法律ノート 第1308回 弁護士 鈴木淳司
April 3, 2022
4回目のコロナワクチンを打ちました。
4月は出張なども多くなりそうなので、自分でできるコロナ対策の一環です。
バイデン大統領も数日前に打っていたので、近くの薬局を検索したらすぐ打てました。
今までとは違って副反応もあまりなく元気です。
歳なのか、そもそも抗体ができていたのかわかりませんが、反応がないのを喜ぶべきなのかどうか、複雑ではあります。
会話で「ワクチン打った」というと「反応どう?」というのが天気などとの会話と同列になってきている今日このごろです。
皆さんは、お元気に春を楽しんでいられますか。
アメリカ_従業員と会社間の契約_ストック・オプションについて(2)_1308
さて、前回から「ストックオプション制度について教えてください。日本から留学してアメリカの大学を卒業しました。まだHビザの申請前に、インターン(OPT)として働いた会社で、給与は低かったのですが、就職ボーナスということで、少数のオプションをもらいました。また一年働くことにより、さらに少数のストック・オプションがもらえるという契約になっていたのですが、Hビザの申請がうまくいかず、この会社をやめて、日本の同種の会社に就職することになりました。9ヶ月ほど働いたので、一年後にはもらえるはずだったストック・オプションについても、9ヶ月分はもらえないのか、ということが気になりました。日割り計算などで請求することはできないものでしょうか」という質問を考えていたところ、コロナ前にストック・オプションを目当てに働いていたが行使する前に解雇された、などという質問をいただきました。特に若い人たちの間では新興企業で働く際にはインセンティブになるのでしょうね。
ストック・オプションは行使して初めて価値を手にできる
前回、ストック・オプションというのは、もらったときには画餅であって、行使できる期間に、お金を払い込んで株式を受領して、はじめて実質的に価値ある財産を手に入れられるという制度であることを考えました。
ストック・オプションをもらった時点で喜んでも何も意味はありませんし、権利を即座にもらったことにもなりません。
あくまでも、主に従業員をつなぎとめるための手段ですから、数年一生懸命働き、株価が上がり(または上場し)、行使してはじめて実益があるということになります。
このような前提があるとすると、今回の質問についても簡単に答えがでると思います。
ストック・オプションは持っているが、そのオプションを行使する前に会社を辞めることになったわけです。
そうすると、会社をやめた時点で、単純に考えて株に関する権利は、この質問者に発生していないということになりそうです。
ですので、日割り(Prorataと言います)でもらえる権利も発生しないことになっていると思います。
会社とどんな契約をしていたか?
ただ、ストック・オプションというのは、会社と従業員の間に成立する「契約」に基づいています。
契約というのは、当事者間の自由意思に基づいて成立するものですから、会社毎、場合によっては従業員の間でも違う可能性があります。
また、契約なので、大きく踏み外した「違法」なことが無い限り基本的に有効ですし、その内容を理解して署名することで成立しているので、あとになってから、内容の不服を争うのは難しいのです。
また、ストック・オプションなど会社の書面は弁護士が目を通しているでしょうから、契約の無効を争うという場合でもなさそうです。
そして、そのストック・オプション付与の契約書に、いつからいつまでオプションを行使できる、とか、会社を離職した場合には行使はできない、といった内容が書かれているでしょう。
一般的には今回の質問者が日割りでストック・オプションをもらえるというのは難しいとは思うのですが、一応、法律の専門家にストック・オプション付与契約等を吟味してもらって、契約上どのような権利が与えられているのか確認したほうがよいかもしれません。
ストック・オプションについては、まだまだいろいろな論点があるところですが、今回は行使できるかというところにスポットライトをあててみました。
他に質問がある読者の方がいらっしゃったらいつでも法律ノート宛に質問をしてください。
次回また新しく頂いている質問を考えていきましょう。
東京の方からたくさん桜の写真が送られてきました。綺麗です。
サンフランシスコ周辺でも桜が綺麗です。
今年はなぜか、花がしっかりしているように思います。
気の所為でしょうか。
花粉に負けずに花や緑を楽しんでまた一週間がんばっていきましょうね。
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