じんけんニュース 03-09-2021 弁護士 鈴木淳司
March 9, 2021
H-1B、H-2B、L-1およびJ-1ビザの新規発行停止処分の現状
バイデン新政権になって、移民行政も少しつずもとに戻っていますが、新規ビザの発行については、2021年3月末日まで停止処分が続くことになりました。
最近の移民行政関連の動きを今回考えていきましょう。
移民ビザはOK、非移民ビザはNG
もともと前政権は、大統領令10014号で移民(永住権新規許可者)の入国を制限し、同10052号で、非移民ビザ、主にH-1BとL-1ビザなどの新規許可を禁止する処分をしました。
バイデン政権になり、前者の大統領令10014号については、2021年2月24日に禁止処分を解除しました。
したがって、じんけんを通して移民ビザを取得された方々も、現在アメリカに渡航することが可能になりました。次々に入国審査をパスしている報告を受け取っています。
問題は、大統領令10052号です。
バイデン政権は、禁止処分を見送り、2021年3月末まで、禁止処分を継続することにしたのです。
したがって、2021年3月末までは、新規の非移民型ビザの発給は停止されたままになります。
コロナウィルスによる制限も緩やかに
一方で、コロナによる影響も最近緩和されてきました。ワクチンのおかげかもしれませんし、天候のおかげかもしれません。アメリカ国外にある大使館・領事館のビザ業務についても再開が決まり、2月24日のバイデン政権による大統領令で、ビザ業務の対応を速やかにするように命令がでました。
したがって、今までコロナ禍で停滞していた業務も、少しずつ潤滑になっていく可能性が高いです。
では、2021年3月末に、新規ビザの発給停止が解除されるかというと、解除される公算が高いです。
前述したとおり、各国にあるアメリカ大使館・領事館のビザ業務が再開されるということですので、新規のビザ申請が大量に持ち込まれるであろうことを想定して、先んじて業務を再開したと考えられます。
前アメリカ政権ではコロナ禍によって、アメリカ国民の仕事を守る、という趣旨で、外国人の入国を禁止しました。2020年12月末日まで有効な大統領でしたが、2021年3月末日まで延長することに署名をしたわけです。
この移民禁止処分の大統領令の趣旨としては、アメリカ国民の仕事を奪うということだったのですが、まったく手段と目的が合致していない説明だったことがわかってきました。
永住権・ビザ申請停止=米国の雇用保護にならない?
色々な裁判が前政権の移民政策に対して提起され、争われ一部は勝訴になったわけですが、その裁判のなかに、前政権が外国人の永住権、ビザ申請一斉停止と米国の雇用保護は関連性が薄い、という主張がありました。
とくに、コンピュータ関連業種については、失業率は、コロナ禍前後を比べても同様の3%程度で推移しており、まったくコロナが影響ないような状況でした。逆に求人が多く、足りていないという現実です。
したがって、H-1Bビザなどで、コンピュータの専門職に就く人たちを補わなければ、慢性的な人材不足に陥っているのです。アメリカがこのような政策を続けると、場所を選ばない仕事ですから、場合によってはアメリカ以外の国に仕事が移って行ってしまう可能性も高いわけで、長期的に見れば、そもそも仕事のパイが小さくなってしまう可能性もあるわけです。裁判にでてきたある記録によると、コロナ禍において、一ヶ月間を調査すると63万件以上の求職情報があったというのです。
今後の見通し
バイデン政権も、このような裁判の内容にも必ず目を通しているはずですし、アメリカ移民法協会などの主張についても見ているはずです。このように、今はっきり実際と政策の目的が乖離している状況では、移民政策禁止についてサポートの基礎となる実態もありません。
したがって、バイデン政権が、3月末に禁止処分を解除する可能性は高いと思います。
ただ、大使館・領事館のビザ業務が再開されたといっても、今まで一年間分の新規申請が詰まっていたわけですから、処理期間はかなり当初は覚悟しておかなければならないと思います。
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