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アメリカ移民ビザ手続き 60日間停止

トランプ米大統領、移民ビザ取得希望者の入国を60日間停止

トランプ大統領による大統領令が、米東部夏時間2020年4月23日23:59より発効しました。

新型コロナウィルス COVID-19感染拡大により、全米でのロックダウンが実施され、史上初の規模のアメリカ市民失業者数となりました。
コロナウィルスの感染拡大防止策は様々に展開されていますが、人口3.2億人以上の全米では、失業者数の多さと経済にもらたらす悪影響が甚大なものです。

そのため、米国の経済回復までの期間、米国労働市場安定のために、特定の移民の受け入れを一時的に停止することとし、署名がなされました。
この大統領令が延期されない限り、60日後に失効します。

◉米国市民、米国永住者、およびこの大統領令の執行日に有効な移民ビザを保持している方は該当しません。

◉非移民ビザを含む、有効なビザが取り消されることはありません。

■在東京のアメリカ大使館による発表はこちら
https://www.ustraveldocs.com/jp_jp/

■大統領令はこちら
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-suspending-entry-immigrants-present-risk-u-s-labor-market-economic-recovery-following-covid-19-outbreak/

Golden Gate sanfran

大統領令による出生地主義の制限について_1134

法律ノート 第1134回 弁護士 鈴木淳司
Nov.6、2018

 今回は、皆さんからの質問にお答えするのを一度休ませていただき、法律に関する最近のトピックを考えてみたいと思います。

大統領令による出生地主義の制限について_1134

 明日(2018年11月6日)はアメリカ議会選挙が行われます。同時に多数の住民投票も各州、各郡で行われる大事な日であります。今年は、現大統領就任後、初のリトマス試験紙になるため、大統領は勝機を固めるべく様々なパフォーマンスを提供してくれています。

アンカーベビーとチェーンイミグレーション

 アメリカの南では難民申請を願ってアメリカに向けて進んでいるキャラバンのことを取り上げ、5000人以上の軍隊を国境に送っています。複数の退役幹部軍人がこれは明らかな政治的な軍事利用だと厳しく批判していますが、大統領は意に介さず税金を投入しています。

 現大統領は当選前、移民問題を大きく前面に押し出していました。その結果、正当な難民申請を目指している外国人に対しても、強く出ていることは明らかですが、もう一つ出生地主義の制限について中間選挙前に大々的にマスコミのインタビューで再度謳いました。「アンカーベビー」や「チェーンイミグレーション」を許すな、というものです。前者は、子供にアメリカ市民権を取らせ、それをきっかけにアメリカに移民をしてくること、後者は、一人がアメリカ市民権を取るとその家族もアメリカに移住してくること、を指します。この国は、現状の連邦制になってから歴史は浅く、現大統領の妻を含めほぼ後者のような形でアメリカに入ってきています。これを廃止させようとしているのです。

アメリカ国内で出生すればアメリカ国籍

 大きく分けて、世界の国々には、生まれた人に国籍が認められるには2つの方法があります。一つは出生主義、もう一つは出生地主義です。出生地主義を認める国家は、形は様々ですがアメリカを含め30以上あります。(現大統領がインタビューで、「このような出生地主義を取っているのはアメリカだけだ」と言っていたのは間違っています。)日本は出生主義を歴史的にとっていて、日本人の子でなければ日本人には出生時になれないのが原則です。

 したがって、現在アメリカ大統領が言っていることは、日本人には実は親和的に聞こえると思います。アメリカでは、アメリカ国内で出生すれば、アメリカ国籍が与えられます。移民国家であるアメリカではほぼ当たり前に受け止められていました。

これまでまもられてきた出生地主義に制限が?

