アメリカ_雇用契約の競業避止(2)_1387

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1387回 弁護士 鈴木淳司
Oct 7, 2023

 ダイアン・ファインシュタイン上院議員が天国に召されました。
女性の上院議員としては最長期、議会に在籍されました。
性別関係なく、私が尊敬する政治家の一人です。
彼女の功績は枚挙にいとまがないですし、どこでも報道されているでしょう。

しかし、彼女の生涯一貫した信条、党派を超え、常に懐が深い態度など、物腰は静かですが、政治家としてあるべき資質を真に備えた政治家でした。
そして、地元であるサンフランシスコでも、私も仕事上色々助けていただきましたが、そのことは地元のためにやるということで、自分の利を考える政治家ではありませんでした。

私も様々な彼女の地元における功績を知っていますが、彼女は常に当たり前のように行い、一切「偉ぶったり」、「自分がやったのだ」といった態度はありませんでした。
ご冥福をお祈りします。

アメリカ_雇用契約の競業避止(2)_1387

 さて、前回考えてきた「日本からアメリカに来てから30年以上経ちます。大学院からアメリカに留学してそのまま精密機械の輸出入を扱う会社で25年以上働きました。コロナ禍以降、生活態様が変わり今勤めている会社を退職しようと思っています。円満に退職できると思うのですが、就職時にサインした契約書にあるNoncompete Clauseが気になります。実は、退職したあと、同種のコンサルタントとして一人でビジネスをやろうと思っていたので、契約違反にならないか心配しています。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。

カリフォルニア州における競業避止の現状

今回は、カリフォルニア州における競業避止条項の現状をご紹介しておきたいと思います。

今回の質問のお答えにもなっています。

現状では、カリフォルニア州法によると(California Business and Professions Code Section16600)一切の競業避止条項は禁止されています。
競業避止条項は、遡って無効となっていますので、今回質問された方も、かなり前に契約を締結されたようですが、この昔約束した競業避止条項を現在気にされる必要はないと思います。

新法では州外の締結条項も無効に

 2023年9月1日に、この競業避止条項を禁止する方向をさらに進める法案にカリフォルニア州知事が署名しました(Business and Professions Code Section 16600.5)。
新法は、2024年1月1日に発効します。

この新法では、州外で締結された競業避止条項も無効としました。
また、カリフォルニア州内か州外か関係なく、カリフォルニア州においては、競業避止条項は一切禁止とすることになりました。
また、いつサインされた条項かも関係なく無効としました。

雇用者は競業避止条項違反について被用者に対し、訴訟を提起するなど強制することもできなくなりました。

 このように、少なくともカリフォルニア州においては、競業避止条項はかなり嫌われていて、今回質問された方においても、今まで働かれていた同じ分野で働くことは、問題ないということになります。

ただ、これはカリフォルニア州での話です。

他州では未だ条項が有効な場合も

アメリカには50州あり、様々な法律が各州にあります。
他州では競業避止条項がまだ健在なところもあるわけです。
場合によっては、日本法に基づく競業避止条項も本来は有効かもしれません。

ところが、カリフォルニア州は強権的に他州の競業避止条項でさえ無効にする、と言っています。

そうすると、他州の立場からは、カリフォルニア州が勝手に「無効」と言っているだけで何を言っているのだ、というジレンマが生じることになりますよね。
ここはまだこれから解決されていかなければならない問題ではあります。

少なくとも他州に跨がらずカリフォルニア州で完結する場合には、競業避止条項というのは、契約書には出てこないこととなることは覚えておいてください。

 今後、カリフォルニア州法のように、競業避止条項全面禁止を掲げて他の州とぶつかりあっていることから、色々な訴訟が提起され、地が固まっていくのだと思います。

被用者、消費者に手厚いカリフォルニア

ただ、被用者に手厚いカリフォルニア州のやっていることは、現在の労働者の勤労の自由を守っていることなので、たぶん、今後、他の州もカリフォルニア州の法律に多かれ少なかれ追随していくことになるのではないでしょうか。

とにかく、カリフォルニア州では消費者保護が強く、たとえば製造物責任法もカリフォルニア州が発祥地であります。
今回の競業避止条項についても、まだ世界では当たり前のように使われていますが、カリフォルニア州の全面無効が世界基準になっていくように思います。

 また次回から、皆さんからいただいている新しい質問を考えていきましょうね。

もう雪の知らせもチラホラありますが、秋は過ぎていってしまったのでしょうか。
もう少し秋を楽しみたいですよね。
雨風で季節替わりの時期ですが、天気に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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