法律ノート 第1335回 弁護士 鈴木淳司
Oct 9, 2022
先日、外出先でバッタリ引退された裁判官に出会いました。
もう引退されたのは2009年と言うことでしたので、まだお元気な姿を見て嬉しくなりました。もう隠居されているのかと思っていたら、まだ仕事をされていると言うことで感心しました。もう80代だと思うのですが、車も運転されていました。
80代まで仕事をする姿を見て、自分のことを考えると気が遠くなります。弁護士は自由業なので自分で仕事の引退を決められるのですが、私は、そこまでやる自信はないですね。定年という区切りがないので、良いような気もしますし、大変なような気もします。
みなさんは、お元気にされていますか。
ESTA, Bビザ アメリカ進出(2)_1335
さて、前回から「コロナに関する規制も緩くなってきていることから、今日本で徐々に展開しているネットサービスをアメリカでも展開させていきたいと考えています。最初はアメリカに会社を置こうと思い、渡米を考えているのですが、一般的に会社の展開とビザの関係について教えてください」といういただいた質問を考えていますが、続けていきましょう。
Bビザはビジネス向け。しかし報酬不可
前回はBビザというビジネス関係でも使えるビザをご紹介しました。
90日を超えてアメリカに滞在し、ビジネスに関連する活動をするためには、使えるビザということです。
それでは、Bビザを使ってアメリカに滞在しながら、アメリカ国内での商行為をしたいと考えている場合には、どのようなチョイスがあるのでしょうか。
Bビザを使えば、アメリカ国内で、例えば会社の設立をしたり、ビジネス関係の登録などをすることは全く問題ありません。
一方で、設立した会社や、第三者から報酬をもらうということはできないビザです。
アメリカで働くためのビザは?
アメリカ国内で就労をするためには、就労のためのビザが必要になります。
日本の企業や日本人の個人がアメリカで就労するための主なビザはEビザ、HビザそしてLビザということになります。
この3つが一般的に日本人には用意されていると考えて良いでしょう。
日本人を雇用するHビザ
まずHビザは、アメリカにある企業や団体などが、日本人を雇用するために使います。
Hビザは発行上限数が毎年度決まっており、このところ毎年申請者の数が上限数を上回ります。
ですので抽選をして誰が申請できるのかが決まります。
このように、雇用者側としては、抽選の結果を待たないと雇えるのかがわからない、ということで雇用者と外国人求職者のマッチングに影響していると思います。
以前は牧歌的で、歯科衛生士、楽器の修理をする職など、さまざまな分野でビザが発給されていました。しかし、このところのIT業界の発達で多くのHビザは、テクノロジー業界に充てがわれている状況です。
このように、抽選当選が前提であるため、確実に労働するためのビザを取得しようとすると一つのハードルになると思います。
特に外国人学生にとっては鬼門であり、抽選漏れをするとアメリカでは働けないという現実が待っています。
日本企業が使うEビザとLビザ
次に、EビザとLビザというものがあります。
日本の企業が使うビザはこの2つが大半のはずです。
日本から来ている駐在員は、ほぼ皆さんEかLビザを持ちながら就労しているということになるでしょう。
この2つのビザの詳細については今回考えませんが、大きく考えると、この2つのビザは、就労がアメリカ人と同様にできるという点では似ています。
また現在では、帯同している配偶者が働けるという点でも類似していると思います。
違いとしては、Eビザは、通常五年間の期間が与えられ、その後条件が整っていれば制限なく更新できるところですが、Lビザには、6年、7年といった期限があります。
EビザかLビザか
Eビザというのは投資ビザなどと言われています。一方、Lビザは企業内転勤と言われています。
また、Eビザは、どの程度の通商があるのか、どの程度の投資がアメリカにされているのかという点にかなり注目します。
Lビザは、すでに日本等に会社があって、その会社からアメリカの子会社なりに派遣するという、会社や団体がすでに存続していることが前提であり、その上で、「誰が送られるのか」という点に注目されます。
Eビザというのは、アメリカが条約を結んでいる国しか出せないので、外国人でもEビザがもてる国籍は日本を含め限られます。
一方で、Lビザは、どの国の会社でも申請できるので近年では突出して、中国が多くなっています。
どちらにするかはやはり、どのようなビジネスをする、しているのかで違いが出ます。
この点については、専門家に聞いて判断するべきだと思います。
ここで、EビザやLビザを申請するのに、株式会社を設立しなければならないのか、というとそうでもありません。
日本の法人がアメリカに法人格を外国法人として登録していれば、そのビジネスの実態を持ってスポンサーとなれます。
実務的には、ちゃんとアメリカで税務申告をしている主体があれば、そこをスポンサーとすることもできます。
ただ、既存のビジネスを利用してビザを取るのではなく、新規でビジネスを始めるためには、EビザとLビザの要件は違ってきます。
次回続けて考えていきましょう。
サンフランシスコもめっきり秋っぽく肌寒い日も出てきました。
皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか。
今年の夏は熱中症にやられたりして、外出も控えていましたが、今は絶好の外出日和ですね。
せっかくの良い天気なので、屋外を楽しみながらまた一週間頑張っていきましょうね。
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