 今回、現大統領は、大統領令によって、この出生地主義を制限する、とインタビューで明言しました。中間選挙前というタイミングは偶然なのでしょうか。以前、現政権は、アメリカに渡航禁止をする国を包括的に指定する大統領令を発令し、最高裁判所まで争われ、内容は一部改定したものの、大統領令が支持された過去があります。今回も本当に大統領令を発令することで出生地主義を制限できるのでしょうか。

 アメリカは立憲国家ですので、憲法が最高法規であります。その憲法の修正14条は1868年に現在の最終型として議会で制定されました。この修正が行われるまでは黒人であるがゆえにアメリカ市民として認められなかった過去があります。修正14条の原文は、該当する箇所について、この原稿の最後に記載しておきます。

「アメリカ合衆国で生まれた、または帰化したすべての人は、合衆国の管轄に服する場合、米国籍保持者である(筆者訳)…」とされています。米国で司法試験を受けるには、修正5条などとともに、暗記が要求されるほど、重要な条文です。

 1898年には、この修正14条が試された事件があります。中国籍の両親を持つ人が中国に滞在後、米国に再入国拒否され、最高裁判所まで争って、修正14条に基づいて、国籍を認められました(United States v. Wong Kim Ark (1898))。その後、この根本的に米国で出生した者に米国籍を与えるという考えは変更されていません。米国最高裁判所は、修正14条で認められた権利を文言通りに解釈しながら、広く権利を認めてきたのです。

 この流れで、1982年に判決に至ったPlyer v. Doe 457 U.S. 202 (1982)という事件では、不法移民の子で、米国籍を持たない子にも、修正14条の保護が及び、不法だからといって、教育費の削減をすることはできない、と判示されました。不法移民の子でも修正14条にいう「人」である、と判決文にあります。

このように、修正14条で出生地主義はかなり広汎に守られてきましたし、不法移民に対する修正14条の適用も最高裁判所判例で明確になっています。

「合衆国の管轄に服する場合」の解釈をめぐる議論

 しかし、上記修正14条の訳した一部である「合衆国の管轄に服する場合」の解釈について、ごく少数の政治家や法律家が噛みつきます。上記1982年の判決において「合衆国の管轄に服する場合の解釈は、判決本文ではなく、脚注で取り上げられているだけなので、少数派は、まだこの部分について、最高裁判所は判断していない、と主張しています。

 すなわち、不法移民であれば、合衆国の管轄に服していないと言えるというのです。1982年判決の根本的な趣旨に反している主張なので、簡単に通る考え方ではありませんが、このような議論の余地があり、これを現政権が使ってくる可能性は残ります。

 上記を見ると明らかですが、議会が制定した修正14条、司法の最高機関である最高裁判所が決めた判決が存在するなか、三権の一つである行政の長が大統領令を出すだけで、人権を制限できるのか、というとなかなか難しいことがわかります。

 今まで、まったく眠っていた問題ですが、司法界でもこれから議論されていくことになるトピックかもしれません。最高裁判所にも、現政権が指名した判事が二人入っています。今後上記を踏まえて注視したい問題ですね。 

(米国憲法修正14条原文抜粋)
All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the state wherein they reside. No state shall make or enforce any law which shall abridge the privileges or immunities of citizens of the United States; nor shall any state deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.


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トランプ大統領の入国禁止政策(2)_1118





トランプ大統領の入国禁止政策(2)_1118
July 14, 2018
前回、2018年6月26日に、アメリカ連邦裁判所の入国禁止大統領令を支持する判決を考え始めました。今回続けていきましょう。前回、保守派の最高裁の多数派が書いたロジックを考え始めました。
大統領はつまるところ、外国人を自国に入れるかどうかの広汎な裁量を持っているということは考えました。これはアメリカに限らず、日本でも同様に外国人を入国させるかどうかの広汎な裁量を行使できるので、基本的に問題はないという考え方になることを前回で理解していただけたと思います。
 
今回の入国制限が適法か
次に、今回の制限はそもそも適法かどうか、という点が問題になります。
この点が、保守派とリベラルの少数意見で激しく割れた部分であります。こういう言い方だとかなり端折っている、と思われるかもしれませんが、保守派は形式的な法律論を前面に出し、少数派は実質的に今回の事件を解析する、という構図となりました。
 
