国際弁護士なブログ」カテゴリーアーカイブ

運営者で米国移民法のエキスパート鈴木淳司弁護士の書下ろしブログです。

ビザスタンプ(査証)の有効期間





 
ビザスタンプ(査証)の有効期間
July 4, 2018
今回は、最近のビザ発給の傾向について考えてみたいと思います。
ビザの形状
興味深い変遷です。
まず、ビザというのは、在外アメリカ大使館・領事館を通して発給され、パスポートに貼られる顔写真入りのシール状のものです。紙幣のように偽造がされにくい形状をしています。
以前は、ビザというのはインクを使ったスタンプを押されていたので、今でも私はビザスタンプと呼んでしまいますが、今はかっこいい、シール状になっています。
パスポートに貼付されたものをビザと呼び、「ビザが取れるよ」という許可を得ただけではビザを取れるという許可証(I-797)を持っているだけであります。ビザは許可証とイコールということではありません(この許可証とビザの違いは別稿で取り上げてみたいと思います。)
 
ビザ取得には2つの流れ
さて、まずビザ発給の流れを大まかに2つのパターンがあるので考えてみましょう。
一つの例は、アメリカ国内の機関を通さず、在外大使館・領事館がそのままビザの許可をすることができ、ビザも発給できるパターンのものが考えられます。
たとえば、観光ビザのBビザ、条約締結国の国民に発給されるEビザなどが考えられます。
これらのビザはすべての申請用紙をたとえば、日本にある米国大使館・領事館に提出し、審査を経て、ビザを受けることができます。
もう一つのパターンとしてまずスポンサーとなる個人や企業が米国内でスポンサーとしての申請をして、その米国内の許可を待ってから、今度は対象となる外国人が自国にある米国大使館・領事館において、ビザを申請するという形のものもあります。
たとえば、Lビザとか、Hビザなどが考えられます。この米国内で受ける許可証をI-797と呼びます。
この2つ目のパターンである、米国内でスポンサーが申請をし、その後外国人がビザを申請する場合に、大使館の行動に少し以前とは違う点が見受けられます。ですので、ここで考えていければと思います。
 
Lビザの事例
ここでは最近私も体験したLビザの事例を使って説明します。
L-1Aビザというのは、会社内で外国からアメリカに転勤するビザであり、以前から、たとえば銀行、製造業および商社などでよく利用されてきました。
L-1Aビザというのは、ビザですから、日本人なら原則日本において発給され、最長で連続7年間(最初3年、以後2年づつ)発給されます。そして、L-1Aビザを日本において申請する前提としてのI-797は米国において新規の事業をはじめる場合には、最初は1年間発給されます。
以前から存在する米国内の事業の場合には、最初に3年間の許可を得ることができます。そして、I-797の期間にしたがって、通常はビザが発給されることになっていました。まあ、一見当たり前といえば当たり前です。I-797に1年と書かれていれば、ビザも1年、I-797に3年と書かれていれば、3年のビザが発給されていました。
 
I-797の許可期間よりも長いビザ
ところが、最近のL-1Aビザの事例では、I-797においては、許可は3年間と書かれているのに、ビザは5年間発給された例がでてきました。もしかしたら、大使館側のミスなのかもしれませんが、3年間を超えてビザが発給されている事実があります。
現在、移民法は外国人に対して締め付けを厳しくしている方向なのに、出血大サービスといったところでしょうか。
米国の在外大使館・領事館のビザ発給についてはいろいろな縛りがあるのですが、発給できるビザの最長期間について規定があります(9 FAM 403.9-4(B))。
この規定によると、大使館・領事館は、10年間のビザまでは発給することができるとされています。10年間以内であり、他の法律に抵触しなければ、裁量で発給することが可能なのです。
たとえば、Bビザのように観光ビザは、10年間でることも珍しくないですが、1年間とされてしまうこともあります。L-1Aビザは米国内での許可証(I-797)の期間に限りビザが発給されていたのですが、裁量で最大7年間までは理論的に発給できるわけです。
企業にとっても、ビザが長期で出されれば、安定して人を送れるので非常に好ましいことではあります。
このように、許可証(I-797)と、ビザの許可期間に齟齬が発生するケースが出てきましたが、申請する側にとっては利益にはなれ、不利益にはなりませんので、こういう場合は感謝しながら黙っておくのが得策ですね。
次回また新しい話題を考えていきましょう。


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学生ビザ、いつから不法滞在になるか





June 15, 2018
学生ビザ、いつから不法滞在になるか
 
今回は、あまり法律事務所では扱うところが少ない学生ビザについて考えてみたいと思います。
先月(2018年5月10日)、移民局内で内部通達という形ですが、学生ビザで入国している外国人が「いつ不法滞在とみなされるのか」という点について移民局内で統一的な扱いをするよう明確化がなされました。
もちろん、最近の動向をみていると、外国人に対しての締め付けを厳しくしようという方向です。以下、新たに明確化されたルールを考えてみたいと思います。
 
