法律ノート 第1507回 弁護士 鈴木淳司
Jan 12, 2026
アメリカでは新年になると、アメフトが盛り上がってきます。
ちょうどワイルドカードやプレーオフなど、年始から忙しく行われます。
私の地元の49ersもこの原稿を書いている日に、試合があるので、それに合わせて仕事をしています。
やはりアメリカにいるとアメフトは冬の風物詩になります。
私の友人の弁護士は、スーパーボウル(2月初旬)までは、正月から酒を一切飲まないことを自分に課したりしているそうです。
私も、今年のスーパーボウルは地元近くで行われるので、今から楽しみにしています。
さて、前回も新しいカリフォルニア州の法改正を考えましたが、今回も色々な分野での法改正が行われていますので、皆さんと一緒に考えていきましょう。
前回は、1として労働関係法、2として、移民関係法を考えましたので、今回ここから続けていきます。
- 環境・テクノロジー
まず、企業の透明性と社会的責任を問う法律に基づく、最初の報告期限を2026年に迎えます。
⑬ 気候企業データ説明責任法 (SB 253):売上10億ドル以上の企業は、2026年から「スコープ1および2」の温室効果ガス排出量の報告を開始する必要があります。室効果ガス排出量の報告を開始する必要があります。
⑭ 気候関連財務リスク報告 (SB 261):そして、売上5億ドル以上の企業は、気候変動が事業に与える財務的リスクをまとめた報告書を2026年1月1日までに提出しなければなりません。
現在の連邦政府の方針とは、⑬も⑭も異なる方向ですが、カリフォルニア州としては、環境に影響する法律を変更せずに強化する方向で動いています。
⑮ ベンチャーキャピタルの多様性報告 (SB 54):カリフォルニアで活動するVCは、投資先企業の創業者たちの多様性(人種、性別等)に関するデータを2026年3月までに初報告する必要があります。
これも連邦政府の方針とは異なりますが、カリフォルニア州の法律に現在変更はなく適用されています。
⑯ AI生成コンテンツの透明性 (SB 942):大規模なAIシステムが生成したコンテンツには、それがAIによるものであることを示す「透かし」やラベルの付与が義務付けられます。
年末に法律ノートでも言及しましたが、AIの発達は目覚ましいものがあります。
今後色々な分野でAIの規制が出てくると思われます。その一つです。
- 消費者保護・住居・その他
次に、日々の生活に直結する細かなルールも変化がみられます。
⑰ 中古車販売の価格開示義務:中古車ディーラーは、全ての追加費用を含めた総額を明確に開示しなければならず、3日以内の返品を認めるケースが拡大されます。
⑱ 賃貸物件の基本設備義務:貸主(ランドロード)は、賃貸ユニットに適切に動作する冷蔵庫とコンロを完備することが法律で義務付けられます。
⑲ 薬局での多言語対応の強化:外国語を第一言語とする患者のため、処方箋のラベルや説明書の翻訳サービスの提供が、州の規制によってより厳格に求められます。
5.刑事法・刑事訴訟法
⑳ 繰り返し行われる窃盗および薬物犯罪への罰則強化(Proposition 36)
2024年の住民投票で可決され、2025年から2026年にかけて本格的な運用が始まった「ホームレス状態・薬物依存・窃盗削減法(Proposition36)」により、刑法の一部が大きく改正されました。
これまでは軽罪として扱われていた「950ドル以下の万引き・窃盗」であっても、過去に2回以上の窃盗前科がある場合には、検察官の裁量により「重罪(Felony)」として起訴することが可能になりました。
また、フェンタニルなどの特定の薬物所持についても、繰り返し違反する者に対しては、強制的な治療プログラムを伴う「治療型重罪(Treatment-mandated felony)」という新たな枠組みが適用されます。
㉑ 公共施設・職場に対する大量暴力脅迫に対する処罰強化(SB 19)
2026年1月1日施行のSB 19は、学校、職場、宗教施設、医療機関などに対する暴力や脅迫をより厳格に処罰するものです。
本法により、死や重大な身体的傷害をもたらすような犯罪を行うという具体的かつ即時な脅迫を行った者に対し、たとえ実際に実行する意図が証明できなくとも、被害者が合理的な恐怖を感じた場合には重い刑事責任を問えるようになります。
インターネット上での画像や投稿を用いた脅迫も対象となり、職場や公共の安全を脅かす行為への抑止力が強化されました。
㉒ AI生成コンテンツ(ディープフェイク)の透明性と罰則(SB 942)
上記⑯において言及した法律ですが、AI技術の悪用を防ぐため施行された、カリフォルニア州AI透明性法(SB942)ですが、一定規模以上のAIシステム提供者に対し、生成された画像や動画、音声に「AIによる生成物であること」を示す電子的なウォーターマーク(透かし)の挿入が義務付けられたことは上述しました。
これに違反したり、悪意を持って他人の名誉を毀損するディープフェイクを拡散したりする行為には、高額な民事罰だけでなく、事案の性質によっては刑事的な詐欺罪や名誉毀損に関連する罰則の対象となる可能性があります。
㉓ ハイテク窃盗器具(キー複製機等)の所持禁止(AB 486)
近年急増している車両盗難や住宅侵入の手口に対応するため、AB 486が施行されました。
この法律により、窃盗の意図を持って「キープログラミング機器」「キー複製機」「スマートキーの信号延長器(リレーアタック用デバイス)」を所持することが、明確に軽罪(Misdemeanor)として規定されました。
これまでは、実際に犯行に及ぶまで立件が難しいケースもありましたが、今後は不目的でのデバイス所持そのものが取締りの対象となります。
㉔ 刑事被告人への「移民法上の不利益」に関する口頭告知の義務化(SB 281)