最高裁判決、適法と主張した論理
保守派は、今回の大統領令に関して、大統領は移民政策において広汎な裁量を行使する権限があり、単にその権限を行使した。そして、イスラム迫害ということはなく、数あるうちの6つの国だけ原則入国禁止に指定した。イスラム教を迫害しているとは言えない。
そして、政府が移民政策をするうえでは、合理的な制限であれば問題なく、テロ対策をするうえで合理的な判断であった、と位置づけました。
 
最高裁判決、違法と主張した論理
少数派は噛みつきます。
トランプ大統領が選挙中および大統領就任後もイスラム教を排斥する考えを打ち出し、さらに今回の制限も主にイスラム教徒に向けられたものだ。まるで、日系人を強制収容したときのように、一括りにしているような政策だ、「合理的な制限」という程度の解釈では生ぬるく、もっと制限的な方法および目的も厳格に審査されるべきだ、と主張しました。かなり事実も抜き出して論じています。
また、この入国禁止指定された6カ国の親族がアメリカにいるとして、かなりの数の家族が引き離されてしまう、という言及もありました。
少数派の意見をよそに保守派の多数は、大統領令を支持することになったのです。かなり激論があったと思われますし、激論になる理由もよく理解できます。とにかく、トランプ大統領の6各国に対する原則入国禁止の大統領令は有効であるとされました。
 
入国禁止の例外的な措置
もちろん、この大統領令には、原則入国禁止だが、例外的に難民等は受け入れる、という下りがあります。ですので、まったくの禁止ではないということになります。
しかし、実質的にはそのように例外受け入れが本当になされるのかは、行政の手のひらのうえの話です。アメリカ国内にもすでに、今回指定された6カ国に関連する市民権者や永住権者がたくさんいるわけで、アメリカ国内の議論もかなり亀裂が入ってくることが予想されます。本当に今回の大統領令でテロがなくなるのであればよいのですが、テロを焚きつける可能性もかなりあります。
私の現政権の考え方に対しての理解が浅いのかもしれません。
しかし、イスラム教徒イコールテロリストということではないということは、当たり前です。もともとイスラム教も他の宗教と同じように穏健な考え方で、戒律を守る考え方が基礎にあります。テロリストがジハードという言葉を捻じ曲げて、あたかも第二次大戦を煽っていった軍が天皇の統帥権を履き違えた同じように、武力行為にでるというのは、特殊な例であり、イスラム教の人たち全員にはもちろん当てはまりません。もちろん、戦国時代の比叡山のように武力化するような僧侶もいれば、穏健な僧侶も仏教徒でもいるわけで、十把一括りにするやり方はアメリカらしくないなぁ、と感じています。
今回指定された、6カ国でも賢人はいくらでもいるはずで、力はなくても、独裁政治などを是正したいと思っている人は一人ではないはずです。
そうすると、国ごとに入国禁止としてしまうと、その国に対して批判したり、変えたいと思っても、いくら例外規定があるとはいっても、アメリカという言論が自由な国に助けが求められなくなってしまうかもしれません。前に来た移民があとから来た移民にレッテルを貼ってしまうことになっているのではないかと憂慮しています。
今回の判決を読んで、なんだか、アメリカの良さ、悪さもあるでしょうが、胸を張って世界に誇れる多様性の萎縮を生むのではと思っています。
次回からまた新しいトピックを考えていきましょう。
 
 


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トランプ大統領の入国禁止政策(1)_1117





トランプ大統領の入国禁止政策(1)_1117
July 9, 2018
2018年6月26日に、アメリカ連邦裁判所で判決があり、かなりニュースになっていたトランプ政権によるアメリカ入国禁止令が結論としては支持されました。
もともと構成員のほとんどが移民の国で大幅な入国禁止令が出されたということで、議論が沸騰して、未だとどまるところを知りません。判決を受けて各地でデモも起こっています。
判決の内容をご存知ない方も多いと思いますが、日本人、そして日系人の強制収容についても言及されている判例なので、一弁護士の一考として、皆さんからの質問にお答えするのを休ませていただき、考えてみたいと思いました。
 