学生ビザの滞在期間
さて、学生ビザというのはF,J,Mという3つのカテゴリーが移民法上定められていますが、他のビザと違って、滞在期間が明確に決められていない場合も多く存在します。
すなわち、継続的に勉強をするわけですから、「学業が終わるまで」という滞在期間の定めかたがされます。
この学業成就まで、という期間の定め方をDuration of Statusといいます。移民法関連ではD/Sと呼ばれることが一般的です。
Duration of Statusー学業が終わるまで
このD/Sというのは、特定の期間が決まっているわけではないですから、なにか違法なこと(不法滞在と不法就労が主な移民法でいう「違法」です)が発生した場合、「いつから」不法滞在になるという問題がわかりにくいのです。
たとえば、就労ビザについては、いつからいつまで滞在できるということがはっきり決まっています。したがって、期限を超えてアメリカに滞在していれば、「不法滞在」ということになるのは明白なわけです。
Duration of Statusの統一解釈を明確化
D/Sに関しては、いろいろな不法滞在開始時の解釈も存在していましたが、今回移民局ははっきりと、「いつ」不法滞在になるのか、という解釈を統一し、明確化しました。
明確化したのは良いのですが、今までより学生にとってより厳しい解釈となりました。
不法滞在者を減らす目的
まず、今回の不法滞在に関する移民行政の明確化については不法滞在者の数を減らすという趣旨があります。
学生ビザ保持外国人の不法滞在の率はFビザで6%、Mビザでは11%強という統計があります。100人いると、6〜11人が不法滞在をしている計算になります。この数字を減らすことが一応の目的とされています。
 
具体的な運用は?
さて、今回の通達は2018年8月9日(以下「発効日」といいます。)に発効するということが決まりました。
まず、発効日において、学生ビザの資格を保持していないと、発効日から、「不法滞在」ということになります。
もちろん、すでに発効日前から不法滞在といなっている場合には、その不法滞在がはじまった日から起算されるのですが、グレーな場合でも、発効日に学生ビザの資格を保持していない場合には、発効日をもって不法滞在が起算されます。
発効日以降については、以下の基準を持って「不法滞在」が開始すると解釈されるようになります。箇条書きにしておきます。
1 学生ビザの資格に違反する行為があったとき(不法就労等でしょうか)。
2 学生ビザに明示されている就学が終了したとき(もちろん、プラクティカルトレーニング、猶予期間も就学中と判断されます)。
3 期間が定められた学生ビザの場合、その期間が終了したとき。
4 移民裁判所において、強制送還等の決定がされたとき。
この4つの基準で「不法滞在」かどうか判断されます。
以前のルールとの変更点ー移民局の判断に
以前からのルールとなにが違うかというと、上記の1です。
以前は、上記4のように移民裁判所で判断されるまでは、「不法滞在」になるかどうか曖昧な部分があったのですが、今回の行政通達ではっきりと、学生側の違反行為があったら、その時点から不法滞在とすることができることになりました。
つまり、裁判所のような公的機関での判断を待たず、移民局がなんからの捜査で、学生ビザに「違反している」行為があると判断すると、不法滞在という効果が発生することが明確になったのです。
ですので、結論的には移民局が外国人学生に対して「君は不法滞在です」と言える幅が増えたと考えてください。
まずはStudent Advisorに相談を
学生ビザは、I-20という書類を発行できる教育機関で、国土保安省の管轄下にある学校がスポンサーできます
各教育機関は外国人学生のアドバイザーを備えているはずのです。
できれば、今回の改正を受けて、学校のポリシーとして、在学中に何をして良いのか、何をしてはいけないのかなどの取り決めを、必ず学生の方は注意して確認してください。
次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。


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国土安全捜査局によるI-9立入検査対策





May 15, 2018
国土安全捜査局による立入検査対策
入国管理・税関局(U.S. Immigration and Customs Enforcement、略称ICE)の下部機関である、国土安全捜査局(Homeland Security Investigations 、略称HSI)による民間への立ち入り調査が激増しています。
2017年度(2016年10月から2017年9月まで)に比べ、今年度は、すでに2倍程度、3500件以上の立ち入り調査が行われています。
I-9登録が備えてあるか否か
立ち入り調査の理由は、就業場所におけるI-9登録が問題ないかの調査です。
I-9登録というのは、ICEが各就業場所において、外国人が就労する場合に、身分証明証を確認したうえで、就業場所に登録内容を備え置くことを言います。
 
I-9登録の意味合いと行政処分
このI-9登録というのは、両刃の剣であります。
一方では不法な就労を許している事業主に対して罰を課すことで不法就労を牽制する面があります。他方では、外国人が不当な賃金で雇われている場合など、外国人を保護する面があります。
I-9登録に反する雇用が行われている場合には、HSIは行政処分を行うことができます。
行政処分には、様々な種類があります。一つは、違法就労をしている者を拘束し、強制送還の手続に乗せることです。強制送還事例は近年激増傾向にあります。
もう一つ代表的な処分として、刑事・行政の罰金・課徴金の処分です。2017年度には、総額100ミリオンドル程度の処分が行われています。
HSI(Homeland Security Investigations)の調査の流れ
現状では、HSIの行う検査は一般的に以下のような流れで行われます。
書類審査
まず、I-9の検査を行う旨の通知が就業場所に対して送られます。就業場所にあるI-9に照らして、移民法に違反がないかを検査するという趣旨です。その通知には、3日以内に、I-9を提出するように指示が書かれています。HSIは提出書類をまず確認して問題がなければ、この段階で検査は終わります。
立ち入り調査
次の段階は、提出されたI-9書類群に不備がある場合、不提出の場合などには、立ち入り調査を行います。
立ち入り調査の結果においては、まず行政処分として課徴金を徴収します。不法滞在者がいる場合には、身柄の拘束等の処分も行います。
刑事手続と移民法の手続き
第三段階として、I-9違反について、雇用主が故意に違反をしている証拠があれば、刑事手続に乗せて罰金などの刑を科していくこととなります。刑事罰が科されるケースには、ビザに関する詐害行為がある場合など、移民法違反を知っているような事例が含まれます。
さらに、雇用主に対して教育プログラムに参加するように義務付ける場合もあります。
 
