就労ビザ申請の傾向

Washington DC Capitol of the United States

じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 09-26-2022

バイデン大統領は、コロナのパンデミックは収束した、とインタビューで明言していましたが、懐疑的な人も多いのではないでしょうか。
私も先週オミクロン対策ワクチンということで、なんと5回目のワクチン接種をしました。
ついでにインフルエンザのワクチンも接種してきましたが。
まだ、ワクチンを打ちましょう、と言っているわけですから、即収束とはなかなか言えないようにも思えますね。

このところ、仕事でもプライベートでも、日本からアメリカの渡航も増えてきたと感じています。
事務所の会議室も久しぶりに会議に使ったね、などと事務所で話していますが、コロナ以前の正常化はまだ遠いように思えます。

就労ビザ申請の傾向

アメリカの就労ビザ、柱は3種類

さて、日本からアメリカに来て働くためには、主に、E、H、Lビザというものがあります。

Eは投資などをすることにより取得しますが、Lというのは、すでに日本などにある会社の実績があり、その実績に基づいて管理職、技術職などに発給されるビザです。
ですので、Lビザの発給数を見ると、日本の既存の会社のアメリカ対策が、どの程度回復してきているのかわかります。

コロナ前の2019年度の発給数を見ると、日本国籍保持者に対しては、9864件発給されています。
同年度において、中国国籍保持者には、9665件、インド国籍保持者に対してはなんと4万1千件以上発給されています。

この政府が出している統計ですが、Lビザとしか書かれていないので、家族ビザが含まれるかどうかわかりませんが、2019年度には少なくとも9864件が発給され、日本人がアメリカで駐在として働けるようになっていました。

コロナで激減したLビザ発行

2021年度をみると、日本人が申請しLビザが発給された数は5466件となっており、40%程度減ったことになります。
すでに会社がアメリカにある場合や、新規の進出もあるでしょうが、コロナの影響でざっくりいうと、アメリカに就業に来る日本人は4割減ってしまったということが統計からわかります。

中国に至っては2021年度、1439件の許可案件ということになっており、コロナ前の15%程度まで発給が縮小したことになります。
インドも4分の1程度に発給数が減りました(11900件)。

もちろん日本人だけではありませんが、全世界的にコロナが収束しつつあっても、ビザ申請はまだコロナ前に戻っていない状況であります。
もちろん、2022年度の統計をみないとなんとも今後の傾向はわかりませんが、新規のビザ取得が少なくなれば、その国のアメリカにおける商業的活動のプレゼンスも縮小していくことになります。

また、ビザの発給について各国の米国大使館・領事館においても、コロナ禍から、内部で色々な変更が行われているようで、審査の時間、審査の運用等にも影響している状況です。
正常化しているところも多いのですが、コロナ前とは違っていることから、ビザ申請数にも影響している可能性はあります。

ビジネスにも深刻な円安

さらに、日本企業においてアメリカ進出について現在躊躇する事由として為替の問題があります。

すでに、アメリカで独立して機動している会社であれば問題ありませんが、これからアメリカに進出して事業を立ち上げていこうと考えられている場合には、為替の影響により経費の増額が足かせになっているようです。
最近になり、日本企業から米国企業に対する支払いのタイミングについて相談を受ける事例も出てきました。
円で稼ぎ、ドルで支払うというスキームでは現在辛い部分であります。
この為替の推移も今度注視する必要がありそうです。

着実に正常化に向かってはいるものの

最近になって、やっと止まっていたアメリカ進出がうごきはじめているように感じますが、思ったよりも日本の企業の足は重く、コロナ前の状況になるには時間がかかりそうです。
国際的な展開を視野にいれている会社にとっては、悩ましい時期ではあります。

これから、ワクチンさえ打っていれば、多くの国が外国人の入国を許容するところが増えるので、また国際的な行き来は活発になってくるでしょう。
一方で、国際的なビジネスの正常化はもう少し時間が必要そうです。
また、製造業などは比較的に回復がはやいでしょうが、サービス業については、正常化は時間がかかりそうですね。

今回は、就労ビザに関するコロナの影響の現在を考えてみました。
また次回新しいトピックを考えていきましょう。

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