刑事手続における適正手続(デュー・プロセス)を担保するため、裁判所の手続が一部改正されました。
2026年より、非市民の被告人が有罪答弁(Guilty)または不争答弁(No Contest)を行う際、裁判官は従来の書面による通知に加え、「この答弁により、国外追放や入国拒否、帰化の不能といった移民法上の不利益が生じる可能性がある」ことを一言一句違わずに口頭で告知すること(Verbatim Advisement)が義務付けられました。
この告知を怠った場合、後日に答弁を撤回する法的根拠となり得ます。
ただ、私が今まで実務でみてきたところ、刑事裁判において、裁判所(裁判官)は、かなり丁寧にこの不利益を今までも告知してきたと言えます。
したがって、SB281ができたとしても、本人の理解の問題はあるかもしれませんが、カリフォルニア州においてはかなり裁判においてちゃんとやってきたところだと私は思っています。
6.道路交通関係
㉕ 停車車両に対する回避義務の拡張(AB 390)
従来の「Move Over Law(回避義務法)」の適用対象を大幅に広げるものです。
これまでは緊急車両、警察車両、および黄色い回転灯を備えた道路作業車のみが保護の対象となっていましたが、2026年1月1日以降は、ハザードランプを点灯させて路肩に停車しているすべての車両へと対象が拡大されました。
ドライバーは、これらの車両の側を通過する際、安全に車線変更が可能であれば隣接車線を空けることが義務付けられます。
もし交通状況により車線変更が不可能な場合には、十分に減速し、細心の注意を払って通行しなければなりません。
この改正は、路肩での二次被害を最小限に抑えることを目的としています。
㉖ DUI車両過失致死罪における保護観察期間の延長(AB 1087)
飲酒または薬物の影響下(DUI)での運転により致死事故を引き起こし、車両過失致死罪で有罪判決を受けた被告人に対し、司法監視を強化する措置が講じられました。
AB1087に基づき、当該事案における保護観察期間(Probation)は、従来の原則2年から「3年から5年」の範囲へと引き上げられています。
さらに、関連法案であるAB366により、違反者の車両へのイグニッション・インターロック装置(IID:呼気検査機)設置義務化プログラムも2033年まで延長されました。
㉗ 赤信号自動取締システムの民事罰化と運用拡大(SB 720)
交通安全の向上と行政手続の効率化を目的として、SB720は各自治体に対し、新たな「代替的赤信号自動取締システム」の導入を認めました。
サンフランシスコ市でも活発に使われています。本法の重要な論点は、このシステムによる記録を根拠とした違反を「民事罰(Civil Penalty)」とした点にあります。
これにより、従来の刑事罰としての違反切符とは異なり、運転記録へのポイント加算(点数)を回避しつつ、罰金の確実な徴収と交差点事故の抑制を両立させる枠組みが構築されました。
今後は都市部を中心に、カメラ設置による法執行の自動化がさらに進む見込みです。
㉘ ナンバープレート視認性妨害装置の禁止(AB 1085)
有料道路の料金回避や、自動取締カメラによる検知を逃れる目的で使用されるデバイスへの規制が厳格化されました。
AB1085は、ナンバープレートを物理的または電子的に覆い、その読み取りを妨害する製品の「製造、販売、および所持」を包括的に禁止しています。
本法への違反は軽罪(Infraction)として扱われ、違反者には最大1,000ドルの罰金が科されます。
したがってみなさんも、ナンバープレートになにか視野を阻害するような被せ物をすることは、故意がなくても警察官に停車を命じられる原因になりますので、注意が必要です。
ナンバープレートは、そのままつけておけ、ということです。
㉙ 学童保護区域における法定速度の引き下げ(AB 382)
歩行者、特に児童の安全確保を最優先事項とし、AB382はスクールゾーン内での制限速度設定に関する自治体の権限を拡大しました。
これにより、学校周辺の特定区間において、従来の時速25マイル(約40km/h)から時速20マイル(約32km/h)への制限速度の引き下げが可能となっています。
本法案は、2031年までに適切な標識が設置されたすべてのスクールゾーンで20マイル制限を一般化させるための重要なステップです。
ドライバーには、学校周辺における一層の低速運転と歩行者への注意が法的に求められるようになります。
まだまだ、法律に変更が加えられたり、新設されたところがありますが、かなり長くなりましたので、2026年の新たな法のご紹介はここまでにしておきたいと思います。
もし、皆さんがどこかで新しい法律のことを耳にしたらぜひ法律ノートで質問してくださいね。
それでは、私は49ers戦を楽しみに今日は過ごしたいと思いますので、皆さんも残りの週末を楽しくお過ごしください。
インフルエンザが猛威をふるっているようですので、くれぐれも手洗いうがいは忘れずにお互い健康に1月を過ごしていきましょう。
免責事項
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の個別案件に対する法的助言ではありません。記載内容は執筆時点(2026年1月)の情報に基づいており、法律や規制は変更される可能性があります。
本記事の内容に基づいて行動される場合は、必ず専門の弁護士にご相談のうえ、個別の状況に応じた適切な法的助言を受けてください。本記事を読まれたことにより、JINKEN.COMまたは執筆者との間に弁護士・依頼人関係が成立するものではありません。
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