常時i-9を備えておくこと
以上のような検査が行われます。I-9の内容検査は、対応が3日間以内ということになっていますので、常時I-9が提出可能な状態にしなければなりません。
従業員の出入りが激しい就業場所は、従業員がすくなくとも、入ったときには、対応を注意して行わなければなりません。3日間以内に書類を整えるには、従業員の協力も必要になりますので、ある程度給与支払いと連動させて、書類を整えておかなければなりません。
 
立ち入り調査の対象は広がっている
以前は、宗教ビザ関連に検査が集中していました。イスラム関連施設が狙い撃ちされていた感はあります。
その後、宗教ビザ関連の検査は、様々な宗教に波及していき、現在では仏教関連の施設にも立ち入り検査が行われています。さらに、現在、中国人留学生などもかなり増加しているので、飲食店への立入検査も増加しています。
I-9の立入検査の端緒は様々ありますが、通報が端緒になることが多いようです。
足の引っ張り合いの場合もあるようですし、怨恨などの情から惹起する場合もあるようです。
検査が長引いて、ビジネスがトラブルに巻き込まれることを避けるためには、やはり事前にI-9書類の整備は常時確認しておくことが重要だと思います。
初動の検査ですんなり終われば、それで問題はないのですから、ビジネスが忙しくても、I-9対策は怠らないことが重要ですね。
また、次回新しいトピックを考えていきましょう。
 


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H-1Bビザ申請、今年も飽和



H-1Bビザ申請、今年も飽和
April 16, 2018
2019年度分(2018年10月から就労有効分)のH-1Bビザ新規申請枠(6万5千プラス院卒枠2万)に対する申込数が19万件ほどあり、2018年4月11日に抽選が行われ、そもそも申請を受理する件数が絞られました。
H-1Bビザというのは、大学または大学院で専門的な分野を学び、関連する就職先において、仕事をするためのビザです。
 
H-1Bビザの新規申請、どのような場合?
このH-1Bビザ新規申請分にカウントされないのは、
1) すでにH-1Bビザの許可を得ていて、その延長申請をする場合
2) 許可を受けているH-1Bビザの就労内容を変更する場合
3) 許可を受けているH-1Bビザの雇用主を変更する場合
4) 現在の就労先の他、さらに複数の就労先を加える場合
と規定されていますので、単純に、「新規申請枠」というのは、学生がこれから働く場合、海外の職場から転職する場合などが主な場合です。
したがって、煽りを受けるのは新規で採用しようとしている企業や、特にアメリカ国内の大学・院を卒業し、アメリカで仕事をしたいと思っている外国人学生たちだと思います。
とくに、アメリカ国内のドメスティック業務だけではなく海外とのコネクションが重要な企業に打撃を与えています。
このような実情を受けて、若い外国人留学生は自国に戻ったり、別の国での就職を考えたりする傾向があります。開国当時のアメリカは若い外国人を積極的に求めたときとは逆の現象が現在起きています。
 
H-1B以外の就労ビザは?
H-1Bビザ以外に就労するビザとしては、EビザおよびLビザが考えられます。
このEビザやLビザは、みたすべき要件が、申請者およびサポート企業に課されていますので、アメリカ資本の企業に外国人学生が就職するのは、H-1Bビザの抽選、審査に通って許可をもらう以外にはほぼ道はないということになります。
 
これからの移民政策の傾向
現在または近い将来、移民に関して厳しい政策が出続けることが予想され、クリントン政権のときに、一時的に拡張されたH-1Bビザ申請枠が現状より多くなることは考えにくいと思われます。
今、アメリカの失業率は過去17年間で最低となっています。
アメリカでは以前好景気のときには、進んで移民を受け入れてきましたが、今回、失業率が減り、名目上の景気がよくなっている状況なのに、逆に移民を受け入れていこうという政府の考えはなさそうです。
したがって、現状のH-1Bビザ飽和状態がこれからもしばらくは続くと考えて間違いなさそうです。
 
今年のH-1Bで注目すべき点
興味深いのは、今年度、申込数が昨年度より一万件弱減っているということです。
年々、H-1Bビザを求める外国人は増加傾向にありましたが、新しい政権に変わってから、そもそもビザを求める総数が減ってしまったということになります。
アメリカに滞在する日本人もアメリカ永住権を持つ人が年々増えていき、ビザで滞在する人が減っている傾向にあります。
これは、当たり前で、ビザが出にくくなっているので、新規でアメリカに渡ってくる日本人は減っている。一方で、ビザの更新をしなくても良い永住資格を取って生活を安定させる日本人が増えているということになります。
現行政権が、アメリカという国の長期のビジョンをもって、様々な政策を打ち出しているのかどうか、考えてしまいますが、来年もH-1Bビザの申請者数が減ってくるとなると、いよいよ教育を受けた大学・院の外国人学生のアメリカ離れがはっきりしてくると思います。
 
