法律ノート 第1388回 弁護士 鈴木淳司
Oct 16, 2023
前回の法律ノートでもう少し秋を楽しみたい、と締めくくったら、この週末は信じられないくらい良い天気で、屋外に座っているだけでも気持ち良い時間を過ごせています。
先月、鼻中隔湾曲症の手術を名医にしていただき、痛みがまったくないので調子に乗っていたのですが、激しい運動等一ヶ月は禁止と言われていました。
ちょうど一ヶ月経ちまして術後も順調なので、少しづつ泳いだり、ゴルフを復活しています。
外での行楽に申し分ない週末でした。
ハチドリたちもブンブン飛び回っていますので、砂糖水を取り替えてあげたりしています。
皆さんは週末をいかがお過ごしでしょうか。
アメリカ_会社売買(1)_1388
さて、今回からまた新たにいただいている質問に関して皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると、「私はアメリカで一時期育ちましたが、現在仕事の関係で日本在住です。叔父がカリフォルニアで会社を経営していて、その会社を継がないかと誘いを受けています。概ね家族も前向きなのですが、社長として働くだけではなく、会社(株)も引き取ってほしいと言われています。会社を「買う」ということはしたことがありませんし、まだどのように進めるかなど未知のままです。会社を買うことのメリット・デメリットなどを教えていただけないでしょうか」というものです。
今回質問されている方は、いわゆる代替わり的な会社の売買を考えられているご家族のようです。
細かい情報は色々記載されていましたが、法律ノートでは具体的な相談を受けてお答えする場ではないため、質問を一部改編してシンプルにさせていただきました。
具体的な質問は個別にお聞きいただけると幸いです。
アメリカで会社の売買は多い
今回の質問にあるような会社の売買というのは実はかなり多く行われています。
会社全体に価値をつけて、それを売るということになるわけです。
アメリカでは、かなり以前から、法律事務所や会計事務所であっても売買の対象になっています。
たまにゴルフを一緒にするおじいさんも、もう歳なので法律事務所を売って、弁護士登録も抹消したと言っています。
会社を買うこと自体は何の問題もない
社名が変わらなくても実質のオーナーシップが変わるということは多々あるものなのです。
ですので、会社を買う、といっても色々な手続きはあるものの、そこまでナーバスになる必要はありません。
昔、堀江貴文さんが逮捕されたのも会社の売り買いが契機でした。
ライブドアという会社の時価総額を上げるために、会社をどんどん買っていった。
その買い方はライブドアの自社株を新規に発行し、買収先の株と交換するという形でした。
金銭を支払っていないわけです。
そこまでは何も違法性もありません。
ライブドアの問題は、その買収先に渡した株を別の組合などを通して還流し、ライブドア社の利益に乗せていた、という複雑なスキームを利用して、自社の価値を高く見せるというところを咎められたことになります。
なかなか簡単には理解出来ないかもしれませんが、要は、会社をどんどん買収すること自体は合法であり、何ら咎められることはありません。
会社の買収方法も様々
会社を買収するのも、今回のように代替わり的に買収するケースもあれば、競合他社が買収をして、漠然とした言い方ですが、シナジーといって、1+1を2以上の価値にできるようなビジネス上の戦略から行うときも多いわけです。
色々言いたいこともあるのですが、先に進めましょう。
その会社の価値を明らかにする
会社を売買するに際して、値段がつくわけですから、その会社の価値を明らかにしなければなりません。
会社の価値というのは、資産もありますが、毎月、毎年のキャッシュフロー、どのような権利を持っているのか、従業員の質、のれん代だと色々な角度から評価をしなければなりません。
のれん代というのは、その屋号や会社がどの程度社会で認知されているのか、という内容です。
価値がない場合もありますが、会社名や商品名が広く知られているとそのことが価値になります。
このように、会社の価値を明らかにするということが、かなり時間が割かれます。
この評価については弁護士ではなく、会計事務所や税務事務所などお金を評価するところが行うことになります。
今回は一般論や私の意見で終わってしまいましたが、次回続けていきたいと思います。
まだ、カリフォルニアでは良い気候が続くようですのでまた一週間秋を楽しみながらがんばっていきましょう。
他の地域の方も、どこかで秋を感じられると良いのですが。
また、一週間、がんばっていきましょうね。
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