法律ノート 第1489回 弁護士 鈴木淳司
Sep 7, 2025
サンフランシスコ・ジャイアンツが今熱いです。
野球に釘付けになりますが、すでに18試合連続のホームランが出ていて、ナショナル・リーグでもダントツの勝ち星をこの10数試合であげています。
もちろんドジャースやパドレスなどは西リーグでは強いのですが、かなり追い上げていて、目が話せません。
やはり地元のチームががんばっていると嬉しいものですね。
フットボールのシーズンも始まりましたが、皆さんはスポーツを楽しまれていらっしゃいますか。
就業規則の必要性@カリフォルニア(4)_1489
さて、前回から「日本の子会社で働いています(カリフォルニア州)。主に、HR担当です。最近では、勤務する人の労働許可を確認することにフォーカスされていて、当社でも、社長(子会社)や日本側のHRからコンプライアンスを厳格にするように言われています。当社は子会社で社員は10人にも満たないので、どこまでの規模でコンプライアンスをすればよいのか何か指針というのはないでしょうか。情報はペイロールの会社からいくつかもらっていますが、法律的なことなのでどうすればよいのか不安です。」という質問をいただいていますが、今回続けてI-9の要件から考えていきましょう。
現在の政治的なムードではコンプライアンスが非常に重要になってきます。
前回考えたように、このI-9というのは、カリフォルニア州だけではなく、アメリカ全土で適用される連邦の法律に基づいています。
数日前に、ヒュンダイの工場建設中のところに、米国移民局が捜査に入り、400人以上の不法労働者が逮捕されました。
現在、このI-9の管理について、雇用主の義務であります。
現在この不法労働者の摘発は、大きな目玉政策の一つであることから、今回も続けて考えます。
前回考えたように雇用主にも行政罰が用意されていますので、看過できない内容です。今回質問されている方の所属する企業も、オンライン登録か、マニュアルでの管理を徹底することが必要です。
さて、今回は、フォームI-9の作成等について、詳しく考えていきましょう。
雇用主は、1986年11月6日以降に雇用した全従業員について、その身元および米国内における就労資格を証明するため、フォームI-9を作成しなければならないとされています。
従業員は、有給の就労初日に本フォームのセクション1を記入し、偽証罪の罰則の下、自身の市民権または移民法上の地位を証明しなければなりません。
そして、雇用主は、従業員の就労開始日から3営業日以内に、身元および就労資格の証明書類を検証し、本フォームのセクション2を記入しなければなりません。
受理される書類は、有効かつ有効期限内のものに限られます。
フォームI-9の保管についてですが、雇用主は、作成済みのフォームI-9を、当該従業員の雇用期間中、かつ、雇用日から3年間または雇用終了日から1年間のいずれか遅い方の期間まで保管しなければなりません。
そして、雇用主は、国土安全保障省(DHS)または労働省の職員から3日前の事前通知があった場合、査察のためにフォームI-9を提示しなければならないことになっています。
また、雇用主は、従業員の就労許可の有効期限が切れる場合など、連邦規則に従い、当該従業員の就労許可を再確認することが必要になります。
雇用主は、有効期限が切れる少なくとも90日前に、従業員に対し更新された証明書類を提出するよう通知しなければなりません(カリフォルニア州労働法第1019.2条)。
フォームI-9を要求する背景には、不法就労者の雇用が禁止されているので、その禁止に実効性を保たせる意味があります。
すなわち、連邦政府が調査をして、不法就労が疑われる場合には雇用主は不法就労者を雇用、または雇用し続けることを禁じられています。
雇用主が移民関連機関から「疑義文書通知(Notice of Suspect Documents)」などの通知を受けた場合、前回考えた民事上または刑事上の罰則を回避するため、必要に応じて就労資格を検証するか、または雇用を終了する措置を講じなければなりません。
カリフォルニア州は、連邦政府によるI-9査察の通知を受領した場合、雇用主に対し72時間以内に従業員へその旨を通知することを義務付けています。
この通知には、査察機関の名称や査察の性質などの具体的な詳細を含まなければなりません(カリフォルニア州労働法 §90.2)。
ただし現政権においては、このような州への通知はなされず、抜き打ちでの検査が常態化していることに気をつける必要があります。
今回質問されている方の所属する企業も規模は小さいようですが、このI-9に関するコンプライアンスは必須になります。
フォームI-9に関して、適用が除外されるのはかなり狭く、個人事業主または人材派遣会社から派遣された従業員に対しては適用されないということになっています。
したがって、今回の質問に対しては、会社のHRとして、まずI-9のコンプライアンスを確認する必要があるということになります。
I-9の話題はこの辺にして、次回別の必要なコンプライアンスについて考えていきたいと思います。
カリフォルニアは風の強い日もでてきて、かなり火事のニュースも増えてきました。
火元には気を付けてまた一週間過ごしていきましょうね。
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