若い人がどんどん離れていくことは、国の将来にとっては、いかがなものなんでしょうか。
また次回新しいトピックを考えていきましょう。
 
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H-1Bビザ-移民局の監視強化



移民局によるH-1Bビザの潜脱防止施策
Mar 08, 2018
 
H-1Bビザというのは、原則大学卒業程度の専門職に就く前提の外国人に給付さるビザです。
このビザは最大発給数が決まっていて、近年毎年その上限を超える申請があるため、抽選が用いられています。
H-1Bビザを取得するにも超えるハードルがかなりあるのですが、一旦H-1Bビザが発給されても最近では、移民局は、適法にH-1Bビザが使われているのか継続的に監視しています。
今回は、この移民局による監視について考えてみたいと思います。
 
H-1Bビザ取得者の実際の雇用先は?
まず、H-1Bビザが発給されるにあたって、雇用主および雇用の内容について決められています。
ところが、現状では、雇用主ではなく第三者の会社で外国人の雇用をさせるケースが多くあります。ある意味、H-1Bビザの趣旨の潜脱ですが、外国人を安く雇用するとか、H-1Bビザの趣旨と反するような雇用が行われています。意図的なのですが、会社で雇ったとしても、他の下請けに出すということがかなり行われています。
やっている会社も問題があるのですが、特にIT系の人材が枯渇している現状で、H-1Bビザが濫用されている面があるのです。
 
「出向」かあるいはH-1Bビザの潜脱か
ここで、H-1Bビザを取得して、雇用主のところで働く外国人が、第三就労場所で働くことに関して、最近移民局から通達が出されました。
もちろん、「出向」という形は考えられるわけですので、どこまで正当な「出向」なのか、または下請け会社を利用する潜脱なのか、という点について移民局が切り分けています。
 
ビザの申請内容に合致しているか
まず、H-1Bビザで雇われている者が、ビザで許可された内容で働いているかどうか、がポイントとなります。
申請ではエンジニアとして許可を得ている場合、その他の業種では働けません。
しかし「専門職」として雇用されたはずが、違った一般的な作業をさせられるなどというケースも多くあります。
 
雇用主と外国人被用者の関係は継続的か
もう一つのポイントは、H-1B申請時の雇用主と外国人被用者の関係が継続しているということが必要です。特に、雇用主ではなく第三者の管轄する場所で働く場合には、この契約関係が本当に継続しているのかを移民局はかなり詳細に確認してきています。
特に「専門職」ではなく、単にアメリカ人ができるような業種であれば、トランプ政権のいう、「アメリカ・ファースト」でアメリカ人の利益を守るべきであり、外国人の「専門職」とみなすわけにはいかない、という考えが強くでてきています。
一方で、インターネットがつながっていれば、どこでも仕事ができる時代なので、H-1B申請の潜脱があるのではないか、という懸念もあるわけです。
 
より具体的な監視ポイント
本当に「専門職」であり、雇用主が変わっていないか、というポイントに関して、
(1)雇用の場所
(2)実際に被用者によってサービスが提供される場所
(3)提供される労務の詳細な内容、成果物
(4)雇用主以外のところで働く場合、その期間、雇用主と、労務提供場所との契約関係
(5)第三者のところで働く必要性
などを移民局は確認します。
したがって、H-1B申請に基づいて許可された内容から乖離する労務の提供が行われている場合、それを正当化する書類等は、専門家のアドバイスを受け、常備しておく必要があります。
 
移民局による監視を前提に
もちろん、今回のH-1Bビザに関する継続した監視は、被用者が申請内容と異なる場所で働いたり、異なる作業をしていたりすることに向けられているので、通常のH-1B申請全般に適用されるということはありません。
ただし、注意しなければならないのは、H-1Bビザで外国人を雇用する場合には、常に移民局の監査が行われる可能性があるということです。H-1B申請書類に従った雇用がなされていたとしても、監査はあり得るわけです。
H-1Bビザの濫用を疑われた場合の対応として、常時、雇用に関する書類等、上記(1)-(5)であてはまるような内容が記載されているものは提示できるように用意しておくべきだと思います。
ビザが一旦許可されたからといって気を抜かず、ちゃんと継続して書類を常備することは忘れないでください。
また次回新しいトピックを考えていきましょう。
 
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H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響





H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響
Nov 28, 2017
2017年4月18日発効の大統領令
2017年4月18日、トランプ大統領は大統領令に署名し発効しました。
Buy American and Hire American」と呼ばれる題目がついていますが、選挙中声高に連呼していた「America First」を実行したものであると位置づけられています。
このなかに、米国人の雇用を何よりも優先するように各行政機関に義務付けている一般的な項目もあるのですが、第5条に、米国市民の雇用を促進するために、移民のシステムを見直すと書かれています。
そのなかで、特にH-1Bビザについては明記されていて、H-1Bビザは、(英語の解釈が曖昧なのですが)最上級のスキルを持つか、一番高額な給与を受ける外国人に優先的に与えるように指示されています。そして、この優先目的を達するために、過去の行政規則等を変更するように指示しています。
 
H-1Bビザーアメリカでの就労のかなめ
この大統領令の影響がH-1Bビザ申請に出始めています。移民実務にかなり深刻な影響がでています。まず、この大統領令によって、どのような影響がでているのか、そのバックグラウンドを考えてみます。
H-1Bビザというのはいわゆる専門的な職種に与えられるビザであり、大学または大学院などで勉強した内容を踏まえる職種を念頭に置いています。
したがって、外国人留学生が卒業して、就職するというときに使われるパターンも多くあります。近時、ソフトウェアエンジニアの確保のため、外国人をH-1Bビザで呼び寄せるというパターンも多く、アメリカ国内の雇用に影響するとして、毎年発給数の制限がなされています。
上述した大統領令のなかに、「最上級のスキルまたは高額な給与」ということが書かれていますが、これは、ある程度簡単にスキルがつけられる分野であればアメリカ人を優先し、安い賃金で外国人を連れてくるならアメリカ人を優先しろ、という思いを裏から言ったものです。
 
