米国での違反切符を無視して帰国(2)_1131

Golden Gate sanfran

法律ノート 第1131回 弁護士 鈴木淳司
Oct. 14, 2018

 日本でも台風が暴れていましたが、今度は、フロリダ州でハリケーンが上陸し、かなりの被害をもたらしました。今年は異常気象が世界中で続いていますが、冬も雪や寒波なども深刻になるのでしょうか。皆さん、台風(タイフーン)とハリケーンの違いってご存知でしょうか。ついでにサイクロンも加えて調べてみてください。私は同じものだと思っていたのですが、定義が若干違うようですね。

米国の違反切符を無視して帰国(2)_1131

 さて、前回から考えてきた「以前、学生としてアメリカに住んでいたころから、法律ノートを購読しています。現在は日本で仕事をしていますが、最近転職を考えていて、またアメリカに行きたいと考えています。しかし、アメリカにいるときに受け取ったスピード違反切符をずっと無視して放置した状態で日本に帰国してしまいました。このような場合、ビザ取得に影響するのでしょうか。また違反切符についてどのように今から対応できるものでしょうか。」という質問を今回続けて考えていきましょう。

違反切符が事件化しているかを確認

 前回は、今回質問されている方のように、違反切符を放置してしまい、状況がわからないとしても、まず、覚えがあるのであれば、その違反切符や犯罪について、現状を確認する必要があるということを考えました。かりに、違反切符に関する記録が見つかった場合について、今回具体的な対応案について考えていきましょう。

 まず、今回質問されている方のように、本人が日本にいる場合には、違反切符が切られたと思われるアメリカの地域で弁護士を探すことが必要になると思います。法廷代理人がいれば、一応裁判所に出廷して、話をすることが可能です。刑事関係の事件は本人出廷が原則ですが、場合によっては、将来本人出廷をするということで、代理人のみによる出廷も可能になるかもしれません。

 とにかく、まず違反切符が不出頭で事件化しているかどうかを代理人に確かめてもらえば良いと思います。管轄の場所にもよりますが、確かめた時点で、反則金を支払えば済むようであれば、支払ってしまえばそのあとのトラブルが少ないと思います。

不出頭で事件化している場合

 かりに不出頭で事件化している場合には、まず、裁判所から不出頭という事実に対して召喚状が出ています。この召喚状は各機関に登録され、警察官に職務質問されて記録を確認される場合、またアメリカ入国のときに記録にある場合、その時点で拘束され公判に強制的に出廷させられます。

 召喚状がある場合には、代理人を選任し、出廷したうえで召喚状を失効させてもらわなければなりません。その後、どのような刑事事件になっているのか、単なる交通事件なのかどうかにもよりますが、裁判所の指示にしたがって事件処理をする必要があります。

 単なる飲酒運転や交通違反程度であれば、本人が出廷しなくても、代理人が事件を進行させ、判決まで至ることができます。しかし、通常の刑事事件では本人出廷が基本となります。そうすると、召喚状が失効した状態で、本人が出廷する必要がでてきます。まだ、この時点では、有罪にはなっていませんし、事件は進行している状況ですから、推定無罪ということになります。

 罰金刑で済みそうな事件であれば、召喚状が失効したことを確認してから、ビザやESTAなどを申請して、出廷処理をするのが良かろうと思います。罰金刑で済みそうにない、深刻な事件の場合には、最初から弁護士と相談して、どのように事件対応するのかを確認しておかないと、召喚状が失効したあとに本人出廷が可能かどうかも含めて、ややこしいことになるかもしれません。

慎重な対応で次に繋げることは可能

 今回質問にある交通違反切符は召喚状の処理さえしてしまえば、通常は法定刑が罰金のみです。そうすると、Infraction(微罪などと訳される)といって、3段階ある米国の罪の分け方で一番軽微なものに該当し、入国禁止とは一般的にならないと思います。まずは、然るべき処理をしてから、ビザの申請をされれば、一般的にですが、問題はない事例ではないかと思いますよ。

 現米政権は、かなり強硬な移民政策を推し進めていますから、ちょっとしたことでもナーバスになられるのはもっともだと思います。今回のような状況については、楽観的に考え、違反切符を無視をするのではなく、慎重に対応すれば、次に繋げることは十分にできると思います。

 スーパーではハロウィン風の食材やお菓子が多くなってきましたね。この時期になってくると夜は温かいものが食べたくなるものです。体を温めて、風邪に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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