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アルコールはトランクへ!オープンコンテイナーと交通違反(2)_1177

 

法律ノート 第1177回 弁護士 鈴木淳司
Sep 7, 2019


 アメリカで油性ペンのことを、商品名が浸透して「シャーピー」と一般的に呼びますが、現大統領が気象予報にもなかった台風の進路をシャーピーで書き足したボードを使って、半分冗談で「シャーピーゲート」などと呼ばれています。くだらないニュースでした。笑ってしまったのは、このニュースを逆手にとって、来年行われる大統領選挙に向けた現大統領側のウェブサイトで、大統領のサインがプリントされたシャーピー5本セットを15ドルで売り始めたことです。くだらないニュースからさらに笑いを取る、というのは面白くもあり、辟易するところでもありましょうか。


アルコールはトランクへ!オープンコンテイナーと交通違反(2)


 さて、前回から考えてきた「日本から観光でワイナリー巡り(カリフォルニア)にきました。レンタカーを借りて、ツアー会社の指定する場所からバスでいくつかワイナリー巡りをしました。昼食に買ったワインを少し飲み、残ったワインは購入した他のワインとともに持って帰りました。ツアーを終え、翌日、次の目的地に向かっていたところスピード違反の容疑で車を止められたのですが、そのときに、割れないように車内に置いておいたワインのことを咎められ、スピード違反の他にも交通切符を切られました。実際にどのような法律があり、交通切符は妥当なものなのでしょうか」という質問を続けて考えていきましょう。


カリフォルニア州車両法23222条


 前回、「オープンコンテイナー」というアメリカの考え方、そして、カリフォルニア州車両法23222条を少々考えました。今回続けていきたいと思います。

 この23222条というのは、アルコール飲料の「オープンコンテイナー」が車内にある場合、運転していた者が罰せられるというものです。
 「オープンコンテイナー」というのは、アルコール飲料が開封されている状態だけではなく、中身が減っている場合、および封緘が破損している場合も含みます。いわゆる「飲んだっぽい」状態のアルコール飲料が車内にあると、この法律に反することになります。


オープンコンテイナー違反の場合


 この23222条に反した場合、微罪(Infraction)に問われる程度なので、一般的な交通違反と同様に罰金のみで済みますので、そこまで重大な罪ではありません。

しかし、交通切符を切られて気持ちが良いものではありませんし、この罪に問われるとほぼ自動的に飲酒運転の嫌疑もかけられると思います。


オープンコンテイナーの適用除外


 この23222条には適用の例外があります。

 オープンコンテイナーが車にある場合、たとえばトランクなどの車内からはアクセスし難いところにおいておけば罪にはなりません。

 したがって、アルコール飲料が手持ちにある場合には、どのような場合でもトランクに入れておくのが賢明ということになります。結構アメリカでは車社会なので皆気にするところではあります。

 それから、前回少し考えましたが、商用のバス、リムジン、タクシーなどの乗客がオープンコンテイナーを持っている場合は例外的に罪になりません。ですので、今回質問されている方も、ツアーでバスに乗っているときには、オープンコンテイナーを持っていてもまったく問題になりません。

 一方で、自分で運転しているときは、車内にオープンコンテイナーがあってはまずい、ということになります。


飲酒は21歳以上!マリファナにも適用


 ただし、アメリカでは飲酒が許されるのは21歳以上ですので、21歳未満の乗客がオープンコンテイナーを持っていれば、それは罪になりますし、一般的な23222条の罪よりも重くなる場合があります。

 今回の質問はアルコール飲料ですが、マリファナもカリフォルニアでは合法化されました。そして、マリファナにも同様の罪が適用されます。ですので、かばんなどに気軽にマリファナを入れておくのは賢明ではなく、トランクなど車内とは切り離された空間に仕舞っておかないと、アルコール飲料と同様の法律問題が発生します。


 今回質問された方も、交通切符で終わったようですので、お金で解決できることではあります。アメリカは車社会であること、アルコールに関しては厳しい見方があることなどから、日本とは違う温度で対応しなければいけないかもしれませんね。公共の場所でアルコール飲料を飲むことさえも、アメリカと日本は考え方が違います。せっかくの旅行が台無しになった感はありますが、飲酒運転などで逮捕されるよりも、全然軽微です。