労働局の許可と賃金レベル
たしかに、外国人を専門的な職につけることを広く許してしまうと、アメリカ人の雇用を奪う可能性はあります。
そこで、移民法はすでにH-1Bビザの申請をする前置として、一般のアメリカ人の平均給与以上がその外国人に支払われるという労働局からの許可を求めていたのです。不当に安い賃金で外国人を雇用しないことで、外国人の利益も守り、アメリカ人の平均賃金も守るという意味合いがあります。
ここでは詳しく述べませんが、この労働局の許可を得るために、申請者の賃金レベルというのが5段階に設定されています。
レベルは経験によって違いがあり、レベル1はエントリーレベル、でレベル5は熟練した経験を持つレベルなどに区分けされています。
 
Request For Evidence – RFE
今回、大統領令で煽りを受けたのが、この労働許可でレベル1の許可を受けた申請者の方たちです。
H-1Bビザは抽選にさらされていたのですが、今年度の申請分についてやっとH-1Bビザを申請できても、今度は移民局が、さらにビザ許可に適格かどうかの証拠提出要請(Request for Evidence、略称RFE)を出すようになりました。RFEというのは、申請書類ではわからない部分があるので、もっと証拠を出せ、という要請です。
この手続がやっかいで、時間も労力もかかります。
もちろん、正当な内容のRFEもあるのですが、この大統領令以来、今までになかったタイプのRFEが続出しています。そして、H-1Bビザにおけるレベル1の労働許可については、かなりの数のRFEが出されていると移民法協会も記事にしています。
移民法協会の統計(弁護士が協会と情報をシェアする範囲だと思われます)によると、(1)申請書に記載されているレベル1とされている職種はレベル1よりも高度なものであり、給与が低すぎる点、説明せよ、というものと、(2)申請書に記載されているレベル1の職種は専門職とはみなされず大学の学位が不要である点説明せよ、という2つの要請が多く出ているということです。
 
H-1Bにいう「専門職」にも変化の兆し
今まで、移民法業務では、ある程度「専門職」とはなにかを示す指針があったにもかかわらず、それらの指針とは乖離して、許可を渋る傾向にあります。
たとえば、2000年に出された指針では、IT関係は専門職とされていましたが、これも今年から崩れつつあります。
現在では、移民法協会も実務を行っている弁護士も対策を練っている段階ですし、固まった指針も示されていません。しかし、移民局は大統領令を受けて、今までなかった保護的な指針でビザ申請を審査していることは間違いありません。
 
移民で構成されてきたこのアメリカも、現在では移民の締め出しをする方向で移民法実務も動いているように感じます。今後さらに締め付けが厳しくなる分野であろうと思われます。



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永住許可申請プロセスの面接義務化





Sep-16-2017
永住許可申請プロセスの面接義務化
 
もう夏も終わり、という割にはまだまだ暑い日もありますね。一方で、ベイエリアでは雨も降り少々不安定な日が出てきているので、もうすぐ季節替わりの時期なのかもしれません。みなさんは体調に気をつけて生活されていらっしゃるでしょうか。秋になると、1年経つのは早いなぁ、という気分になってきますね。
 
さて、今回はトランプ政権になってから、永住許可申請についても、変化がでてきましたので、取り上げてみたいと思います。
 
移民「法」と行政命令
まず、今回の移民法ブログ(じんけんニュース)を理解するために、少々一般論を考えたいと思います。
まず、移民「法」というのは、法律であり、議会が立法するものです。したがって、大統領が一人で命令を出したものがそのまま法律になるわけではありません。議会を経なければ「法律」とはいえないからです。これは、アメリカでも日本でも同様で、三権分立の中核的な要素でもあります。
一方で、行政規則などと日本では呼ばれますが、議会ではなく、機動性を重視して、行政府がルールをつくることが広汎に行われています。
 
大統領が発する行政命令-Executive Order
このような活発な行政による規則づくりは、日本もアメリカも同様に行われているのですが、アメリカでは、直接選挙で選ばれる大統領の署名一つで、行政命令を出すことが許容されています。
メディアなどでは大統領令などと呼ばれていますが、これはたぶん、行政の組織(たとえば移民局など)がつくる行政規則と区別する趣旨なのだと思いますが、基本的に行政命令であるという点では一緒です。アメリカではExecutive Orderと言います。
悪名高いExecutive Orderといえば、第2次世界大戦のときに、日本人や日系人を強制収容したものが挙げられますが、これも大統領のサイン一つで発効したのです。
オバマ政権下でもかなりのExecutive Orderが出されましたが、現在トランプ政権によって、次々に覆されています。最近話題になっている、不法移民の子供を保護する行政命令がその一例です。
このように行政命令は、時々の大統領の意向でかなり方向性が変わってきます。不法移民やテロに厳しく対応すると明言しているトランプ大統領によって、永住許可申請にも今回影響がある行政命令が出されました。
 
永住権申請と面接の義務
従来、永住権申請の際、直接移民局の面接が義務付けられている申請は、婚姻に基づく申請と、難民申請の一部に限られていました。たとえば、外国人がアメリカ人と婚姻して、永住権を申請しようとする場合、必ず面接が義務付けられているということです。主に偽装結婚ではないことを確認するという意味合いがあるのです。
 
