法律ノート 第1530回 弁護士 鈴木淳司
June 27, 2026
■ 人の振り見て我が振り直せ
今回は皆さんからの質問にお答えするのを一回休ませていただいて、自分への戒めも兼ねて、最近私が体験したことをご紹介させていただきたいと思います。
ロサンゼルスエリアに弁護士の免許も持たないのに、あたかも弁護士のように振る舞い、そして日本人が被害に遭っている事例の救済を最近頼まれました。弁護士の資格がないのに、法律業務を行うのは非弁行為といって、最悪の場合には刑事罰も適用されます。数年前、この非弁をしている人の酷いミスで、事件がぐちゃぐちゃになった案件を途中から救済しました。あまりにも酷いので、弁護士会がこの輩に制裁したのですが、先週になって、またこの非弁行為者による被害者の相談を受けました。どうも故意に新たにビジネスをつくり、非弁行為を続けているみたいなのです。ここまでいくと病気だと思います。違法なビジネスを潰されても何度もやるくらいのエネルギーがあるなら、まともに勉強して法律家になればよいのにと思います。一方でこのような輩がのさばるのは、依頼をしてお金を払う人がいるからです。騙されているのか、安くてよいか、と思うのか、動機は色々あると思いますが、たとえばカリフォルニア州の弁護士会に登録すると登録番号をもらえます。私の番号は184738ですが、まず相談をするときには、懲戒処分をされた履歴があるのか、弁護士登録番号があるのか、程度はチェックするべきだと思います。また、最近では「Web検索で上位にくるから頼んで失敗した」といった事例も持ち込まれますが、できれば紹介の方が良いと思います。私自身も、ほぼ日本やアメリカの同業者の方々から紹介を受ける例が大半です。紹介というのは、今も昔も一番依頼者にも弁護士にも安心できる方法だと思います。依頼をする方々においても、誰に頼むかは慎重に考えた方が良いですし、まずはお互いに信頼関係が結べるのかが鍵になります。その信頼には、ちゃんと弁護士免許をもっていて、登録をしているということが、そもそもの基礎としてなければいけないわけです。皆さんも「弁護士」かどうかは少なくとも確認してから依頼はされてください。
上述したように弁護士には、登録番号というのが振られます。私は18からはじまる6桁の番号になっています。この番号は、新しく登録した人はどんどん数字が大きくなっています。現在ではたぶん登録したての弁護士は38からはじまる6桁の番号になっていると思います。数字が少ないほど、長く登録をしているということがあります。もちろん、登録しても法律業務を行わない人も多くいるわけですが、弁護士の経験を測るには、この登録番号が一つの基準になるわけです。読者の皆さんは私の番号くらいの人は30年弁護士をやっているという見立てができるということを覚えておいてください。
最近では、訴訟をしていると私の登録番号よりずいぶん若い番号が振られた弁護士が増えてきたと感じます。まあ、当たり前なのですが、感慨深いものがあります。もちろん長くやっていれば良いものでもありませんが、長くやっているということはそれなりの叡智や経験があり、責任も持ってきたということではあります。ただ、登録の浅いたとえば、26から始まる6桁の人や、3から始まる弁護士というのは、長くても15年ほどしかやっていないのですが、最近出会った何人かの弁護士は、自分がずいぶん偉くて「わかった風」の態度をとっているのです。ひどい弁護士になると、弁護士の試験に通ったら、とたんに偉くなってしまう人もいます。私は、未だに知らないことも多く、いつも警戒しながら丁寧に石橋を叩いているのですが、「わかった風」の態度を取るなどというのはとてもできません。この先もできないと思います。最近でも、3からはじまる番号の弁護士が、まだカリフォルニア州で登録して二年ほどにも関わらず、事務所全体の経営者のような顔をしているのを見て、理解ができませんでした。また、2からはじまる番号なので、10数年は弁護士をしているであろう弁護士が、法廷で事件とはまったく関係ない相手方の誹謗中傷を延々と話している姿をみて、哀れだし、レベルが本当に低いことやっているな、と思いました。私が司法試験を受験したときよりも、比較的試験自体は簡単になっているということですが、そもそも、法律家の能力よりも、人格的にレベルが低い人というのを散見するようになりました。もちろん上述したように、非弁行為をする人というのは論外ですが、弁護士の免許を持っていても、人格的に「偉い」と勘違いしたり、下品な人も見ます。たぶん、ちゃんとしたOJTを受けずに、実務をやってしまっているのでしょうね。弁護士がAIを使うのも活発になってきましたので、場合によっては経験年数とは関係なく、色々な法律業務ができるのかもしれませんが、一方で経験がなければ、かなりAI使用事故も増えるのではないかと憂慮します。
こういった、経験年数の少ない弁護士で、憂慮するようなことをする人を見ると、まさに30年弁護士をやっていても、「人の振り見て我が振り直せ」と肝に命じなければいけないな、とつくづく思いました。あとどのくらい弁護士をやるのかわかりませんが、おごり高ぶらず、地について、そして謙虚に法律業務をやっていこうと自分を戒めて、原稿にしておこうと思いました。
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年6月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。
本記事の内容に基づいて行動される場合は、必ず専門の弁護士にご相談のうえ、個別の状況に応じた適切な法的助言を受けてください。本記事を読まれたことにより、当所または執筆者との間に弁護士・依頼人関係が成立するものではありません。
本記事の利用により生じたいかなる損害についても、当所および執筆者は、故意または重過失がある場合を除き、責任を負いかねますのでご了承ください。
関連記事
アメリカ暮らしを現実に。
JINKEN.COMにアカウント登録して最新のアメリカ移民法にキャッチアップ
ご相談先をお探しですか?
アメリカの法律問題、どこに相談すればいいかわからない——そんな方のために、JINKEN.COMではアメリカの弁護士事務所への橋渡しサービスを提供しています。
弁護士への相談をためらう理由はさまざまです。言葉の壁、費用への不安、何をどう伝えればよいかわからない、そもそも自分のケースが相談に値するのか——。そういった不安や疑問を、まず私たちにお聞かせください。
当所のスタッフが、弁護士への相談に向けた情報整理と必要書類のとりまとめをお手伝いします。事前の準備を整えることで、弁護士への相談にかかる時間や費用を抑えられる場合があります。
料金は事前に明確にご提示し、追加請求は一切ありません。
ご相談は i@jinken.com またはこちらのお問い合わせフォームから、24時間受け付けております。
ブリッジサービスの詳細はこちら
■アメリカの永住権を抽選で取得ーDiversity Immigrant Visa Program
アメリカの永住権を抽選で取得する制度があるのをご存知ですか?
日本からも、毎年永住権者として長期合法滞在する方々がいらっしゃいます。
応募サポート希望の方はこちらから
日本出生の方は、高校卒業時点からご応募ができます!当選後も安心のサポート。まずは正しい応募から。
■グリーンカードDV当選後サポート
グリーンカードDV抽選に応募して、当選の確認を忘れていませんか?当選は、忘れた頃にやってきます!
グリーンカード当選後サポートはこちらから
充実した当選後サポートで、安心してグリーンカード取得まで進めましょう。家族・仕事・結婚・離婚・海外在住・介護に闘病と場面は様々ですが、お客様のニーズに柔軟にお応えしています。