法律ノート 第1488回 弁護士 鈴木淳司
Aug 31, 2025
最近のニュースで衝撃的だったのが「ラセウンジバエ」の話題でした。
この幼虫は哺乳類の傷口などに卵を生み、幼虫のウジが人間を含め哺乳類をどんどん食べていくということらしいです。
中米から帰国した人に関し、初症例がアメリカで確認されたそうです。
そもそもラセウンジというのは昔から存在したらしいですが、進化したバージョンが出てきたようです。
人食いウジというのがいるというのはびっくりしました。
みなさんはご存知でしたか。
就業規則の必要性@カリフォルニア(3)_1488
さて、今回は、まとめると「日本の子会社で働いています(カリフォルニア州)。主に、HR担当です。最近では、勤務する人の労働許可を確認することにフォーカスされていて、当社でも、社長(子会社)や日本側のHRからコンプライアンスを厳格にするように言われています。当社は子会社で社員は10人にも満たないので、どこまでの規模でコンプライアンスをすればよいのか何か指針というのはないでしょうか。情報はペイロールの会社からいくつかもらっていますが、法律的なことなのでどうすればよいのか不安です。」という皆さんからいただいている質問を考えていきましょう。
今回は、アメリカにおいて外国人被用者を労働させ、なんらかの違反がある場合、どのようなことが起き得るのか、考えておきましょう。
そのあと、違反にならないようにコンプライアンスを考えていきたいと思います。
アメリカ国内で、就労許可がないと知りながら外国人を雇用(不法移民の雇用)することは、1986年に制定された移民改革・管理法(IRCA)によって禁じられています。
この法律に違反した雇用者には、民事および刑事の両面で罰則が科される可能性があります。
罰則は大きく分けて、FormI-9(労働資格確認フォーム)に関する違反と、不法就労者を意図的に雇用した違反の2種類があります。
まず、Form I-9に関する罰則について考えます。
アメリカの雇用主は、国籍を問わず、採用したすべての従業員についてFormI-9を適切に記入・保管する義務があります。
この手続きを怠ったり、書類に不備があったりした場合にも罰則が科されます。
たとえ雇用した従業員が就労資格を持っていたとしても、書類上の不備だけで罰金の対象となりえます。
この「書類上の不備」に対する罰金は、違反1件あたり281ドルから2,789ドルに及びます。
「日付の記入漏れ」「署名の欠落」「必要書類の確認不足」といった軽微なミスでも、監査が入れば違反とみなされ、従業員の人数分だけ罰金が累積する可能性があります。
したがって、次回以降考えるコンプライアンスはとても重要になってきます。
次に、より重い罰則が科されるのが、故意による不法移民の雇用や継続雇用です。
これは、就労資格がないことを「知りながら」外国人を雇用した場合、または、後日その事実を知ったにもかかわらず雇用を継続した場合に適用されます。
民事罰である罰金額は違反回数に応じて増加し、初回の違反では不法就労者1人あたり698ドルから5,579ドル、2回目の違反では5,579ドルから13,946ドル、そして3回目以降の違反はもっと科されていきます。
これらの罰金は、企業の規模、違反の重大性、雇用主の誠実さ、過去の違反歴などを考慮して最終的に決定されます。
特に、違反が悪質で「パターンまたは慣行」として常習的に行われていると判断された場合には、刑事罰の対象となります。
これには、違反者1人あたり最高3,000ドルの罰金、そして最高6月の禁固刑が含まれます。
さらに、不法就労者のための住居提供や偽造書類の使用などが伴う場合は、より重い罪に問われ、最高で5年から20年の禁固刑となる可能性もあります。
罰則が科されるまでのプロセスは、通常、米移民・税関捜査局(ICE)による監査から始まります。
ICEが雇用主に対し、FormI-9の提出を求める監査通知を送付し、その結果違反が発見されると、罰金意図通知が発行されます。
雇用主は、この通知を受け取ってから30日以内に聴聞を要求する権利がありますが、要求しない場合や聴聞会の結果罰則が確定した場合には、最終命令が発行され、罰金の支払いが義務付けられていきます。
これらの罰則に加えて、違反企業にはその他の潜在的なリスクも伴います。
例えば、連邦政府との契約を禁じられる可能性があり、これは政府関連のビジネスを行う企業にとって大きな打撃となります。
また、極めて悪質なケースでは、犯罪行為によって得られた利益とみなされ、事業や個人の資産が没収されることもあります。
ここから次回続けていきましょう。
まだまだ暑い日が続きますが、もう一年の3分の2が終わってしまいました。
これからラストスパートです。
2025年もがんばって駆け抜けていきましょうね。
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