じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 09-28-2025
H-1Bビザと関連移民ニュースの最新動向
1:H-1Bなどについての2025年9月19日の動き
今月ももう終わりですが、移民関係において行政の動きが活発です。
活発といっても、ルールの厳格化が主な方向性になっています。
これまで以上に外国人に対しては様々な締め付けとなる状況です。
すでにじんけんニュースの号外で、いくつか特記すべき事項についてはご紹介していますが、以下、9月後半に現連邦政権から出された大統領令、その大統領令に基づく行政規則等を考えていきたいと思います。
まず、H-1Bビザに関してですが、ホワイトハウスが費用を増加させるという大統領令がだされてからは政府からFact Sheetがリリースされ、連邦労働局からも発表があり、行政が足並みをそろえてH-1B発給厳格化に動いています。
労働省(DOL)は、H-1Bビザの審査強化イニシアチブ「プロジェクト・ファイアウォール」を発表しました。
米国労働省は、米国市民の高度技能労働者の権利、賃金、雇用機会を保護するため、「プロジェクト・ファイアウォール」と名付けられたH-1Bビザの審査強化を発表しました。
この指針は、雇用主が米国人労働者を優先的に雇用することを徹底させ、H-1Bビザ制度を濫用する雇用主の責任を追及することを目的としています。
労働長官が自ら調査の開始を承認するという異例の措置が取られ、違反した雇用主には未払い賃金の支払いや罰金、プログラムからの一定期間の除外などの罰則が科される可能性があります。
司法省やUSCIS(移民局)など、他の連邦機関とも連携して不正の根絶を目指すとしています。
そして、ホワイトハウスは、特定のH-1B労働者の入国を停止する大統領令に関するファクトシートを公開しました。
ホワイトハウスは、トランプ大統領が署名した特定のH-1B非移民労働者の入国を制限する大統領令に関して、ファクトシートを公開しました。
内容として、米国人労働者の職を奪い、国家安全保障を脅かすH-1Bビザの濫用を抑制することを目的にするとしており、新規のH-1Bビザ申請に100,000ドルの支払いを義務付けるものです。
ファクトシートでは、IT労働者に占めるH-1Bビザの割合が近年65%以上に上昇していることや、米国企業が米国人従業員を解雇し、H-1B労働者に置き換えていると見られる事例が挙げられるとの主張が記載されています。
次に、米国移民弁護士協会(AILA)は、ビザの取り消しに関する報告書を出しましたのでその内容を共有しておきます。
国務省は2025年1月20日以降、40,000件以上のビザを取り消しており、これは2024年の同期間(16,000件)と比較して大幅な増加となりました。
この数字には6,000件の学生ビザも含まれます。
取り消しの理由は、逮捕歴や移民法違反といった従来の理由に加え、信用するに値しない情報やセキュリティ関係、さらには国益を考慮した「プルーデンシャル(裁量的)」な判断に基づくものが増えています。
裁量が広汎に使われていることが伺われます。
また、国務省は米国内の5,500万人以上のビザ保有者を対象に「継続的な審査」を行っており、軽微な逮捕やソーシャルメディアの調査結果なども取り消しの引き金になっていますし、不法滞在、不法入国者などの検挙を積極的に行っています。
2:2025年9月21日の発表
国務省は、9月19日に署名されたH-1Bビザに関する大統領令についてのFAQ(よくある質問)を公開しました。
FAQでは、この措置が2025年9月21日午前12時01分(米国東部夏時間)以降に提出される新規H-1B申請書に適用されること、そして100,000ドルの支払いが求められることを明記しています。
一方で、既に発行済みのH-1Bビザや、それ以前に提出された請願書には適用されないこと、また、現行ビザ保有者の米国の出入国を妨げるものではないことなどが明確にされています。
3:2025年9月23日のAILAからの発表
連邦政府のH-1Bビザに関する新規制に関して、AILAの報告書が出されました。
その内容は、大統領令の解析が主なもので、新たに課される100,000ドルの料金を支払わない限り、H-1B資格での米国への入国または再入国を制限するものであり、大統領令の発効は2025年9月21日午前12時01分(EDT)であることを確認しています。
そして、この大統領令の有効期間は1年ですが延長の可能性があるとしています。
この措置は原則として米国外にいるH-1B労働者が対象ですが、USCISとCBP(税関・国境警備局)のガイダンスにより、外国人がアメリカ国外にいたとしても、以下のケースは適用除外となることが示されています。
・大統領令の発効日より前に請願書が提出された場合
・現在承認済みの請願書の受益者である外国人
・有効なH-1B非移民ビザを所持している外国人
・さらに国土安全保障省(DHS)はH-1Bビザ抽選におけるプロセスの導入を提案したと報告されています。
DHSは、年間発給枠(キャップ)の対象となるH-1Bビザの抽選プロセスを、現在のランダムな方式から「加重選択プロセス(weighted selection process)」に変更する規則案を発表しました。
この新しい方式は、より高い技能を持ち、より高い賃金が支払われる申請者を優遇することを目的としています。
具体的には、申請者が提示する賃金が、政府の職業雇用賃金統計(OEWS)におけるどのレベルに該当するかに応じて、抽選における重み付けが変わります。
・賃金レベルIV:抽選プールに4回入力可能
・賃金レベルIII:抽選プールに3回入力可能
・賃金レベルII:抽選プールに2回入力可能
・賃金レベルI:抽選プールに1回入力可能
この変更により、雇用主が全般的に被用者に対し、高い賃金を提示するインセンティブを高める狙いがあるとしています。
4:H-1B以外の移民関連ニュース
米国永住権の抽選取得の制度がありますが、その制度を使って登録をする場合新たに1ドルが必要になるとする最終規則を発表しました。
この措置は2025年9月16日から有効化されました。
目的は、抽選プログラムの運営コストを、少数の当選者だけでなく、全ての登録者に公平に負担してもらうことにあるようです。
また、悪意のある業者による不正な大量申請を抑制する効果も期待されています。
次に、DHSは、移民局が要求する移民・非移民ビザ関連フォームにおいて、申請者のソーシャルメディアの情報(アカウント名など)を収集する方針を発表しました。
これは、テロ対策や国家安全保障上の脅威からの米国保護を目的とした大統領令(E.O.14161)に基づく措置です。
収集された情報は、身元確認の強化や厳格な審査に利用されます。
対象となるフォームについては、市民権申請(N-400)、グリーンカード申請(I-485)、渡航許可証申請(I-131)、条件付き永住権の条件削除申請(I-751)などが含まれます。
第三点目ですが、移民局は、米国市民権を申請する際に課される公民(Civics)テストを、2008年版から2025年版に更新することを発表しました。
新しいテストは、2025年10月20日以降に市民権申請書(Form N-400)を提出する申請者から適用されます。
主な変更点は以下の通りです。
・テスト問題の質問バンクが100問から128問に増加。
・面接で出題される問題数が10問から20問に増え、合格に必要な正解数も6問から12問に引き上げ。
そして、面接官は申請者が12問正解した時点、もしくは9問不正解になった時点でテストを終了する。
このように、2025年9月もかなりの移民法に関する変化が米国連邦行政から発表されました。
また次回も必要に応じて取り上げていきたいと思います。
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