大統領令-Executive Order 13780-とその後の経緯
さて、今回連邦最高裁判所まで上り詰めた問題について少しおさらいしておきましょう。
トランプ大統領は、一定の国からのアメリカ入国を厳しく制限する大統領令を二度出しました。もちろん二度とも、かなりの議論が沸騰しましたが、今回の大統領令は直近の二度目の大統領令(Executive Order 13780)についてです。
この二度目の大統領令では、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、およびイエメンからのアメリカ入国を原則禁止し、例外的に難民申請などは、数は半減するが、考慮する、という規定がなされました。
この入国禁止令に対し、多くのアメリカ国民が反発し、訴訟提起に至りました。
主な訴訟では、ハワイ州、メリーランド州の連邦地方裁判所の判断により、大統領令の執行停止となりました。政権側は不服として控訴、控訴審も地裁判決を支持し、最高裁判所の判断に委ねられました。
 
過去の入国禁止事例
歴史を遡ってみると、実は、特定の国に対して、原則入国禁止をする政権はアメリカにもありました。たとえば、キューバに対する制裁として、キューバ人の入国を制限した過去があります。
このような例にあるように、国は政治的に、特定の国からの入国を制限することは、アメリカだけでなく、各国でもなされているという事実はあるわけです。
ですので、安易に、「国を一括りにして制限をするのはよくない」という批判は妥当ではないわけです。
 
大統領令の政治的背景
しかし、今回このような論争になっているのは、トランプ大統領の大統領選挙中および、就任直後の発言に端緒を求められるのかもしれません。
すなわち、トランプ大統領は、「テロは許さない」というだけではなく、「イスラム信者をアメリカにいれるな」と言った発言を繰り返していて、政策の目玉の一つにしました。そして、今回の大統領令が出たわけです。
人の信じる宗教を軸にして打ち出したスローガンに沿った内容の大統領令が出た、ということで、宗教に基づく差別的な大統領であるのではないか、という議論が沸騰し、訴訟に至ったわけです。
 
連邦最高裁判所の議論
最高裁判所の議論も割れました。
保守派と呼ばれる4人対リベラルの4人、それにどっちにも転ぶ1人という構図で、結局5対4で大統領令の支持に至りました。この判決のあと、「どっちにも転ぶ1人」が退官を発表しました。
アメリカの憲法の仕組みとして、大統領が最高裁判官の指名権を持っていて、議会の承認が必要となりますが、トランプ大統領が代替えの保守派を据えるということは間違いありません。そうすると、今後は議論も割れずに5対4の構図が続くことになるのではないかということが、今論点になっています。
 
合憲とした判事の判断理由
さて、今回問題となった大統領令について、保守派の判事5名はどのような理由で「問題ない」としたのか、考えてみましょう。
まず、大統領が今回の大統領令のように、国を指定して入国を禁止できるのかを論じています。この点については、上記でも触れましたが、「問題はない」という結論になります。アメリカ憲法では、移民法については議会が法律を制定できるとして、現存する移民法には(8 U.S.C  Section 1182(f))、大統領が一定の範囲を定めた外国人がアメリカに入国することによって、危害が発生すると判断した場合には、入国を禁止できる、と規定されています。細かい議論も最高裁判所でなされていますが、基本的に、大統領は外国人の入国に関して広汎な裁量をもっている、ということになろうかと思います。日本でもマクリーン事件という判例がありますが、類似した解析方法です。
次に、今回の制限は適法かどうか、という点が問題になります。ここから次回続けていきたいと思います。
夏ですね。ベイエリアも暑いですが、他の地域もかなり暑いようです。夏バテしないように気をつけてまた一週間がんばっていきましょう。日本では大雨の災害もあり心配ですし、暑さも尋常じゃないようです。影響されている方々の無事を祈るばかりです。


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H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響





