アメリカ_会社売買(3)_1391

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1391回 弁護士 鈴木淳司
Nov 5, 2023 

 日本には存在しない、「夏時間」がアメリカの州によっては存在し、カリフォルニア州でも今週末には、夏時間が終わります。

この夏時間が終わると、「あー、冬が近づいてきているな」という気持ちになるものです。
日本から夏時間のときに来られる方の中には「日が長い」と言われることがありますが、強制的に一時間違っているわけですから当たり前なのです。

夏時間が終わって慌ただしくなるのが午後からはじめるゴルフです。日が暮れてしまう前に終わらせるのが難しくなるときがありますね。

まだ、11月になっても暖かい日がありますが、皆さんは秋を楽しまれていらっしゃいますか。

アメリカ_会社売買(3)

 さて、今回三回目になりますが、「私はアメリカで一時期育ちましたが現在仕事の関係で日本在住です。叔父がカリフォルニアで会社を経営していて、その会社を継がないかと誘いを受けています。概ね家族も前向きなのですが、社長として働くだけではなく、会社(株)も引き取ってほしいと言われています。会社を「買う」ということはしたことがありませんし、まだどのように進めるかなど未知のままです。会社を買うことのメリット・デメリットなどを教えていただけないでしょうか」という質問を続けて考えていきたいと思います。

 前回、一番重要になる税金の観点から、株式会社を買うか、事業を買うかのメリット・デメリットについて考えました。

 今回から、税金以外の様々な観点で、会社を買う場合、事業のみを買う場合のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

 ただ、皆さんに覚えておいていただきたいのは、どのような購入方法であっても、弁護士だけではなく税理士・会計士といった、税務に関わる専門家のアドバイスは不可欠だという点です。

会社や事業の売買は法律面以外も重要

 法律的には、実は会社や事業の売買というのは、そこまで難しいものではありません。
 繰り返しになりますが、対になる税務面・会計面でのアドバイスが必須になることは覚えておいてください。私はここで法律面のみを検討しますので、ご了承ください。

 また、実際には、考えるべきことが多岐に渡るため、具体的な事例を踏まえないと必要なアドバイスをすることは極めて難しい面があります。
 したがって、いくつかのポイントを選り抜いて考えていきたいと思います。

購入する上でのゴール設定

 第一点目ですが、会社や事業の購入をするうえで、どのようなゴールを設定するのかは重要になります。

大きく分けて、
(1)家族などで経営している会社を承継して続けていく場合
(2)会社や企業を買い、将来的には他の企業と合併をしたり、業務成績を伸ばしたりして価値をあげ、将来売却したり、上場したりする場合
が考えられるでしょうか。

今回質問されている方は前者のパターンだと思います。

何に重きを置くのか

 (1)と(2)の大きな違いは、(1)については、会社の価値そのものよりも、なにか法的な問題が存在するのか確かめることに重きが置かれるかもしれません。

 一方で、(2)の場合には、会社の価値そのものがいくらなのか、他の事業と合併させるとどの程度までシナジー効果が生まれるのか、といった金銭面が特に重要になると思います。

 よく、「アドバイザー」と呼ばれるコンサル会社が絡む場合がありますが、多くは(2)の場合です。

 このアドバイザーというのは、会社の価値を高めることで、報酬を得る業ですから、会社の価値というのが最重要になってくるわけです。

 毎年会社が赤字を垂れ流していても、時価総額がとても高い企業などがありますが、これはアドバイザーなどがあくまでも将来的な見積もりで価格を算定しているわけで、本当の価値がそこまであるのかは、結局のところ、人の意見に集約されることになります。
 ビジネスの見識がある人達が、1億ドルといえば、1億ドルの価値になるということなのです。

 会社の価値を測るために、先述のアドバイザーと言われる人たちが、鑑定(Appraisal)というのも用意します。
 私も様々な鑑定書を読んでいますが、色々な要素から価値を測っているようです。

同等の企業はいくらか

 とは言え、結局一番現実的な数字は、他の似たような企業がいくらで売られたか、という測り方です。

 よく不動産の値段を決めるときに、近所の不動産で似たようなものが、いくらで売られたか、ということが書かれています。正直、私にはその価値の付け方がどの程度正しいのかは、わかりません。
ただ、少なくとも、他の人はこのようにした、という過去の例を使って指針にしていることは確かです。

 また、アドバイザーはこのような情報のアクセスがうまいのでしょう。

まずは会社の価値の鑑定を

 したがって、会社の価値に重きをおくのであれば、まずは、その価値の鑑定をすることが重要となります。

 上記の(1)のように家族のビジネスを承継する場合には、企業の価値の鑑定が、それほどの重要性を持たないかもしれません。ですが、現実には鑑定をする場合も少なくありません。

 鑑定をしてもらうにしても、簡易なものから、かなりのデータベースを駆使して、詳細な部分までカバーするものもあるので、色々な見積もりを取った上で、評価の基礎となる内容、鑑定の方法などを考慮して、決めていくのが良いと思います。

 鑑定については、決まった金額(定まった価格表)はないですから、複数の見積もりをとることは重要だと思います。

 鑑定以外にも重要な面がありますので、ここから来週も考えていきましょう。

 フットボールのシーズンも佳境にはいっていきますし、バスケットボールのシーズンも本格化する時期です。

 インフルエンザが流行っていますので、気をつけながらまた一週間がんばっていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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