法律ノート 第1392回 弁護士 鈴木淳司
Nov 13, 2023
最近水泳にハマっているのですが、驚愕の事実にぶつかりました。子供の頃は水泳を習っていました。
当時、平泳ぎは頭を水面下に入れてはいけない、というルールだったと思いますが、実はそのルールは変更されてしまい、今ではひと掻きする間に一度頭が出ていれば良いとなっていることをはじめて知りました。この話をすると、結構、皆さんこのルールを知っているようで、日本人選手が強くなりすぎてルールを変えたなどという人もいました。私はまったく知らずに頭を出して泳いでいたのですが、やられた、と思いました。いつになっても知らないことは人間あるものですね。
皆さんは、季節替わりにお元気にされていますか?
アメリカ_会社売買(4)
さて今回は4回目になりますが、「私はアメリカで一時期育ちましたが現在仕事の関係で日本在住です。叔父がカリフォルニアで会社を経営していて、その会社を継がないかと誘いを受けています。概ね家族も前向きなのですが、社長として働くだけではなく、会社(株)も引き取ってほしいと言われています。会社を「買う」ということはしたことがありませんし、まだどのように進めるかなど未知のままです。会社を買うことのメリット・デメリットなどを教えていただけないでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。
前回は、場合により会社の価値を鑑定してもらう、ということを考えました。
今回、ここから続けて行きましょう。
会社の価値をどのように示すか
会社の価値を考えるにあたり、最近特に価値を膨らませる要素になっているのが、いわゆる「のれん代」です。
のれんというのは、その会社の名前や既存のビジネスに乗っかった信用をどれだけ得ているのか、という価値です。
名前があるので、消費者はその価値を認識するということです。
それを価値に変えるわけです。
今でも存在するクレージュというブランドは、私が子供の頃のことを覚えているのですが、服とかバッグだけではなく、日本では原付きのコラボブランドにもなっていましたし、トイレのマットにもなっていました。
クレージュというブランドが、そこまで広く浸透すると、のれん代はかなり高くなると考えられます。
最近のITビジネスについては、何人登録しているのか、何人アクティブなユーザーがいるのか等ものれん代になっています。しかしながら、そののれん代がどの程度信頼できるのか、色々な場面で問題になることもあります。
デュー・デリジェンスー法的に会社の価値を確認する
鑑定を受けビジネスの価値(値段)を決めるとしても、法的にも会社の価値に問題がないのか、売買のときには確認します。
中古車を買うとにどのような問題があるのか、メカニックが確認するのと同じです。
一般的に、この作業のことはデュー・デリジェンスと呼ばれますが、法律界で一番AIに代替される可能性が高い作業であります。
私も仕事によっては頼まれて行いますが、大きくわけて法律家が診断することは、会社組織として問題がないか、外部とどのような契約があるか、雇用に関してはどのような形になっているのか、会社が持っている財産にはどのようなものがあるのか等、聞き取り作業もしつつ、確定します。
私は、このデュー・デリジェンスという作業について、弁護士がする仕事ではないと思っています。コンピュータがやれば十分だと思っています。
とは言え、買おうとしているビジネスに、何か問題がないのかを確認することは重要です。そのため、小さな会社であれば、確認作業の範囲を限定しながらでも、デュー・デリジェンスを行った方が良いと思います。その依頼範囲の塩梅を間違えると、とんでもなく費用がかかるので、注意が必要なところではあります。
どのような形で買うのか
鑑定をして、デュー・デリジェンスも範囲を限ってもよいので行い、会社を買うということになった場合、次は「どのような形で買うのか」ということを考えなくてはいけません。
どのような形で買うか、という点についても、いくつも考え方があります。
会社の株を買うこともありえますし、会社の財産を買うという方法もありますし、色々な方法論があります。次回はいくつか代表的な方法論を考えていきましょう。
今回はこの辺までで区切り、また続けて考えていきましょう。
日が暮れるのがはやくなってきました。これから冬の足音が聞こえてきます。インフルエンザが流行っていますので、体調にはくれぐれも注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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