アメリカでは一般的な「オープンコンテイナー」の考え方なので、覚えておかれると良い法律かもしれません。

また、次回新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。

 少し週末から涼しくなってくるようです。サンフランシスコは9月が暑いので、まだ夏は続くのでしょうか。季節替わりがやってきます。風邪も流行ってくる季節ですので、体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。


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過去の薬物使用歴とアメリカ入国(2)_1138





法律ノート 第1138回 弁護士 鈴木淳司
December 4, 2018

過去の薬物使用歴とアメリカ入国(2)_1138

やっとベイエリアにも雨の恵みがもたらされましたが、今度は体の調子を崩す人が周りに増えました。自然と人間の付き合いというのは、両者にとってなかなか大変なものです。賑やかなパーティーも増えてきて、街は混雑していますが、皆ひとときを楽しんでいるようです。皆さんのホリデーシーズンはいかがでしょうか。お互い食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけましょうね。
さて、「日本に在住する者です。学生時代にアメリカ(カリフォルニア州)に住んでいました。マリファナに関係するトラブルで警察沙汰となり、大学からビザはもう出せないと言われ、退学をして日本に戻ってきました。最近、カリフォルニア州ではマリファナが合法化された(される)というニュースを見たのですが、過去のマリファナに関する罪をなんとかして、もう一度アメリカで勉強したいという思いが強くなりました。なんとか、アメリカの学生ビザが再度発給されないでしょうか。」というものです。
前回まで、今回の質問で問題になっているカリフォルニア州におけるマリファナの罪に関して考えました。合わせて、最近の動向も考えたと思います。今回は、移民法に関して考えていきたいと思います。

マリファナをめぐるカリフォルニア州法と移民法との差異

米国で移民に関する法律は連邦政府が立法化できる専権事項であって、州は口を挟めません。
現在、連邦政府と州が移民法に関してぶつかる論点が増えていますが、マリファナの合法化についても、その一つです。すなわち、この記事を書いている時点では連邦政府は、マリファナについて一切の合法化を認めていません。
従来の法律に変化はありませんから、たとえ、カリフォルニア州で、マリファナが合法化になり、違法性が阻却されることになったとしても、移民法上は、薬物禁止規定にひっかかることになります。
もちろん、現状ではマリファナの使用を合法化する動きが活発なので、移民局もその「裁量」の範囲内で柔軟にビザ発行の合否を変化させてきていると思いますが、移民法上は「なかったこと」にはならないと考えておいてください。

遡って罪を抹消する請求ーカリフォルニア州法

さらに前回考えましたが、罪を遡って抹消できる請求がカリフォルニア州内では可能です。一般的にExpungementと呼ばれる手続きです。この手続によって、罪はなかった、ということで履歴書や一般生活上は申告することが可能になるので、就職などの日常生活にはプラスになることは間違いありません。
しかし、政府関係の申請には、Expungementをした罪についても記載しなければ、不申告と捉えられてしまいます。そうすると、移民法に関して申請をする際に、Expungementをしたあとでも、前科前歴について記述しなければならないということになります。
移民局は、前科前歴を考慮できるので、マリファナに関する犯罪に関しても、ビザの発給可否について必ず確認します。どの程度シビアに考えるかは、各申請の具体的な判断となりますので、ここではなんとも言えませんが、最近では多くの申請者に薬物依存がないかどうかのテスト結果を提出するように指示しているケースが増えています。
少なくとも、単純な拒否ではなく指示に従って検査結果を提出するように言われているケースでは望みがあるということになろうかと思います。

連邦政府と州政府で扱いが違うことを踏まえて対応

このように連邦政府と州政府ではマリファナに関しては対応が違っているのが現状です。
ですので、今回の質問のようなケースでは、まず逮捕、起訴され有罪となった州のマリファナに関する法律を調べたうえで、抹消できるのであれば、抹消するのが最優先事項になります。
そして、もう一度、学校に入学許可を貰えればもらうことが重要です。入学許可をもらい、そのうえでビザを申請するのであれば、連邦法の問題になりますので、そのときには、抹消請求をしたことも含め、前科前歴は隠さずに申告し、そして、与えられた指示にしたがって、粛々と申請を進めてみるということになろうかと思います。
 
もう師走ですね。一年が終わろうとしています。いろいろやれなかったことも山積みにはなっていますが、昨年末は私の所属する事務所の引っ越しがあり、大変だったことを考えると、今年は平穏で何よりです。皆様も平穏無事に今月を過ごし、良い新年が迎えられると良いですね。
とにかく、あともう少しで今年も終わります。気を抜かないでまた一週間がんばっていきましょうね。