Executive Order 13780
 
今回、Executive Order 13780というトランプ大統領が署名した行政命令にしたがって、この面接義務の範囲が拡大することになりました。この行政命令は、テロリストから国土を保護する施策に関する命令です。来月1日から試験的に導入されることになり、移民局から発表もありました。
永住権申請には、I-485申請という外国人本人が自己の移民法上のステータスを永住権に変更するための申請が必要なのですが、このI-485申請について、今まで婚姻ベースの申請のみに面接が課されてきましたが、2017年10月以降は、雇用ベースの申請にも面接を課すことになりました。他にも、難民申請においても、面接要件が拡大されることになります。
 
雇用ベースの永住権申請も適用範囲に
雇用ベースの永住権申請の際に面接が課されるということは、直接申請している外国人が移民局に出向いて面接を受けることになるので、移民局がより正確に申請内容を吟味していくという趣旨が含まれます。わざわざ移民局が税金を使って直接面接をするということは、単なる顔合わせや挨拶ではないことは明らかです。
何か問題がないか、怪しいところはないかを確認するためのプロセスですから、今後、雇用ベースの永住権申請についても、面接によって不許可となる事例が増えると想像できます。
 
まだ、移民局も試運転をはじめようとしている段階なので、詳しくどのような書類を持参するべきか、などの指針はつかめていませんが、今後の雇用ベース永住権申請にとって、また一つハードルが追加されたということになります。
このご時世ですので、淡々と対応するしかないでしょうが、今後もこの手の行政命令が増えていきそうです。
 
それでは、また次回新しいトピックを考えていきましょう。




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前科あり。米国入国できる?

August 08, 2017




 
前科がある場合の米国入国
 
トランプ政権となって、外国人の犯罪がフォーカスされることが多くなりました。かなり、多くの方々が心配されている分野でもあります。ベクトルは違いますが、移民に対する締め付けは、先週トランプ政権がサポートする移民法の大改正案(議会を通過するのは現実的ではないと言われている)を見ても明らかです。
今回は、外国人の犯罪と、米国入国について整理して考えてみたいとおもいます。
 
犯罪歴は事前申告が原則
まず、犯罪歴がある場合、米国入国に先立って、申告をすることが前置となっています。
ビザなしの渡航(ESTA)においても、ビザを申請する場合にも、そして永住権を申請する場合には、まず犯罪歴を明らかにしなければなりません。この犯罪歴は米国における犯罪に限られず、申請者の犯罪歴をすべて指します。
そして、犯罪歴を申告することを怠った場合、入国に際して、「詐害行為」とみなされて、入国禁止になってしまう可能性があります。ですので、まずは隠さず申告をするということが重要です。
米国の同時多発テロ事件以降、前科についての情報は米国内の行政機関においてかなり広範囲に共有されています。したがって、「申告しなくてもわからないだろう」という考えはやめたほうが良いと思います。
 
 
一律入国禁止か裁量によるビザ発給か
犯罪歴がある場合、米国入国で2つのパターンがあります。
一つは、犯罪歴があることで一律入国禁止となる場合、もう一つは、裁量によってビザがでる場合です。
まず一律入国禁止となる場合について簡単にまとめておきましょう。
注意していただきたいのは、入国禁止に関する法律はかなり多岐に渡り複雑ですので、ここでは代表的なものだけを取り上げておきます。
 
まず、麻薬および売春関連の罪については一律禁止とされています。
次に、道徳違背(Crime of Moral Turpitude)の前科がある場合には、入国禁止になります。
道徳違背の罪というのは、移民法独特の定義で言い回しです。
道徳違背というのは、一般的に「社会に根づいた道徳観を揺るがすような罪」と言われていますが、移民法上、一体どのような罪が道徳違背なのか明文で定められているわけではありません。審判例の積み重ねによって、どの罪が道徳違背となるか先例があるだけです。ですので、判断の指針はあっても、確固とした罪の列挙はありません。
今までの、先例を見ると、殺人、性的暴行、ドメスティック・バイオレンス、幼児・児童虐待、強盗、詐欺などの重大犯罪が道徳違背とされています。
その他にもかなり広範囲の罪が道徳違背とされていますので、疑義があれば専門家に、先例と照らし合わせてもらってください。
 
道徳違背の前科の例外
道徳違背の前科があれば、原則入国禁止となりますが、例外があります。
一つの例外は、前科が18歳未満のときに行われた犯罪の実行行為に基づく場合で、ビザ申請時から遡って5年以上経過している場合です。
もうひとつの例外は、法定刑が一年以下の罪(軽罪)の罪に問われ、実刑で6月を上回って服役していない場合です。
たとえば、窃盗は場合によっては、移民法上道徳違背とされる場合がありますが、カリフォルニア州の罪によっては、法定刑は最長で一年以下の禁錮となっていて、初犯では罰金のみで済む場合もあります。このような罪では形式上、移民法に照らすと道徳違背となってしまうかもしれませんが、例外的に入国禁止とはされていません。
 
この道徳違背に該当するかどうかの判断、例外規定が適用されるかどうかの判断は、かなり複雑なので、具体的な事例に関しては専門家に相談されることをお勧めします。
この他にも、道徳違背でなくても、2つ以上の有罪歴があり、合計で5年以上服役している場合(禁錮および懲役を含む)には原則入国禁止とされています。
 
