米国の学校トラブルと法的防衛術_1516

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1516回 弁護士 鈴木淳司
March 29, 2026

ベイエリアはこの一週間異常な暑さでした。
今までの最高気温を塗り替えた場所もありますが、場所によっては30度を超える日もありました。
アメリカで一番冷房の普及率が低いサンフランシスコですが、もしかしたらもう、冷房なくては生活できなくなるかもしれませんね。
山の雪も溶け出して、スキー場も営業をやめるという話です。
少し前には雪害が話題になったのですが。
一気に暑くなったのが原因かはわかりませんが、アメリカでも花粉で苦しんでいる方が多くいます。
やっと春なのに、色々な問題が起こるものです。


さて、今回から皆さんからいただいている質問を新たに考えていきたいと思います。

いただいている質問をまとめると、「カリフォルニアの田舎に主人の仕事の都合で住んでいます。アジア人はあまり周りにいません。今の主人と私、そして前の婚姻でできた息子と暮らしているのですが、最近息子の同級生同士(息子は関係ない)が喧嘩になり、一方の親から、私の息子も他方に加担して、あたかも犯罪行為を一方が行っていると学校内で吹聴しているので名誉毀損で訴える、という手紙が届きました。息子に聞いても、この手紙を送ってきた家の子に問題があったと言っており、そのことを学校内で話しただけだ、ということでした。今の主人は、そのようなものは放っておけば良い、ということですが、裁判までする、ということを言っているのでなにか対応を考えた方がよいでしょうか。」というものです。

いただいた質問を読ませていただくと、かなりカリフォルニアでも田舎にお住まいで、白人かヒスパニックの家族が多く、まだ環境的には慣れないということがよくわかります。
再婚をされて、移住されたのが数年前ということですから、ご自身の想像以上に心細い状態なのかもしれませんね。
特に、子供が学校トラブルに巻き込まれ、「名誉毀損」という法的な言葉を突きつけられては、心中穏やかではないと思います。
ご主人が「放っておけば良い」と言われるのも一理ありますが、実際にレターが届いている以上、カリフォルニア州の法的な背景を踏まえて状況を整理しておくことは、重要です。

まず、カリフォルニア州における名誉毀損(Defamation)の基本的な考え方からお話しします。

法律上、名誉毀損には書面による「リベル(Libel)」と、口頭による「スランダー(Slander)」の二種類がありますが、今回のお子様のケースは学校内での発言が問題視されているようですので、主にスランダーの成否が問題となると思います。
名誉毀損が成立するためには、単に相手が不快に思ったというだけでは足りず、お子様の発言が「事実ではない虚偽の内容」であり、かつ「第三者に公表」され、それによって相手側に「具体的な損害」が生じたことを、訴える側が証明しなければなりません。
したがって、訴訟を提起されたとしても、被害者の主張はかなりハードルがあることがわかりません。

名誉毀損を防御するにあたり重要になるのが「真実性の抗弁」です。
お子様が仰っている通り、その相手の子に実際に問題行動があり、お子様が目撃した事実をそのまま話したのであれば、それは「真実」の表明であり、法的な名誉毀損には当たりません。アメリカの法律、特にカリフォルニア州では、真実を語る権利は強く保護されています。
また、単なる「あの子は性格が悪い」といった主観的な「意見」も、客観的な事実の適示ではないため、原則として名誉毀損の対象外となります。

ここまで考えると、お子さんが何を言ったのか、ということを時系列に沿ってまとめておくことが重要になります。
訴訟をちらつかせられている以上、事実をまとめておくことは賢明です。
お子さんが自分でまとめるのが難しければ、手伝ってあげてください。
喧嘩に至った経緯、そして、何を目撃したのか、そしてお子さんがどのような行動をとったのか、またそのことをメッセージにしたり、誰かに直接伝えたのか、などを時系列に沿ってまとめておいてください。
ここから次回考えていきましょう。

各所で雪が降ったり、30度を超えたり、天気が大変なことになっていますが、体調管理にはくれぐれも気をつけていきましょう。
また花粉症も大変そうな方々を見かけますが、色々な問題を乗り越えて、花が咲く春を楽しみたいですね。
今年は頼んでもいないのに、藤も一足先に咲いたように思います。
植物の力強さを楽しみながら、また一週間がんばっていきましょうね。


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作成者: jinkencom

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