米_過去に飲酒運転で逮捕、その影響は?(2)_1411

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1411回 弁護士 鈴木淳司
Mar 31, 2024

 やっと春が来たような気がしますが、これからまたすぐに暑くなってしまいそうな予感がします。
フォーシーズンズは、ツーシーズン化していくのでしょうか。
これから、フォーシーズンズホテルに対抗して、スリーシーズン、ツーシーズンを商標登録しておいたほうが良いような季節の変化であります。
アメリカでは本格的に野球シーズンが開幕しましたね。
春を告げるのは、日本は桜ですが、アメリカでは野球という感じですね。

米_過去に飲酒運転で逮捕、その影響は?(2)_1411

さて、前回から考えてきた質問をまとめると「先日DUI質問とそれに対する法律ノートの回答を興味深く拝見しました。追加の質問があったら、質問ができるとあったので、質問をさせてください。私は学生時代にアメリカに留学していましたが、その時に飲酒運転で逮捕されました。前回の法律ノートの記事にあったように、罰金を払い奉仕活動などもちゃんと終えました。その後日本で就職をしたのですが、このたび転職して、日本からアメリカの駐在員としてカリフォルニア州ではないアメリカ東部に住むことになりそうです。またアメリカに行ける事はとても楽しみにしているのですが、一方で、学生時代に起こした飲酒運転が問題になるのではないかと心配しています。特にビザに影響するのではないかと憂慮しているのです。今は決してお酒を飲んで車も運転しませんし、他に犯罪などの問題はありません。」というものでした。今回続けて考えていきたいと思います。

飲酒運転の類型は様々、州法と連邦法も別

前回は、飲酒運転といっても色々な類型が存在することをご紹介しました。

単に飲酒して捕まるのではなく、器物損壊や、人身傷害を起こす場合も実際にはあるわけです。

よく、「私飲酒運転で捕まったのですが、再入国可能でしょうか」という相談もありますが、実際の裁判記録をみてみないと、なんとも言えないわけです。

州の法律とは別腹で、連邦はあたかも別の国のような法律を制定しています。

移民法の観点で飲酒運転を考える

移民法関連も連邦の専属ですので、連邦法で、移民法はつくられているわけです。
そうすると、飲酒運転に関しても、まったく違う観点から移民法は考えているということがわかります。
そして、移民法には、かなり漠然としているのですが「道徳違背の罪(Crime of Moral Turpitude)」というくくりで、様々な罪が規定されています。

移民法においては、再度アメリカに入国を許すか、強制送還にするのか、ということが規定されているわけですが、そのメルクマールになるのが、この道徳違背の罪と見做されるかどうか、ということになります。

基本的には、売春関係、麻薬関係は、明文で再入国禁止・強制送還の対象になりますが、その他にも、裁判例でかなりの範囲の罪が規定されています。

刑事系専門の弁護士でも、わからないことが多いし、移民専門の行政書士業務をしている弁護士もわからないことがあるわけです。
私も実務においてトンチンカンなアドバイスをする弁護士をたくさん見ています。

州で罪になっても、連邦の移民法では問題ない事例も多くあります。

道徳違背の罪

たとえば、一回の単純な飲酒運転では、アメリカ政府は大使館・領事館を通して、その申請者がアルコール中毒ではなかったことを証明すれば、再入国は一般的に許可されます。
今回質問されている方も単純な飲酒運転の罪であれば、強制送還やアメリカ再入国に影響することはないと思われます。

しかし、一方で、飲酒運転で人身傷害を生じさせてしまった場合などは状況がちがってきて、道徳違背の罪に問われる可能性はでてくるわけです。

移民法に関する裁判例は逐一変わっていきますので、何が道徳違背の罪なのか、ということを把握してから、移民関係の申請をすることが重要になってきます。

過去の犯罪歴は隠さず申告を

今回質問されている方が単純な飲酒運転一罪であれば、即「道徳違背」を犯した、とはいわれないと思いますので、ビザを申請するときに、正確に申告をすれば良いと思います。

ビザを申請したあと、過去の飲酒運転の罪については大使館・領事館は把握しているでしょうから、そのままビザを発給するか、アルコール中毒ではないという旨を医師に診断してもらうか、ということを決める裁量がありますので、発給は遅滞するかもしれません。
それでも、必ず過去の犯罪歴は隠さずに申告したほうが良いと思います。

次回になりますが、少し過去の飲酒運転について緩和できるような手続について考えていきましょう。

もう、四半期が終わってしまう時期で、バタバタです。
日本でも、新年度がはじまって賑やかな時期でもあります。
また、一週間、天気を楽しみながらがんばっていきましょうね。

 

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作成者: jinkencom

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