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米学生ビザ-滞在期限付きの方向へ

じんけんニュース 9-25-2020 弁護士 鈴木淳司
Sep 25, 2020

学生ビザ-滞在期限付きの方向へ

 アメリカ大統領選挙が近くなってきています。現大統領は再選を目指し、有権者に向けて様々なアピールをしています。アメリカの大統領は、大統領令を用い、行政に関する広範な裁量があるので、薬価についても最近新たに大統領令を出したりしていますね。

 選挙前に、もう一つの目玉である移民についても、新たな大統領令を出す動きがあります。以前にこのブログ(じんけんニュース)でも取り上げましたが、すでに大統領令で、Hビザ、Lビザなどの発給について「アメリカ人の雇用を奪う」という理由で、2020年末まで新規発給を取りやめました。もちろん延長も視野に入れていますし、再選されれば、さらに厳しい制限を課してくることになりそうです。

 今回取り上げるのは、学生ビザ(FおよびJビザ)、そして、取材ビザ(Iビザ)についての、現政権の動きです。おそらく、今回の選挙前に新たな大統領令を出し、移民の制限をはじめる可能性があるのでトピックとして取り上げておきます。まだ、大統領令がでている訳ではありませんが、急ピッチで意見公募をしているので、さらなるビザ発給制限は時間の問題だと思われます。

D/S すなわちDuration of Status

 さて、今回現政権が改正を狙っているのが、いわゆるD/Sと言われる制度です。

 これは、Duration of Statusという英語の略です。どういう意味かというと、学生であれば学生を続けている間は、アメリカ国内に合法的に滞在できるとする制度です。

 1978年から利用されています。アメリカ国内に滞在し続ける限り、学生を続ければ合法であるということです。このD/Sというのは、F, J, Iビザ保持者に適用され、米国にビザスタンプの期限内に入国していれば、ビザの目的にかなった活動をしている限り合法的にアメリカに滞在できるということになるのです。

 今回現政権は、このD/S制度が、外国人がアメリカに入国して、実際に何をやっているのか把握しにくい、ということをメインの理由にして、滞在資格に期限を設けようとしています。すなわち、D/Sという制度を撤廃して、F,J,Iビザでアメリカに入国する場合には、滞在期間の期限を設けるということを提案しています。

I-20を継続すれば滞在延長が自在?

たとえば、学生ビザでアメリカに入国する場合、一旦学校からの入学許可(I-20)をもらえば、学生を続けている場合、そして、他校に移る場合などには、I-20が連続している限りアメリカに合法的に滞在することができるわけです。

 しかし、今回の改正によりアメリカに合法的に滞在できる期間が限られ、米国内に継続的にとどまりたい場合には、再度米国内で滞在許可を得なければならなくなるのです。期限を区切って、ちゃんと目的にかなった滞在をしているのか、移民局がチェックをかけようということなのです。

 そして、ここではすべて取り上げませんが、学校を変更する場合、専攻を変更する場合、など、細部にわたって移民局がチェックできるように設定する案が現政権から出ています。

学業以外の目的での滞在

 実際問題として、学生ビザでアメリカに入国し、不法に就労したり、目的を遂行していないという例は多数存在します。そして、D/Sという制度がこれらの問題に寄与していると考えているようです。

 したがって、ある意味今回の改正案は、外国人の不法就労を防ぐという理由はあります。

 一方で、お金を払って勉学をする外国人にとって、勉強をするうえで、移民法上の制約が厳しく課されていくと考えられます。

一長一短ではありますが、とにかく、現政権はD/Sという制度撤廃に目をつけています。また、現政権からでの提案では中国のスパイがアメリカの大学で違法な活動をして逮捕されている例なども挙げているので、ある意味、対中国の意味合いも大きい改正案ということになりそうです。

滞在期限と延長申請

 現段階で提案されているビザの有効な滞在期限として、大学では、2または4年、語学学校は2年、取材ビザ等については、240日を最大の滞在期限とし、その後は延長申請をアメリカ国内で行うということになっています。

 現政権の提案メモを読むと、かなりD/Sに対して猜疑的なトーンであるので、できるだけ滞在期限を短くして、必ず延長申請を噛ませることで踏み絵としようとしているのだと思います。

学校側の負担も課題

おそらく、学生の勉学そのものにはダイレクトに影響はしませんが、行政関係の対応が今後複雑になってくると思います。学校もその対応がかなり大変になると思われます。外国人の管理がより厳しくなるという方向で現政権は向かっています。

また、次回新しいトピックを考えていきましょう。


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