法律ノート 第1491回 弁護士 鈴木淳司
Sep 28, 2025
ドジャースがナショナルリーグ西地区の優勝を決めましたね。
おめでとうございます。
ジャイアンツファンとしては、うむ、という感じですが、日本人選手の活躍はとても嬉しいです。
ジャイアンツは最終的には微妙な結果にはなりましたが、来年に期待したいところです。
もうアメリカンフットボールの季節になりました。
リセットして、今度は49ersを応援していこうと思います。
夏っぽい秋ですが、みなさんは秋を楽しまれていますか。
今回は、時事の移民法に関するトピックをまた取り上げていきたいと思います。
何件も似たような質問を法律ノート宛(Question@marshallsuzuki.com)にいただいており、憂慮されている方々も多いようです。
今回、直近でいただいた質問をもとにお答えしていきたいと思いますので、今まで質問を送られて来た読者の方たちには申し訳ないです。
米_過去の飲酒運転で、拘留や国外退去に⁈_1491
いただいている質問をまとめると、
「毎回法律ノートをじっくりと読ませていただいています。そうなんだ、と教えて頂いております。つい先日、米国法令の遵守に関して、再度の注意喚起のメールが日本国総領事館から届きました。その内容で気になったことがあります。そこには、「米国への不法入国、不法滞在やその他の法令違反(飲酒運転等)は、逮捕・罰金・懲役、さらには査証・滞在資格が取消され、国外退去となり、その後再入国禁止となる可能性がありますので、注意してください。」とありました。実は家族が15年ほど前に飲酒運転で捕まった事がありました。科せられたことは全て済ませ、普通に暮らしてきておりますが、海外から戻ってくると必ずイミグレーションで止められてしまいます。聞く所によれば、10年経てば履歴は消える筈らしいのですが、この度の領事館からの注意喚起で不安を覚えています。我が家のケースの様に15年も前の飲酒運転でも、拘留や国外退去の対象になりうるのでしょうか? 私達はグリーンカードを1998年に取得して今に至っております。」
という質問です。
心配されているポイントをとても端的に纏めて質問していただいたので、同様の質問もありましたが、代表的に取り上げさせていただきました。
日本の在外公館の告知はただの情報
まず、日本の在外公館は基本的に実質的にアメリカの法律実務には関わりません。
なにか事が起きて動くわけですが、実際にアメリカの実務に踏み込めません。
来週に日本の大臣や議員に会う機会がありそうなので、在外公館の実情をサンフランシスコに限って伝えようと思っていますが、機械的にアメリカ側から出された情報を皆さんに告知しているだけです。
ですので、額面を捉えて不安感を抱えることは良くないと思います。
サンフランシスコの在外公館は、サンフランシスコの日本人コミュニティで30年実務をやっている私にもヒアリングもしていません。
実際に今回いただいている質問を使って飲酒運転が過去あったという悩みを抱えて、この数ヶ月私の所属する事務所に相談されて、私が直接アドバイスした事例をご紹介しておきます。
領事館が告知している内容を鵜呑みにしないでください。
現在の政策が100%行われているわけでもない
現在のアメリカ連邦政府は、「気まぐれ」という言葉がぴったりの移民政策を行っていますが、実際の実務は100%その内容に従って厳しく行われていないこともあります。
質問されている方のご家族も15年前に逮捕歴があるということですが、私は刑事事件の弁護もするので、過去何十年も飲酒運転も含む犯罪の弁護をしてきました。もちろん、過去に軽罪(Misdemeanor)の飲酒運転などで逮捕された方もいらっしゃいます。
ですので、過去に私が弁護したクライアントの方々も、今年になって移民法の不安で連絡をくださいます。
そういう案件がいくつもありました。
その上で、私も五里霧中なところもありますが、アドバイスをした案件がいくつもありますので、ここで皆さんにご紹介しましょう。
グローバル・エントリーに申し込んでみる
私のクライアントで、20年近く前に軽罪(今回質問されている方に似ている)で有罪となった事件がありました。
私が弁護した案件です。
毎回アメリカ入国の際に留置されているということを聞き、今回の移民法締め付けで相談を受けました。
市民権を取るというのが、流行ってはいますが、グローバル・エントリーに申し込んだらどうか、というアドバイスをしました。
犯罪歴があると、受け付けられないのではないか、と不安をお持ちでしたが、やってみたら良い、ということで、申請を進め、先週無事に取ることができました。
ですので、今回質問された方のご家族も、ダメもとで良いのでグローバル・エントリー、すなわち、簡略化された入国システムを利用する申込みをされたら良いと思います。
そうすれば、アメリカ入国時の留置は激減すると思います。
びくびくしたり、領事館の告知のように消極的に行動するのではなく、逆に積極的に入国に問題をなくすように行動されてください。
私がアドバイスしたクライアントもかなり懐疑的でしたが、結局として入国の問題が軽減されました。
軽微な犯罪歴でも入国審査では足止めされる
そして、私が今月飲酒運転ではないですが、飲酒にかかわる前科がある方の移民局のインタビューに参加したのですが、移民局の生の意向を知ることができ、納得できました。
過去に犯罪歴がある方々は軽微なものであっても入国時にフラッグがたつことになっているようです。
今回質問されている方のように15年前に飲酒運転の犯罪歴があっても、入国時にフラッグがたてば、簡易に色々判断しなければならない審査では、判断ができないためセコンダリーに回されるということになるようです。
犯罪歴について審査ではっきりさせてみる
今回私が参加した移民局のインタビューで明らかになったのは、アメリカ国内で、犯罪歴が発生したあとに、ちゃんとなんらかのインタビューをうけクリアーしていれば、アメリカ入国の際の留置は軽減されるということです。
過去に、「軽罪の犯罪歴があって」と悩まれる方は多いと思います。
ビザ保持者は不安定なところはあるかもしれませんが、少なくとも今回質問されている永住権保持者の場合には、不安を抱えて出入国をするよりは、逆に、積極的にグローバル・エントリーを取ったりして、過去の犯罪歴を一度審査ではっきりとされたらいかがでしょうか。
ビザ保持者の方々は現在かなり不安定な状況におかれていると思いますが、永住権を申請されている方々、すでにお持ちの方々は積極的に対応することで安心感を得られる可能性が高いです。
過去の犯罪のときに対応した弁護士、または移民法関連で犯罪が絡むことを熟知している弁護士に相談して、領事館が発表している漠然とした、実際の事例に基づかない不安の解消をはかってください。
次回また、新しくいただいている質問にお答えしていきたいと思います。
皆さんの楽しまれている秋の味覚があったら教えて下さいね。
また、来週まで、お互いがんばっていきましょうね。
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