 
免除申請とビザ取得
上記のように、移民法上明文で定められている入国禁止事由に該当する場合には、例外的な免除申請を別途行って認められなければ、米国に入国するのはかなり難しいということになります。
これらの一律入国禁止事由に該当しない犯罪歴であれば、米国政府の裁量により、ビザが発給されます。犯罪歴がある場合には、ESTAを利用して、ビザなしの渡航はできませんので、必ずビザの申請をして、許可を得なくてはなりません。
一般的な短期の渡航であれば、Bビザを取ることになろうと思います。
裁量による発給ですので、必ず許可を得ることができるとは限りませんが、軽微な罪である限り、ビザが自動的に拒否されるということはありません。
重要なのは、ビザを申請するときに、前科を申告するわけですが、前科に関する書類一式を申請書類に添付しなければならないことです。
したがって、米国内で以前有罪の判決を受けている場合には、有罪の言渡しを受けた裁判所に直接連絡をして、該当する書類をすべて揃えてから、ビザの申請をすることになります。手間がかかるのです。
 
今回は、一般的に犯罪歴がある場合の、米国への入国についてざっとまとめました。
犯罪歴があれば即入国禁止ということではなく、上記のような様々な要素を検討しなければなりません。
ですので、単純に米国入国を諦めるのではなく、専門家に相談をして、入国の方法がないか考えてみてください。
 
次回、また新しいトピックを取り上げたいと思います。




 

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天国と地獄-強制送還と「入国の撤回」





 
June 15, 2017
 
天国と地獄-強制送還と「入国の撤回」
今回は、外国人が米国入国審査の際に気をつけておきたい法律のポイントを抑えておきましょう。ちょっとした違いですが、天国と地獄の差を生み出します。
このポイントを覚えていて機敏に対応することで、将来のアメリカ入国を有利にできる可能性があります。
 
外国人が他国に入るのは「お願いベース」
 
まず、難しい法律を理解していただかなくてはいけないのですが、シンプルに考えますので、おつきあいください。
まず、何度も弁護士ブログ(じんけんニュース)で考えていますが、外国人はアメリカに入国する「権利」というのは持ち合わせていません。もちろん、外国人が日本に入国する「権利」というのも持っていません。平たく言うと「お願いベース」で入国「させてもらう」ということになります。
そして、外国人がアメリカに入国するときは、入国審査官の広汎な裁量によって、入国の可否が決められるというのが前提です。
広汎な裁量といっても、入国審査に関するマニュアルは存在していて、そのマニュアルに沿って入国の可否が決められています。Field Manualと呼ばれる指針が存在します。日本でいうと実務マニュアルといったところでしょうか。
 
アメリカの入国禁止事項
さて、まずアメリカでは法律で、入国禁止事項が決められています。
たとえば、一定の犯罪歴、麻薬、売春関係などが既存の記録にある場合には、例外的な承認を米国政府から得られないと入国禁止となっています。この入国禁止事項については、また機会をみつけて考えたいと思います。
この法律で決まっている入国禁止事項が入国時の審査で明らかになった場合には、たとえ有効なESTAやビザがあったとしても、入国は「アウト」となります。
このような明らかに法律に反する事情がある場合には、すぐに「強制送還」の手続きを移民局は開始します。
Removal Proceedingと言いますが、これは、手続きが法律で決められていて、一応事実関係を明らかにしたうえで、自国(アメリカ入国前に搭乗した出発地)に送り返されることになります。
 
趣旨違い?の入国
 
入国禁止事項が明らかな場合には、上記のようにすぐに「アウト」と判断し易いのですが、入国が認められるかどうか、微妙な例もたくさん存在します。
このような場合の処理は、もちろん実務マニュアルに記載されているのですが、審査官の裁量で質問を聞いたり、書類の提出を求めることができます。
入国させるべきか微妙な例の典型例は、「趣旨違い入国」と比喩できるパターンです。私の造語ですので、法律用語ではありません。
すなわち、学生ビザを持ちながら就労する意思が認められる場合、ESTAで入国しようとしているのに、就労しようとしている場合、観光で来ていると申告しているのに実は結婚目的の場合などが考えられます。
このようにビザなど持っている書類と実際の意思が乖離している入国に関して、入国を裁量で拒否することができます。
 
 
「入国の撤回」の機会
 
ただ、このような事例の場合、明らかに犯罪歴があったというわけではないので、判断もかなり大変なわけです。いわゆる「灰色」という状況ですね。
このような場合には、いきなり強制送還手続に乗せることをしないで、入国の撤回(Withdrawal of Admission Application)の機会を設けることも少なくありません。
この入国の撤回を許すかどうかも、もちろん入国審査官の裁量ですが、外国人側から、撤回を自発的に申し出ることは可能です。「灰色と疑われているなら出直してきます」的な申し出です。
この申し出をして、移民局側に異論がなければ、すぐに「アメリカに入国しなかった」ということで、自国に戻れます。
 
入国の撤回と強制送還、大きな違い
なんだ、入国の撤回と強制送還と結局、自国(日本人であればにほん)に送り返されるから、効果に違いがないじゃないか、とここまで読まれて思われる方もいると思いますが、実はかなりの違いが将来でてきます。
実は、「強制送還」となった場合には、アメリカの連邦の法律で、入国禁止期間が設けられています。ここでは深く立ち入らないですが、強制送還となった場合には、少なくとも5年間、事例によっては10年間、アメリカに入国することを原則禁止されてしまいます。
一方で、入国を撤回した場合には、アメリカ政府がなんら判断をしていないこともあり、強制送還のように、入国禁止期間などは定められていません。ESTAで再度入国にチャレンジするのは難しいかもしれませんが、ちゃんとビザをとれば、すぐにでも再入国は可能になります。
 
