米_過去に飲酒運転で逮捕、その影響は?(3)_1412

サンフラン SF滞在

法律ノート 第1412回 弁護士 鈴木淳司
Apr 6, 2024

 2024年4月8日に皆既日食が東海岸などで見られるそうです。
カリフォルニアの友人は、その皆既日食を見るためにわざわざ実家のある東海岸に行くとか言っていました。
私は部分日食は見たことはありますが、皆既日食を見た覚えがあまりないので興味があります。

しかし、わざわざ東海岸まで行くとなると大変そうです。
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、皆既日食のサイトを作っているようですので、気にかけておこうと思いました。

日本の歴史の中でも、皆既日食が災いのきっかけだと言って、色々な恐怖を煽ったようなこともあったらしいですが、神秘的なのでしょうね。
皆さんは、見られたことはありますか。春らしい季節になってきましたね。

米_過去に飲酒運転で逮捕、その影響は?(3)_1412

 さて、今回は前回に引き続いて「先日DUI質問とそれに対する法律ノートの回答を興味深く拝見しました。追加の質問があったら、質問ができるとあったので、質問をさせてください。私は学生時代にアメリカに留学していましたが、その時に飲酒運転で逮捕されました。前回の法律ノートの記事にあったように、罰金を払い奉仕活動などもちゃんと終えました。その後日本で就職をしたのですが、このたび転職して、日本からアメリカの駐在員としてカリフォルニア州ではないアメリカ東部に住むことになりそうです。またアメリカに行ける事はとても楽しみにしているのですが、一方で、学生時代に起こした飲酒運転が問題になるのではないかと心配しています。特にビザに影響するのではないかと憂慮しているのです。今は決してお酒を飲んで車も運転しませんし、他に犯罪などの問題はありません。」というものでした。今回続けて考えていきたいと思います。

刑事事件が分かる弁護士に相談する

 前回、ある程度就労ビザと飲酒運転についての関連性について考えました。

過去に犯罪歴があるからといって自動的に就労ビザの発給がされないということではありません。

飲酒運転についても、まず移民行政だけやっている弁護士だけではなく、刑事事件の記録等を正確に読める弁護士に相談することが賢明であるということはご理解いただけたと思います。

カリフォルニアにおける犯罪歴抹消手続き

 今回は、過去の犯罪歴について、抹消できる手続きについて考えていきたいと思います。
ご注意願いたいのは、ここで考える内容はカリフォルニア州法上のものですので、その範囲で限定していますので、ご承知ください。

Expungement(エクスパンジメント)という手続きが、犯罪記録抹消手続です。

弁護士が行う手続きとしては、今までの犯罪歴に関する書類を全て取り寄せます。
過去の刑事事件について検討し、必要であれば裁判所に問い合わせ、判決に沿って言い渡された内容が全て整っているのかを確認します。
具体的には罰金の支払い、禁錮刑の満期終了、保護観察期間の終了などです。

これらが全て終わっていれば、申立て書類を作成し、裁判所に提出します。
裁判所が内容を確認して問題がなければ、抹消されたということになります。

犯罪歴抹消後も公的用途では申告が必要

犯罪の抹消は限定的であり、民間に対しては抹消されているので、「犯罪歴はない」と堂々と言えます
例えば、飲酒運転で有罪歴があった人がアメリカで転職しようと思った場合には、犯罪歴なし、と書けるのです。

一方で、公的な用途については、犯罪歴について申告が必要です。
政府関係の職に就きたい場合移民関係の書類を作成する場合などは、抹消申請が認められても、申告をすることが必要になります。
ですので、今回質問されている方のように、移民関係の申請をされる場合には、Expungementがされているとしても、一方では、移民申請については、過去の犯罪歴を適切に記載して提出しなければなりません。

公的用途での不申告は虚偽申告に

仮にExpungementをしたからといって、過去の犯罪歴について「なし」と書いてしまうと移民法上の「虚偽申告」とされてしまう恐れがあります。
このExpungementについても、ちゃんと移民法と刑事法について熟知している法律事務所に相談をするのが重要と思います。移民法上の虚偽申告などの事態はどうしても避けたいところであります。

 とにかく、今回質問されている方については、すでにExpungementかそれに類似する他州の制度を利用されている場合には、米国のビザを申請する前には今一度、その内容を確認した上で、移民申請に関しては必ず過去の犯罪歴を書くことは必要であるという理解をしておいてください。

 次回からまた新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

アメリカでは公の場所で桜を見ながら酒を飲むというのはあり得ないことですが、アメリカでも春を楽しみながらまた一週間頑張っていきましょうね。

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作成者: jinkencom

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