法律ノート 第1513回 弁護士 鈴木淳司 2-28-2026
(じんけんニュース号外 )
天気が格段に良くなってきましたね。
日焼けするほど日差しが強く、朝晩はまだ寒いものの、花も綺麗です。
キャンディーズではないですが、もうすぐ春ですね。
一方で、私の友人は「花粉が、花粉が、」と怯えています。
花も自分の子孫を残そうと必死になっているかもしれませんが、アレルギーがある方には辛い季節なのでしょう。
さて、今回も皆さんからの質問にお答えするのを一旦休ませていただき、移民法に関する直近の状況を皆さんと一緒に考えていきましょう。
移民に関してはかなり締め付けが活発になっています。
現政権が当選した後ろ盾になった移民政策をここで活発化させることにより中間選挙を意識した政治的な動向といえるかもしれません。
まず、亡命制度の新規則案が発表されました。
2026年2月20日、国土安全保障省(DHS)は「亡命申請者に対する就労許可制度の改革」を官報に公示したのです。
この改正案の核心は、亡命(アサイラム)申請を、安易な就労目的の手段として利用することを法的に遮断することにあります。
具体的には、申請者が就労許可証(EAD)を申請できるようになるまでの待機期間を、現行の150日から365日へと大幅に延長する内容が含まれています。
さらに特筆すべきは、USCIS(市民権・移民局)の処理能力が一定の閾値を超えた場合に、新規의 就労許可申請の受付を一時停止する権限を当局に付与する条項です。
これにより、亡命審査を待つ数年間にわたり法的に働く手段を奪われる申請者が急増すると予測されており、申請件数そのものを抑制する「水際対策」としての機能を果たすことが企図されています。
次に、あまりニュースではトップの話題になっていませんでしたが、2月初旬に下された第5巡回区控訴裁判所の判決が、今後の不法移民の取り扱いに決定的な影響を及ぼしそうです。
この判決は、不法に入国した個人を国内で逮捕した場合、移民裁判所の最終判断が出るまで保釈を認めずに拘禁し続ける「強制拘禁」の現政権の方針を支持するものでした。
従来の実務では、逃亡の恐れや公共の安全への脅威がない限り、保釈保証金を支払えば一時釈放が広く認められてきましたが、裁判所は、特定のカテゴリーに属する不法入国者に対しては「保釈の権利」を認めない政府の解釈を妥当と判断しました。
これにより、テキサス、ルイジアナ、ミシシッピの各州では、逮捕から強制送還に至るまで全期間を収容施設で過ごす個人の数が激増しています。
日本国籍の方々には直接影響はないかもしれませんが、2026年2月に最も緊迫した展開を見せたのが、ハイチやイエメン、エチオピアなどを対象とした一時的保護資格(TPS)の存続問題です。
DHSのクリスティ・ノーム長官は、これらの国々の国内情勢が改善されたと認められる場合、あるいは保護資格延長が「国家利益に反する」として、相次いでTPSの終了を宣言しました。
これに対し、ハイチ系団体などは「行政手続法(APA)違反」および「差別的な意図」を理由に執行差し止めを求めて提訴しました。
2月2日にはワシントンD.C.の連邦地裁が、ハイチのTPS終了を一時的に停止する判断を下しましたが、そのわずか1週間後の2月9日、第9巡回区控訴裁判所は政府側の訴えを認め、地裁の差し止め命令を一時停止しました。
この司法判断の迷走により、数万人規模のTPS保持者が、一夜にして「適法な在留者」から「強制送還対象者」へとステータスが変動しかねない、極めて不安定な法的状況に置かれています。
第4点目ですが、移民局(USCIS)および司法省は、2月を通じて「帰化プロセスの完全性維持」を掲げ、既に米国市民権を取得した個人に対する再調査と剥奪(Denaturalization)の手続きを空前の規模で進めています。
2月16日の発表によれば、当局は月間100件から200件のペースで市民権剥奪訴訟を提起する方針を固めました。
これは過去数十年の平均的な施行頻度の20倍以上に相当します。
2月24日には、数十年前に犯した犯罪歴を隠して帰化した元エルサルバドル国籍の男性に対し、連邦地裁が市民権の剥奪と刑期終了後の国外追放を命じました。
また、元フロリダ州の市長など公職経験者に対しても、帰化の際の虚偽申請を理由とした剥奪手続きが開始されています。
「一度取得すれば永続的」と考えられていた市民権という法的地位が、過去の不備を理由に覆されるリスクが顕在化しており、移民コミュニティに深刻な法的動揺を与えています。
最後に、連邦行政と地方自治体の連携における劇的な変化がおこっています。
2月末までに、地方警察に移民官としての権限を委譲する「287(g)協定」の締結数が100件を超え、全米30州以上に拡大しました。
この法的な枠組みにより、地方の警察官が通常の交通違反や軽微な犯罪で個人を呼び止めた際、そのまま移民ステータスを確認し、ICE(移民税関捜査局)に引き渡すことが可能となりました。
特筆すべきは、これまで協定に批判的だった「サンクチュアリ・シティ(聖域都市)」周辺の自治体に対しても、連邦予算の配分を条件とした協力要請が強まり、実質的な包囲網が形成されている点です。
2月にはサウスカロライナ州で協定数が3件から37件へ急増するなど、地方自治体が連邦政府の「強制送還装置」の一部として機能する法的基盤が完全に整いつつあります。
このように、「不法入国」および「不法滞在(資格切れ滞在)」に関して、現政権は一切の妥協をせずに、移民行政を進めています。
日本も、対外国人に対する行政的な締付を加速させていて、自国の立場、移民の立場、それぞれ世界的に対立が鮮明になってきているようにも感じます。
私は政治家ではないので自らの意見をここでは言いませんが、様々な憂慮を感じています。
私が所属する法律事務所の移民法チームでも、今までにはあり得ないような拒否事例も多く出始めていて、現状では、移民に対する逆風は止むことはないかもしれません。
次回は皆さんからいただいている質問にお答えしたいですが、移民法は日本国籍をお持ちの方たちにとっては死活問題ですので、新たな動きがあったら優先的に取り上げていきたいと思います。
季節の変わり目ですので、体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。
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