2026年から発効する新しい法律(1)_1506

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1506回 弁護士 鈴木淳司
Jan 4, 2026

2026年最初の法律ノートです。
皆さんあけましておめでとうございます。
今年も法律ノートをどうぞよろしくお願いいたします。


新年は全米をリードする重要な法律が発効

毎年恒例になりましたが、2026年から発効する新しい法律を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

2026年のカリフォルニア州は、労働者の権利保護、気候変動対策、そしてテクノロジー規制において全米をリードする重要な法律が発効します。
特に労働法や移民・外国人居住者に関わる法律が数多く施行・更新されるため、在住者や企業にとって注意が必要です。

以下に、2026年に発効、または重要なフェーズを迎える法律を、労働法など外国人にも影響するものを優先して考えていきます。

1. 労働法・給与に関する主要な変更

カリフォルニア州の労働法は、外国人労働者やビザ保持者にとっても生活の基盤となる重要な項目です。

① 最低賃金の引き上げ (SB 3): 2026年1月1日より、州全土の最低賃金が時給$16.90に引き上げられます。これはインフレ率に連動した自動調整です。

② 免除職(エグゼンプト)の給与基準上昇: 最低賃金の上昇に伴い、残業代支払免除となるホワイトカラー労働者の最低年収基準も$70,304へと引き上げられます。
これ以下の給与の場合、ビザの種類に関わらず残業代の支払い対象となります。

③ 「Stay-or-Pay」契約の禁止 (AB 692): 従業員が一定期間内に退職する場合に、研修費や移転費用の返済を義務付ける契約が原則禁止されます。
これは、特に外国人労働者が不当な負債によって職場に縛り付けられることを防ぐ重要な法律です。

④ 給与格差是正の強化 (SB 642): 雇用主は求人票に記載する給与幅をより正確に提示することが義務付けられ、違反した際の情報開示請求権が拡大されます。

⑤ 給与データ報告の義務化と罰則 (SB 464): 従業員の人口統計データの報告を怠った企業に対し、1人あたり$100〜$200の罰金が自動的に科されるようになります。

⑥ カリフォルニア版WARN法の改定 (SB 617): 大規模なレイオフ(一時解雇)の際、従業員に提供すべき通知内容がより詳細になります。
H-1Bビザ保持者など、解雇が在留資格に直結する人々にとって、情報の透明性が向上します。

⑦ 医療従事者の最低賃金段階的引き上げ (SB 525): 病院やクリニックで働くスタッフの最低賃金が、2026年に次のフェーズへと移行し、施設の規模に応じて時給$18〜$25以上に引き上げられます。

2.移民・外国人の権利保護

カリフォルニア州は連邦政府の移民政策とは独立して、居住者の保護を強化しています。

⑧ 職場での「知る権利」通知 (SB 294): 2026年2月1日までに、雇用主は全従業員に対し、法的権利を説明した書面(スタンドアロン通知)を配布しなければなりません。
この法律は、従業員が自分の権利を知らないために不当な扱いを受けることを防ぐためのものです。
雇用主は、2026年2月1日までに、その時点で雇用している全従業員に対し、州が指定する項目をまとめた「権利通知書」を個別に配布しなければなりません。
その後は毎年1回の定期配布と、新入社員への採用時配布が義務化されます。
そして、単なる就業規則の配布ではなく、以下の特定の権利を明文化することが求められます。
また、「従業員が理解できる言語」での通知を重視している点が特徴です。

カリフォルニア州労働委員会(Labor Commissioner)は、2026年1月1日までにモデル通知書を作成し、多言語でウェブサイトに公開します。
雇用主は、普段その従業員とコミュニケーションをとっている言語のバージョンが州のサイトにある場合、必ずその言語で提供しなければなりません。
これにより、英語に不安がある労働者も、自分を守るルールを正確に把握できます。
企業の経営者や管理職の方は、2026年1月〜2月の期限までにこれらの通知義務を完了させるための準備が必要です。
また、従業員の方は、自身の給与が最低ラインを上回っているか、不当な返済契約を結ばされていないか、今一度契約書を確認することをお勧めします

⑨ 移民局(ICE)検査への対抗措置 (SB 294): 上記の通知には、移民局による職場検査が行われる際の法的権利や、不当な移民関連の報復行為に対する保護が含まれている必要があります。

⑩ 職場での拘束・逮捕時の緊急連絡先指定 (SB 294): 従業員は、仕事中に当局(ICE等)に拘束された場合に備え、雇用主が連絡すべき「緊急連絡先」を指定する権利が与えられます(2026年3月30日までに実施)。

⑪ 非差別的な採用プラクティスの徹底: AI(自動選考システム)を利用した採用において、人種、国籍、障害による差別がないかを確認する監査要件が事実上強化されます。

⑫ 運転免許証(AB 60)データの保護: 移民ステータスに関わらず取得できる運転免許証データが、連邦政府の移民摘発に流用されないよう、州レベルでのデータアクセス制限がより厳格に運用されます。

ここまでで、主要な労働法、移民に関わる分野についての法の制定・改正について考えてきました。

次回続けて、他の分野の主要な法律も考えていきたいと思います。

免責事項

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年1月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。

本記事の内容に基づいて行動される場合は、必ず専門の弁護士にご相談のうえ、個別の状況に応じた適切な法的助言を受けてください。本記事を読まれたことにより、JINKEN.COMまたは執筆者との間に弁護士・依頼人関係が成立するものではありません。

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作成者: jinkencom

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