法律ノート 第1497回 弁護士 鈴木淳司
Nov 3, 2025
週末の野球、ワールドシリーズ第7戦はすごい白熱して最後まで動けませんでした。
友人たちもこの話をしたら、一夜明けても疲れたなどといっていました。
両チームとも卓越した野球をやって歴史に残る試合になったと思います。
日本人選手の活躍もかなり光りましたね。
ジャイアンツもマネージャーを変えて来年がんばってもらいたいものです。
皆さんの週末はいかがだったでしょうか?
さて今回から新たに皆さんからいただいている質問について考えてみましょう。
読者の方で法律的な質問がある方は法律ノート(Question@marshallsuzuki.com)にぜひ質問をなさってください。
場合によっては、直接お答えして終わる場合もありますが、できるだけ早いうちに法律ノートで取り上げていきたいと思います。
カリフォルニアから日本の姪に遺産を残すには?(1)_1497
今回考える質問をまとめると「カリフォルニア州在住の者(女性)です。アメリカ人の主人と結婚してすでに30年ほどカリフォルニアに住んでいます。一昨年夫は他界しました。子供はいません。最近になって、私も一人になり日本にいる姪っ子に財産を残したいと思っています。しかし、アメリカにある財産を日本にいる姪っ子に残すということができるのか、不安になっています。アメリカに住む人に相続させたほうが良いのでは、という友人もいます。現在私が持っていて相続させたいと思っている財産は、私が住んでいる自宅が一件と投資口座一つが主なものです。」というものです。
カリフォルニア州は国際的な財産移転に柔軟
カリフォルニア州に居住されている方が、日本に居住されているご家族に対して、ご自身の財産を遺言(Will)または信託(Trust)によって遺贈あるいは譲渡することは、カリフォルニア州法によると有効です。
この手続は、カリフォルニア州の法律が国際的な財産移転に対して柔軟な規定を設けていることから実現可能であります。
カリフォルニア州相続法では
特に、カリフォルニア州相続法によると、遺言の形式的有効性や信託の設定に関する幅広い規定を設けており、国境を越えた財産承継の道を開いています。
まず、カリフォルニア州相続法(Cal Prob Code)は、遺言の有効性について、財産の所在地や遺言者の国籍、本拠地、または居住地を問わない柔軟な立場を取っています。
そして、相続法典第6381条の規定によれば、遺言が国際遺言(international will)の要件に適合している場合、その遺言は有効であると認めています。
国際遺言の要件とは
国際遺言の要件は、統一国際遺言法に基づいており、書面であること、遺言者および二人以上の証人、および本人の署名といった特定の要式が規定されており、それに従ったものであればカリフォルニア州でも有効となります。
外国法に準拠した遺言も認められる
そして、カリフォルニア州の裁判所は、外国法に準拠して作成された遺言の有効性も認めています。
例えば、著名な判例(Estate of Hudson, 137 Cal. App. 3d 984)において、裁判所は日本法に準拠して作成された遺言の有効性を支持しました。
この判例は、「カリフォルニア州法は、州外で作成された遺言であっても、作成された地の法律に合致していれば有効である」という原則を確立しています。
いずれかの地の要件を満たした遺言作成を
したがって、カリフォルニア州の居住者が、日本の公正証書遺言や自筆証書遺言といった日本法の要件、またはカリフォルニア州法の要件のいずれかを満たす遺言を作成することで、日本に居住されるご家族への財産移転を法的に保証することが可能でもあります。
このように、ちゃんと法律で決まっているルール(遺言書の形式要件)を守っている遺言であれば、カリフォルニア州の裁判所は有効を広く認めてくれるのです。
相続後の財産が負担にならないか?
ご友人が、アメリカの財産はアメリカにいる人に相続させたほうが良い、というのは法律的にはあまり意味がないのですが、一方で、たとえばアメリカにある家を日本に住んでいる姪っ子さんに相続させる場合には、姪っ子さんは、アメリカでその家に住むのでしょうか? また、住まないで貸すとしても管理はできるのでしょうか?
外国に財産を持つということは逆に姪っ子さんの負担になる可能性が事実上あります。
そうすると、その住まわれている家は姪っ子さんに相続されるときに売ることになるかもしれません。
このような法律というよりは事実的にどうするか、というところは、事前に姪っ子さんと良く話しておいたほうが良いと思います。
次回続けていきましょう。
もうハロウィンも終わり、アメリカはホリデームードとなる年末です。
まだ、半袖でも良い日もあるので、雪の降るクリスマスというのは想像できませんが、暦は進んでいきますので、気を抜かずにまだ2025年をがんばっていきましょうね。
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