コロナウイルス、学生ビザへの影響

Washington DC

コロナウイルス、学生ビザへの影響

弁護士 鈴木淳司 May 25, 2020

 まだまだカリフォルニア州ではシェルターインが続いていますが、日本ではずいぶん自由が増えたようですね。アメリカでも州によってはかなり開放が進んでいます。しかしかなり感染者数が多いアメリカですので、二次感染が怖いところです。やっと、マスクも普及してきたことは良いことですが。

 さて、今回の国際弁護士ブログ(じんけんニュース)を利用して、学生ビザ(Fビザ、Mビザ等)についての緊急時下の対応について考えておきたいと思います。
 なかなか、学生ビザについては法曹が取り上げることがないのですが、現状質問が多いところです。代表的な論点を今回考えておきましょう。

1.学校がオンライン授業になった場合

 まず、学生ビザについては、学生としての活動を「アクティブ(Active)」にしておかなければ、アメリカ滞在は許されません(8 C.F.R. 214.2(f)(4) )。

 移民法でアクティブというのは、5ヶ月間間をあけないで学生ビザのもと勉強している外国人学生を言います。アクティブステータスがなくなると、もう一度ビザの申請が必要になってきます。

 この5ヶ月間を空けない、という規則が今回のコロナで問題になっています。自国に戻って、オンライン学習をする学生も多いからです。

 今回の自宅待機命令も含め、自国にいても、アメリカでクラスに直接出席できなくても、オンライン等で授業を継続していれば、「アクティブ」のステータスを維持できることになっています。

 したがって、再度学生ビザの許可を得る必要はありませんし、I-20もキャンセルされることはありません。しかし、この措置は、コロナに関しての特別措置なので、期限等についてはSEVP(外国人学生登録プログラム)の情報に関して学校を通してチェックしてください。

 それから、このコロナでの休校措置が取られている間に新規入学のため渡米する(している)外国人に関しても、学校の取る措置に従って、オンライン授業などを行っていれば、アクティブステータスが失われることはありません。ただし、コロナの影響が収まって、学校に戻らなくてはいけないのに、受講に戻らない場合にはSEVIS(外国人学生登録)の記録に受講していないことが記載され、I-20が取り消しになるかもしれません。

 一方で、たとえばオンライン授業を受講するのも困難な場合には学校(DSO=学校の入管関連担当者)に相談をすれば、アクティブの状態で据え置きしてくれるはずです。

2. 学校のスケジュールが変わった場合

 学校の授業が休みになり延長された場合には学校がしかるべき措置を取り、SEVISの記録に整合性がなくてはいけなくなります。

 ですので、学校側がSEVPに通知をして、変更をする必要があります。
 学生側はその変更内容を確認する必要があります。

 OPTについても、時期がシフトする可能性がありますが、SEVISではなく、OPTの許可は、USCIS(米国関税移民局)が行っています。どちらも同じDHS(国土保安安全局)の管轄下ですが部署が違うので、学校を通すなりして、要件を確認する必要があります。

3. I-20の電子的発行

 本来I-20(就学許可書類、学校が発給するもの)は物理的に郵送されなければなりませんが、今回郵便配達も困難な状況に陥って、さらに国際郵便は停止しているところも多いため、学生ビザ申請に必要なI-20については、SEVISに登録されている学生のメールアドレスに送信する形で良いということになりました。こういうのは、アメリカはとても早くて素晴らしいことですね。

 また、I-20はスキャンでも、デジタル署名でも良いことになっています。
 また、電子的に発行されたI-20は、コロナの緊急時が静まっても有効期限内であれば、効力は維持されるということになっています。

4. フルタイム学生の定義変更

 オンライン授業になりフルタイムといっても、一部の授業は受けられない状況になっています。これについては、フルタイムを維持することについて学校側が、SEVPを通じて維持は可能となっていますので、学校側の指示に従うことが重要です。

5. アメリカへの再入国

 基本的にコロナの影響によりアメリカの再入国が遅れる等の問題があっても、原則外国人の学生ビザによる再入国には影響はしないとしています。

 しかし、SEVISが入国については扱っていないので、学生ビザの有効期限等については、大使館・領事館等の発表を確認する必要があります。ただ、基本的には、再入国は可能ということになっています。

 上記は、いろいろな学生の方がいて、いろいろな質問があると思いますがその一部の解説です。
 特に、プラクティカルトレーニング(学生ビザのあとにおける就労期間(1年間))については、SEVISだけではなく、米国関税移民局(USCIS)の管轄下でもあるので、いろいろな問題が発生しそうなところではあります。

 ただ、米国はかなりコロナ対策を徹底的におこなっているので、延長等の話には耳を傾けてくれると思います。

 次回また、新しいトピックを考えていきたいと思います。また次回まで、健康にすごしましょう。


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