H-1B専門職ビザ申請、大統領令の影響
Nov 28, 2017
2017年4月18日発効の大統領令
2017年4月18日、トランプ大統領は大統領令に署名し発効しました。
Buy American and Hire American」と呼ばれる題目がついていますが、選挙中声高に連呼していた「America First」を実行したものであると位置づけられています。
このなかに、米国人の雇用を何よりも優先するように各行政機関に義務付けている一般的な項目もあるのですが、第5条に、米国市民の雇用を促進するために、移民のシステムを見直すと書かれています。
そのなかで、特にH-1Bビザについては明記されていて、H-1Bビザは、(英語の解釈が曖昧なのですが)最上級のスキルを持つか、一番高額な給与を受ける外国人に優先的に与えるように指示されています。そして、この優先目的を達するために、過去の行政規則等を変更するように指示しています。
 
H-1Bビザーアメリカでの就労のかなめ
この大統領令の影響がH-1Bビザ申請に出始めています。移民実務にかなり深刻な影響がでています。まず、この大統領令によって、どのような影響がでているのか、そのバックグラウンドを考えてみます。
H-1Bビザというのはいわゆる専門的な職種に与えられるビザであり、大学または大学院などで勉強した内容を踏まえる職種を念頭に置いています。
したがって、外国人留学生が卒業して、就職するというときに使われるパターンも多くあります。近時、ソフトウェアエンジニアの確保のため、外国人をH-1Bビザで呼び寄せるというパターンも多く、アメリカ国内の雇用に影響するとして、毎年発給数の制限がなされています。
上述した大統領令のなかに、「最上級のスキルまたは高額な給与」ということが書かれていますが、これは、ある程度簡単にスキルがつけられる分野であればアメリカ人を優先し、安い賃金で外国人を連れてくるならアメリカ人を優先しろ、という思いを裏から言ったものです。
 
労働局の許可と賃金レベル
たしかに、外国人を専門的な職につけることを広く許してしまうと、アメリカ人の雇用を奪う可能性はあります。
そこで、移民法はすでにH-1Bビザの申請をする前置として、一般のアメリカ人の平均給与以上がその外国人に支払われるという労働局からの許可を求めていたのです。不当に安い賃金で外国人を雇用しないことで、外国人の利益も守り、アメリカ人の平均賃金も守るという意味合いがあります。
ここでは詳しく述べませんが、この労働局の許可を得るために、申請者の賃金レベルというのが5段階に設定されています。
レベルは経験によって違いがあり、レベル1はエントリーレベル、でレベル5は熟練した経験を持つレベルなどに区分けされています。
 
Request For Evidence – RFE
今回、大統領令で煽りを受けたのが、この労働許可でレベル1の許可を受けた申請者の方たちです。
H-1Bビザは抽選にさらされていたのですが、今年度の申請分についてやっとH-1Bビザを申請できても、今度は移民局が、さらにビザ許可に適格かどうかの証拠提出要請(Request for Evidence、略称RFE)を出すようになりました。RFEというのは、申請書類ではわからない部分があるので、もっと証拠を出せ、という要請です。
この手続がやっかいで、時間も労力もかかります。
もちろん、正当な内容のRFEもあるのですが、この大統領令以来、今までになかったタイプのRFEが続出しています。そして、H-1Bビザにおけるレベル1の労働許可については、かなりの数のRFEが出されていると移民法協会も記事にしています。
移民法協会の統計(弁護士が協会と情報をシェアする範囲だと思われます)によると、(1)申請書に記載されているレベル1とされている職種はレベル1よりも高度なものであり、給与が低すぎる点、説明せよ、というものと、(2)申請書に記載されているレベル1の職種は専門職とはみなされず大学の学位が不要である点説明せよ、という2つの要請が多く出ているということです。
 
H-1Bにいう「専門職」にも変化の兆し
今まで、移民法業務では、ある程度「専門職」とはなにかを示す指針があったにもかかわらず、それらの指針とは乖離して、許可を渋る傾向にあります。
たとえば、2000年に出された指針では、IT関係は専門職とされていましたが、これも今年から崩れつつあります。
現在では、移民法協会も実務を行っている弁護士も対策を練っている段階ですし、固まった指針も示されていません。しかし、移民局は大統領令を受けて、今までなかった保護的な指針でビザ申請を審査していることは間違いありません。
 
