アメリカ学生ビザでは就労不可(2)_1321

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1321回 弁護士 鈴木淳司
Jul 5, 2022

もう今年もアメリカの独立記念日です。
独立記念日が来ると一年半分終わってしまったんだなぁ、と感じてしまいます。
ベイエリアは暑くもなく寒くもなくとても過ごしやすい陽気ですが、雲が多いので花火は毎年似たりよったりですが、あまり期待できない感じではあります。
私は事務所の事務方と三連休ゴルフを楽しんでいましたが、皆さんはどのようにお過ごしになっているでしょうか。

アメリカ学生ビザ就労は許されない(2)_1321

さて、前回から考えてきた「学生ビザを取得した日本人学生です。コロナの間は学校がオンライン授業になるということで、その間は休学し、対面授業が再開するのを期に渡米しようとしました。アメリカに到着したときに、学生ビザなのに、アメリカ国内で働いたことがあるだろうと二次検査で言われ、最終的には入国することができましたが、かなり長時間留め置きされました。尋問を受けたときに、色々資料を見せられたのですが、まったく覚えのない情報が記載されており、ずっと否定するしかありませんでした。今後の入国に不安を感じています。」という質問を今回続けて考えていきましょう。

前回考えたのは発給されたビザと入国の意思が乖離した場合、入国管理は、二次検査などによって、入国に関する事実関係を問うことができるということです。

移民局のチェックは広範囲

また、入国管理は、広汎な裁量をもっていますので、確固とした証拠などがなくても、会話や立ち振舞から「怪しい」とすることができるということになります。
もちろん内部マニュアルは存在しますが、基本的には外国人の入国に関しては、移民局が裁量をもっているということになります。

さて、ややこしいのが同姓同名や、SNSのユーザー名などが似ているなどといった場合でしょうか。
もちろん、同姓同名問題は、日本人に限ったことではなく、ほかの国の人達の方がトラブルになりやすいかもしれません。

インドや中国などの名前は似ているものも多く、ミドルネームをつけるとか、英語での名前をつけるとか皆行っていることです。
日本人も漢字で名前を書くと発音とはちがって、別人だとイメージされやすいのでしょうが、英語表記にすると子音と母音が交互に出てくる日本人名は似ている名前も多く存在します。

もちろん移民局に提出する申請書にSNSのことも最近では記述する欄がありますが、それだけ移民局はチェックしているわけではなく、場合によってはかなりサーチを拡大しているようです。
最近ではAI技術なども使っているようです。

そうすると、場合によっては本人ではなくても似たような名前や内容などが出てくると思われます。
同性同名であっても、自分ではないということを証明するのは難しいものです。

SNSの管理は厳重に

特に、色々なSNSを使っている場合には、色々なつながりから見られてしまう可能性もありますので、確実に自分のやっているSNSはすべてコントロールしておいたほうが良いと思います。
そして、入国の際に別室に連れて行かれたときに、必ずすべてどのアカウントでどのSNSをやっているのか提示できるようにしておきましょう。
私だったら、無防備にスマートフォンを出さずに、どこかに紙で一覧表でもつくっておきます。

そして、その紙をみせて、これ以外のアカウントは私ではないし、私に一切関係ない。
あるとしたら、それは別人かなりすましであるということを言い、それ以上は「知らない」とするのが良いと思います。

こちらから質問ができる雰囲気ではないかもしれませんが、場合によってはこちらから、そのアカウントの詳細が私にマッチしないことは明らかなので、チェックしてください、と断固として言うのが良いと思います。

サインの義務はない

最近ではかなり強行に自分の意思で入国違反の事由を認める書類にサインをさせられるケースが増えています。
絶対に弁護士に相談しなければサインはしない、ということで、裁判になるぞ、とかもっと留め置くぞ、と脅しめいた文言を言われたとしても、通した方が良いと思います。

一旦何かにサインをしてしまうと既成事実として扱われてしまい、何も良いことがありません。

とにかく、嫌疑をかけられて移民局からなにかサインをするように求められても、サインをする「義務」というのはありませんので、突っぱねて良いと思います。

とにかく最近の若い人たちはSNSやソーシャルメディアが大好物ですが、移民局の標的になってしまう負の部分があるので、自分がデジタル的に残すものは、ちゃんと自分の責任の範囲内で把握しておくことをお勧めします。

 次回また新しくいただいた質問を考えていきましょう。

ベイエリアの天気は最高に過ごしやすいですが、日本やアメリカの各地では猛暑が続いているようです。
体調に注意してまた一週間がんばっていきましょうね。
いや、あまり暑さのなかは頑張らないで体を守ってくださいね。

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作成者: jinkencom

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