弁護士の役割-日本とアメリカ_1189

法律ノート 第1189回 弁護士 鈴木淳司
Dec 3, 2019


弁護士の役割-日本とアメリカ_1189

 ブラックフライデーのセール商戦が今年もありました。私は量販店に行ってびっくりしました。55インチのテレビが250ドル(約3万円)程度で売っているのです。一昔前は1インチ100ドルなんて言われていた時代もあったわけで、隔世の感があります。予定はしていなかったのですが、古いテレビの代替えに一つ購入してみました。聞いたところのないメーカーの品でしたが、映りも良いし、時代はどんどん変わっていくものだなぁ、と思いました。みなさんは、サンクスギビングをどのようにお過ごしになりましたか。

 

 最近、事件を通じて「そういえば、そうだった」と不覚にも感じてしまったことについて今回考えさせてください。

 江戸時代から、いやそれ以前からかもしれませんが、日本は「お上」が強大な権力を持っていた国であります。もちろん日本だけではありませんので、別に日本が特殊なわけではないとは思います。

 しかし、「先進国」などと呼ばれている日本ですが、お上意識というのは、未だに存在します。もちろん、民主主義国家なのですから、現在の日本において、法律の制度に問題意識を持つのはひとりひとり国民の責任なのですが、そう簡単に全体的に根付いている制度を簡単にはひっくり返すこともできないのも事実であります。


 私が今回「お上」と言っているのは行政の役割であります。
 行政というのは、司法を除いて法律に基づいて国を治める総称です。ですので、生活のなかで行政が絡むことは広範囲に及んでいます。たとえば、道路のメンテ、営業許可、戸籍、災害の対応など、かなりの範囲に及ぶわけです。

 そして、権力的行政というのもあります。
 最たるものとしては警察行政ですが、警察だけではなく、行政機関には強制的に捜査をし、物や情報を押収する権限を与えられているものも多く存在します。麻薬取締、証券取引などはみなさんもお聞きになったことがあるでしょう。


 今、ある刑事事件を担当しています。
 その証拠のなかに、日本の行政機関が押収した書類があるのですが、それをそのままアメリカの捜査機関に手渡し、今度はアメリカの刑事事件で使われているのです。まあ、そこまではあり得る話なのですが、日本の行政機関が名目は聞き取り調査ということで行っているのですが、アメリカで言えば実質的な強制捜査で弁護士の立会いもなく書類等を押収しているのです。

 事情を聞くと、形式的には「任意捜査」とか「任意の調査協力」などと言っていますが、どうみても、「嫌」とはいえない状況で行われていますし、「嫌」と言った場合には、その後のお釣りがどのようなものがでてくるのか怖いわけです。

 今回私が受任している事件では、日本で何度も弁護士の立会いを行政の捜査に対して求めていたのですが、体よく断られています。というより、弁護士の介入を原則許していないわけです。

 日本では、行政が介入して調査をしているのだから、悪いことをしているのだろう、そして、真実を徹底的に明らかにするためには、弁護士などの介入をさせない方が良いだろう、と思われる方もいるかもしれません。

 根強い考えがあるのか先進国家日本では行政が捜査をしているときには、弁護士の介入というのを基本的には権利として考えてくれていません。

 一方、アメリカでは、自分が捜査や調査の対象になったら必ず弁護士を呼んでくれ、ということになります。往々にして行政権力というのは、機動力や人員などから考えると、対個人で見るとどのようなスペックにおいても凌駕しているわけです。もちろん、黒に近い灰色な被疑者もいるわけですが、実際そうでない人もいます。こういった権力と対立するときにやはりフェアに戦おうという根強い思想がアメリカにはあります。

 もともと、権力不信から作られた国という歴史があるのでしょうか。それ故に、デュープロセス(適正手続の保障)を重視する考え方があるのです。

 日本では、実話ではないかもしれませんが、水戸黄門の印籠が出てくれば人々がひれ伏し、鬼平犯科帳では長谷川平蔵が強制捜査をしてソロで処断する、そしてそれを幕府が奨励している、というのが当たり前のようになっていて、人々は疑問も挟みません。「お上」というのは、上に位置するわけですから、それは強いわけです。今でも、行政関係では「下命」とか「宅下げ」とか、一般人は「下」にいるわけです。日本では普通に法律家も「下」を含む単語を使っています。


 冒頭で「そういえば、そうだった」というのは、日本とアメリカで法律を学んだときに感じたことです。
 アメリカで刑事訴訟法の教科書を読むと、半分くらいはデュープロセスについて語られます。憲法修正4条、5条、6条、14条などは、頼まれていませんが暗記してしまった記憶があります。とにかく大事な法律論の根幹だと私は思っています。

 一方、日本で刑事訴訟法の教科書をみると、適正手続についてあまりページ数は割かれていない。そして、司法の判断もデュープロセスに対して消極的な印象をかなり受けて、愕然とした思い出があります。

 私の同業者で仲の良い人達のなかでも、日本で刑事事件を手掛けてデュープロセスの問題に立ち向かっている素晴らしい人もいます。先進国と呼ばれる国でそこまでデュープロセスについて根本的なところから戦う必要があることが切ないのですが。ただ、よく考えるとこれら日本の弁護士は、単に被疑者、被告人のためだけに戦っているわけではないのです。デュープロセスを考える上で真に必要な弁護士の役割について、社会に問を発信し続けているのですね。

 色々話を聞くと私は日本国内の刑事事件を担当する弁護士をやっていたら嫌気がさしてやめてしまったと思います。今、みなさんが日本でこの原稿を読んでいるときに、ドアにノックがあった。そして、行政機関がなんらかの調査をしているので任意で同行を願いたい、と言われたらどうしますか。やはり相談できる人がほしくないですか。それとも、堂々とお白州に自分一人で乗り込みたいですか。悪いことをしている覚えがある人も、何も知らない人でも。

 


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