移民で構成されてきたこのアメリカも、現在では移民の締め出しをする方向で移民法実務も動いているように感じます。今後さらに締め付けが厳しくなる分野であろうと思われます。



3/16発効の大統領令、日本人への影響





 
「3/16発効の大統領令、日本人への影響」
今回のじんけんニュースは、トランプ大統領が署名して、2017年3月16日に発効する大統領令(行政命令)について、日本人にどのように影響するのか考えてみたいと思います。
中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限
まず、今回の移民関連の大統領令(Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States)のハイライトは、中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限です。
これはかなりニュースになっていますし、すでにハワイ州をはじめとして、違憲を主張して争う状況になっています。違憲であるかどうかは、特定の信教をターゲットに入国制限をしているかどうか、という点の審理となると思われます。ニュースでも取り上げられていますし、日本国民には直接影響しないと思われることから、ここでは割愛します。
難民の受け入れ制限
もうひとつ大きな移民の制限として、難民の受け入れを今までの約半分とする内容が含まれています。これも、現在難民認定を待っている外国人には、深刻な問題を生じかねません。政治的な迫害を受けているような、切迫している状況もあるでしょう。
ただ、この部分も日本人には、直接影響することは少ないと思われます。
日本人に直接影響する内容は?
上記に加えて、今回の大統領令において、いくつか外国人の米国入国を制限する方向に働くであろう内容があり、日本人の米国入国に影響することもあるかもしれませんので、ここで考えます。なお、今回の大統領令においては、この大統領令が一部無効とされても、残余部分は有効性を保つという状況があるので、以下考える部分については、有効とされる可能性が高いと私は思っています。
ビザ発行には大使館(領事館)面接が必須
まず、一番影響するであろう変更は、米国在外公館によるビザ申請の際、必ずインタビューを義務付けることになりました。
今までは、有効なビザの申請・許可があり、そのビザの失効から12ヶ月以内であれば、同様のカテゴリーのビザの更新申請の際、インタビューは免除されるという例外規定がありました。しかし、今回の大統領令で、この例外規定は廃止されることとなりました。
したがって、どのようなビザ申請であっても、必ず在外の米国大使館・領事館において、面接を受けなければならないということになりました。そもそもリスクが少ないであろう、外国人にビザ申請の面接を免除していたのですが、今後は、一律にビザの面接を義務付けることになったわけです。
米大使館・領事館の負担増
面接を受ける外国人にとっても負担となりますが、問題は米国大使館・領事館の対応です。必然的に面接をする機会が増えるわけですから、対応が大変になります。
そうすると、結果として、ビザ申請から面接設定までの時間も長期化する恐れが考えられます。今後、面接予約の状況を注意して確認していく必要がありそうです。
入国審査の厳格化
次にビザの申請内容に虚偽がないか、質問等や入国審査を厳しくするプログラムをつくるように大統領令で指示があります。特に、テロ関連、集団暴力行為関連などについて審査することを命じています。直接、日本人に影響することはないかもしれませんが、暴力団など米国で指定されているテロ団体関連事例などには、かなり影響すると思われます。
生体識別システムの本格稼働
もうひとつ、影響する可能性があるのが、外国人の米国出入国に関して、生体識別システムを導入することを義務付けました。
1996年以降、議会は、生体識別システムを取り入れる決議をして、2006年には、一部システムが導入されはじめました。しかし、うまく動いていなかったのが実情です。
このシステムについて、旅行者に費用を負担させつつ、出入国を管理するということを推し進める内容が大統領令に書かれています。
 
上記が、一般的な内容ですが、これから日本人を含め、外国人旅行者に影響するであろうという内容です。未だ、具体的な施行ははじまっていませんが、これから、移民行政の動きに注目していかなければならないでしょう。
じんけんニュースでも、今後動きがあれば取り上げていきたいと思います。
それでは、また次回まで春を楽しんでいきましょう。