 
「入国の撤回」を選択肢の一つに
 
このように、入国時にかなり揉めて、第二次審査に連れて行かれ、「趣旨違い入国」と疑われている場合には、入国の撤回を申し出てみるのが良いかもしれません。
入国の撤回の手続きは、実務マニュアルに詳細に手続きが記載されているので、入国審査官はその方法論などは熟知しているはず(そう願いたい)です。
面倒ですが、疑いが晴れずに強制送還になるよりは、自発的に入国を撤回し、もう一度入国を試みる方が長期的に見て効率的だと思います。
「入国の撤回」ということが、できる可能性があれば、「仕切り直し」ができるので、そのチョイスを必ず入国の際には考えられておくのが良いと思います。
 
 
また、次回新たなトピックを考えていきます。今回の入国の撤回などは法律的なコンセプトでわかりにくいところもありますので、質問があれば、いつでも質問していただければと思います。




 

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H-1Bビザ抽選終了-別プランを考える





 
May 9, 2017
H-1B抽選漏れ、そして次の一手
先日、H-1Bビザの申請数が年間許可可能件数をはるかに超えて、過半数以上の申請書類が抽選に漏れました。企業としては、外国人を雇い入れるためのH-1Bを有効に使えないために、代替え案を考えなければならない問題に直面している時期です。
トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を弛みなく主張している現在、H-1Bビザの枠がこれ以上大きくなることはないですし、大卒、院卒の外国人を雇うため、ある程度H-1Bビザ以外のビザも視野にいれなければならない現状です。
H-1Bビザの取得に関しては、前回も弁護士ブログで考えましたので、ここであえて反芻しません。
H-1Bビザ申請(2018年度分申請)参照
 
米国外での雇用にシフト
先日飛行機に乗っていて、横に乗っていたSNS関係のイギリス人が言っていましたが、現在H-1B発給がアメリカで事実上難しくなってきているので、雇用をアメリカ外にシフトしているということでした。その大手SNS会社では、ロンドンで2000人以上雇い入れているという話でした。
「アメリカ・ファースト」をアメリカ政府が実行していくと、地場に縛られない企業であれば、それなら、アメリカ外で外国人を雇い易い地を求めようということになり、どんどんアメリカ以外の国に進出していくということになっていくのではないかと思います。
 
これまでのH-1B取得のパターン
H-1Bビザというのは、発給の主たるパターンとしては、アメリカに留学している外国人学生が、いわゆるオプショナルプラクティカルトレーニングといい、学位を取得したことを条件に一年間は雇用が許されるという制度を利用して、米国内で働くことができるのですが、その延長としてH-1Bビザを申請するという筋が考えられます。
そうすると、外国人学生としては、米国企業で働くチャンスが限られてくるため、そもそもアメリカに留学することを見合わせるという傾向もあるようです。
ただ、日本人留学生であれば、H-1Bビザ以外にも、考えられるビザがあります。企業としても、H-1Bビザの抽選に漏れて、外国人の雇用ができずに困っているのですが、以下のビザを考えてみてください。
 
日本人の場合に考えられるビザーEビザ
まず、日本は、Eビザ発給の条約締結国なので、企業のコントロールの過半数が日本企業または日本人であれば、Eビザのサポートが可能になります。もちろん、発給要件はありますが、外国人申請者にある程度業務に関連する実務経験があれば、考えられるビザではあります。
多くの人はなぜか、Eビザは日本からの転勤用のビザだと思っているようですが、それは違います。
実務経験が、業務にマッチするものであれば、スポンサー企業以外の経験も利用することができます。
Eビザにも細かくわけて二種類あって、日米間の貿易量が多い企業に発給されるE-1ビザと、日本からの投資額に応じて発給されるE-2ビザがあります。最近のH-1Bビザ取得の困難さから、かなりEビザに頼る日系企業が増えています。日本企業であれば使えるビザなので、大いに活用を考えて、まずEビザの可能性を探ってください。
 
日本人の場合に考えられるビザーLビザ
Eビザよりは、新卒者採用のフレキシブルさには劣るかもしれませんが、Lビザというのもあります。Lビザこそ、転勤用のビザで、日本企業から、アメリカの子会社、関連会社に転勤や出向などをする場合に用いられます。
親会社等での最低限の経験を要求されますので、まったく採用企業に働いたことのない新卒者を雇う場合に、いきなりLビザの発給を求めることは難しいわけです。少なくとも、親会社に一年間は働いて、そのうえで、Lビザの申請をするということになります。そういう採用でも良いというのであれば、Lビザの発給も射程内になりますね。
 
諦めずに方法を探る
現状、H-1Bビザの抽選が終了し、採用する側もされる側も困っている例をよく耳にしますが、簡単に諦めずに、EビザまたはLビザの可能性についても探ってから判断をするのが良かろうと思います。
まだ、日本人には、条約のおかげでEビザの可能性が残されているのですから、他の条約非締結国のパスポートを持っている外国人よりも、就労ビザ取得の可能性は大きいわけですね。H-1Bビザがとれなくても、アメリカで活躍する日本人が就労ビザを取って活躍できることを心から願っています。
次回また新しいトピックを考えていきましょう。




 

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