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過去の薬物使用歴とアメリカ入国(1)_1137





法律ノート 第1137回 弁護士 鈴木淳司
Nov 26, 2018

過去の薬物使用歴とアメリカ入国(1)_1137

北カリフォルニアの大火事は、嵐の訪れによって一時的な落ち着きがもたらされましたが、今度は土砂崩れの被害が憂慮される事態になりました。災害は続いています。今年の冬は雨や雪が多いのでは、と期待を込めて人は語りますが、来年の夏の干ばつや火事はどうなるのか、すでに今から心配してしまいます。
さて、今回から新しくいただいている質問について皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると、「日本に在住する者です。学生時代にアメリカ(カリフォルニア州)に住んでいました。マリファナに関係するトラブルで警察沙汰となり、大学からビザはもう出せないと言われ、退学をして日本に戻ってきました。最近、カリフォルニア州ではマリファナが合法化された(される)というニュースを見たのですが、過去のマリファナに関する罪をなんとかして、もう一度アメリカで勉強したいという思いが強くなりました。なんとか、アメリカの学生ビザが再度発給されないでしょうか。」というものです。
今回の質問に関しては、色々詳細を聞いてみたいところがあるのですが、読者の方々と情報を共有するためにも、いくつかのシナリオを想定しながら考えていきましょう。
以前取り上げましたが、最初にカリフォルニア州でマリファナが合法化になったことについて、全体的な法律改正を見ていきましょう。

カリフォルニア州、マリファナ合法化の経緯

まず簡単な経緯ですが、2016年の11月の選挙の際に並行して投票される住民投票第64号(Prop 64)が賛成多数で承認されマリファナの合法化が決まりました。その前にも、1996年に医療用のマリファナは合法化されていたのですが、一般的な使用についても、2016年に合法化されたのです。
そして、マリファナ合法化の法律施行は、2018年1月1日となりました。Prop64を受けて、マリファナに関する州の法律、主に健康安全法(Health and Safety Code)が改正されたのです。マリファナ合法化といってももちろんフリースタイルに変更されたわけではなく、基本的に21歳以上でなければ使用できませんし、使用の場所も公では禁止されています。
頒布販売についても、制限されていますし、栽培についても緩和されましたが、まだ制限されています。

過去の有罪事件と事後救済

今回のマリファナに関する法改正に伴って、以前にマリファナに関する罪で有罪になった事件についても、事後的に救済されるようになりました。以前は、マリファナの所持、使用でも罪に問われ、有罪となったケースも多くあります。
これらの前科について法改正で事後的に合法になったわけですので、罪の再考慮がなされることになったのです。方法論としては、まだ公判が維持されているのであれば、起訴の再考慮を求め、有罪となってまだ裁判所の保護管轄下であれば、裁判所に罪の再考慮を求めることになります。
そして、すでに罪が確定し、罪に伴う条件をすべてクリアーしているような場合には、前科の再考慮、抹消を求めることが可能になりました。
基本的に、新たな法改正で罪とならなくなった、また罪が軽減される場合、裁判所に書面を付して申立を行います。検察官に異議がなければ申立は認められます。異議がある場合には、検察官はそれなりの異議を行うための証拠をもって、審理が行われることになります。
しかし、事実関係で争っても、法律そのものが改正されたのですから、検察側としてもなかなか争うことが大変になりそうです。ですので、マリファナに関する罪については、実際あまり検察官が争うということはありません。

前科の抹消が認められる可能性

今回質問されている方の事例の詳細がよくわかっていませんので、なんとも具体的なことは考えられないのですが、「警察沙汰」になったことが実際は有罪になったということであれば、その前科について、再考慮または抹消を州の裁判所に求めることは可能になります。本人の出廷がなくても、認められる可能性が高いので、チャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。

カリフォルニア州法と連邦法は別

ただ、理解していただきたいのは、マリファナに関する罪については、カリフォルニア州内の動きであります。今回質問されている方も州の裁判所において、刑を言い渡され、あくまでもカリフォルニア州内で、刑が再考されることになります。そうすると、連邦の管轄である移民法に関しては、また違った考えが必要になります。ここから次回考えていきたいと思います。
もう冬なはずなのですが、まだ暖かい日もあります。雨が降れ、と願いながらまた一週間がんばっていきましょうね。
 


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