけで弁論をして、判決に至るということになるわけです。 今までも少額訴訟については、法律ノートで何度か考えましたね。 基本的な考え方として、弁護士にお金を払ってまでやる訴訟ではない、という前提があるのでしょう。このように制度として、弁護士の代理を許さないという考え方もちゃんと存在するのです。 この少額訴訟制度を除いては、基本的に弁護士の代理は一般的なことではあります。 しかし、弁護士というのは、なんらかの公的扶助(私自身も立ち退き裁判を無料で引き受けて若いときには、裁判をよくやっていましたが)、たとえば弁護士会の扶助などがなければ、基本的には弁護士報酬を払わなければ動かないものであります。とは言え、すべての事件で、当事者が弁護士を雇えるわけではないことは、裁判所もよくわかっています。

裁判所によるセルフ・ヘルプページ

最近では、各裁判所のウェブページも充実してきて、「セルフ・ヘルプ」などという形で、必要なフォーム、必要な情報などを公にして、一般の人達にも弁護士なしで裁判ができるように積極的に動いているのがトレンドであります。 弁護士のなかには、自分で訴訟をするのは危険であるといった論調で、意見する人もいますが、私は裁判所がいろいろな情報を一般の人達に用意して、裁判所にアクセスすることは非常に良いことだと思っています。 逆に、裁判をやることの大変さを実感してもらった方が弁護士の価値というのをわかってもらえると思うのです。そして、かりに弁護士なくして、訴訟ができるのであれば、それはすごいことですし(実際にそういう方もいるわけです)、自分で自分のことができれば、弁護士の助けを借りなくても良いと思っています。 ですので、今回質問されている方のような場合訴訟を受ける側、被告となるわけですが、実際問題として、今の時代インターネットに正しいかどうかはわかりませんが、情報は溢れているわけですし、取捨選択して自分で訴訟をすることもできないことではないと思います。 ただ、自分でやることのメリットはお金を節約できるということになるかもしれませんが、デメリットも潜在的にあるわけです。ですので、この辺から次回また考えていきましょう。 もう一年が終わりますが、この一年生きてこられたことについて、周りの人に感謝しながら、また一週間がんばっていきましょうね。

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