法律ノート 第1320回 弁護士 鈴木淳司
June 27, 2022
このところ、保守派が大多数を占める米国連邦最高裁判所では、保守派のなかでも意見が割れるような問題について、アメリカにおける人権の考え方が時代に錯誤するような判断でいくつも出ました。
50年前、100年前にはもちろん、今と違った人権の考え方があったのは、当然です。
一方で、時代は流れ今日まで、様々な議論を通して人権をどのように守るのか議論されてきたのに、今回の連邦最高裁は、100年前の人権の考え方に帰ろうとでも言うのでしょうか。
今の最高裁の考え方は、保守派とリベラルという2分割では割り切れないように感じています。
保守派という意味を考えさせられます。
皆さんは夏を楽しまれていますか。
学生ビザでは就労不可(1)_1320
さて今回から、また新しく皆さんからいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると「学生ビザを取得した日本人学生です。コロナの間は学校がオンライン授業になるということで、その間は休学し、対面授業が再開するのを期に渡米しようとしました。アメリカに到着したときに、学生ビザなのに、アメリカ国内で働いたことがあるだろうと二次検査で言われ、最終的には入国することができましたが、かなり長時間留め置きされました。尋問を受けたときに、色々資料を見せられたのですが、まったく覚えのない情報が記載されており、ずっと否定するしかありませんでした。今後の入国に不安を感じています。」というものです。
就労したらビザ取り消し
今回のように学生ビザで入国しようとする場合、アメリカに入国すると就学することが唯一の目的になりますので、就労をすることはできないわけです。
したがって、かりにアメリカ国内で就労をしていた事実があると、学生ビザでの滞在に反する行動があったとして、ビザの取り消しがされることにつながっていきます。
合法的な例外はOPT
学生ビザを持っている状態でプラクティカルトレーニングという研修用の就労制度はありますが、期限等が限られています。
観光目的でアメリカに来て、就労することも許されないように、勉強するという就学目的のビザ(Fビザなど)を持ってアメリカに滞在する場合には就労することは許されないのです。
就労をしたい場合には、就労が許されるビザを取得しなければなりません。
なぜ二次審査になったか
さて、今回質問されている方が二次検査で留め置きされて、色々詰問されたということですが、その理由は色々考えられそうですが、今回いただいていた長々した事実関係をまとめると以下のような問題点が見えてきます。
まず、最近、移民局はSNSなどを良く観察しています。
最近でも東京のアメリカ大使館の職員がかなり細かい部分まで会社のSNSを見ていて、ある意味言いがかりをつけるという例もありました。
最近ではビザ申請に、メールアドレスやSNS等を記載するようになっています。
そして、その情報は国務省に保管されていますので、皆さんが毎日のように書き込んでいる内容については移民局が見ていると思われた方が良いと思います。
SNS上の見え方
どうも、今回質問されている方についても、前に学生をしているときに、場合によっては働いていると取られるような写真や書き込みがあったようです。
もちろん、実際にはボランティア活動をしていたということですが、見方によっては就労していると考えられてしまうものでした。
また、ボランティアといっても、対価を受け取ってしまうと、これは形式上就労となります。
そうすると、たとえば、対価を受け取った的なことをSNSに書き込んでしまうと、これは立派な移民法上の不法就労の証拠になってしまいます。
このように気軽に自分のやっていることや考えが書き込めるSNSですが、安易に使っていると移民局が情報源として利用する可能性があるので、今の時代かなり気をつけた方が良いと思います。
ここから次回また考えていきたいと思います。
もう一つ懸念されるのは、同姓同名の人がいる場合です。
スズキジュンジという私の名前も元?なのかわかりませんが国会議員に同姓同名の方がいらっしゃいます。
昔漢字も一緒なので、親近感が湧き手紙を書いたのですが無視されましたっけ。
同姓同名というのも一つ困る要素に思いますので続けて考えたいと思います。
先週の火曜日は、サンフランシスコでも信じられないくらい暑い日でした。
夜も涼しくならず、グッタリでした。
今までこのようなことはなかったので、確実に天候が変わってきていますね。
サンフランシスコ・ベイエリアの家はクーラーというものがそもそもついていない土地柄ですが、今後変わってくるのでしょうか。
困ったものです。また一週間熱射病に注意しながらがんばっていきましょうね。
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