法律ノート 第1487回 弁護士 鈴木淳司
Aug 24, 2025
家にリンゴの木が生えているのですが、まったく実がなりませんでした。
小さな実がなってもすぐに落ちたりしていました。
十数年前に岩手のある博学の農家の方からコツを教わり、気がつくたびにその教えを守っていたのですが、なんと今年たくさんの実がなりました。
時間はかかりましたが、とても嬉しいです。
まだ季節的に完全に大きくはなっていないのですが、これからが楽しみです。
ただ、まだ一度も食べたことがないので、今の青いうちにかなりの数を収穫して、今週末はリンゴ酒をつくりました。
楽しみなことが一つ増えました。
皆さんの週末はいかがですか?
就業規則の必要性@カリフォルニア(2)_1487
さて、「アメリカ(カリフォルニア州)に今度支店か子会社を作ろうと考えている日本企業を経営する者です。今、色々下準備をしているのですが、人を2、3名雇うことを考えているところ、就業規則を作ったほうが良いというアドバイスを受けています。数名しか雇用しないのに、わざわざ就業規則を作った方が良いのでしょうか。教えて下さい。」という質問を今回も続けて考えていきましょう。
前回の結論としては、やはり就業規則(労働マニュアル)は各社作っておいたほうが良いというのが結論です。
そのメリットやない場合の問題点について考えましょう。
労働マニュアルを常設していない雇用主は、かりに、被用者から、差別、ハラスメント、または報復の申し立てが起こされると、そのクレームに対して防御する際、証拠上の困難に直面する可能性があります。
例えば、ハラスメント事件で「回避可能な結果の抗弁」を援用するためには、雇用主は効果的なハラスメント防止方針および手続きを導入し、伝達したことを示さなければなりません。
この観点からも労働マニュアルは持っているほうが良いのです。
次に労働マニュアルが常備されていないと、雇用主は職場の方針の一貫性を証明する必要がでてきた場合、たとえば、恣意的または差別的な扱いを受けたという申し立てがあった場合、防御ができないリスクを高める可能性があります。
裁判所は、正式な労働マニュアルが公平性と一貫性を促進し、それが雇用主と従業員の双方に利益に資すると考えています。
第三目ですが、カリフォルニア州法において、雇用主は、書面による給与明細書を提供することを義務付けており、これを遵守しない場合、法定の罰金および弁護士費用が発生する可能性があります(Naranjov. Spectrum Security Services, Inc., 15 Cal. 5th1056)。
そこで、雇用マニュアルに、給与明細書の方針を概説することで、コンプライアンスの徹底に役立ちます。
上記が、労働マニュアルがない場合に問題になりそうなポイントになります。
それからもう一つ労働マニュアルについて考えておきたいところがあります。
労働関係で、被用者が訴訟をする可能性を封じるために、仲裁合意を要求する雇用者もあります。
この仲裁合意を求めることは違法ではありませんし、雇用者にとっても訴訟のリスクを減らすために、あったほうが良い合意ではあります。
よく、第三者が作成した労働マニュアルを読むと、そのなかに仲裁条項が入っていることがあります。
しかし、カリフォルニア州では、労働マニュアルに記載された仲裁条項は無効にされる可能性があります。
判例によると、雇用主が、別途署名された合意書を得ずに従業員ハンドブックのみに依存している場合、拘束力のある仲裁合意にはならない可能性を示しています。
裁判所は、ハンドブックの受領確認だけでは、仲裁条項への同意を示すには不十分であると判断しています(Harrisv. TAP Worldwide, LLC, 248 Cal. App. 4th373)。
この点、過度に労働マニュアルに頼ってしまうのも怖いところではあります。
上記を考えると、雇用マニュアルは法的に義務付けられてはいませんが、その不在は、法的要件の遵守証明の困難さ、申し立てに対する防御、一貫した職場慣行の維持といった重大なリスクに雇用主をさらす可能性があります。
これらのリスクを軽減し、カリフォルニア州の雇用法を遵守するために、労働マニュアルを導入し、配布することがカリフォルニア州では重要であるということをよく理解されてください。
次回また新しくいただいている質問を考えていきましょう。
今週は暑い日も多かったですね。
ただ、スーパーでは秋の食材も出てきていますので秋も近づきつつあるのでしょうか。
とにかく、まだまだ暑いので体調には気を付けてまた一週間がんばっていきましょうね。
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