じんけんニュース 弁護士 鈴木淳司 2021年2月10日
米国入国制限-トランプ政権の遺産
February 10, 2021
花粉が多くなってきたのか、鼻がムズムズする季節になってきました。しかし、コロナ禍でもありくしゃみ一つするにしても工夫が必要になってきますね。桜もちらほら咲いているのをみかけます。
さて、今回は、前政権が残した移民や外国人のアメリカ入国制限について考えていきたいと思います。
米国入国制限措置はそのまま
私が予想していたとおり、まだ新政権に移行しても、包括的な米国入国制限は緩和されていません。現政権が発足した日、イスラム教徒移民の入国禁止解除の大統領令が出されました。しかし、残余の大統領令で移民に影響する大統領令10014号および10052号は今日時点でも有効です。
Extension of Presidential Proclamations 10014 and 10052
もちろん、現政権は移民政策の他に優先事項であるコロナ対策があります。
現在、コロナワクチンの普及が再優先課題であり、アメリカ経済、就学などの多岐にわたる分野に影響しますので、移民政策緩和は二の次になっているところはあります。バイデン政権は「トランプの弾劾裁判を見ている暇はない」と言っているほど、前政権からの問題積み残しは山のようであります。
大統領令10014号および10052号
もちろんコロナ禍の影響により停止もあるのですが、新規のビザ発給が停止され、例外的に国益に合致する場合、医療従事者などのみが新規ビザが発給されました。
ビザの発給停止が続き、私の知る限りでもじんけんで永住権サポートを受け渡米しようとしたが、モラトリアムに引っかかり、米国入国がかなわなかったり、企業においても、新規の人材を日本から送り込むことができないといった、実質的な問題が発生しています。国際的な観点から見ると、かなり後ろ向きな効果ばかりがでている状況です。
バイデン政権の今後
現政権は、この事態を理解していますが、政権発足時に、すべての移民制限政策を解除したわけではなく、多忙であるも慎重になっていることは事実です。
すでに、現政権は中国に対して厳しく対応することを明言していますので、特に移民や往来が増えている中国国民に対しての警戒があることは否めません。もちろん、対中国だけに政策を絞ることはできませんので、全体解除が遅れているというのが本音なのだと思います。
アメリカ移民法協会からの正式書簡
現状継続している、移民制限政策ですが、アメリカ移民法協会(私の事務所も会員です)が、現大統領に対して、政策の解除を一刻もはやく行うように正式な書簡を送っています。
その書面では、前政権の移民制限政策について、コロナ禍を利用した、包括的な移民排除政策であると色づけています。コロナ禍はたしかに、経済的な打撃を生じましたが、その事自体と移民政策の関連性は高くない、ということです。
また、包括的な移民排除政策により、家族が引き離され、永住権に当選した外国人が、期待していた機会を失うような事態も起きています。長期的にみて、国際的なビジネスも停滞し、アメリカの国益に反するということも指摘されています。
3月末まで延長の可能性
ここからは私見ですが、現行の前政権が制定した移民制限政策については、それらの政策が失効する2021年3月末日まで保たれるのではないかと思います。
主に、国境での家族引き離し問題、イスラム教徒入国禁止問題については、最優先で処理をしましたが、現政権は、政権発足から100日以内に1億人、というコロナワクチン接種をとにかく優先事項としており、その根拠も妥当ではあります。
移民法協会が書簡を送らずとも、現政権は、今回考えた大統領令は妥当ではないと考えていることは間違いありませんが、特に対中国との関係では議会でも、中国に対する厳しい意見が政党を超えて多く、慎重論も出ていることから、すぐに解除はされないのではないかと考えます。
また、各地のアメリカ大使館・領事館の人事や手続きの復旧作業などもありますので、一朝一夕に解決はできないのかもしれません。
異常としか言えなかった前政権の移民政策を一刻もはやく是正してほしいと思います。私も色々な形で助力していきたいと思います。
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