法律ノート 第1084回 弁護士 鈴木淳司
Nov. 17, 2017
ある大型の刑事事件に関わっていて、被告人がたくさんいます。そして、被告人ごとに弁護士が付いているので、私もよく素性の分からない同業者と一緒に仕事をしなくてはなりません。もちろん、他の弁護士も同じように思っているのかもしれませんが。
私はいろいろな人と仕事をするのが好きなのですが、嫌いなのはプライドばかり高い弁護士と仕事をすることです。偉そうなことを言っても、自分がいかにすごいかを言われても結局クライアントのためになっていないわけです。こういう人間関係はかなり疲れますね。皆さんの周りの人間関係はいかがですか。
家でマリファナを吸うと児童虐待に?(3)_1084
さて、前回から考えてきた「来年(2018年)から、カリフォルニア州では合法的にマリファナが売買され使用も許されることになったと聞きます。先日、ある公益法人の主催するマリファナに関する講演を聞きにいったのですが、家に子供がいる場合には、場合によっては児童虐待のケースもあるということを聞きました。よく理解できなかったのですが、マリファナを吸っただけで児童虐待となることがあるのでしょうか」という質問を今回続けて考えていきたいと思います。
結果として重罪が成立する場合も
前回は、未成年者を危険に遭わせる罪(Child Endangerment)という罪がどのようなものなのか、類型的に大まかに考えてきました。この未成年者の保護の趣旨から規定された法律はかなりの広範囲に適用されるということを理解していただけたと思います。
子供を車においたまま、どこかに短時間でも行ってしまうと適用されてしまいます。結果として、子供に重大な身体・生命の危険が生じた場合には、重罪(Felony) が成立する場合もあります。したがって、かなり深刻なケースも有り得るということです。
未成年者と知らなくてもマリファナを提供したら処罰の可能性
さて、マリファナがカリフォルニア州で合法化されるとして、どのような場合に未成年者に危険を生じさせたとして処罰される可能性があるのでしょうか。以下、類型的に考えていきたいと思います。
まず考えられるのが、未成年者にマリファナを提供する場合です。相手方が未成年者であることをわかっているのかわかっていないのかは、あまり問題になりません。結果として未成年者(カリフォルニア州では18歳未満)に対して、マリファナをどのような形であれ(医療用のマリファナで医師の処方がある場合を除きます)提供した場合には、この未成年者を危険に遭わせる罪に該当する可能性が高いです。
さらに、マリファナを提供した未成年者がその効果が持続している間に、自己または他人の身体・生命に対して危険を生じさせたような場合には、重罪となり得ます。したがって、お酒と同様の考え方ですが、まず未成年者に使用を許容したり、提供することは絶対にやめてください。
未成年者がアクセスできない状態で吸う
次に、上記と似たようなケースですが、未成年者が周りにいる環境で、マリファナを使用することはこの未成年者を危険にさらす罪に該当する場合が出て来ると思われます。
お酒の場合口から飲酒しなければ、注射でも打たない限り周りに波及する効果はありませんが、マリファナの場合は、煙がでます。ですので、場合によっては煙を吸い込んでも、マリファナを吸引したことになるケースもあり得るので、かならず未成年者がアクセスできない状態で吸うことが求められます。
もちろん、大きな家に住んでいる方々などは簡単にプライベートが確保されるのかもしれませんが、集合住宅などにお住いの方は要注意かもしれませんね。今回のマリファナを吸って良いという法律を見ると、公共の場所でのマリファナ使用は許されていません。結局、自宅などのプライベート空間でのみ使用が可能なわけです。
そうすると、自宅に未成年者がいる場合には、マリファナの煙によって未成年者に影響が発生していると判断された場合には、児童虐待と捉える判例もでてくるかもしれません。したがって、未成年者がいる家庭でのマリファナ使用は要注意ということになろうかと思います。
煙が出るマリファナは、未成年者保護の範囲が広くなる
たぶん、今回セミナーに行かれて聞いた話も、お酒とちがってマリファナは煙がでるので、未成年者の保護の範囲がそれなりに広くなっていく可能性があるという話だったのではないでしょうか。
現状で、判例はまだマリファナ使用と児童虐待という関係ではあまりありませんが、このようにマリファナが解禁となると、なんらかの判例は今後出てくるでしょうね。また、そのときにみなさんと情報をシェアさせていただければと思います。
寒くなってきました。ベイエリアは雨ばかりですが、体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。
▼DV-2020の当選後サポート、受付中!
グリーンカード取得まで、とことんお手伝い。1年以上の長期にわたって、メールのやり取りは200,300,400以上が当たり前。
各種証明書の翻訳・面接その他のコンサルティング・実際のグリーンカード取得者の経験にもとづく専用QAページ・各国の警察証明取得・大使館等への問い合わせが、すべてセットになっている総合サービス。
面接通知はどうやってくる?次に何をすべき?…日常と併行して手続きを進めるのは、本当に大変です。 気軽に相談できる専門家がいれば、心強いこと間違いなし!大きな不安を、ぐっと軽減します。
*当選後手続きは、細やかなサポートを徹底するため、お断りする場合があります。 サポートをご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせを。(i@jinken.comもしくは各担当者アドレスまで)
▼DVグリーンカード抽選サポート、お申込み受付中
絶対アメリカに行きたい!住み続けたい!大きなチャレンジをして自分を変えたい! Momsを通じてご応募なさる方々の「本気」にこたえます。
応募期間は例年10月のおよそ1か月。
もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。